ガクテン♪ソフト版   作:不定音高ふたつ

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【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。

● 登場人物(主要な、ハル、ミッツ、ステラ、ショージ、ヤッ子の5人)
♪ ハル:早坂春弥(はやさか・はるや)。中学1年生。男。主人公。ミッツの従弟。手品と謎解きが好き。声変わり前。

♪ ミッツ:蜜霧多岐(みつきり・たき)。中学2年生。女。ハルの従姉。活動的。幼少の頃からピアノを習う。口の表情が豊かで、口が顔の輪郭からはみ出すことが多い。

♪ ステラ:星山空見(ほしやま・くみ)。中学1年生。女。メルヘンが好き。転入して吹奏楽部に入部し、トロンボーン担当になる。老若男女の誰からも、一見して好かれる、無邪気な可愛らしさ。

♪ ショージ:東海林翔児(しょうじ・しょうじ)。中学2年生。男。吹奏楽部でクラリネット担当。恰幅は良いが、デブではない。会話の始まりは紳士っぽいが、話しているうちに、下品な饒舌になる。

この4人の背の高さは、高い方からショージ、ミッツ、ステラ、ハルの順。小学生の高学年から、中学1年生までは、女子の方が平均身長が高いため。

♪ ヤッ子:鍵宮靖子(かぎみや・やすこ)。理科教師(専門は化学)。年齢は30代前半。女。白衣で、すらりとした黒のパンツ姿。プライベートではジャズピアニスト。姉のことが大きく影響。



この作品は、web小説閲覧サイト「小説を読もう」にも投稿しています。

楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




調号に逆らう臨時記号の有効範囲。ミッツとヤッ子のガールズトーク。エロはおもちゃ。「ミ♯」は「ファ」でいい。コード「A」仲間でダブルシャープ。

├ ●●第9話 Bパート ( 1 / 2 ) 調号に逆らう臨時記号の有効範囲。ミッツとヤッ子のガールズトーク。エロはおもちゃ。「ミ♯」は「ファ」でいい。コード「A」仲間でダブルシャープ。

 

▼ Bパート。

 

放課後。音楽室。

 

ミッツがピアノの椅子に座っている。ヤッ子はピアノに肘を突いている。ガールズトーク。

 

適宜、注意書き「※この会話は、この2人のキャラ設定です」を表示する。

 

ヤッ子「それで幸せに気分になるんだって」

 

ミッツ「なーんでぇ?」

 

ヤッ子「しかも、失敗よりも偶然がいいって」

 

ミッツ「偶然?」

 

ヤッ子「立ち上がる時に失敗して見えたら半日幸せ。風で、しかも、マリリン・モンローのような地下鉄の通気口じゃなく、天然の風で見えたら、一日中が幸せなんだって」

 

ミッツ「どっちだって同じなのにぃ」

 

ヤッ子「男が、そんな程度だから、見られたくないことにも気付かないんだろうな」

 

ミッツ「そう。パンツくらい、ただ見られるだけなら、減るもんじゃないし、平気なんだけど、男が遊び半分のスケベな気持ちだから、見られたくないですよね」

 

ヤッ子「男の子が、そんな気持ちでスカートめくりをするから、本気で怒るのに、男の子は「女の子の反応が面白い」って言うんだよな」

 

ミッツ「先に攻撃したのは男で、女の防御が面白いから、もっと攻撃する。男って、何であんなことをするんだろう?」背景に、小学生の頃に、ハルがミッツのスカートをめくった思い出を表示する。

 

ヤッ子「永遠の5歳児だなって思うのは、下ネタを喜々として言う時」

 

ミッツ「ただのエロネタ、セクハラなのに」

 

ヤッ子「男にとっては、いい年になっても、エロはおもちゃなんだ」

 

ミッツ「愛想笑いなのに、「受けている」って勘違いされて」

 

ヤッ子「「女が笑うと、男は幸せになる」だって」

 

ミッツ「だからって、面白くない冗談を言われても困りますよね。くすぐられて、無理に笑わされるより、喜ばせてほしいのに」

 

ミッツは、ステラがショージから何をされたのかを知りません。視聴者向けのメッセージとして、「脚本上の演出、脚本上で偶然を装い」の形式を用いて、加害者の勝手な理屈「喜んでいるように見えるから、喜んでいる」を非難しています。

 

ヤッ子「教育心理学では、「葛藤」の話があるな」

 

ミッツ「葛藤?」

 

ヤッ子「美味しいものを食べるのは嬉しいが太る」

 

ミッツ。大きく頷く。

 

ヤッ子「子供夫婦が孫を連れて来るのは嬉しいが、心身と金銭で負担になる」

 

ミッツ「あっ、そうだったんですか?!」

 

ヤッ子「身に覚えがあるのは、珍しくはない。大なり小なりの負担があったと知るのは、大人になってからだ。無邪気に楽しんでいる年齢、はしゃぐのを自制する年齢」

 

ヤッ子「大人としての情報を、はっきり教えたり、気付くように案内するのは、大人の先輩のつとめだな」

 

ヤッ子「しかし、自分で迷う葛藤もあれば、他者から押し付けられるのは、葛藤ではなく攻撃だな」

 

ミッツ「第5話の卓球おじさんとか。第8話の眠っているのを無理に起こして、失敗で不味くなったジュースを飲ませるとか」

 

ヤッ子「笑いたくないのに笑うのも疲れる。男女のどちらでも同じであるし、どの年齢にも通じるが、ある場面でウケたから、「この冗談は、いつでも面白い」と思うのは、気を付けたいな」このセリフは、第5話の繰り返し。

 

ミッツ「早くこの時間が終わってほしい。別な楽しい時間を過ごしたいし、片付けたいこともあるし」

 

ヤッ子「愛想笑いをしたら、変に喜ばれて、もっと、もっとと、要求が増えて行く」

 

ミッツ「いい加減にしろって」

 

ヤッ子「そのくせ、女は付属物だとか。あ、知ってる? 女心の未練の歌があるって」

 

ミッツ「うっそー。そんなの、絶対に売れないですよ。ネットでは、大炎上しそうです」

 

ヤッ子「昭和の歌なんだ。失恋した自分が可哀想で髪を切ったり、書いている手紙が涙で濡れたり、着てもらえないのがわかっているのにセーターを編んだり」

 

注意書きを表示する。「歌の解釈には、諸説あります」

 

ミッツ「ありえなーい。セーターを編むって、そんなに長い手間の時間、未練を維持するのって、あたしには信じられない。現実世界では、男の方こそ未練で事件が起きる方が多いのに」

 

ヤッ子「女に冷たくして捨てたのに、女は未練で追い掛けて来るから、男は女の頬を叩いて立ち去る。それでもこの女は俺に惚れている」

 

ミッツ「女が悪かったら叱ったり、教えてくれたらいいのに、叩かれるの、あたしは厭だな。カッコ良ければ憧れて近付くけど、近付いて攻撃されたら、恋愛は終わりですよ」

 

ヤッ子。ハードボイルドの男のような声色で。「脱げよ」

 

ミッツとヤッ子。面白さで、下品な大笑い。

 

ヤッ子「女が男の付属物で、男が主役の社会であり、同時に、男は女を、危険から庇護するという役割もあったな」

 

ミッツ「それは助かります」

 

ヤッ子「地震や火事があれば、女、子供を先に逃がし、助ける。寒ければ男は自分で衣服を脱いで、着せる。見栄っ張りなことを言ったり言わなかったり」

 

ミッツ「あれ? でも、さっき、女の頬を叩くとかって」

 

ヤッ子「それが、「釣った魚に、エサはやらない」なのか、「レディーファースト」ではない文化なのか、ファンタジーを信じているのか」

 

ミッツ「女が自分の意思で、結末を決めるなんて話は、昭和の頃には無かったのかな?」

 

ヤッ子「あっても、とっても珍しい……」思い出す。「……あった、あった」

 

ミッツ「ホントに!?」

 

ヤッ子「2人の男が、1人の女を奪い合うという構図で、男が勝負して、勝った方が女を手に入れる」

 

ミッツ「それって、人間の話ですか? 動物の、群れのボスが、雌を独占するんじゃなく」

 

ヤッ子「それが、人間ドラマ、青春ドラマで、子供向け漫画でも、少なくなかった。それが、「男らしい」というもので」

 

ミッツ「2人の男から好かれたなら、女は、好きな方を選べるってことですよね。女には、選択権が無いのか! って思います」

 

ヤッ子「1人の女を、2人の男、ギャングと大泥棒が奪い合うの。最後は、女が銃を撃つ。しかも、その銃は、男がいつもそこに銃を持っていると知っていたから」

 

この場面は、アニメ『ルパン三世(TV第1シリーズ)』、第9話『殺し屋はブルースを歌う』の結末。

 

ヤッ子「でも、昭和の物語は、男にとっての女の理想って、こんなものかなってのばかり」

 

ミッツ「ねぇねぇ、昭和の男達って、そんなこと本気で思ってたのかな?」

 

ヤッ子「知らなーい」

 

ハルが入って来る。「ヤッ子先生」

 

ヤッ子。今までの話を誤魔化すように、顔の輪郭がコミカル。「ピアノの鍵盤が88なのは、星座が88あるからで……、おや早坂君、どうしたんだい?」

 

ハル「♯は、高くなるんですか? 低くなるんですか?」

 

ヤッ子「高くなるんだが」

 

ハル「じゃあ、この楽譜……」昨夜、自宅で見ていた、クラシックギターの楽譜集を開く。「……ここ、「ミ♯」って、「ファ」は黒鍵じゃないですから、なぜなんだろうって」指してヤッ子に見せる。

 

ヤッ子「これは、クラシックギターの楽譜だが、早坂君はクラシックギターを弾くのか」

 

ハル「あ、持っているのはスティール弦ギターですが、クラシックギターの曲も弾きます」

 

ヤッ子「ほほう。ところで、この音符の話に戻すが、「ミ♯」は「ファ」でいい」

 

ハル「どういうことです?」

 

ヤッ子「♯や♭は変位記号、ナチュラルは本位記号といって、ナチュラルは必ず白鍵だ。変位記号は、白鍵であるナチュラルからずれるのだが、ずれた行き先が、必ずしも黒鍵とは限らない」

 

ハル「なるほど、わかりました。でも、なぜファじゃなくて、わざわざミ♯にしているんですか?」

 

ヤッ子「これは、コードが「Cの仲間」だからだ。Cの仲間は……」黒板に楽譜。「……このように、ドミソの玉を書いて、それぞれに♯や♭を書くことになっている」

 

ハル「はい、覚えています」

 

ヤッ子「では、Cmの「ド、ミ♭、ソ」のうち、「ミ♭」を「レ♯」にしたらどうだろう。Cの仲間ではなくなるな」

 

ハル「はい、それも覚えています」

 

ヤッ子。ミの♭を消して。「では蜜霧君、コードのCを弾いてくれないか」

 

ミッツ。弾く。

 

ヤッ子「ありがとう。早坂君、今弾いてくれたのがCで、「ド、ミ、ソ」だ」

 

ヤッ子「では、これの全部に♯を付けてみよう」黒板に、新たに「ド、ミ、ソ」を書き、全部に♯を付ける。

 

ヤッ子。コード「C」と「C♯」の2つの音符を指しながら。「さっきのコードはC、こっちのコードはC♯だ。蜜霧君、今度はこれを頼む」

 

ミッツ。弾く。

 

ハル「あ、全体が高くなった」

 

ミッツ、コードのCとC♯を、交互に弾く。

 

ヤッ子「蜜霧君の手を見たまえ、C♯の時は、ファの鍵盤だろう。しかし、音符ではファではなくミ♯を書くことで、Cの仲間になる」

 

ハル「そういうことか」

 

ヤッ子「ただし、演奏の都合や、見やすい楽譜の都合で、「ファ」と書いても良いのに「ミ♯」と書くこともあるから、必ずしもこういう理由だとは、思わない方がいいな」

 

ハル「だったら、ここ」別な曲のページを開く。「この「Csus4」は、Cの仲間なのに、ファです」

 

ヤッ子「これは、独立したコードではなく、前のコードの音を引き継いでいるのが由来だな。「sus」は維持するの意味だ」

 

ハル「維持?」

 

ヤッ子「「タイ」のことは、覚えているか?」

 

ハル「はい。タイで繋がっていれば、鍵盤を弾き直さず、そのまま音を鳴らし続ける。第8話で、ショージさんが、未練の人や、浮気の人になりました。コードが変わっても、メロディがさっきのコードを維持している」

 

ハル。ヤッ子の言った「維持」を、自分でも言ったことに驚く。少し大きな声で。「維持、維持する」

 

ヤッ子「そうだ。まだ、完全に「Cの仲間」にはなっていないから、「ミ♯」ではなくても良い」

 

ヤッ子「未練の人に譬えたのは「掛留」といって、和音が変わったのに、直前の和音の一部の音が、タイで繋がっていて、まだ鳴り続いていることを表す。浮気の人に譬えたのは「先行音」だ」

 

「掛留」と「係留」の2つの表記がある。

 

「先行音」と「先取音」の2つの訳がある。

 

ハル「和音構成音とは違う……、えっと、和音外音って、クラシック音楽の音楽理論では、違反ではないんですか?」

 

ヤッ子「意外と思うか?」

 

ハル「はい。むしろ、コードネームの方が、和音構成音が、ぴったり決まっているようです」

 

ミッツ「それは、誤解だよ。知らないから誤解することもあるって、第5話で教わったでしょ」

 

ヤッ子「これ以外にも、和音を自分流に変更したり、普通に使っている手法が、実はクラシックの音楽理論で紹介されていたりする」

 

ハル「だから、アイディア集なんですね」

 

ヤッ子「用語や小ネタの名前も、例えば、早坂君が「和音非構成音」と思っていたら、「和音外音」と載っていたりする」

 

ミッツ「新しいアイディアを思い付いて、ハルが「俺って天才」と思っていたら、既にクラシックの時代から使われていたら、「俺はクラシックの技術を、独自に編み出した」と喜ぶか、「先駆者じゃない」と悔しがるか」

 

ヤッ子。楽譜を書く。1小節目が全音符の「レ、ファ、ラ」のDm、2小節目が全音符の「ド、ミ、ソ」のCで、音符とコードネームを書く。

 

その下に、別な楽譜として、1小節目が全音符の「レ、ファ、ラ」のDm、2小節目は、「ド、ミ、ソ」の「ミ」が2分音符で「ファ→ミ」になっていて、ファが前の小節からタイで繋がっている。2小節目には、まだコードネームは書かない。

 

ヤッ子「ここでコードがCに変わるはずが、途中までファが残っている」

 

ハル「そういうことって、ありますよね」

 

ヤッ子「Cの和音構成音は、ドミソだが、前のコードのファが、まだ残っているなら、「Csus4」とする。ファは、前の和音の音だから、Cの仲間とは考えない。Cになるのは、ファがミになってからだな」ここで、コードネームを書く。

 

ハル「だから、ミじゃなくて、ファであっても、まあ、仕方ないってことですね」

 

ヤッ子。少し笑いながら「そうだな、仕方ないってことに、しておこう」

 

ミッツ「由来ってことは、今は意味が変わっているんですか?」

 

ヤッ子「元々は、直前の和音の一部を引き継いでいるから、独立したコードではなかった。しかし現在では、直前の和音がどうであれ、「この音を鳴らしたい」として独立した使い方がされる」

 

ミッツ「だったら、維持するって意味の「sus」なんて名前、おかしいでしょ」

 

ハル「おかしいけど、そういう言葉って、あれこれあるよ。「こんな名前はおかしい」だけど、由来を知って納得って」

 

ヤッ子「音楽理論の種類によっては、引き継ぐ時間は、半分以内にとされている」

 

ハル「半分以内って?」

 

ヤッ子「本来は「C」なのだから、「Csus4」の時間は短くすべきだ。「C」がこの時間なら、「Csus4」は半分の時間以内の、短い間にすべきだということだ」

 

ヤッ子が両手で幅を表現。その空中に楽譜が出現。「C」の範囲の前半に、「Csus4」が、伸びたり縮んだり。音符の代わりに、ピアノロールのようなリボンが伸縮。

 

ハル。ヤッ子の両腕の前の楽譜を指す。「もし、「C」が全音符の時間なら、「Csus4」は、長くても2分音符の時間以内にしろってことですね」楽譜に、音符が出現。

 

ミッツ「え?」

 

ハル「どうした?」

 

ミッツ「だって、『結婚行進曲』では、半分どころか、ずっとsus4の部分があるよ」立って、本棚に向かうが、ハルが止める。

 

ハル「いやいやいや、話が横道に逸れるから、いいよ。今は僕が質問しているんだから」

 

ミッツ、少し不機嫌な顔。

 

ヤッ子「「ミ♯」の話のついでに言っておくが、臨時記号があるか無いかの違いで、半音は2種類ある」

 

ミッツ「あ……」

 

ヤッ子「どうした?」

 

ミッツ「その話、あたしにさせてください」第2話で、言おうかと迷って、言わずにいた場面と、文字の「半音階的半音」「全音階的半音」が表示される。

 

ヤッ子「いいぞ」嬉しそうに微笑む。

 

ミッツ「ハル、音階スライドを持っていたでしょ」

 

ハル「ああ」

 

ミッツ「あれは、調号に合わせて、使う鍵盤を選んでいるよね」

 

ハル「ああ」

 

ミッツ「音階スライドに選ばれた鍵盤の中で、隣同士の半音があるよね」

 

ハル「ああ」

 

ミッツ「音階スライドに選ばれていないところでも、半音の関係があるよね」

 

ハル「ああ」これまで、知っていることの確認が続いたので、少し苛立っている。

 

ミッツ「調号に逆らった鍵盤を鳴らすには、音符に♯や♭やナチュラルを付けて、半音の関係にすることがあるよね」

 

ハル「何が言いたいんだ?」

 

ミッツ「つまり、音符に臨時記号を付けない半音と、臨時記号を付けた半音は、違うってこと」

 

ハル。がっかりする。「どっちにしても、半音だろ? 何が違うんだ」

 

ミッツ「それはぁ……」答えに窮する。

 

ヤッ子「雰囲気が違う」

 

ミッツ「そう、雰囲気が違う。音階スライドの鍵盤だけを使ったら、シンプルというか、素直というか、そんなメロディだけど、臨時記号を使ったら、洒落た雰囲気になる」

 

ハル「そういうことがあるのは、知っている」

 

ミッツ「洒落た雰囲気にならないこともあるけどね」

 

ハル「それも知ってる。『森の熊さん』は、「ソ、ファ♯、ソ、ミ」「ミ、レ♯、ミ、ド」があるけど、洒落た雰囲気ではない。むしろ、臨時記号を使わないと、違和感がある」

 

ヤッ子「その、違和感の有無も含めて、音階スライドで選ばれた鍵盤での半音は「全音階的半音」で、音階スライドで選ばれなかった鍵盤を使えば「半音階的半音」だ」

 

ミッツ「そう、名前が違う」

 

ヤッ子「作曲する時に臨時記号を使おうかと判断する選択肢に含めたり、洒落た雰囲気の曲を聞いて「和音を工夫している」と思ったりする」

 

ハル「ああ、そうですね」

 

ミッツ「名前を知っていると、会話で役立つこともあるよ」

 

ヤッ子。ミッツに向かって。「あれこれ、有用なこともあるが、紹介するだけでいいだろう」

 

ミッツ「そうですね」

 

ハル「それから、×マークは何ですか? 弾いちゃいけないんですか?」

 

ヤッ子「どれどれ」ハルが、2種類の×を指す。

 

ヤッ子「ああ、これか」黒板に、「ラ、ド、ミ」の玉を、2セット書く。左側のセットのドには♯を付ける。左のセットには、コードネーム「A」を書く。右のセットには、コードネーム「A♯」を書く。

 

ヤッ子「蜜霧君、度々で悪いが、今度はこれを頼む」左側のセットの「ラ、ド♯、ミ」を指す。

 

ミッツ。弾く。

 

ヤッ子「ありがとう。早坂君、今、弾いてくれたのがこれだ。コードの「A」だ。「A」の仲間には、この3つの玉に、♯や♭を、付けたり付けなかったりする」

 

ヤッ子「では、さっきと同じように、全体を高くする「A♯」というコードでは、どのようにする?」右側のセットを指す。

 

ハル。ラとミには♯を書く。「ヤッ子先生、ドの、「♯の♯」は、どうするんですか?」

 

ヤッ子「ここで必要なのが「ダブルシャープ」だ」ダブルシャープを書く。

 

ハル「あっ、この×は「♯の♯」なんですか。それで、ええーっと、鍵盤ではレですか?」

 

ヤッ子「その通り、レの鍵盤だが、「ドのダブルシャープ」としたいのだよ」

 

ミッツ。コードAとA♯を、交互に弾く。ハルが手を見る。

 

ハル「本当だ、レの鍵盤だ」

 

ヤッ子「ついでに、ダブルフラットも教えよう。コードの「Gm」と「G♭m」だ」黒板に、コードGmとG♭mの玉と、コードネームを書く。

 

ミッツ。コードGmとG♭mを、交互に弾く。ハルが手を見る。

 

ヤッ子「このように、調号で指定した♯や♭に逆らって、特別に玉に付ける♯や♭は、「臨時記号」と呼ぶ」

 

ハル「臨時記号ですか」

 

ヤッ子「臨時なので、効果は限定的だ」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

先生ちゃん。ガーシュウィン。『ラプソディー・イン・ブルー』を弾きながら登場。

 

説明用の別世界。背景は無地。

 

ガーシュウィンの先生が重複しているので、別な人が良さそう。ただし、「ソ♯、レ、ソナチュラル」のような、オクターブ違いで臨時記号の有無が違う曲に縁のある人が良い。

 

先生「ジャズでも、飾りのために、装飾音符と臨時記号が多いんだな。ショパンと僕、どちらが、装飾音符と臨時記号をたくさん使っているんだか」

 

先生「臨時記号の有効範囲は、この3種類」

 

先生「1つ。新しい臨時記号が書かれる直前まで」楽譜を表示する。ソばかり。途中から、ソ♯、ソナチュラル、ソ♭、ソ♯。新しい臨時記号が出るまでという範囲を表す。

 

先生「2つ。オクターブ違いではない、同じ高さの音符であること」楽譜。ソのオクターブ違いで交互に。下のソの途中からソ♯になる。上のソは♯が無効。

 

先生「3つ。同じ小節であること。タイで繋がっていたら、弾き直さないから、小節をいくつ跨ってもそのまま有効」楽譜。8分音符で、4つのソ。途中からソ♯になり、次の小節にもソがある。有効範囲を色分け。次の小節は、♯が無効。

 

楽譜。タイの説明で「タイで繋がっていたら、弾き直さない」を添える。タイで繋がった後ろの方の玉には、♯を書かなくても、♯が付いたままとなる。

 

先生「と、まあ、こんな具合なんだな」

 

小節を跨った、♯が付いたタイの説明「小節を跨っても、タイで繋がっていたら弾き直さないから、♯もそのまま有効」「その次のソは、小節を跨った意味になるので無効。必要なら、改めて♯を書く」。

 

先生「このように言ったら、「臨時記号は、♯か♭の、どちらか」と思われそうだけど、正しくは「調号以外の音を出す」なんだ」

 

先生「調号で、シに♭が付いていれば、白鍵のシを鳴らすために、臨時記号でナチュラルを使う。白鍵なのに、臨時記号だから、有効範囲のルールは、さっきと同じだよ」

 

先生「ただし、念のために、余計に臨時記号を書いたり、余計に調号の記号を書くことはあるんだ」楽譜。「ソ♯、レ、ソナチュラル」の和音。

 

先生「この場合、上のソはナチュラルだから、わざわざ書かなくてもいい。だけど、楽譜を読んだ人が「あ、ここに♯を書き忘れている」と勘違いしないように、念のために書くと親切なんだな」

 

先生「あ、それから、♯やら♭やら、調号やら臨時記号やら、ごちゃごちゃしているけど、ナチュラルは必ず白鍵なんだな、これが」ガーシュウィンのウインク。

 

先生が、ショパンでも良い。『小犬のワルツ』では、調号でソ♭。右手はメロディでソナチュラル。同時に鳴る左手は和音でソ♭。

 

先生が、ヨハン・シュトラウス2世でも良い。『春の声』では、調号でミ♭。右手はメロディでミナチュラル。同時に鳴る左手は和音でミ♭。

 

できれば、1つの和音だけで臨時記号の有無の違いの例が欲しい。

 





次回は …… 「sus」したままの例。臨時記号は、念のためもある。楕円じゃない音符の玉。フェルマータは延ばさない。音符の部品の名前でも、資料によって異なる。



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