異世界転生したカール・マルクス 作:匿名
「付与魔法・基礎ね。どれどれ?」
エドワード、いや改め転生者は勝利した。
己の心というものは頭にあらず、思考するその物にあると確信したその時から常に勝利があった。
哲学者とて心の領域は専門外ゆえ知らぬ。しかし、我が身ごととなれば必死に編み出す。どれだけこねくり回した理論とはいえど、実際に自我を掌握し、完全に肉体の支配者となった。
「な、なんじゃこりゃ!?これは呪文文字じゃないか!」
「詠唱部分だけじゃない……付与魔法は呪文文字に直接付与することなのか?」
「おかしい。詠唱の文字だろう。刻印する時に呪文文字を直接書くのか?」
挿絵には腕に呪文文字を書くものもあれば、色のついた液体に腕を浸す方法とやらもあった。
本を読むことに耽けるが、その内容は魔法や魔術ばかり。
しかし付与魔法という一大ジャンルに触れずして属性は語れぬと、凡愚と思った本には書いてあったのでマルクスの心には興味があった。
それは呪文という欠陥品の印が押されたものとは実際はどのようなものなのか、と。
本の内容に目を凝らす。
絵には塗料を利用した方法が書いてあったが、インクを使った方法の方が良いだろう。
塗料などいくらでもあると言いたいが、そんなもの身近にすぐ使える形に無い。
1,インクを用意
2,右の掌を覆うように塗る
3,手首を一周するように螺旋状に塗る
4,本に書いてある呪文①を詠唱する
手のひらがベタベタと不快に張り付く。黒い泥が乾き、皮膚を強張らせる。
彼は逸る心を抑え、視線を23文字の羅列に走らせた。知識が統合された今の彼にとって、それは意味不明な記号の集まりではない。
音と機能が連結された、一つの言語として立ち上がって見えてくる。
「ピクス・ポルラミア・ぺピクラス――」
次の瞬間、彼の右手の内側で空気が爆ぜた。
ぶおん、ぶおんと不格好な旋風が掌の中でうねり、指と指の間を湿った微風が駆け抜けていく。
風に押されたインクが、ゆっくりと皮膚の上を這い回り、肘の先まで黒い筋となって垂れ落ちた。
だが、エドワードはその不快感すら忘れて目を見開いた。
「……画期的だ。実に見事な『設計図』じゃないか」
掌に浮かび上がったのは、刺青のようなインクの紋様だった。
そこから、じわりじわりと、静かな光が血管をなぞるように溢れ出す。
それは、彼自身の身体の中に、直線的に張り巡らされた風の魔力回路の断面図であった。
インクが弾け、消え去った部位――そこが、今まさに魔力が激流となって駆け抜けている道だ。
光り輝く空白が、掌の中心に向かって真っ直ぐに収束していく。その美しさは、無機質な機械の歯車を見るような、冷徹な機能美に満ちていた。
妹アリスは馬車の中で、呪文を非効率な代物だと嘲笑った。
だが、この可視化はどうだ。己の回路に潜む不備や淀みをこれほど鮮明に校閲できる手段を、他に誰が持っているというのか。
しかし、歓喜の直後に、暴力的な代償が彼を襲った。
「くっ……体が、重い……」
意図せず無理やりこじ開けられた回路から、魔力の循環が容赦なく外部へと漏れ出していく。
ただ光らせただけだというのに、膝の力が抜けそうなほどの倦怠感が襲う。
視界が熱く、肺の奥が焼けるようだ。
回路を光らせるという行為自体が、この身体にとってどれほど過酷な資源の浪費であるか。この光は、自らの命を燃やす灯火なのだと、彼は冷徹に理解した。
彼は即座に魔力の供給を断つ。
回路を閉じると、明るく光るパスも回路もみえなくなった。
「……いや。まだ、この技術を無価値だと断じるには早すぎる」
彼は思考を切り替えた。次は、借り物の記述ではなく、自らが編み出したオリジナルの術式だ。
――熱を視る魔法。
熱を見る魔法以外にも有り余る時間があったので構想だけは練っていた。
しかしやり方が分からなかったので封印していた。
だが体内に閉じた循環を作り、そこから放出に切り替えるというのは、案外やればできたことだった。
ただ理由をつけてやれないと思っていたから出来なかっただけだったのだ。
そうすれば皮膚の周りの黄色の靄が見え、熱が空気中に常に出ているということを可視化できる。
インクの部分が少し冷えて邪魔だが、火の魔力回路は明白だ。
火の魔力回路の周辺の空気は物理的にほんのり熱く、92Fと数字になって見える。
熱を見るということは火の回路を意識すればできることだ 。
しかし熱を見るというのは二度手間かもしれないが、魔力回路以外も見える。
自分の体温に、誰かの体温に、いろんなものが。
少なくとも、蛇を想像したらよく分かる。彼らは熱を見ると言うが、それは魔法で出来るのではないかと思ったのだ。
「よし、よーく分かった。」
「付与魔法で出来ることは魔力の放出で出来ることじゃないか。そもそも大部分は光に変わるんだから、魔力の放出でよくないか?」
「わざわざ魔法にしてまで見ることじゃないよな……いや、聞いたことがある。」
「体の回路が直線的でないとうまく魔法が発動しないと……そういう人に向けたものかもしれない。」
ポンと手を叩くが、肘から零れたインクについてどうしようか、うーむと悩む姿がそこにはあった。
「Versammlung!」
ふと、ほうきを探そうとしてしまったが、そんなことをしなくとも良かった。
魔法を使うとインクは自然と風に運ばれ、元のガラス瓶に戻っていく。
ただ魔法を使えば良いだけの常識じゃないか……うん?常識、はは、常識として捉えられる。
ああ、本当に勝利したのだ。B地球の知識が自分のものとなったことを実感するぞ!
先程試したが詠唱は何でも良い。
私の中で意味と言葉が結びついてれば良いのだろう、だからきっと呪文はドイツ語で詠唱したとて発動する……いや、同じ言葉を詠唱しなければいけないのかもしれない。
だがよく考えたら……それは何だ?
ドイツ語の語彙に、自分の魔力回路を浮かび上がらせる様を表す語彙がないじゃないか。 それに、フランス語にも英語にも無い。
いや、英語を組み合わせて造語にしたら良いのか?
「困った。試すための呪文製品がない。」
目の前にあるのは本。
しかしこれに刻まれているのは呪文文字だけで、詠唱を示すだけだ。
「うーむ。どうしよう?袋小路だ。よく考えてみたら自明なことだ!」
「魔力回路を表す語彙がない!借用語にするしかないんじゃないか!?」
ドイツ語を知る人間は私しかいないのだから独占ができる……と、思いはしたが、きっとこの問題のせいで成り立たない。
そもそもこのB地球において呪文文字というのは継承して広まることによって汎用的に進化したのではなかったか?
それでは意味がない。
短期的には利益を得られるだろうが、熱を見るという概念を大衆化させることが真の利益なのではないだろうか。
すると利点と思った部分は何でもないただの特性ということになったが、まあ良いだろう。
本の続きにまだ擁護できる部分が登場するかもしれない。
少なくとも、これは私が勝手に期待して勝手に落胆しただけだ。
「ふむ……先程の呪文は自らに魔力回路の解放と放出を付与するのか。」
「はは……はははは!」
「これを最初に読んでたら全部解決したじゃないか!」
「どれだけ悩んだと思ってるんだコンチキショー!」
「チックショー!解決策がすぐ側にあったじゃないか!」
呆然とした。
風の回路を強制的にこじ開ける、だなんてことは不快感が物凄いけど。どれだけ回路を外向きに出すのに苦労したか。
もしかすると、もしかするとだ。
呪文というものは……そもそも、付与された魔法を起動するというだけじゃないのか?だから製造する時、強制的に付与魔法を使わなければいけない。
付与魔法、つまるところ呪文を魔法と別カウントしていたあの本はデタラメかもしれないのだ。
実に腹立たしい。だが何やらどの本も何やら付与魔法を魔法と別で分けていた。
その理由を知れると嬉しい。
読み進める指は止まるところを知らず、ただ探究心のまま動いていく。
『付与魔法と魔法の決定的な相違点』
ふーん。パラパラ目次から捲ってみたけど題でここまで惹き付けられるものも無いな。よし、いちばん最後を見よう。
『人類は魔法という知によって生き、知によって争い、知によって死ぬことに魔法を用いた。それは今も続くことである。呪文によって開閉し、合言葉を言わなければ決して開かない鉄の扉。』
『しかし火を灯せば自動で開閉する扉というのも、そもそもは蒸気魔法の圧力を用いたものだ。ではなぜ詠唱によって離れた場所の呪文が発動し、そこを基点として魔法は働くのか。』
『明確な回答として、付与魔法は身体の延長線上から離れることも可能な、いわば複数の役割を果たすことができる諸原理を持つ。』
『蒸気は圧力を用いて重い物体の運搬に適し、水を伴う風の羽は部屋を冷やしたのである。』
『付与魔法は二属性混合を行うことは不可能である。なぜなら同時に人間はひとつの物事しか喋れないからだ。しかし、単魔法を同時に二人が唱えることにより、同じ場所で発動した単魔法は蒸気魔法として現れる。』
『体内で起きることは自然界でも起きうる。いわば、魔法というものは魔術とは違って特段、神秘的なものでもない。』
『もちろん魔術というものは最奥に位置する精髄なわけだが、詳細は省く。本著における本懐と論点では無いがため語らない。』
『長らくこの鉄の扉は破られなかった。なぜなら、言葉を知る人間は二人のみでよく、その二人が裏切らなければ、誰しもが破ることはできないと考えたからだ。』
え?待てよこれ…たしかヘロンの扉じゃ無かったか?なぜローマ時代の構造物と同じ原理の物があるんだ。
アレクサンドリア図書館、いやそれに類似した建造物の焼失が無い世界なのか。
だがとにかく話が長い!前置きが長いぞこの本!よし、1ページ飛ばそう。
『呪文の諸原理・序と呪文の諸原理・破で既に記述済みであるが改めて筆者が解説を行う。』
『付与魔法とは呪文として認識され、数えられるだけの魔法であり、包括的な意味では魔法の一種である。これは極めて自明なことである。』
ふむふむ。まあ確かにそうだ。付与魔法は位置をズラせるものに限るからなあ。
確かに何一つ魔法ではない要素がないというか、よく考えたらそうだ。
発動起点を変えて兵器利用ってのは誰もが思いつくことなんだなあ。そして、蒸気魔法の熱で騎馬を封印させたら味方も蒸し焼きになったと。
実に愚かだ。発動起点をずらせるということを分かって直ぐに装置に組み込まれ、直ぐに戦いに使うなんて。
まるでB地球の人々は魔法を研究することに熱意を注ぎすぎて停滞しているようだ。
発動時期は同じ呪文を詠唱されるまで延期でき、そして呪文は発動起点が書かれた物体に移る。
人の手から離れることのできる機械化か!
しかし私にはなぜこれが社会を変えないのかと疑問に思う心がある。
……ふと思い至った。
よく考えてみると、魔法というものは……魔力を使う。付与魔法もそこは変わらない。
つまり、つまりだ。
労力は変わらず、刻印か塗布かなんでもいいが、紋様が消えればそこで終わり。
しかも、同じ見た目のものを書いたとて書く時に魔力回路を物体に移さねばならない。
魔力回路というものは、16本と総数が決まっている。
そして各属性の魔力回路にはそれぞれ16本のパスがあり、それは1:1:1:1で配られるならまだしも、個人差によって魔力回路の多さというのは変わる。
15本になればその属性は衰え、別の属性が1本のパスを追加し、顕性になるだろう。
そしてそうなれば後天的に魔力回路のパス数が一瞬で減る。
バランスを考慮するなら1人あたり各属性2回までだ。
パスというものは魔力がどれだけ流れているかで数が変わる。
つまり宝石力を持たない平民は、そもそもの魔力回路のパス数が少ない。
そして、魔力回路というものは曲がっていたりすると膨大なロス、つまり光が発生する。
魔力回路が無くなったら?もちろんそこで詰まり、光しか出なくなって魔法使いとしての人生が死ぬ。
通路が消えるのと同じだ。行先が無くなったのだから、そこを起点に起動せざるを得ない。
だからこそ、ただ物体に呪文文字という模様を印刷したとて意味がない。
その物体に魔力回路を込めなければ詠唱したとて付与魔法が成立しないのだから。
畢竟、魔力回路と呪文文字、その両方を要求する。
魔力回路でもパスでもなんでもいいが1本まるまる物体に込めるというのは何たる贅沢な話だ。
魔力回路のパスを構築するためには循環をさせる必要がある。
使っていないパスは衰え、無くなるものだからだ。
もちろん、無くなるのを避けようとして無理に属性を循環させれば、かつての私のようにありとあらゆる不調が続く。
体の外に魔法として放出できない場合、爆発して死ぬだけだからだ。
魔力が外に出る行為というのはつまり詠唱を必須とするものなのだが、確固たるイメージがなければ行えない。
体から光となって出ていくなど私にとっては想像が難しいことだった。
まあ、今となっては余裕だが。
それにしても人間の身体そのものを使うなど、馬鹿げたものだ。
付与魔法というものは効率が極めて悪い。
別に付与魔法にしなくとも、そもそも付与魔法が使える人間は詠唱すればその魔法を使えるだろう。
「……これでは教育コストと得られるリターンがあまりに釣り合っていないのでは?」
「意味が無いを通り越して無価値どころかマイナスなのでは!?」
「無産階級への虐げというか、有産階級をわざわざ付与魔法に駆り出してまで使う価値がない……」
「印刷の工程はできる。」
「この世界には木版印刷が実用化されているから、きっとそういう工程は既に先人が試みたはずだ。」
「しかし完成品にするには魔力回路を物体に流す必要があり、この工程で詰まったからこそ呪文は見下されているのではないだろうか?」
「だとすれば……この本も学ぶ価値がない?」
いや、まだ擁護できる。
付与魔法は呪文文字を使う。なぜか?
本には書いてあった。呪文文字は表音文字であり、文字が読めれば発声も分かる文字なのだ。
すると声に出して文字を読むことが自然と詠唱になり、この詠唱によって各属性の魔力を呪文に支払う。
そう、魔力回路がこじ開けられ、魔力は発動起点たる魔力回路が刻まれた物体へと流れる。
魔力回路を可視化する呪文と全く同じメカニズムで稼働するのだ。
つまり、ひとつ覚えればある程度通用するはず。
いや!ちょっと待て。客観的に考えろ……1人だと付与魔法は単属性魔法しか出来ない。
火の魔力回路では火の属性の魔法しか使えないのと同様に、呪文が複数の属性の魔法で働くためには複数の属性の魔力回路がいる。
製造コストがあまりに重くないか?
宝石力は貴族階級に独占されているとはいえ多く存在する。となれば、魔力回路を効率よく繋ぎ、パスを生成する手法も存在するはずだ。
いや、パスを生成する方法こそが魔力の循環なのだろう?ああ、深く考えると頭が痛い。
これが知恵の頭痛か……
パスを構築するとはつまるところ、魔力回路と魔力回路を繋ぐ橋を立てるようなものだ。
パス、つまるところ橋を失うか、魔力回路という柱を失うか。
魔力回路は作る条件が魔力量の短期間での増量であることから支払う選択肢を選ぶのは実質的に不可能だ。
ならばパスを失うしかない。
いつか再生する。失ったところで魔力を循環させ続ければパスは新しく構築される。
まあ、属性のパス数は4×16、つまるところで64本と決まっている。魔力回路に至っては16本だ。
四倍の数があるパスを支払うのが妥当だろうが、付与魔法を使う度に自分の体の調子が不調になっていくなんて酷い産業だ。
これでは呪文文字の機械化など誕生するはずがない。
はっ!?もしやこれが欠点か……だから見下されるのか、呪文というものは。
そもそもエネルギーの外部化ができていない。
石炭を燃やして動く蒸気機関は、人間の筋力を超えるエネルギーを外部から持ってこれたからこそ革命だったのだ。
しかし、今の付与魔法は自分のパスを削って物体に移しているだけだ。
これでは自分の血液を缶詰にして売っているようなもので、社会全体の総魔力は増えず、ただ書き手たる労働者が摩耗するだけだ。
そしてその労働者の多くは文字が読め魔法が使え、これから自らの付加価値を高めることの実現に魔法を使えることのできる人間である。
その人間が、価値を失うパスの損失というものを易々と受け入れるはずも無い。
となれば労働の蓄積ができない。
アリスが言った雨が降れば終わりという耐久性のなさは、インクのせいだろう。
資本主義でいう資本の減価償却が早すぎる状態であるのだ。命を削って作った呪文が一瞬で消えるなら、再投資ができず、富は蓄積されない。
呪文が消えたらどのような詠唱をしたら起動するのか使用者はわからず製造者しか理解できない物体がそこに鎮座することになる。
どれだけ印刷で形をコピーしても、最後にパスを込める工程に人間が必要であるからして、それはそもそも自動化では無い。
結局、人間が隣に立って魔力を流し続けなければならない機械への従属であり、ただ呪文は、不便な道具としての座を不動のものにする。
そして金属への刻印というものもあるにはある。が、そもそもの素材に何を使うか。
銅か?鉛か?どちらにせよ、削ったところが溶ければ読めなくなる。
溶かして再利用……は考えたが、パスが刻印された物体にあるのだから不可能だな。
結局呪文を救うことはできなかった。
しかしこれはひとつ思うのだが、なぜこんな技術が今も生き残っているのだ?
思案を重ねるうちに本はどんどんと無価値なものになっていく。呪文を過大評価しすぎたというか、そもそもの功績というかそういうものが虚像であった。
呪文文字は表音文字だ。確かに誰もが文字を読み音と結び付けられたら分かりやすい。
が、よく考えてみる。
すると見えてきた課題はたくさんあった。
まずコスト、次にリターン。
そもそもの段階で文字が読めない人間は習得不可ということで平民の大部分が呪文の恩恵を預かれないわけだが、まず魔法の素養、つまり属性の偏りがある人間しか利用できない。
つまり使用者も魔法使いである必要がある。
魔力を外向きに出す才能というのは言語化するに回路を身体の外に出すイメージである。
これが必須である以上、さらに狭まる。
使用者に必要なものがあまりに多いのと、製造するコストがあまりに高いこと。
実に自明なことだ。本当に……本当に無価値とは言い難いが、微妙すぎる。
知識とは先人、いわば偉大な巨人の肩に乗ってようやく拓けるもの。
見えた景色がこれでは、とうてい浮かばれまい。
欠点がまず多すぎる。解決できないものも多いし、しかも識字率問題というのは一世代でどうにかなるものでもない。
これは……うん、呪文というのは魔法と比べてあまりに価値が無いな。
あまりにも単属性魔法しか使えないのがダメすぎる。
同時に二つの魔力回路を光らせるとか……そういうことができたら良かったんだけどなあ。
tips:呪文文字の開発経緯
現在地点より約500年前の皇帝が開発を主導した。
魔法の普及について大いに役立ち、表音文字というアイデアが広く受け入れられる要因となった。
が、当時の呪文文字は左書きであり、なおかつ音素以外の促音を表す文字が複数あったがために後に簡略化された。
しかし話し言葉と書き言葉では右書きか左書きかが違うため、どちらに統一するかで大論争が巻き起こった。
付与魔法が発見されたことによって話し言葉の右描きに統一されたが、読む方向が違うと当然ながら詠唱も違くなり、混在した時期はかなり混沌とした。
現在では詠唱を記述する際の文字として一般化しているが、古くはこれが教養を表す最先端のものとして扱われていた。