ガンダムビルド艦隊これくしょんビビッドアーミー 〜悠久の地〜(改訂版) 作:星龜
深海棲艦との戦争が和平によって終結し、8年が経った―。
役目を終えた艦娘達は退役し、普通の少女となって、平和になった世界で暮らしていた。
そして、陸上へと移った深海棲艦達のもたらした、プラスチックに反応する新粒子
プラフスキー粒子
と、ガンダムのプラモデル・通称
ガンプラ
を用いて対戦を行う
ガンプラバトル
が特に大きな反響を呼んでいた。
もちろん、元艦娘や深海棲艦達も、このガンプラバトルを楽しんでいた―。
◇
日本・某所―。
かつて、白露型駆逐艦娘として深海棲艦と戦っていたが、戦後、退役して解体され、暁学園中等部の生徒として生活していた―。
家に帰る近道として、商店街を歩いていると…
「時雨、見るっぽい!!」
と、夕立が指差す方を時雨が見ると、福引をしていた。
「時雨、やるっぽい!!」
と、夕立は言うが、時雨はのらなかった。
戦時中は幸運艦と呼ばれた時雨だが、しかし、クジ運はあまり高くない…。
だから、やりたくはなかったのだが、結局、夕立に引きずられる形で、福引をすることになった…。
時雨が、ガラガラをまわしたら…
「大当たりぃ〜っ☆」
◇
翌日の放課後―
暁学園ガンプラバトル部の部室―。
「はにゃ〜…
ビビッ島2泊3日旅行ですか…。」
昨日の下校時に、時雨が商店街の福引で引き当てた一等賞の結果を聞いて、驚く電―。
電もまた、かつては暁型駆逐艦娘だった元艦娘で、現在は暁学園のガンプラバトル部の部員だ。
ちなみに、部長は時雨で、夕立は副部長だ。
ついでにいうなら
ガンプラバトル部の部員は、電、時雨、夕立の3人しかいない…。
「そういえば、ビビッ島といえば…?」
と、切り出す電。
「うん…。
戦時中、深海棲艦の侵攻を、現地の戦力だけで撃退した島
だよ…。」
と言う時雨。
人間の兵器では対抗できなかった深海棲艦―。
そんな深海棲艦に対抗できたのが艦娘だった。
しかし、ビビッ島には艦娘の基地である鎮守府は無かった。
鎮守府が無かったのだから、当然のことだが艦娘だっていなかった。
にもかかわらず、島の戦力だけで深海棲艦を撃退したらしいのだ…。
「ちょうどいい機会だから、ビビッ島で深海棲艦を撃退できたヒミツを探るっぽい!!」
と、夕立が声をあげる。
「たしかに、僕も気になるけど…
でも、戦争が終わって8年も経っているんだ…。
それらしいモノは、何も無いんじゃないかな?」
と、腕を組む時雨…。
「それでも、探すっぽい!!」
と言う夕立だが、つまり
『島のあちこちに行ってみたい』
ということを言っているのだ。
夕立の、あからさまな好奇心に、時雨も電も、あきれたように笑うのだった…。
◇
そして、出発当日―。
時雨、夕立、電の3人は電車に乗り…
空港へ向かう―。
空港のチケット売り場で搭乗券を買う。
「ど…どこの席を買ったっぽい?」
と、搭乗券を買ってきた時雨に、夕立は恐る恐る訊く。
「心配しなくても、機体中央の、窓の外が見えない席を買ったよ…。」
「よ…よかったのですぅ〜…。」
「ぽい〜…。」
と、時雨の発言を聞いて、安堵する夕立と電…。
じつは、艦娘や元艦娘は
高所恐怖症
なのだ…。
また、航空機は戦時中、艦娘にとって恐ろしい敵であった。
電達も、深海棲艦の航空隊による空襲で、
そして、電達だって、空襲で
やがて、搭乗時間になり、飛行機に乗る電達―。
席に座るが…
「はわわわわわ…」
緊張のあまり、身体の震えが止まらない電…。
「こ…こわくないっぽい〜…。」
膝頭が震えている夕立…。
「ぼ…僕ともあろう者が…。」
手が震えて、シートベルトをなかなか締められない時雨…。
やがて、飛行機が離陸滑走を開始し…
…た時点で、まず、夕立が失神し…
機体が浮かぶ感覚に…
時雨が失神し…
離陸後、左旋回をして、機体が左に傾いた時、ふと、窓の方を見てしまった電は…
窓から見えた、地上の景色を見て…
失神した…。
3人はビビッ島の空港に着いて、キャビンアテンダントに起こされるまで、目覚めることはなかった…。
◇
ビビッ島―。
日本とアメリカの間にある
G国
という国の領土で、G国本土から南に300キロの場所にある―。
◇
ビビッ島の島都ノブリスにあるノブリス空港のターミナルビルを出て、バス停に向かう電達。
周囲を見渡してみたが…
「普通の街っぽい…。」
と言う夕立。
「うん…。
深海棲艦を撃退したような島だから、街中にトーチカでもあるかと思ったんだけど…。」
と言う時雨。
戦時中、島の戦力だけで深海棲艦を撃退したというから、現在でも当時の痕跡はないかと探してみたが、それらしい物は無さそうだった。
やがて、ホテル行きのバスが来たので、バスに乗って、ホテルに向かう―。
◇
「ついたっぽい〜!!」
ホテルに着き、案内された部屋に入って荷物を降ろし、ベッドに横たわる夕立。
案内された部屋は3階で、中途半端な高さゆえ、外の景色は絶景とはいえなかった…。
さっそく、市内観光に行くことにする。
ロビーに降りてきて…
「夕立、どこに行くんだ?」
と訊く時雨に
「ここっぽい!!」
と、夕立が指差す方にあるのは、ゲームコーナー…。
「時雨さん…あれって…!?」
「あれは…!?」
ゲームコーナーに…
ガンプラバトルステージ
があった―!!
◇
深海棲艦との戦争が和平によって終結し、役目を終えた艦娘達は退役し、普通の少女となって、平和になった世界で暮らしていた。
そして、陸上へと移った深海棲艦達のもたらした、プラスチックに反応する新粒子
プラフスキー粒子
と、ガンダムのプラモデル
ガンプラ
を用いて対戦を行う
ガンプラバトル
が特に大きな反響を呼んでいた。
もちろん、元艦娘や深海棲艦達も、このガンプラバトルを楽しんでいた。
しかし、このガンプラバトルには
唯一にして最大の欠点
があった。
それは
対戦に敗北したガンプラは損壊してしまう
ことだった…。
しかし、ビビッ島では
ガンプラが損壊しない方法が確立
されていた―。
◇
もちろん、電達は、事前にSNSでビビッ島独自のガンプラバトルについての情報を得ていた。
「ようするに
練習モード
っぽい!!」
と言う夕立。
「たしかに、壊れなくて済むのはありがたいね。」
と言う時雨。
「でも、どうするのですか?
3人しかいないんですけど…。」
と、電が訊く。
「なら、たまには部長として、電と夕立を鍛えてあげようかな☆」
と、不敵に笑う時雨。
つまり
時雨 vs 夕立&電
ということだ。
「おもしろいっぽい!!」
「負けないのです!!」
と乗る夕立と電。
「その意気だ、二人とも!!」
と、3人はコクピットルームに入っていった―。
◇
『Gun-pla Battel. Stand up.』
システムが起動し始めた。
『Please set your GP base.』
GPベースを、スロットにセットする。
『Begining Plavsky particle dispersal. 』
ステージからプラフスキー粒子があふれ出し、バトルフィールドが形成され…
…るはずだが…?
「あれ?
ステージが形成されないです…?」
と、首をかしげる電…。
《どうなってるっぽい?〉
と、夕立からの通信が入る。
《故障かな?〉
と、時雨からの通信が入る。
「はにゃ?」
と、電が正面モニターを見ると、そこには―
悠久の地へ行きますか?
[はい][いいえ]
―という文字が表示されていた…。