ガクテン♪ソフト版   作:不定音高ふたつ

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【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。

● 登場人物(主要な、ハル、ミッツ、ステラ、ショージ、ヤッ子の5人)
♪ ハル:早坂春弥(はやさか・はるや)。中学1年生。男。主人公。ミッツの従弟。手品と謎解きが好き。声変わり前。

♪ ミッツ:蜜霧多岐(みつきり・たき)。中学2年生。女。ハルの従姉。活動的。幼少の頃からピアノを習う。口の表情が豊かで、口が顔の輪郭からはみ出すことが多い。

♪ ステラ:星山空見(ほしやま・くみ)。中学1年生。女。メルヘンが好き。転入して吹奏楽部に入部し、トロンボーン担当になる。老若男女の誰からも、一見して好かれる、無邪気な可愛らしさ。

♪ ショージ:東海林翔児(しょうじ・しょうじ)。中学2年生。男。吹奏楽部でクラリネット担当。恰幅は良いが、デブではない。会話の始まりは紳士っぽいが、話しているうちに、下品な饒舌になる。

この4人の背の高さは、高い方からショージ、ミッツ、ステラ、ハルの順。小学生の高学年から、中学1年生までは、女子の方が平均身長が高いため。

♪ ヤッ子:鍵宮靖子(かぎみや・やすこ)。理科教師(専門は化学)。年齢は30代前半。女。白衣で、すらりとした黒のパンツ姿。プライベートではジャズピアニスト。姉のことが大きく影響。



この作品は、web小説閲覧サイト「小説を読もう」にも投稿しています。

楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




オルゴール館 ステラの新しい恋。ハルは鈍感。女の子にティッシュは鉄則。シリンダー式オルゴールと、エジソンの蓄音機。自動演奏ピアノ。ゆっくりで音が低くなるのは、アニメのお約束表現。

├ ●●第10話 Bパート ( 2 / 4 ) オルゴール館 ステラの新しい恋。ハルは鈍感。女の子にティッシュは鉄則。シリンダー式オルゴールと、エジソンの蓄音機。自動演奏ピアノ。ゆっくりで音が低くなるのは、アニメのお約束表現。

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

回想。

 

ステラ。自宅で勉強している。

 

コルクボードには、トロンボーン先輩の写真を外した日焼け跡。これにより、オルゴール館に来た、前日の夜で、トロンボーン先輩からの失恋の傷があることを示す。

 

教科書のページをめくると、1枚の紙切れ。「今日はごめんなさい。 早坂」と書いてある。

 

読んで、少し微笑む。

 

スマホが鳴る。ハルからの電話。

 

ハル「今日はゴメン」

 

ステラ。単なる返事の「うん」の後、否定の「ううん」

 

ハル「ステラが、トロンボーン先輩のことを好きなんだって、知らなかったんだ。美術で絵を描いている時に言ったのは、本当は、「ステラに教える時は、丁寧にしてほしい」っていう気持ちなんだけど、悪口になってしまって」

 

ステラ「え?」

 

ステラ。心の声。「(あたしのことを、大切に思ってくれてるの?)」ステラの頭上に、2つの「?」が並んで表出する。左側の「?」が左右反転し、ハートマークになろうかどうか、迷う。

 

ステラ。気にしないで欲しい、否定の言い方で。「ううん、もういいの」

 

ステラ「でも、どうして知ってるんですか? あたしが先輩のことを好きだったって」

 

ハル。ステラの「好きだった」の過去形に、少し疑問を持つ。

 

ハル「ミッツが教えてくれた。ステラを泣かせたって言ったら、怒られた」

 

ステラ「蜜霧先輩に、ばれていたんですね。心を見透かされているみたい」

 

ハル「俺も驚いた。いつもミッツには、驚かされている」

 

ステラ「うん……。お二人、仲がいいですものね」

 

ハル「まあ、腐れ縁だけど」

 

ハル。気分を変えて。「そうだ、お詫びだけど、オルゴール館に行かないか? 急で悪いけど、あした、何も予定が無かったら」

 

背景に、ハルの鈍感さの説明文「ミッツとは、従姉弟の関係だと、ステラに言うのを、思い付いていません」を表示する。

 

ステラ「オルゴール館、ですか?」

 

ハル「そう。遊園地とか、動物園も考えたけど、俺達の共通は、音楽ってことで」

 

ステラ。ハルの「俺達の共通」の部分で、ステラの両目を大きく画面に表示する。黒目が大きくなる。

 

ハル「入場料くらいは、俺が出すから。お詫びにステラを楽しませたいんだ」

 

ステラ。意外な言葉に驚く。「えっ?」

 

ハル「ステラが元気になるために、力になりたいんだ」

 

ステラ。しっとりとした笑顔。「そんな、気を遣わなくても」片手でスマホを持ったまま、反対の手でハルからの手紙を持って、ベッドに俯せになる。ハルの文字を、指先でそっとなでる。

 

ハル「いや、これは俺のけじめだ。泣かせたら、その倍は楽しんでもらう、だから行こうよ」

 

ステラ。目を伏せて、微笑みながら「嬉しいです」

 

ハル「もちろん、俺の勝手な誘いだから、無理しなくてもいいから」

 

ステラ。仰向けになって。「どうしよーっかなあ」後頭部で、軽く枕を叩くと、枕からハートマークが舞う。

 

ハル「もし、ステラが望むなら、トロンボーン先輩も誘うから」背景に注意書きで「ハルは、トロンボーン先輩に彼女がいることも、それによってステラが秘かに失恋したことも、知りません」を表示する。

 

ステラ。息が止まる。涙が出て、小さな泣き声が出る。

 

ハル「ステラ? どうした? 何か俺、また悪いことを言ったかな」

 

ステラ。大きく息を吸って「大丈夫、大丈夫です。早坂さんが誘ってくれたので、元気が出ました」

 

ハル「そう、良かった」

 

ステラ「はいっ! 傷も癒えました」

 

ハル「傷?」

 

ステラ「何でもありません。ありがとうございます。お供させていただきます」

 

ハル「良かったあ。実は、ミッツに叱られて、どうすればステラを楽しませられるか考えた。そして、オルゴール館に誘うことを思い付いた」

 

ステラ「うん」

 

ハル「ミッツに言ったら、ミッツがトロンボーン先輩と知り合いだから、誘って、ダブルデートにしようって……」

 

ステラ「ダメッ!」

 

ステラの周囲には、ハルの言葉でステラの気持ちが浮き沈みするように、ハートマークがふわふわ舞ったり、萎れるように落下したり、激しく飛び回ったりする。

 

ハル「駄目って?」

 

ステラ「あ、いえ……」

 

ハル。少し考えて「……ゴメン。俺ってホントに、鈍感だな」

 

ハル「こんな、身勝手な設定をしたら、トロンボーン先輩には迷惑だもんな。ステラが自分で、勇気をもって告白するのがいいのかもな」

 

背景に注意書きで「ハルは、ステラが失恋したことを知らないので、ステラが自分でトロンボーン先輩に恋の告白をしたいんだろうと、勘違いしています」を表示する。

 

ハルの、この「勇気をもって告白」のセリフは、会話として余計かも。単に、背景の注意書きだけが良いかも。

 

ステラ「あのぉ、早坂さんは、蜜霧先輩と、お付き合いされているんですか?」

 

ハル「まさか」

 

ステラ「でも、さっきダブルデートって」

 

ハル「そういう形なら、トロンボーン先輩を誘いやすいだろうって、ミッツが言うから」背景に注意書きで「ミッツも、ステラが失恋したことを知りません」を表示する。

 

ステラ「そうですか」

 

ステラの周囲で舞っている、たくさんのハートマークに手足が出る。手を繋いで輪になり、輪舞する。

 

ハル「じゃあ、俺とミッツとステラの3人で」

 

ステラ。明るく「はい、ありがとうございます!」

 

ハル「では、待ち合わせは……」

 

ステラ。ベッドから起き上がり、机の所に行き、メモをする。

 

打合せする。

 

ステラ「はい、その時間なら大丈夫です」

 

ハル「じゃあ、楽しみにしてるよ。って、俺が楽しんだら駄目か」

 

ステラ「いえいえ、一緒に楽しみましょう」

 

電話、終了。

 

ステラ。大きく溜め息。再び、ベッドに飛び込む。うつ伏せ。掛け布団の上に身を投げたので、そのまま掛け布団を抱きしめる。掛け布団は、しわしわの抱き枕のようになる。

 

ステラ。掛け布団を抱いたまま、仰向けになり、ハルからの手紙を高く掲げる。

 

メルヘンの小物を飾っているコルクボード。トロンボーン先輩の写真があった場所は、剥がした跡の色違いになっている。

 

ステラ。立ち上がって、コルクボードの色違いの場所に、ハルの手紙を貼る。ベッドから立ち上がって、数歩は、掛け布団を抱いたままが良さそう。

 

この、手紙を貼る場所が、トロンボーン先輩の写真があった場所であることを、わかりやすくするために、コルクボード全体を見せ、目立つ何かがあり、貼る場所に画面が寄って、目立つ何かの隣というようにする。

 

電話の終了から、ハートマークが増え、輪舞は三重になる。それでもハートマークが増えるので、観客のように囲む。花吹雪。

 

祝福のBGMが終わる。

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

回想が終わり、さっきの続き。オルゴール館のオートマタの部屋。

 

ステラの回想の、祝福のBGMの余韻が、穏やかに終わる。

 

ハル「ランプの灯りだけなら、本当に正直になるんだろうな」

 

ステラは、昨日の、教科書に挟まっていたハルからの手紙を思い出し、オートマタが手紙を書く姿を見て、ハルから大切にされていることを思い、涙を浮かべる。

 

ミッツ。肘でハルを軽く突く。ハルは意味不明なのでミッツを見ると、ミッツは顎でステラを指す。顎で指す時の動きは、「下唇の下の皮膚を上げる。唇が少し「へ」の字になる。首を傾け、顎で指す」の順番。

 

ステラは震える瞳で泣いている。幸せそうに瞼を閉じると、涙が流れ落ちる。

 

ステラ。心の声。「(早坂さんと、そっと、手を繋ぎたいな)」手をハルの方に、そっと出す。

 

ハル。ステラの手が触ったので、それを見る。ステラに小声で。「うん、わかった」

 

ステラ。心の声。「(手を繋いでもらえるんだ)」ハルの方を見る。

 

ハル。ステラの手に、ポケットティッシュを渡す。ハルの頭の中には、回想として、ミッツの「女の子には、そっとティッシュ。これは、鉄則!」がある。

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

案内「こちらは、オルゴールといえばこの形を思い浮かべると思いますが、シリンダー式です」

 

ミッツ「そうそう。わあ、大きい」

 

案内「レコードが円盤状にになる前は、この形に似た蓄音機を発明したのが、エジソンですね。ご主人様、エジソンがどうやって、声を再現する溝を彫ったか、ご説明をお願いできますか」

 

ステラ「ご主人様だって」

 

ステラ。メルヘンの衣装でくるりと回る。ハルに。「お帰りなさいませ、ご主人様」スカートを広げて片膝を後ろに曲げる挨拶。

 

ミッツ。くるりと回り、ハルに。「お帰り下さいませ、ご主人様」と言い、手で追い払う仕草。

 

ステラ。少し嫉妬。心の声。「(蔑ろにする冗談を自然に言える仲なんだな。ホントに付き合ってないのかなあ)」背景に、ステラを指す説明文で「ステラは、ハルとミッツが従姉弟同士ということを知りません」を表示する。

 

ハル「エジソンが最初に発明したのは、この形。ただし、さっきの円盤でも、オルゴールとレコードでは、違いがあったよな」

 

螺旋型の記録方法は、エジソン以前に発明されていたらしいが、ハルと案内は、エジソンが発明したと思っている。エジソンの発明は、他者と類似のものもあるので(映画など)、資料によって情報が異なる。

 

ハル「実際の工作では、上手くいくためのカラクリの工夫がされている。今は、原理だけ話すからな」

 

ハル「このシリンダーはオルゴールだから、1周で1曲。蓄音機なら、螺旋で1本」

 

ステラ。頷く。

 

ハル「ねじ棒にシリンダーが刺さっていて、回転することで、少しずつ横に移動する。ボルトとナットの、ナットがこうして回転しながら移動するように」身振りをする。背景に、ボルトとナットの動きと、蓄音機のシリンダーの動きを並べる。

 

ハル「そして、糸電話のように、コップに向かって話すけど、コップには針が付いていて、針の振動で、ガタガタの溝が刻まれる。これが録音」

 

ステラ「あっ」

 

ハル「録音した溝に、針の付いたコップを置いて、シリンダーを回転させると、溝のガタガタの通りに針が振動し、声が再生されるって仕組みだ」

 

案内。拍手する。

 

ステラとミッツ「すっごーい」

 

案内「よろしければ、当オルゴール館で、案内のお仕事をしていただけますか?」

 

一同、笑い。

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

ミッツ「済みません、さっきから気になっていたのですが、あれもオルゴールですか?」グランドピアノを指す。

 

案内「はいそうです。自動演奏ピアノです」

 

ミッツ「本物のピアノですか?」

 

案内「本物です。普通に弾くこともできますし、自動演奏もできます」

 

いくつかの段ボール箱が、近くにある。そのうちの1つから、案内の人が中身の紙の端を持ち上げる。蛇腹のように折り畳まれている。

 

案内「これまでの説明で、もしかすると少し混乱しているかも知れませんので、簡単にまとめさせていただきます」

 

案内「エジソンの蓄音機と、当館の自動演奏装置には、はっきりとした違いがあります」

 

案内「蓄音機は、「音そのもの」を記録します。音質の良し悪しはありますが、人の声を録音すると、その人の声が聞こえます」

 

案内「当館にある自動演奏装置は、「ドレミ」などの音を出す指示と、指示に従う音源があります」

 

案内「この紙は「ピアノロール」です。先ほどの、シリンダー式では、1周で1曲ですが、このようにピアノロールを連続させると、紙をいくらでも長くすることができます」

 

案内「この紙が、「ドレミ」などの音を出す指示です。そして、指示に従う音源が、ピアノです。調律の狂ったピアノと、調律の正しいピアノがあれば、同じこの紙を使っても、演奏が変わります」

 

案内「グランドピアノだけでなく、アップライトピアノの自動演奏もあります」

 

ハル「この穴は何ですか?」

 

案内「はい。ピアノロールの、この穴を風が通ることで、鍵盤を操作します」

 

案内「ピアノの中には、ハーモニカのように、並んだ穴があって、送風装置で空気を吸っています」

 

案内「この紙は、ハーモニカの穴をふさぐようなっていますが、穴の部分だけ空気が通って、鍵盤を操作します」

 

ハル「おおっ、そんな仕組みなのか」

 

ミッツ「トレモロばかりの曲ですか?」

 

ハル「トレモロ?」

 

ミッツ「鍵盤を、普通は押したままだけど、あの穴なら、同じ鍵盤を細かく連続して弾いているみたい」ピアノロールの穴が、「鍵盤を押したまま」の細長い穴ではなく、細かく連続した穴になっている。

 

案内「これは、連続した細かい穴は、繋がっているとして、演奏されます。穴を繋げるとヒョロヒョロして、弱くなりますので、こうすることで、強くなります」

 

ハル「もしかして、ピアノを騙す?」

 

ミッツとステラ。同時に。「騙す?」

 

案内「その通りです。一瞬だけ、空気が通らない時間があるように思えますが、穴と穴の間の、この塞ぐ部分は細いので、送風装置の穴、ハーモニカのような穴を、きちんとは塞ぎません」

 

ハル「では、鍵盤は、少しだけ戻るかも知れないけど、音が止まる程ではないんですね」

 

案内「そうです」

 

ステラ「どういうことです?」

 

ハル。肘から先を、大袈裟に動かして説明。「空気が通ると、鍵盤を押して、音が鳴る。穴を塞いで、空気が止まると、鍵盤を離して、音が止まる」

 

ハル「ピアノロールの、あの、穴を塞ぐ部分は、穴をきちんと塞がないから、鍵盤をちゃんと離さない、音が止まらない」肘から先の動きを工夫して説明。

 

ステラ「ちょっとずつ、小さく鍵盤を弾き直すんですね」

 

ハル「その通り。でも……、ああ、これはピアノの構造だから、そのうち教えるけど、弾き直しにならないで、押したままと同じなんだ」

 

ミッツ「ちょっとぉ、ハルぅ。なんで、そんなに詳しいの? 専門家でもないのに」

 

ハル「うーん、やっぱり、工作の経験かなあ……」

 

ミッツ。案内の人に。「正しいことを、言ってますか?」

 

案内「はい、その通りです」

 

案内「ここには、鍵盤だけでなく、ペダルの操作も記録できます」

 

案内「当時の有名なピアニストの演奏も記録されています。家にいながら、自宅のピアノを、ピアニストが演奏してくれます」

 

ミッツ「素敵ー」または「あっ、いいなあー!」

 

案内「『ラプソディー・イン・ブルー』を作曲したガーシュウィンも、2台のピアノ演奏を自ら行った記録もあります」

 

ステラ「誰でしたっけ? どこかで聞いた名前」

 

案内「ジャズがお好きな方には、垂涎の演奏ですが、つまり、そのような記録もできるものです」

 

案内「ピアニストによる演奏の記録だけでなく、自動演奏ピアノ用に、人間が演奏できないような、とんでもない曲も作られたんですよ」

 

案内「ピアノロールでは、穴が開いているうちは、鍵盤を押さえたままという記録ができますが、普通の楽譜とは異なっている箇所もあります」

 

ミッツ「そうですか? ちゃんと、鳴らす音が記録されているんですよね」

 

ハル「休符が無い」

 

ミッツ。気付かされた表情。

 

案内「正解です。音を出す記録がされているだけですから、「音を出す記録が無い」が休符なのです」

 

ミッツ。ハルに向かって。「それって、当たり前じゃない? 音を出さないのが休符だから」

 

ハル「どの鍵盤も、音を出している時間より、出さないでいる時間が長いだろう。だから、もしも休符の記録をしたら、記録だらけ。だったら、音を出す記録だけあれば、記録が無ければ休符ってこと」

 

案内「小節の概念が無く、テンポの変更は、ピアノロールの紙への記録の距離の変化で行います」

 

ハル「ピアノロールの紙が進むスピードは、一定なんですね。小節の概念が無いということは、紙の先頭からの距離が、何メートルなのかというのが、ピアノロールってことですね」

 

ミッツ「楽譜というより、ハルの好きなパズルで管理しているんだ。あたしには、違和感があるなあ」

 

ステラ「蜜霧先輩は、ずっとクラシックピアノを、なされていたんですよね」

 

ミッツ「そう。だから、テンポが変わるのは、楽譜を進むスピードが変わると思っているのに、スピードが同じってのは、違和感があるの」

 

ミッツが話しながらの背景。楽譜を、指で触りながら進み、指の進む前後で色が変わる。テンポの違いで指のスピードが変わる。

 

ハル「ミッツだって、スマホやパソコンで、音楽や動画を見るだろう?」

 

ミッツ「あたしは、パソコンが多いかな」

 

ハル「あれの、シークバーみたいなもんだよ。楽譜でのテンポや小節は、動画データ音楽データには、含まれていない。カセットテープにも似ているかな」

 

ステラ「カセットテープって?」

 

ハル「ああ、エジソンの話で、レコードの話をした。あれは、渦巻きの形にしていたけど、1本のテープの形にしたもんだ」背景で図。渦巻きの端を指で摘まみ上げ、長いテープになる。

 

ステラ「テープがデコボコして、音になるんですね」

 

ハル「きっと違う。「磁気テープ」とも呼ばれていて、薄っぺらなテープだったから」解説をおねだりするように、案内の人を見る。

 

案内「はい、「磁気テープ」ですので、とても小さな磁石が、テープに並んでいるようなものです。N極とS極が、頻繁に入れ替わるように並んでいるテープが進みます」

 

案内「テープはとても長いので、リールに巻かれています。テープとはいっても、粘着性はありません」

 

ステラ「紙テープのようですね」

 

案内「そうです。紙テープ、巻き尺などと同じで、粘着性が無いので、何度でも巻き戻すことができます」

 

案内「巻き尺では、先端からの距離を計測するのが目的ですので、長く出したままで使用し、計測が終わったら巻き戻します。磁気テープは、記録を順番に読むので、読み終わった部分を巻き取ると、コンパクトになります」

 

画面の上部に、左にある巻き尺から帯を右側に出して、「距離の計測なので、出したまま」を表示する。

 

画面の下部に、磁気テープのオープンリールで、2つのリールがある。左側のリールからテープを出して、読み終わったら、右側のリールに巻き取られる。

 

磁気テープのリールは、回転の向きを明確に、ゆっくり回転(なめらか回転)。テープには、右から左に向かって「0123456789」がはっきり書かれていて、ゆっくり読む。読み取りヘッドが、数字を順番に吹き出しで表示。

 

案内「リールに巻かれているテープは、引き出され、もうひとつ用意されているリールに巻き取られます」

 

案内。テープの動きがわかるように、指で辿る。送り出し側リールで指先をぐるぐると回す。引き出されて直線状に指で辿る。巻き取り側リールで指をぐるぐるする。

 

案内「2つのリール、送り出し側と、巻き取り側までの間の、この範囲をテープが通過する時に、記録を読み取ります」

 

案内「テープの表面に、小さな磁石が並んでいて、磁石の向きは「NNSNSSSNN」というように並んでいます」磁気の向きを表す時、手の動きはテープを辿るように移動しながら、裏表をかえる。

 

ステラ「それが、デコボコの代わりなんですね」

 

テープの代わりに、針金を使うものもあり、日本でも新聞記者が携帯するなど、実用化されたが、広く普及はしなかった。

 

案内「そうです。もう少し詳しく言いますと、N極とS極が頻繁に入れ替わることで、とても小さいながら発電します。電線に電気が流れます。プラス方向とマイナス方向が頻繁に交代することで、その電気がスピーカーをブルブルさせます」

 

案内「この、とても小さく発電することを、先程申し上げました「テープを読み込む」です」

 

背景に図解。プレイヤーのヘッドの部分にコイルがあり、指し棒で「ここで発電」。電線に指し棒で、「電流の方向が、頻繁に変わる」。電線で繋がったスピーカーに指し棒で、「電流の向きの入れ替わりで、スピーカーをブルブルさせる」。

 

ミッツ「よくわからないけど、ピアノロールも、カセットテープも、楽譜じゃないから、スピードが一定なのね」

 

ハル「それだけじゃない。自動演奏は、ピアノロールのスピードが遅くても、担当する鍵盤は変わらないから、音の高さは変わらない」

 

ミッツ「当たり前でしょ。ゆっくりになったからって、鍵盤が変わったら、ピアノの練習中と本番で、違う鍵盤なら困る」

 

ハル「ところが、カセットテープなら、進むスピードがゆっくりになると、電気の流れの交代の、ブルブルがゆっくりになり、音が低くなる。ゆっくりなら音が低くなって、速くすると音が高くなる」

 

ミッツ「え? ハル、間違ってるよ。カセットテープは、パソコンで動画を見るのと同じでしょ。パソコンじゃ、音の高さはかわらないもん」

 

ステラ「あっ、そういうことだったんですね」

 

ミッツ「なあに、ステラちゃん」

 

ステラ「アニメのメルヘンキャラの魔法で、ゆっくりな動きになった人は、声が低くなるんです」アニメの真似をする動き。魔法にかけられたように、ゆっくりな動きをしながら、低い声になる。動作が面白い。

 

ステラ「逆に、動きが速くなると、声もピュルピュルと、高くなります」

 

ステラ「あれって、現実には無い、アニメ特有の、お約束の表現だと思っていました。動きがゆっくりになるのは、現実にあるけど、音が低くなるのは現実には無い、魔法だけだと思っていました」

 

ステラ「スマホやパソコンで、動画をスローモーションにしても、動きはゆっくりなら、声もゆっくりになるだけで、声が低くなることはありませんし」

 

ミッツ「ねえ、さっきの動き、もう一回やってみて」

 

ステラ。さっきよりも少し大袈裟に、再現する。

 

ミッツ。スマホを出しながら。「ねえ、ビデオに撮っていい?」

 

ステラ「ちょっ、ちょっ、やめてください」恥ずかしそうにハルを見る、または、海老逃げ(両手を前に突き出して、後退り)する。

 

この、ゆっくりになると、音が低くなるというのは、年代にとっては実感が無いとも思える。アニメなどで表現されているが、物理的というより、「アニメのお約束表現」と思っているのかも。

 

案内「自動演奏は、これまでご紹介したように、よく知られているオルゴールだけでなく、自動演奏ピアノなど様々あります」

 

案内「ここでクイズです。現在、最も普及している自動演奏装置は、何だと思いますか?」

 

3人がそれぞれ考える。それぞれ、思い付いたものを言っても良い。「学校のチャイム」「目覚まし時計」「歩行者用の信号の音楽、踏切の警報音」「コンビニの入り口チャイム」「移動販売車の音楽」「メロディーロード」それぞれの絵を表示。

 

ハル「録音したものではなく、演奏するものですよね」

 

ステラ「ゆっくりになっても、低い音にならないものですよね」

 

案内「では、解答の前に、こちらを」指をパチンと鳴らすと、先生ちゃんの画面になる。

 





次回は …… オルゴール館 オルゴールとMIDI。



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