ロボット怪獣のパイロットになりたい!!(仮タイトル) 作:SGMY
2300年、アジア、オーストラリア、南アメリカの間にある太平洋にて巨大生物が確認された。空想の世界からやってきたような巨大生物は一番近かった島国《日本》を襲い甚大な被害を齎した。日本政府はすぐに自衛隊を動かし巨大生物兵の撃退及び捕獲作戦を結構した。が、その皮膚は通常の火器兵器では傷をつけることもできず成す術なく敗北に終わった。その後巨大生物は散歩をするかのように、自分の縄張りを示すかのように建物や人、そして人々の抵抗する意志を踏み潰しながら世界を横断した。
だがある日、巨大生物は太平洋の自分が現れた海域に戻り、突如姿を消した。その後大小異なるが世界各地にて未確認生物が出現し都市を破壊し始めた。日本政府はこれらの生物を怪獣と呼称し、テレビの中の生物が現実世界に現れ本物になった瞬間であった。
我々人類は太平洋に人工島を作りそこに逃げ隠れ、外の世界を怪獣に奪われた。
だが人類は負けばかりではなく、小型の怪獣を幾度も討伐し、反撃の狼煙を上げ始めていた。倒された怪獣は研究所などに回され、人類だけでは成し得なかったロボット兵器などが作られた。
全長約30Mのそれは《Creaturae mechanicae quae monstra devorant》というプロジェクト名から文字を取り、その名も《
それから数百年、人類は敗北した。だが最近になってようやく反撃の狼煙が上がろうとしてい。
大海原を複数の船が航海していた。クェムドを載せた巨大な空母と場違いのような白い船が1隻、その船を守るかのように4隻の空母がその周りを囲っていた。その中心にいる白い船、フェリーの甲板にて一つの集団が集まっている。その集団は低く1人の女性だけが高かった。
「今回は学生である皆さんがこの間奪還した島、ハワイに行けるのは我らが校長が軍に掛け合ってくれたからです!」
座っているため低く見える彼らは学生であり、メガホンを持つ担任らしき女性は学生達へと言った。彼らは《人類最後の島》の中学生である。今回の航海の目的は1つ、彼ら人類が怪獣達から奪い返した島の1つ。かつて存在したアメリカ合衆国という大国の南、北太平洋にあるハワイ州の6つの島の1つ、ハワイに今彼らは向かっている。
「ここ数百年、人類の手が届かなくなった島に行き、その生態系や自然の調査などが今回の目的です!もし怪獣がいればすぐに避難を!そして皆さんに配られているその時計型の通信機にて先生、もしくはクェムドのパイロットに緊急信号を送ってください!」
先生は自身の腕に着けてある腕時計を見せながらそう説明する。長い話は学生達には苦のようで先生の話を聞いている者もいれば友人と談笑しているものもいる。
「あ、見ろ!クェムドだ!」
彼ら学生集団の1人が立ち上がり並走する空母の上に鎮座しているクェムドを指さした。彼らにとってクェムドは怪獣達から守ってくれるヒーローのような存在。完全に注目を奪われた先生の話はほぼ誰も聞いていなかった。
クェムドに学生達の注目を奪われた先生の話は早々に終わり、各々自由行動となった。それぞれの部屋に戻る者もいれば大空を見上げるもの、空母に乗るクェムドを見るものなどがいた。
そんな彼らとは別行動をしている者がいた。1人フェリーから海を見下ろし、何処までも続く水平線を眺めていた。
「これが…外の世界か」
何処までも続く水平線、青く煌めく海、そしていつも浴びてるはずなのにここでは違うように感じる太陽の光。首元まである白髪に青色を混ぜたかのようなボサボサな髪をし、紫と青のオッドアイを持つその男は黄昏ていた。
彼らにとって海は別の世界のようなものだった。一度出ればもう二度と戻ってこれない。海で遊ぶことはおろか、勉強尽くしの彼らにとって海はそんな世界だった。
彼が黄昏ていると先生とは違う1人の女性の生徒が歩いてきた。
「島まで結構かかるらしいよ」
赤髪の女子生徒。クラスメイトであることはわかる彼だが人の名前を覚えるのが大の苦手であり、学年の始め辺に自己紹介をしているはずだが記憶になかった。
「えっとクラスメイトの…」
彼は申し訳なさそうに女性へと名前を聞く。女子生徒はえっ…と驚き、彼に自身の名前を告げた。
「雫、小鳥遊雫だよ」
「小鳥遊ね」
「雫でいいよ」
小鳥遊雫、彼女は赤い髪を肩まで流し青い瞳を持っていた。
雫は彼の隣に座り、自身が所有するタブレットでこれから向かうハワイと呼ばれていた島の情報を表示し、彼に手渡した。そこには幾つものニュースが掲載されており、どれも怪獣による被害ばかりだった。
「人がまだ沢山いた時代ではこのハワイって島は観光客とかで賑わってたんだって!でも…」
「ハワイの火山が噴火、2体目の怪獣が出現」
彼は1つのニュースを見つけ、その見出しを読み上げた。記事には噴火した火山をバックに1体の怪獣が咆哮を上げている写真が掲載されていた。
「地下を移動する怪獣って授業で習ったな。確か100万以上の人が…」
学生である彼らは歴史の授業としてこのハワイでの怪獣出現を学んでいた。彼は教科書に載っていたハワイにある火山の噴火と共に現れたこの怪獣による被害者数を思い出し、その数を口に出した。被害者が100万を越え、即座に軍が動き怪獣の討伐に向かったがハワイから人が消える結果になった。
「怪獣と呼ばれるようになってから最初に奪われた島を最初に取り戻せたなんてね」
「でもこれで人口が増える」
「そうだね、そう言えば君の―――」
雫が何かを言い終わる前に先生による何かの招集がかかる。雫はそれに呼ばれたため、彼からタブレットを返してもらい足早に去った。彼らはそのタブレットに表示されていた幾つものニュース、怪獣による被害しか載っていないという思い込みがあり、その中にあった『昏睡中の怪獣』というニュースを見逃していた。
「最初に奪われた島を最初に取り戻せた…か」
彼は今の雫の発言に少し思うところがあった。本当に取り戻せたのだろうか。怪獣は陸海空を支配ている生物だ。このハワイを奪った怪獣も地下から現れた存在だと言われている。残党を炙り出すための彼らなのではないだろうか。それとも現れた怪獣から彼ら学生を守ったクェムドパイロットという名誉が欲しいのだろうか。そう考えていた。
この時の彼は自分自身の予想が当たっているなんて全く思わなかった。そしてあんなことが起きるなんて。
夜が明け、彼らが乗る船はハワイと呼ばれていた島に到着した。彼ら学生達をクェムドが守るように歩く。目的はハワイを隅々まで確認し怪獣がいないことを確認するためだろう。大きな広場に出てて彼らの先生が学生達へと振り返り今後の方針について語った。
「ではここからは各グループに別れて行動してください!各グループに一機ずつ護衛のクェムドを配備してもらい、島の探索を行います!」
1つの集団だった彼らは幾つかの数人のグループに別れ、クェムドはそれぞれ一機づつグループに着く。彼のグループには青いクェムドが来た。この青いクェムドは量産型のようで他のグループのクェムドとほぼ変わらない姿をし、簡素な武器と装備を着けていた。
「他と違ってうちのクェムドは武器が多いな」
同じグループの誰かがそういった。確かにと彼はクェムドを見上げた。他のクェムドと違って足や腰、腕周りなどにナイフのような武器が幾つものあり、背中にはライフルのようなクェムド用の銃が一丁あるぐらいだった。
「青いクェムド…Bの10番機だね。確か最近入ったパイロットで《強者は多種多様な武器を扱える者だ》って言ってた人だね」
メガネを付けた青年がそう言った。何処からその情報を仕入れたかわからないが確かに多種多様な武器を使えたら強いだろう。けどワンパターン過ぎないだろうか。銃も一丁だけで予備のマガジンなどは見当たらない。考えていた彼だが更に疑問が増え、メガネの青年に問いかける。
「っていうかあんた誰」
「え、去年も同じクラスだったろ?!田中だよ!」
「あぁ、日野山ね」
「知ってるんじゃん」
彼は人の名前を覚えるのが苦手だが強く印象に残っている人物だけは怯えていた。日野山はクェムドを足元から見上げ、歴戦のようについた傷を見ていた。その傷は足先から頭まであり幾度となく戦っていた証のように見えた。
「これは歴戦の傷だね。パイロットも相当な腕を持ってるみたい」
「お前さっき最近入った人って言ってただろ」
彼のツッコミに日野山は高高く笑って誤魔化した。その後、クェムドの準備が完了したため彼らは歩き出し山の探索を始めた。軽装備で。
「なんで山なんだよ!俺十分な装備持ってないぞ!?」
危険な虫が多く住み、足場が不安定な山を彼らは学校指定の制服と鞄だけという軽装備で山を移動していた。彼は山に登るのは危険だと叫ぶが他のメンバーは彼の焦りを見て嘲笑した。
「大丈夫だって。山は危険って言うがそれは登山だろ?今の俺達はクェムドの手の上で安全で楽に登山してるんだからな!」
「全登山家に謝れ貴様!」
そう笑う竹中に彼は怒り取っ組み合いになりそうになるが日野山にがっしりと止められ、そのまま頂上へと着いた。山頂に着いて早々に日野山はクェムドの手から降りてが別の山に向かって何か叫んでるのが聞こえる。
「彼女ほしいいぃ!」
「あほくさ」
「山の上なら遠くまで見えるし登って正解だとは思う」
叫び続ける日野山に続いて竹中やほかの奴も叫ぼうと日野山の隣に立ち目一杯の空気を吸い込み山に向かって叫んだ。1つ、彼らは忘れている事があった。それは彼自身が思っていたことであり、彼自身が違って欲しいと思っていたことでもある。
ズンッ
重々しい音と共に島が震える。地震かと思ったが彼らがいる山は震えず、彼らの前にある山が揺れ山肌が崩れていく。鳥達が一斉に飛び立ち木々が崩れる。彼らのスマホから緊急のアラートが鳴り響く。
「おい、嘘だろ…アレって…!!」
山が崩れるたびに彼らの顔が青ざめていく。目の前にあった山はただの山ではなかった。茶色い毛を持ちまるでモグラのような細長い爪を持つ巨大生物。怪獣が擬態した山だった。
『学生達!すぐにクェムドの手に乗って!早く!』
パイロットは緊急通信で仲間に怪獣の出現を知らせ彼らの前にクェムドの手を降ろして、簡易的な避難場所を作る。竹中達がクェムドの手に乗り、彼も乗ろうとした時だった。
「は!?」
彼らがいる山も震え始めて地が割れて崩れていく。彼は必死に手を伸ばすが手が掴んだのは空だけだった彼は崩れる地面に足を取られ、崩落に巻き込まれてしまった。
……近辺に巨大生物の反応を確認、非常用電源に接続。
……施設内に生命体を感知、状態を確認。
……損傷60%、心拍数低下、深刻な状態。
……緊急処置を実行。
……損傷した心臓の代わりに《動力コア》を移植。
……《動力コア》の起動を確認、細胞の活性化に成功。
……再生力大幅に上昇。
……本機と適性検査、完了。
……本機との神経接続可能。
……《動力コア》起動。