セカイと6人の観測者   作:がくしゃ気取り

6 / 8
第五話です。
Q 天馬司ってどんな人?
A 不死身の男(結構意外とマジで本当)

「Hey 寿命のスターマインと人生を
 Hey 星空駆けるジェットコースターを
 Hey セカイはまだ始まってすらいないぜ
 Hey 最悪で最高な三文芝居を
 Hey バッドエンドを塗り替えるブラフを
 Hey セカイはまだ始まってすらいないぜ

 Hey 終わりを超えて ずっとパーティーを 
 Hey 回り続けるメリーゴーラウンド
 Hey セカイはまだ始まってすらいないぜ
 Hey 壊せ 予定調和の未来を
 Hey 鳴らせ 再生を告げる鐘を
 セカイはまだ始まってすら 始まってすら
 始まってすらいないぜ」

- セカイはまだ始まってすらいない


幻想の観測者 〜イリュージョン・プロジェクション〜

 幻想。

 この世界を構成する要素の1つ。

 この世界には存在こそないが、確かに存在する要素、それが幻想だ。

 人々は数多の幻想を夢想しては、発達した技術力でその夢想を現実にしてきた。

 しかし、幻想が消えることも、ましてやそれを夢想しなくなる事はない!

 行動には限界が必ず存在し、人も例外ではない。

 人々は幻想を現実にする度にまた新たな幻想を夢見てきた。

 時には世界を創造したとされる神の存在を夢想し、時には不思議な現象の正体を夢想し、

時には可能性を追い求めて伝説の石を夢想し、時には真実を求めて時を超える機械を夢想する。

 そしてその裏には大きな欲望と共に、同じぐらい巨大な恐怖が存在した。

 日食を凶兆として恐れ、時にはそれで偽物の王を用意して王国の安寧を願った。

 時には不思議な現象から恐怖の存在を夢想して怯えた。

 しかし!それを人々は新たな夢想と、叶えた夢想という名の現実で乗り越えてきた!

 人々は夢想を止めずに、夢を語り続ける。

 だからこそ未来を目指し、日々生き続け、時には偉業を成し遂げる。

 俺はそれを見守り、過度な幻想が人々の元へ行かない様に調節してきた。

 過度な夢は破滅となって牙を剥く。

 そうはさせないと、そう想いながら、見守ってきた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 俺は演技を続けている。

 いや、現実か?それともやはり演技か、はたまた夢か……

 今となってはそのような区別すら俺にはつかない。

 無論、昔はこんな事など起こっていない。

 俺は確かに演技をしていた。

 ただしそれは、人々の前で演技だと理解した上で意図した演技を行なっていた。

 ……いつしか、人々は争いを始めた。

 最初はそれこそ小さなものだ。

 だがそれはいつしか巨大なものへと発展していき、気づけば演技だと、演出だと、

そう見紛うほどのものになっていた。

 人々は幻想にも手を出した。

 夢を叶えるための夢想は、いつからか即効性のある効率的な攻撃手段を求めるための

技術に成り下がった。

 夢を語る時の未来を望む希望の声と目は、いつからか夢を諦めて兵器に恐怖する悲壮と恐怖が

混じった目線と耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴に変わった。

 幻想を夢見る願いは、いつからか絶望と復讐、殺意と怒りに変貌した。

 そして家族や知り合いに囲まれて迎えるハッピーエンドは、気づけばどうでも良い場所で

くだらない理由で迎えるバッドエンドに書き変わった。

 そして、散々書き換えられた幻想は遂に現実に落とされた。

 人は今、現実に幻想を手に入れた。

 しかし、その瞬間に“幻想は死に”、“現実だけが残った”。

 そして、観測者である俺自身の目にも、幻想が現実と共に映る様になった。

 最初は、ギリギリ過去の幻想と現実を区別できていた。

 しかし、最終的に俺の思考は現実と幻想の区別を諦め、同一のものとして扱う様になった。

 行動もいつしか、幻想と現実、どちらにも対応した対応に……演技となっていった。

 気づけば毎日を、毎週を、毎月を、毎年を、時間の全てを演技で埋めている。

 目の前には偽物かもしれない観客たち、側には偽物かもしれない演者たちの姿。

 ……分かっているさ。

 偽物だってことは、俺自身もよく分かってる。

 だがしかし、観客がいて、演者の仲間もいるのならば……

 俺は幾らでも、最早その人生を演技としても構わん!

 

◆◆◆◆◆◆

 

 何億回目と言える演技が幕を閉じ、ステージの前で多くの観客が拍手をする。

 拍手喝采が雨の様に鳴り響く。

 またもや演技は成功の様だな!

 ……なんて言うセリフも、もう飽きた。

 もう何度も見たその景色で見る拍手喝采が既に偽物だということは分かりきっている。

 それでも、俺は演技を続けよう。

 俺の演技が意味をなす人々はもう殆どいないと言っても過言ではない。

 しかし、現実に流れ込んだ幻想は、放置すれば破滅を招く。

 俺が演技をすることで俺の周りに幻想を引き付けて破滅の芽を摘む。

 それが俺のする演技に込められた共通の意味だ。

 それこそ、何度も思った。

 こんな事する必要はないと。

 そもそも人間の撒いた種を、俺がどうこうして意味があるのか……と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、俺は諦めんぞ!

 俺は幻想の観測者にして、

 天翔けるペガサスと書き、天馬!

 世界を司ると書いて、司!

 その名も——天馬司だ!

 例え幻想が現実になろうと、夢から希望が無くなろうと、世界中の皆が幻想を

忘れてしまったとしても、俺だけは、俺だけでも幻想を演じて、残してみせるさ。

 何せ、世界はまだ終わっていないのだからな!




「もっともっと 広がって
 世界中巻き込む
 僕らの大作戦

 ひとりの笑顔 みんなの笑顔
 パッと咲いちゃって
 グッと来ちゃって
 次のステージへ

 いくよ
 もっともっと 広がって
 世界中 巻き込む
 笑顔のセンセーション

 あの日もらった 幸福の種
 大きくなって 夢になって
 ばら撒いちゃえ

 こんなもんじゃないよねって
 一緒に笑っていようよ
 だって 旅は長いんだから

 涙 転じて 笑顔になれ
 僕らの想い みんなの胸の
 もっと奥まで いつか届くように
 歌を歌うよ 僕らの声が
 世界を照らす その日まで」

- 世界を照らすテトラッド
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。