セカイと6人の観測者   作:がくしゃ気取り

7 / 8
遂に第六話。
この話以降は観測者=主人公組視点の話は終わり、
それ以外のプロセカに登場するボカロ+プロセカオリジナルキャラクター視点の話に
観測者が現れる形式になります。
にしてもホントに不定期更新だな、この小説。

「死にたい 消えたい以上ない
 こんな命に期待はしないさ
 故に夢に魘され
 塞いだ過去に咲いた世界
 癒えない 見えない傷ほど
 きっと瘡蓋だって出来やしないと
 ボクは知っていた
 悔やむと書いてミライ
 悔やむと書いてミライ

 消えたいの 消えたいの
 何回だって言い聞かせた
 夢も見れぬような 後悔を頂戴」

- 悔やむと書いてミライ


時間の観測者 〜クロノス・インターフィア〜

 時間。

 この世界を構成する要素の1つ。

 この世界はどんな時でも確実に変わっていく。

 時間は気まぐれだけど、決められた話で言うなら1分間に60秒、1時間に60分、1日で24時間、一週間で7日、1ヶ月で約4週間、1年で12ヶ月……

 あくまで人が作ったものさしだから、これがいつも正しいという訳ではない。

 でも、平均的な話をするなら、世界は今言った通りに進んでいく。

 私はそれを見守るだけ。

 観測者が観測する6つの概念の中で最も重要であり最も扱いの難しい概念が時間だ。

 下手にいじろうとすれば、過去なら今を簡単に崩壊させ、未来ならその未来に全てが

収束してしまう。

 だから結局のところ一番確実で安全なのは“何もしないこと”。

 観測者の中で私は唯一、“今まで”観測している概念に手を出したことがない。

 出来ないのではなく、しない方がいいということ。

 そもそも時間は私がどうこうしなくても気まぐれに、正常に過ぎていくし、

世界は勝手に回っていく。

 だからこそ、私が何かするのは蛇足だ。

 何もしない、けど見守る。

 問題が起きれば対処するけど、それでも必要最低限の対処。

 下手にやり過ぎて問題でも起こそうものなら本末転倒だ。

 自分達の時間は自分達で作り上げてほしい……

 そう想いながら、見守ってきた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 結局のところ、今でも時間に手を出していないのは変わらない。

 でも、時間的な存在体が薄くなってしまったのは大きな変化だ。

 そして、私ではないけど大きな変化があった。

 今、人々は大きな戦争を展開している。

 始まってから現時点で大体26年6ヶ月2週間4日18時間25分。

 随分と長い戦争に人々は終わる機会を逃し続け、後の世代までずるずると引き摺り続けている。

 最近は時間の終わりが来る瞬間がかなり多い。

 誰かが終わると、その直後、もしくは同時に誰かも終わる。

 終わりの履歴は殉職の2文字で埋めつくされ、死因は見ればその8割以上が兵器だ。

 しかも昔は銃や戦車、爆弾などが多かったものの、今では火炎放射器や生物兵器に

化学兵器など、実に様々な種類の兵器が見て取れる。

 耳をすませば、兵器の音に悲鳴が重なり、生命の声はまるで聞こえず、

色は汚らしいものになり、幻想は完全に崩れ落ち、そして……時間は固定されてしまった。

 そして宇宙以外の観測概念は全て、時間も含めて戦争の資源と化した。

 美しい音を、優れた命を、目を奪われる色彩を、幸福の幻想を、そして永久の時間を。

 時間から気まぐれは消えた。

 どんな人間が記録しても時間は1分=60秒を正確に刻み続ける。

 時間は完全に過去を刻む記録に成り下がり、その意味を多く失った。

 結果的に私の体は亡霊のようになってしまった。

 困る訳でもないけど、今の時間の状態に連動している私の体がこうなってしまったと考えると、

どこか悲しい。

 世界には、時々時間の異常をきたしてしまった空間が出現する。

 その空間では、空間に侵入した生命の過去と未来の記憶を映し出す。

 しかし、同時に長く滞在すれば時間的に肉体が消滅してしまう、そんな空間。

 きっとこれも時間の以上に沿って誕生したのだろう。

 でも、私がこれをどうこうすることはない。

 もう何をしても意味はない。

 可能性は全て、潰えた。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 昔は困っている人を助けたいとか、苦しんでる人を救いたいとか。

 そんな思いを抱えながら、でも時間の複雑さを理解して渋々見守ることに徹していた。

 今となっては、こうするしかないから、それ以外は意味が無いから見守っている。

 人はどうしようもなく愚かで。

 それを助けたいとか救いたいとか思ってた私を馬鹿馬鹿しく思って。

 全部嫌になって見放して。

 そんな風に思っていた時期もあった。

 他の観測者達はまだまだ見放してなかったみたいだから、私は皆が諦めるまでは頑張ろうか、

なんて、そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それで良いのだろうか?

 私は時間の観測者で“宵崎奏”だ。

 100人中どうしようもない人が90人いたとして、残りの10人もどうしようもないのか?

 どうしようもない人は、ただどうしようもないだけなのか?

 もしかしたら、やっぱり意味はないのかもしれない。

 でも、前と同じように、ほんのちょっとだけ、可能な範囲なら、もう少しだけ

手助けをしてみることにした。

 どうしようもない人も、生きるために努力している人も、困っているのなら平等に助けたい。

 私は、本当に手がつけられなくなるまで、そうしていたい。




「手を伸ばした先に射し込む光があるなら
 千切れそうなタイトロープ 踊って 踊って
 その想いもきっと重ねてセカイの中
 共鳴らして 共鳴らして 共鳴らして
 そう歌って 歌って 歌って

 微かに脈打つ灯 今は眺める留まり木
 いつかその実を揺らして 向き合っていけるのかな
 茜さす道の先 薄明に滲む想いも
 共鳴らせるさ帷帳の奥 きっと
 そう笑って 笑って 笑って」

- トワイライトライト
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