聖杯遊戯~アクター・ザ・グノーシス・シェア~   作:反吐凡愚 之 絡繰峠

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角付き兜<カブト>と矛持ち男
「フッフッフ……。サプライズという奴だよ、悪役らしくね」

宣教師風の男
「気をつけて行きたまえ。神との問答は面白いのでな」




1. 瑠奈陣営対???「まずは小手調べといこうじゃあないか」

 

 

 

 

 

[まずは一応説明回です。放出されるコンテンツの量が山ほどあるので致し方なしとはいえ、一話切りする方も多くいらっしゃられる昨今、初めからやるのは定石から外れてますですね]

 

 

 

 

 

【───[ 聖杯戦争 ]。

 

 それは、万物の因果律に作用し得る願望の器を巡って、七人の[ 魔術師(マスター) ]と、七騎の[ 英霊(サーヴァント) ]とが、一つの舞台上で殺し合う魔術儀式─周辺の建物や民草を巻き込んで─。

 

 各個に主人として自身の召喚対象の簡易的ステータスを閲覧(えつらん)できる権能や、[ 令呪 ]と呼ばれる膨大な魔力が込められた従者に対する絶対命令権を備えたタトゥーが、ランダムに選ばれた魔力適性のある参加者の皮膚に刻まれ、願いか生存を懸けて一世一代の大勝負へと歩む。

 [ 座 ]と言われる生前の偉業と名跡(アイコン)を補完した事象金庫から、呼び出す人の求めに応じてその姿形(フィルター)を変じて降臨(排出)された偉人の一側面である従者。 幽霊と化せる能力と、魔術師の魔術刻印(回路)から自身の存在維持に必要な魔力を吸い出す補給機能と、超常の力を操る特殊能力や武器である[ 宝具 ]に、─視界ジャックや聴覚共有は基本無理だが─主従間での念話機能などを基本保持する強大な(主に人型の)使い魔たる英霊が先陣に立つ。

 

 人里の地下深くに内包する星のエネルギー、霊脈・龍脈を長年吸い続けて顕現(けんげん)する大小の[ 聖杯 ]が、英霊召喚と儀式のルールを選定する伝奇特異点?の源泉であり、文化や言語に思想の違いなどの大いなるジェネレーションギャップを緩和する際の現代知識を使い魔に仕込む現象演算システムでもあり、人理では困難な願いを叶えるためのオカルト的概念燃料でもある。

 

 この世紀のイベントの監視のために、人類社会の裏で暗躍する人外ならざる二大勢力が並び立ち存在する。

 一方は神の敵を断罪する強者で占められた[ 聖堂教会 ]。そこから派遣される武闘派な神父が、中立の立場から落伍した脱落者(リタイア)の保護とこの儀式の枠組みと令呪の管理人を務める。

 もう一方の、富と名声を得た上流階級が、代々継承する内に社会規範を(いちじる)しく減衰させた魔術師の総本山たる[ 魔術協会 ]。彼らがその土地の住民へと─自分たちが独占する神秘が世間にバレないよう─儀式の交戦被害の結果であるインフラの破壊や通常あり得ない死傷事件について、騒がれない程度に抑える記憶操作を(ほどこ)し、別の調査結果にすり替える隠蔽工作(カバーストーリー)を仕込んでいく。

 

 そして大体(だいたい)の魔術師にとってこの魔術儀礼とは、人の身では生涯到達し得ない根源へと至るための通過点である数ある手段の一つでしかないという程度の認識だ。

 

 語弊(ごへい)は多かろうが大枠の概要はこのようなものだが、このバトルロワイ()ル形態を発展させた代物が、[ 聖杯大戦 ]での二勢力に分かれた十四騎の英霊と管理役である聖職者のルーラーであり、FGOのカルデア式召喚術と人類史修復の旅である。

 

 

 

 ──そう、今となってはFate界隈(クラスタ)にとってはよくある話、ありふれた冒頭の説明である。[TYPE-MOON(タイプムーン)]の玄人(くろうと)にとってはなんてことはない設定の羅列。にわかにとってはあくび紛れにスキップしたくなる聞き飽きた説明文。しかし新規の人間にとっては必須の文章である。

 

 

『──しかし私はこの類いの催しがはっきり言って嫌いでした。確かに本来巡り合うことのなかった人物たちが剣戟(けんげき)を振るわせ合って交流し、そこで織り成される十人十色の人間模様は実に魅力的で、登場人物たちや設定の数々に()かれる部分は多々あります』

 

『ただやはり、負けたら死んでしまうなんて悲しいことは心情的に()です。そりゃ、死する間際に残される者へ想いを託す展開にも、内心涙を流す場面だって結構ありますが…。いたいけな幼女や朗らかなお姉さんに、渋い(おきな)や格好いいお兄さんに熱血系ショタなど、好きなキャラが(むご)たらしく亡くなってしまうのは、バトロワものの宿命だと今まで(こら)えてはきましたが──もう我慢いたしません』

 

『その生命の輝きにトラウマという刺激で脳を焼かれちゃいましたが、よくよく考えてみれば殺し殺されが常態化だなんて、私の世界ではまっぴらごめんです。 ──この感情をヒトは愛憎と呼ぶのでしょうか…?─いいえ、愛憎劇とはもっと深く暗く重いものです。私のちっぽけな情動とは比べ物になりません── とにもかくにも永年(と呼ぶにはあまりに短時間ですが)あたためた、わたしのかんがえたオリジナルパロロワ・聖杯の儀礼を、これからやっちゃいます。です』】

 

 

[──安直な死亡案件はともかく。これからはもう、笑いというシチュによって行われるキャラクターに対しての尊厳破壊に等しいのでは?というかまともに笑わせられますか?]

 

うっさい(せからしか)です。……確かにギャグセンスなんてからっきしですし、日常ものみたく死傷沙汰が全くないわけではないですし、キャラクターの性格と設定の大幅な変更も余儀ないですけれど……』

 

 

──────────────────────

 

 

.

 

 

 

 

 

◇昼前・都市部 オフィス

 

 背の高いビルが立ち並ぶ商業区、多くの者や車両が入り交じり、その雑然とした地表の構造物を、陽の光が頂きへと至りそうになりながらも眼下を眺め見つめるような時間帯。

 鉄筋コンクリート製だろうかの建物の群れ、その中の一(とう)にも様々なヒューマノイドたちが(せわ)しそうに働きつつ過ごしているのだが。

 数ある清潔感を気遣われた部屋のとある一室、まるでドラマによくある社長室や応接間の(ごと)く、格式高そうな調度品が辺りに適切に添えられた室内にて、雲が途切れ途切れに点在する晴れの陽気が差し込む一面ガラス張りの展望壁から屋内の中央に、二人の男女が対面する姿勢で座っていた。 正確には男女といっても、女の方は少女の出で立ち(座り)?なのだが。

 

 

「~♪」

 

 

 (いく)ばくか大人用にしても席が高いソファーに座る少女は、少々つま先がカーペットに届かず、指先を探るように膝から下をパタつかせて鼻歌を鳴らしている。 一見してすぐ印象に残りそうな長い金髪と赤い衣装に身を包み、サラサラとした髪を人差し指で巻きつけて(もてあそ)んでいた。

 対する男、白髪の青年はいつも細めている糸目とにこやかな表情を崩さず、黒革のソファー同士の間に鎮座する巨樹から()り出し造られたオーダーメイドの机─太陽光が(うるし)の反射で(きら)めく─に、一枚の紙を置いて絵図を描き出している。

 

 

「さてと、聡明(そうめい)な小さな女王様ならばもうお分かりだとは思うけれども、改めておさらいをしておこうか」

 

 

 白髪の糸目な青年、 [ アサシン・マティアス ] は、ペンを(つづ)り終えてそう切り出すと、用紙をめくって少女の方へ向ける。

 ─彼を端的に述べると、未来人の王の一人である。 宇宙進出した人類が、自ら荒廃させてしまった星々から故郷の地球へと帰ってきた人々の子孫であり、人が唯一住める環境であった日本列島、その一地域─極東(神州)の日本海側で折れ曲がった地方、越前(えちぜん)美濃(みの)近江(おうみ)辺り?(※現在の石川・福井・滋賀県の一部相当)にまたがる戦国期の羽柴兼神聖ローマ帝国領─を治めていた人物であった。もっとも、当人としては上と下からの傀儡(かいらい)であることを望み望まれ、配下からの要請や各組織との橋渡し役に徹してきた正真正銘のパイプ役である。─

 

 紙の図を見せられた少女、 [ 桂華院瑠奈(けいかいんるな) ] は、先ほどまでの能天気な雰囲気を正し、静かに傾聴(けいちょう)の動作に入った。

 ─彼女はIFの歴史を辿(たど)った世界での、まだ世紀末すら超えていない現代日本の一財閥のご令嬢である。 しかも前世ではリーマンショックのあおりを喰らい、ブラック企業で過労死したOLの魂を抱く転生者でもあった。故に彼女はあの時、幾多(いくた)の名も知られぬ人々の未来を無造作に、無遠慮に、不条理に奪い去った抗えない時代を、そして現在進行形で自分の身を破滅させうる、世紀末を越えて初めての世界規模な経済恐慌の被害に()う人々を少しでも減らし救済できるよう日々奮闘している最中であった。─

 

 ─かくして異なる世界で権力者に与してきた二人は、この特異な世界で数奇にも出会ったのである─

 

 

「分かりやすく現在の勢力図を表すとするならば、丸の中にバツの字を書く形になるね。この円の中の四つの空白がそれぞれの国家組織をざっくりと描いたものになる。北の地が我々の議会国、東が王侯の国、西が海と氷の共産国、そして南の国が私たちの仮想敵国となる帝国という感じだ」

 

 

 マティアスは摘まんだ紙へ簡易的に描いた○✕の図にそれぞれペンを当てて、この地の世界観を推察する。

 その説明に対し、瑠奈は口元へ手を当てふむふむとした仕草で聞き入っていたが、そろそろといった頃合いを見計らって相槌(あいづち)を打つ。

 

 

「最初からだいたいの敵味方が分かれているのは比較的シンプルでいいですね。それにしてもただの参加者に国をポンとくださるだなんて、本当にこの世界はお大尽(だいじん)なことですわ」

 

Tes.(テス)(未来の了承の意)、確かにこのような形態は珍しい部類に入るんじゃないかな。通常は個々人が一つの街で闘うバトルロワイヤル方式らしいからね」

 

 

 互いに微笑み合いながらも相手の腹を探ることは忘れない。この地で目を覚まし、双方顔を合わせてある程度情報交換をしたとはいえ、まだ信頼関係を築くには時期尚早という、ふわふわとした間柄である。 本来このようなイベントごとでは、仲間内での絆を早くに結んで、初見殺しや理不尽な危機に一致団結して対話し合い、解決に取り組むのが最善手に繋がることはままある。それを許さぬシステムのゲームも数多いが。

 [しかしながら人間という生き物はそんな器用には生きられず、未だ疑心の霧を払える(さと)った人種は少ないものだ。それに他者へ不信を抱かない純真なる者たちは、内心後ろ指を向けられながら、(だま)される様を今か今かとほくそ笑む大多数の、自分は異常だと思っても見ない(ひね)くれ者たちの餌食(えじき)になる。人界は本当に見方を変えるだけでどこも地獄である]

 

 

 

 

「そうは思わないかね?」

 

 

 

 

 先ほどまでこの部屋には一組の主従しかいなかったはずであった。しかし今、紙の図のために前屈みになりかけていた二人の間に、やや背を屈める姿勢で金色の兜を被った人物が後ろ手に顔を(のぞ)かせて立っていたのだ。

 

 

「これはこれは、急なご挨拶(あいさつ)ですね」

 

「突然のご来訪だったので、歓迎のパーティーは用意しておらず申し訳ないね」

 

 

 物理法則的にはあり得ない瞬間移動現象にも、連合のアサシン陣営は─手持ちや背を整えて─平静を装いそう切り返した。先ほどの問いへの返答はそこまで求めていなかったのだろうか。相手の脳内を覗くように目を細めていた[ 彼 ]は、目を閉じ数度頭を(うなず)かせて“そうかそうか”と(つぶや)いた(のち)、数歩机から(あと)ずさって背筋を正すと。

 

 

「なるほど、常人であれば公然と身構えたり、叫んだりするものなのだが。とある地球世界の現実(リアル)ではあり得ぬ事態にもスルーして冗談をこぼすとは、中々─修羅場(しゅらば)を潜り抜けてきたと見える─(きも)()わっている主従のようだ。──それともあまりにも大仰(おおぎょう)仕草(しぐさ)と揺れセリフに、辟易(へきえき)して(しら)けたかね?もう少し真面目に(うかが)うべきだったかな」

 

 

 緑と金と黒を基調とした装束(しょうぞく)に身を(まと)った金色兜の[ 彼 ]は、目つきの悪い顔を少々苦笑させると、片手に矛を持った腕両方を、背に組んだ状態から(てのひら)を上に向けるように曲げ動かしておどけて見せた。

 アサシン陣営としても、一見団欒(だんらん)とした雰囲気を吹き飛ばすように突如姿を(あらわ)した、見るからに不審な人物相手に(おどろ)かなかったわけではないが、とりあえず襲撃の様子を見せない手合の出方を(うかが)う必要があった。

 

 

「──君たちも薄々感づいてはいるだろうと思うが、当方に今、交戦の意思はない。未来はわからんがね。そして申し遅れた、私の名前は [ ロキ ] 。北欧神話では、その名も高きだろうとは思うが、天界(ミドガルド)で神の真似事を(たしな)んでいる者だ。私たちのことも熱心に調べ上げているようで、実に感心するよ」

 

 

 本来の聖杯戦争では、自身の逸話や弱点を(さら)す─魔術師にとっても─下策な行為(マネ)である真名の早期での開示に、英霊の座を超えた神格の降臨(こうりん)といった聖杯のキャパオーバーになる事象は正しく機能しないものなのだが、発言者はさほど気にしていない様子だった。 単に気づいていないだけなのか、あるいはわかった上で合理性や効率化を考慮する必要はないと判断したのか。それは本人にしかわからない。そしてさりげに相手側が自分たちの情報を収集していることに言及することで、対象の手の内に少々揺さぶりをかけようとしていた。

 

 

「──発言をよろしいですか?今更ながら」

 

「改めて許可を求めるとは、殊勝(しゅしょう)な心がけと呼ぶべきか、はたまたお行儀が良いと褒めるべきかね?まぁいい、君の好きにしたまえ」

 

 

 瑠奈は(すず)しい顔を作りながら、目の前のコスプレしているように見えなくもない神様に向かって低く小さく手を上げ、そう言葉を(つむ)ぐ。ロキは関心を寄せたのか、思った以上の丁寧な応対に拍子抜けな心境を表しているのか、腕を元の背中の位置に戻しながら、視線をわずかにずらして小さな少女を見やると、一時(いっとき)手を彼女へ差し伸べてその先の言葉を(うなが)した。

 

 

「──あと隣の君は、服に忍ばせたペンか刃物を手にかけるのはよしたまえ。拳を交わしたり術を飛ばしたりは、今回用いる気はないのでな」

 

「おやおや、バレてしまいましたか。しかし自分の幼い主人が、見ず知らずの凶器を(たずさ)えた怖そうな他人に凝視されていたら、誰だって心配や警戒をするというものではないでしょうか?」

 

「ふむ、道理だな。彼女が政治的・補給源的な意味での生命線であれば特に。まぁ、生娘に情念の気がない神である私には関係のない話だ」

 

 

 少女に目配せしながら、己の視野の端で座る青年風の男の動向を牽制(けんせい)した神は、一瞬目を閉じちょっぴりため息の気が混じった困った表情を浮かべる。

 イタズラが露見した子どものように、片手で頬をカリカリと(こす)るアサシンは、懐に入れていた手を抜いてひらひらと小さく手を振って見せた。しかし、相手に感づかれないよう努めながら、自身のマスターをいつでも(かば)う姿勢のため、わずかに腰を浮かせている。そんな従者に対し、瑠奈は唇に人差し指を近づけ、制止の言葉を吐き出した。

 

 

「…陛下、お(たわむ)れを。そしてご了承いただきありがとうございますロキ様。──そのような御方(おんかた)が、何ゆえに私たちのような取るに足りない人間の(もと)へと足を運ばれたのですか?」

 

「まぁなに、ここは物語の悪役(ヴィラン)らしく、堂々たる宣戦布告を提示するために来たまでだよ。北の地(・・・)の血筋が流れているらしき人形のような愛らしい娘よ。…正確には北欧とスラヴの神話は別種のようだがね」

 

 

 桂華院瑠奈はその名が示す通り、生まれも育ちも生粋の日本在住の日本人である。しかしまた、その流れる(きぬ)のような金髪色が主張するように、母方からロシアの尊き青い血を受け継いで、影響力と財力と本人の声さえ上げれば、大陸との間の島に独立国でも打ち建てられそうな、政治的爆弾となり得る出生(しゅっせい)の持ち主でもあった。─ただ、彼女の両親が時勢と自他国の陰謀がない交ぜとなった事件により破滅し、愛されながらも本家にとってタブー扱いされる存在でもある─当人の意思は事と次第によって無碍(むげ)にされ、余多(あまた)の有象無象の地位向上のための道具として祭り上げては引き()り下ろされるのが王族への世の習わしである。

 ──やはり日本から見て海外の人々にとっては、そのわずかな顔の造りで民族や人種の違いが分かるものなのだろうか?

 そこまで読んでいるのかは分からないが、ロキは真顔から徐々に少し口元をはにかませつつ、片手に掴んだ矛をバトンのようにくるくると腕に絡ませながら、左右に小さな振り幅で行ったり来たりと脚を運ぶのを繰り返しながら次の言葉を放つ。

 

 

「では現時点をもって、私自ら直々にここで告げさせてもらおう。我が帝国は諸君ら三国に対し、改めて宣戦布告することを通達する。無論、伝えたからと言って即時開戦とは必ずしもならないのが外交戦術というものだが、冷戦状態というのは君たちにも経験が」

 

 

 

「前置きが長い。──アストラルゲート・開門!」

 

 

…貴様ァ! まだ!神が!私が!喋って話しとる途中でしょうがッ!! まだまだお前たちに言いたいことは山ほどあるというのに… ……あぁこれガチで追い出される感じか…?

 

 

 先ほどまでの余裕をかなぐり捨てて、部屋の出入り口の方へ腕を指し騒ぎ立てたロキは、足下に浮かんで発光する魔法陣を踏み()ねて避けようとしたが、喋っている間にも身体は透き通っていき、すっとんきょうに悟ったような発言の後、虹色の粒子が霧散するように消え、今度は学生服と軍服に身を包んだ黒髪の二人の男女が(うやうや)しく入室してくる。

 

 

「ごきげんよう、桂華院のお嬢様。(わたくし)、流れの占い師をやっております、相良絵梨(エリー)と申します。──打ち合わせ通りに終わらせられて一安心です」

 

「失礼します。自分は軍部の方で、しがない宮仕えの飯食らいをしている入即出やる夫であります。ラスボスが最序盤で突っ込んで来ないでもらいたい…」

 

「ニュワ! シャッチ! ピープー!」

 

 

 その後ろの人影から、鼻腔《びくう》をくすぐる出来立ての料理の香りが部屋の中へと広がっていく。カリカリに焼かれた(しゃけ)の塩焼きと骨まで柔らかい甘味噌のホイル焼き、五穀をふっくらと炊き上げた雑穀飯、甘口醤油と味噌で子ども向けに吸いやすく仕上げ油揚げや豆腐にわかめなど定番の具を入れたシンプルな味噌汁、きゅうりとミニトマトにレタスやたくあんが見栄えよく詰められたカップサラダなどのメニューを乗せたトレイを─ルームサービスだろうか─頭と手で支え掲げた小人がこちらに歩いてくる。

 見た目は単純明快に棒人間といった感じの体躯をしている。背は大人の腰並みの大きさで頭部は球体状でデカく、手足胴体は一本線のように細くしなやかな風貌である。彼らがMOB(モブ)としてこの世界のその他大勢の一角を占め、Bot(ボット)NPC(エヌピーシー)POP(ポップ)といった名でも呼ばれる主従への世話係といった具合である。

 

 

「──はぁ…疲れた…びっくりした…もう何が何やら…」

 

「お疲れ様だね。しばらく別室のベッドにでも寝転がってくるといい。以後の調整は私が引き受けるよ」

 

 

 瑠奈自身、そこまで神経を張り詰めていた気はしなかったのだが、あれでも緊張していた思考の糸が若干(じゃっかん)(ゆる)んだのか、どっと疲れが精神にのしかかってくる。ソファーの端に(あご)を乗せ、先ほどまでの微笑(ほほえ)みを保った可憐な顔を崩して、デフォルメされた表情の口からため息を盛大に吐いてしまう。

 マティアスは悠然と主人に休むよう(すす)めるが、まずは運ばれてきた日本食を平らげてから考えると述べるマスターに同調し、瑠奈は起こした体をソファーの上でするすると反対の端まで滑らせると、立っている二人にも着席を促して食事を共にするよう告げた。かくして四人は席に座り、目の前の食膳に目を閉じ掌を合わせて一言。

 

 

「「「「 いただきます 」」」」

 

 

「陛下、食べにくいようでしたら西洋式にナイフ・フォーク・スプーンを用意していただきますが」

 

「極東の(はし)の使い方にも興味あるから、このままで充分だよ」

 

 

【ドットはらい】

 

 







〖元ネタ〗

● [前話参照] 「それでは授業を始めます」 : 境ホラのガンギマリ黒幕系親父〈松平<マツダイラ>・元信<モトノブ>〉公の今際の爆死による断末魔。
「末世の命題はともかく、始まる前から人間としての講義終わってんじゃねぇか…ッ!」が今の感想。
正直アニメを初見視聴時はどういう意図で何を言っているのかわからなかったです…。

●「まだ!神が!私が!~」 : 北の国から「子どもがまだ食べてる途中でしょうが!」


───────────────────────


やる夫
「どーも皆様、ご無沙汰しております。白饅頭<マンジュウ>族のニューソクデ・やる夫ですお」

水銀燈
「私の名前は水銀燈 <トウ> 、闇を纏 <マト> わされ逆十字を標 <シメ?・シル?> された薔薇 <バラ> 乙女最凶のドールよ」

「「二人合わせて、やる銀でーす」」

[“パンプキンシザーズ”でのパ·パ·パパンプキンポーズのように、互いに少々の前屈姿勢と下げた両腕に手のひらだけを地面と水平に保って漫才の如く挨拶する二人]

「この作品での前書きでは、基本悪役side<サイド>の会話を冒頭に綴<ツヅ>っていく予定よぉ。もちろん他の役者が入る場合もあるけれど」

「今のような後書きでは、やる夫と水銀燈による小ネタと、本文などで披露したネタを(覚え気づいてる範囲のみですが)出来るだけ調べて元の情報を掲載したいと思っておりますお。──あまりこういうのはアレだけれど、北部九州在住先生の作風を参考にしております」

「あらそぉ……それにしてもあんた、饅頭の後ろに“族”つけていいの?早速別スレ案件じゃない…」

「─だって“狂えるオーク戦士”見ちゃったら後ろにつけたくなっちゃうお?」

「それで許可取り云々<ウンヌン>のゴタゴタで筆折ったら本末転倒だって言ってるんじゃなぁい…」

[額に人差しと中指を当てて悩む銀氏]

「それは…そう!」
「──というわけで水銀燈さん。今の子ってやる夫・やらない夫とかローゼンメイデンとか知ってんのかなぁ…」

「そうねぇ…ローゼンメイデンは00年代期のアニメ版ならともかく、原作漫画の方は最近愛蔵版が発売されてたから、知ってる子もいるんじゃあない?──やる夫スレ自体は閉じコン化してるみたいだけれど…」

「まぁ普段からお目にかかれるわけじゃないし、環境によって文字のズレとか起こって見やすい環境に慣れた人たちには面倒だお。本スレから探すのも手間だし、比較的容易に閲覧できるまとめサイトも先細って徐々に消えていってるし…。でも閉じてるってことは新規流入が少なくて、身内同士の勝手知ってる内輪ネタで安定して盛り上がれるライブ感があるって強みに言い換えることもできるけどお。
……ただこれもやりようで、作者と合いの手(※掲示板に作品投稿する際の合間に挟まる住人の反応レス)民同士との温度差による悲しきすれ違いや、異論を述べる荒らしやアンチの手合を認定してギスギスレスバしてる作品なんかもあったみたいだし…ヲチスレなんかも……それは置いといて」

「そこまでの反応を求めてたわけじゃないんだけれど…。まぁ…人間同士理解し合うのは難しいって話ね」

「それとさ銀ちゃん──流石に標すって初見じゃ読めねぇって…」

「あら、しょうがないじゃなァい。中二病ってやつよ、邪気眼ってやつよぉ」

[腰に手の甲を当てて斜めに背を傾け胸を張る水銀氏]

「本来黒歴史で身悶える所を堂々と佇<タタズ>むのは流石銀ちゃんクゥオリティ…流石いい女だお。──ん~…読めないのはやる夫の学習量が足りずに知識が少ないのが悪いのかな…こんなん誰でも読めるお?…そりゃそうか、やる夫はどうせ学習意欲に乏しい低学歴だし…」

「あのねぇ…初っぱなから自虐ネタ使って好まれるわけないでしょ…そういうのは人気出てからやっとおかしく笑えるものになるんじゃない。 ──それに別に学歴どうとか気にしないでもいいんじゃない?あんたはあんたでしょ。 あと、卑下<ヒゲ>するよりも先に今やることあるんでしょう?」

「[ トゥンク… ] うん…メンゴだお銀ちゃん。 ──入即出さんと名前が被るからどうしたもんかなぁ…と思ってるお。SSでの地の文の方だと、外見描写されるシーンは特に数えるほどもなかったはずだし、交渉相手からの体型への言及もしょっちゅうではなかったはずだから、こっちでは美形として片メカクレ中性顔のねらう緒氏のアバターで扱うことにしとくお」







「──自虐は相手に対する遠回しな攻撃手段だっけ?銀ちゃんごめん。でも自分を臭さねぇと反省なしだとかナルシストだとか言って叩く…あぁ…どうせ表面ヅラだけだろとか言うお」

「呆れられた時点で終わりだっけ…」

「世に冷笑系が蔓延<はびこ>り過ぎてる件。慣れすぎてもう気づく奴が嘲笑される世の一大ムーブメントだお。…一時的にでも感情を反転させる類いの洗脳を繰り返しできたらいいお、そんな都合のいい能力があればだけど」

「…世渡り下手でひん曲がり過ぎちゃって正気でも失っちゃったぁ?まぁ確かに机上の指導法としてはもっといい方法もあるんでしょうけれど…」

「でも洗脳って……要は通常最も難事である大多数の人々の考え方に介入して変質させられる可能性のある異能だお、先入観や閉塞感に生理的嫌悪感を除けば。正念・負念なんて人間の脳が生み出す感情という名の心のバグじゃん」

「やる夫も本当大概面倒臭い性分よねぇ…ちゃんと能力を高められたらよかったのにねぇ」

「恥ずかしながらですお…。ただバカ・無能・変態・非常識・みっともなし、すべからく人の魂のバグが生み出す無理解な言霊の発露だお、自分たちが叩けりゃそれでいい。そして社会は精密なようでいて悪い意味でのお互い様での馴れ合いのなぁなぁで成り立ってる側面もあるお──アインズ・ウール・ゴウン氏の感情沈静化スキルほしい…全文必中のブーメランだよなぁ…」



【思想が強い。無駄に見にくい、圧倒的に見にくく長ったらしい文体…】

[無理やりな唐突感が激しく、“ような“を多用し、メタ発言多くて興ざめです。キャラのエミュレートもぞんざいでマジヤバくね、です]

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