ちょっと就活、テスト、実験レポートと忙しくて書く暇すらなかった…
ということで、お詫びの番外編です。
本編は今週には更新します…(許して…)
番外編 ウマ娘編①
私の名前はブリッジコンプ。
どこにでもいるごく普通のウマ娘だ。
…いや、普通といってもG13勝したり、「ブロンズコレクター」とか呼ばれたりしている自称『普通』の怪物達とは一緒にしないで欲しい!!
私にとってはG1なんて夢のまた夢で、去年にデビューしたはずなのに1勝もできていない落ちこぼれなのだ。いや、この言い方はおかしいかもしれない。なぜなら、この学園では私たちみたいなのが8割ぐらいを占めている。だから、落ちこぼれ…じゃないはず…!
ゲームで例えるなら、私はそこらに居る『モブ』だ!
……威張ることじゃないなこれ…
そんな私が所属しているここは、日本ウマ娘トレーニングセンター学園、略して中央トレセン。ここは日本最高峰のウマ娘育成機関で中央と地方では天と地ほどの差があると言われているほどの超エリート校だ。そして、ここに入学したウマ娘は、国民的スポーツ・エンターテイメントとして知られる「トゥインクル・シリーズ」への出場と勝利を目指してしのぎを削っている。
そう…私は来てしまったのだ。
地獄の入り口に。
そんな私も中央トレセンに来る前は、周りの皆んなから、
「天才だ!」
「G1取れるぞ!」
「無敗の3冠だって夢じゃ無い!!」
「世界だって取れるぞ!!!」
なんて、みんなが言うもんだからさ。そりゃ調子にも乗るよね。
中央トレセンに受かった時なんて、家族も街の人も泣いて喜んでくれて、私も
「まずは新人トレーナーからスカウトされて、無敗の三冠!そのまま凱旋門賞も取ってやる!!そしてその後は…キャァ♡」
なんてほざいていた。
…今思えば、あれは完全に黒歴史だ。
でも、そんな浮かれた気持ちは、中央に入って 1日も経たないうちに粉々に砕け散った。ここには、私みたいなやつは掃いて捨てるほどいる。いや、むしろ、私なんて『普通以下』だった。
そのことに気づかされたのは、入学初日の基礎トレーニングの時だった…
スタートダッシュ。私は地元じゃ誰にも負けなかった。……はずだった。
「えっ……ちょ、待って……なんでみんなもうあんな前に……?」
私が一歩踏み出す頃には、周りの子たちは 10メートル先 を走っていた。
コーナー練習。私は地元で『天才的なコーナリング』って言われてた。……はずだった。
「なんであんなに身体が傾くの!?あれ物理法則どうなってんの!?」
みんな風と一体化してた。
長距離走。私は地元で『スタミナお化け』って呼ばれてた。……はずだった。
「はぁ……はぁ……っ……もう無理……」
周りの子たちは息一つ乱さずに走っていた。
才能の壁は、想像以上に高かった。そのことに初めての練習で思い知らされて私はその場に膝をついた。
「…なんで?…なんで!? 私、地元じゃ誰よりも速かったのに……」
教官が言った。
「ブリッジコンプ。ここは“天才の中の天才”が集まる場所だ。地元で一番?そんなの、この学園じゃ当たり前だ」
当たり前。当たり前……?
じゃあ私は何?『当たり前の中の当たり前』ってこと?
私はその瞬間、自分の中で描いていた、新人トレーナーと『無敗三冠』とか『世界制覇』とか、全部が砂みたいに崩れていくのを感じた。
『……私、ここに来ちゃいけなかったのかな……』
あの時は本当にそう思った。
まあ、そんなこんなで私は専属トレーナーなんてつかないまま、そこそこのチームに入って、チームの友達とダラダラ過ごし、「まあ、私なんてこんなもんだよね~」なんて言いながら日々の生活を送っていた。
そんなある日のこと。
廊下の向こうから、いつもより騒がしい声が聞こえてきた。
「おい!聞いたか!? あの『スピカ』と『リギル』がレース対決するってよ!!あの会長も出るって!!」
「しかも原因は『あの新入生』だって!」
「本当に!?マ?」
「マジマジ!とりあえず行くぞ!!」
「OK~!」
へぇーそんなことが起こってるんだ……え?ほんとに?
『リギル』と言えば、
やっぱり無敗の3冠を含むG17勝を成し遂げ、圧倒的な強さから「皇帝」の異名で知られるシンボリルドルフ生徒会長……マジで出るの?
他にも、生徒会の副会長を務め、女帝の異名で知られるエアグルーヴさん。
同じく生徒会の副会長を務め、シャドウロールの怪物と言われているナリタブライアンさん。
この人たち以外にも、圧倒的な勝利数と偉業を成し遂げているチームがレース対決!?
この厨パに勝てる人達なんているのかよ…
もう一方の『スピカ』と言えば、
言わずと知れた、黄金世代の一角を担ってる、日本総大将のスペシャルウィークさん。
最速の機能美 いや、異次元の逃亡者と言われたサイレンススズカさん。
名門メジロ家の最高傑作と言われているメジロマックイーンさん。
そして何より、あの奇跡の復活を遂げたトウカイテイオーさん。
何だこれ…こっちも厨パかよ!!!!!
いや、これは見に行くしかないっしょ!!あ、マリタイムシッパーちゃんにも伝えとこ~
~◇~
「会長!!!ボク、今日だけは絶っっっっっ対に!譲らないから!!!」
「ふふ…テイオー、意気衝天のところで悪いが、今回ばかりは私も譲ることは出来ない。
『皇帝』の威厳を示し、彼女を私の『高弟』にしないといけないからね。ふふっ…」
「ルドルフ先輩…俺はあなたの『高弟』であることは自覚してますけど、まだどこのチームに入るかは決めてないですからね!!俺のチームを決める『工程』はこのレースですから!!」
「ふふっ!!ああ、そうだな。……テイオー。『絶対』というものがレースにはあると教えてあげよう…」
「スズカ!!今日こそは…今日こそは!今までの借りを返させてもらう!!」
「エアグルーヴ、それはこっちのセリフよ…今日も『先頭の景色は譲らない』から。」
「ふんっ!…そう言ってられるのも今のうちだ。」
「エルちゃん!グラスちゃん!昨日の模擬レースは負けちゃったけど、今日は負けないよ!!」
「スぺちゃん~!今日も、この世界・最強!!の、エルが勝たせてもらいま~ス!」
「エルはあとでお仕置きするとして、スぺちゃん。あなたにだけは絶対負けません!!」
「ケッ!!?」
「なぁ~マックちゃんよ~、やっぱりあいつをズタ袋で攫った方が良かったんじゃねの~」
「こら!ゴルシさん、そんなことが生徒会長にバレたらどうなることやら…ただでさえ、テイオーがあの方を先に勧誘し始めて、こんな大事になっているのに…わかりませんの!!(マックイーンは原因を知らない。)」
「えぇ~!マックちゃんそりゃないぜ…まぁ、このレースで勝てばアイツもスピカに入るらしいし、このゴルシ様もいっちょやってやりますか!!」
「……はぁ。あなたって人は本当に……」
そう、「スピカ」と「リギル」。中央トレセンの二大巨頭が、なぜこんな大騒ぎになるほどの『直接対決』をすることになったのか。
――原因は、たった一人の新入生。
ダークソブリン。
彼女が中央に入学してきた瞬間、いや、入学する前から、すべての歯車が狂い始めた。
まず、ソブリンは入学前に、よく一人で近くの河川敷を走っていた。その際に、
「……君、面白いね。君は良くここで走っているのかい?」
「は、はい…もしかして、あなたはシンボリルドルフさんですか!?」
「ははっ…知ってくれているとは光栄だ。ところで、君は中央トレセンに来るつもりはあるかい?」
「はい!!来年に受験があるので、そのつもりです!」
「よし…なら私が毎週ここで『個人レッスン』をしてあげよう」
「え?ええええーーーーー!?」
と、こんな感じで、ソブリンはルドルフ会長と交流を深める一方で…
トウカイテイオーが奇跡の復活を遂げた有馬記念。
そのレースを観戦していたソブリンは、つい勢いで、テイオーのインタビュー会場に乗り込み、涙を流しながら叫んだ。
「お、俺……あなたを超えるウマ娘になります!!だ、だからその時は―――」
その瞬間、テイオーは昔の自分を思い出し、こう言った。
「君、名前は?」
「お、俺はダークソブリン!あなたを超えて、
「そう…ボクも、君と競い合える日を待ってるよ。」
そう、この二人はソブリンがトレセンに入学する前から目をつけていたのだ。
そして、ソブリンが入学したらどうにかして自分たちのチームに入れようと、自分のトレーナーを説得するなど水面下で動き回っていたのだ。
そのため、入学後にルドルフ会長と河川敷で一緒にトレーニングをしていたソブリンは、
「ちょっと走ってみない?」
という軽いノリでリギルの選抜レースに参加。
しかし――
そこで桁違いの実力を見せつけてしまう。
リギルに入りたいエリートたちが本気で走る中、ソブリンはまるで赤子の手をひねるように先頭を走り、そのまま後方に10馬身以上の大差をつけて、圧勝した。
そして、会長はあらためて確信した。
「……君はリギルに入るべきだ」
だがソブリンは、
「え?あ、あの……ちょっと考えさせてください……!」
と保留にした。
その噂を聞いたテイオーは大慌て!
「そ、ソブリンが!リギルに取られる……!?いやいやいやいやいやいや!!!」
そこにゴルシが近づき、肩を組んで囁いた。
「なぁテイオー……いっそアイツを『ズタ袋』で攫っちまうか?」
「攫わないよ!!?」
しかし、テイオーは焦りすぎて判断力が衰えていた。
「…いや……ちょっとだけ……話を聞こうかな……?」
「よっしゃ!このゴールドシップ様に任せろ!!!」
こうして、ゴルシの『ソブリン拉致計画』が始動。
しかし、実行直前にテイオーを探しに来たソブリンが、偶然その会話を聞いてしまう。
「テイオーせんぱーい!俺が来ましたよ~てか聞いてくださいよ!さっき変態に足を触られて、ぶっ飛ばしちゃったん…… あれ?スピカの部室に来てって言われたけど、居ないのかな?」
「いや…うん?何か話し声が聞こえるな。えーとなになに?…『取られる』…『ズタ袋』…『攫う』…『ソブリン』……はぁ!?俺、攫われるの!!!??」
「ゲッ!そ、ソブリン来てたの?」
「テイオーさん!!俺を攫うつもりですか!!!」
「イ、イヤァ…ご、誤解だよ!」
「先輩が半角の喋り方をしてるってことはホントなんだ!!助けて!会長~!!」
「あ、待って!!ソブリ――――ン!!」
報告を受けたルドルフ会長は、額に青筋を浮かべながら言った。
「……テイオー。君はソブリンの先輩として恥ずかしくないのか?」
「カ、カイチョー! ご、ごめんなさい……
だけど!ソブリンはリギルよりスピカの方が向いてると思うよ!」
「ほぅ…」
会長は何か考え始めたかと思ったら、すぐに表情を変え、静かに宣言した。
「だが、テイオーの言い分も間違ってはいない… まぁ確かに、このままだと私がソブリンを無理やりリギルに入れたとなってしまうな……よし!ならレースで決めよう。」
「「「えっ!?」」」
「この
こうして、中央トレセン史上最大の“チーム対抗レース”が決まった。
そして、そこにどちらのチームにも所属していない第三者が表れた。
「あ、あのー。…」
「あの…すみませんー…。」
「あの!」
「あ!スティルさんじゃないですか!どうしたんですか?」
「アァ!!ヤハリ、アナタダケガ、ワタシノ……いえ、ソブリンさんがレースに出ると聞いたので来てみたのですが…これは一体どういう状況ですか?」
「あははぁ、そ、その…なんて言ったらいいんですかね…」
「それについては、私から説明しよう。」
「ルドルフ先輩!」「会長さん?」
~かくかくしかじか説明~
「なるほど…なら、私も参加します!」
「「え?」」
「ワタシも、
「あ、あぁ…参加を許可しよう…」
「ありがとうございます。」
「私も参加するわ。」
そこへ、また違う声が聞こえてきた。
「アルヴ!?お前はリギル所属じゃないだろ。」
そう言うと、エアグルーヴが眉をひそめる。
「えぇ、私はリギル所属ではないわ。けど、……なぜか分からないけど、
「そうか。なら参加を認めよう。」
「ありがとうございます。会長。」
そこへ、スティルインラブが静かに歩み寄る
「あら?アルヴさんも参加なされるの?」
「えぇ…
「は?…
スティルの声が一瞬だけ低くなる。
周囲の空気がピリッと張りつめた。
アドマイヤグルーヴは涼しい顔で髪を払う。
「あら?すぐに声を荒げて恥ずかしくないのかしら?そんな調子じゃ、ソブリンに嫌われるわよ?」
「……アルヴさんこそ、余裕ぶってるけど、ソブリンが誰を選ぶか、分かってるの?」
「もちろん。選ばれるのは私よ。だって、ソブリンは『強いウマ娘』が好きでしょう?」
「……ふふ。なら、レースで証明して見せます。あなたが『私より強い』なんて、ありえないから。」
二人の間に、バチッ……!と本当に火花が散ったような空気が走る。
エアグルーヴがため息をつく。
「……はぁ。お前たち、もう少し落ち着け。」
しかし、アルヴもスティルも聞いていない。アルヴは挑発的に微笑む。
「ソブリンは私が導く。あなたの出番は、今日で終わりよ。」
スティルは一歩前へ出て、真っ直ぐアルヴを見つめた。
「いいえ。ソブリンが選ぶのはワタシ。 あなたじゃない。」
二人の視線がぶつかり、周囲のウマ娘たちが思わず距離を取るほどの緊張が走った。
ゴルシが小声で言う。
「おいおい……あの二人、テイオーと会長よりヤベぇぞ……」
マックイーンも震えながら頷く。
「ええ……これはもう、誰が勝ってもおかしくありませんわ……」
「いや…そうじゃないだろ…」
スタートゲート前。
空気が震えるほどの緊張が走る。
観客席は満員。生徒たちが押し寄せ、悲鳴のような歓声が飛び交う。
『スピカだ!!』『リギルだ!!』『会長もいるぞ!!』『なんだこのメンツ!?』『なにあの子可愛い!』『てか、なんでレースしてるの?』
トウカイテイオーがゲートの中で叫ぶ。
「会長!!!今日だけは絶対に譲らない!!ソブリンはボクが導くんだ!!」
シンボリルドルフは静かに微笑む。
「ふふ…望むところだよテイオー。」
サイレンススズカはしとやかに目を閉じた。
「先頭の景色は……誰にも譲らない!」
エアグルーヴが鼻で笑う。
「本気で行かせてもらう。」
スペシャルウィークは拳を握る。
「スペシャルウィーク、行きます!!」
エルコンドルパサーがポーズを決める。
「世界最強はエルで~ス!!」
グラスワンダーが静かに炎を宿す。
「今日こそ……勝ちます。」
ゴールドシップがゲートを揺らす。
「よっしゃああああああああああ!!!ソブリンをスピカに連れてくぞぉぉぉ!!」
メジロマックイーンがため息。
「……はぁ。もう、仕方ありませんわね。」
ナリタブライアンは低く顔に笑みを浮かべ呟く。
「血が滾るな……!」
スティルインラブは静かに目を閉じる。
「……ソブリン。私はあなたのために…」
アドマイヤグルーヴは挑発的に笑う。
「スティルさん。あなたには負けないわ。」
スティルインラブが睨む。
「……望むところよ。」
スターターのヒシアマゾンが旗を上げようとした、その瞬間。
「声を掛けるのが遅れてすまない…」
静かで、しかし空気を震わせる声が響いた。
「ボクも参加しても良いかな?」
その声に気が付いたルドルフが振り返り、目を見開く。
「君は……!!」
ルドルフが声を出そうとした直前、テイオーが叫ぶ。
「会長ー!!早くー!!スタート時間!!」
「……い、良いだろう…。参加を許可する!!」
「ありがとうございます。」
すると彼女は静かに頷き、ゲートへ入った。
出場選手
スピカ
・トウカイテイオー
・スペシャルウィーク
・サイレンススズカ
・ゴールドシップ
・メジロマックイーン
リギル
・シンボリルドルフ
・エアグルーヴ
・ナリタブライアン
・グラスワンダー
・エルコンドルパサー
他陣営
・スティルインラブ
・アドマイヤグルーヴ
・???
最後の仔は一体誰なんでしょう?(すっとぼけ)
あと、続きを書いてない時にも感想くれてありがとうございます!!!
実際、感想があったから続き書いたみたいなもんです。
感想は全部読んでいるので、ぜひぜひ書いて欲しいです!
実はこの話、この作品が終わった後にウマ娘編として書くつもりだったんですよね…
書いたら読んでくれます?