地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい   作:抹茶好きの紅茶

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はじまり

 

 空に響き渡る打撃音。血は宙を舞い、四方八方に光弾が飛来する。これは戦いなどではない。一方的な蹂躙である。

 

 目の前に相対しているのは人間ではない。

 長身で筋骨隆々。青い服に白いマントを携え、額に2本の角を生やしたソイツは、金色の眼で私を捉える。

 

「──ほう。大した力を持たぬ貴様が、よくぞこの暗黒魔界の王である()()()()様を相手に持ちこたえるものだ。そこは褒めてやろう」

 

「……ふぅ、はっ、はぁ……光栄。褒美代わりに、見逃して欲しい」

 

 息を切らし、腹に突き刺さった槍を引き抜きながら、目の前の奴にそう意見する。

 

 何故……何故こうなったのか。それは時を遡って話す必要があるだろう。

 

 

 


 

 

 

 突然だが、ドラゴンボールという作品は知っているかな?

 

 具体的に知らずとも、聞いたことぐらいはある筈だ。

 知らない人にはインフレ激しめの超次元格闘作品とでも言っておこう。

 

 さて、そんなドラゴンボールの世界には様々な種族が登場しているのだが──もし転生するならば、一体どんな種族になりたいだろうか。

 

 様々な変身形態を持つ戦闘民族サイヤ人?

 はたまたフリーザ一族*1

 ナメック星人とかも夢がある。その他愉快な種族も盛りだくさん! もー迷っちゃ~う♪

 

 

 

「──地球人。地球人か……よりにもよって地球人かあ……!」

 

 日課の修行を終え、浜辺で日の出を見ながら骨付き肉を頬張る。固い臭い中まで焼けてない。それでも水で流し入れて腹を満たす。

 

 はい。ええ。そうだよ 地球人だよ 悪いかよ!?

 

 良いだろうがよ、地球人。技術力なら第7宇宙の中でもツフル人あたりとタメを張れるかそれ以上だぞ*2

 

 正直、テンション上がったのは転生直後だけ。生まれ変わって彼是5年。苦労しまくってる私としては、もう平穏に暮らしたいと思い始めてきた頃だ。

 

 ただまあ悲しきかな。ドラゴンボールの地球は一般人にとても厳しい世界である。郊外に住むには危険だし、街に居ても殺される可能性がある。RR軍やピッコロ大魔王、人造人間 セル バビディ一味 ブウ 破壊神 フリーザetc……GT含むならもっとだし、なんなら地球ごと破壊されることも結構ある。そう簡単に破壊するな、惑星を。

 しかもそのうえ単純に治安が悪いときた、なんだこの世界。

 

 とまあ色々述べたが結論をいうと……私は死にたくない。

 あと欲を言うなら悟空に会いたい。戦って "おめぇ、つえぇな~!"って言われたい!

 

 そうして私は今日も修行に励んでいる。死ぬ気で鍛え続ければフリーザ以上にだって……うーん……ま、まあ地球人だってやる時はやるもんだ。為せば成る為さねば成らぬ何事も! ヤムチャや餃子に転生した奴らも頑張っていたんだ! 私にやってやれないことは──

 

 

 ──エイジ420。街で拾った新聞の切れ端を見直し、改めて項垂れる。

 うん。死にたくないとか悟空と手合わせとか、まずそれ以前の問題だ。原作開始はエイジ749。このままでは悟空と手合わせするどころか、摩訶不思議アドベンチャーにすら参入出来ないだろう。

 無論、ドラゴンボールで長寿にしてもらう……というのも考えたが、そもそもドラゴンレーダーが無い。

 

「……ま、今は鍛えるしかないか」

 

 今答えのでないことを考えたって仕方ない。そも占いババや武天老師さま、鶴仙人や桃白白だって何故か長生きなのだ──いや、本当に何故なのだろうか?

 

 確か不死鳥だとかの設定があったのは覚えているが、それが本当にあるのかは知らない。そもそも数回死んでるし……うーん、謎!

 

 そんなこんなを常日頃から考えながら、今日も重りを背負って運動する。何をやりたいとか、あれそれが叶う叶わないとか。そんなことは些事なのだ。

 兎に角今出来ることをやる。四の五の言わずにやってみなきゃわかんねぇ!の精神である。

 

 

 

 

 

 

「フッ! ハァッ! ッたぁ!」

 

『Gugyaaaaaa……!』

 

 猛スピードで対象の周りを走る事で翻弄し隙をつくる。その後にジャブで動きを一瞬止め、跳び上がって頭にスレッジハンマーを叩き込む。

 ドシンと衝撃音が辺りに響くと同時に土煙が宙を舞い、地面が揺れ動く。

 

「……ふぅ、恐竜の肉ゲット~♪」

 

 私が今倒したのは恐竜。幼少期の孫悟飯が追われていたアレに似た奴だ。

 うん、改めて思うがドラゴンボール世界っておかしい。何がどうして素手で巨大な恐竜を倒せるのか……前世で培った常識が音を立てて崩れゆくのを幻視する。

 

 ともあれ、肉は確保できた。巨体を引きずりながら拠点へ足を進め──

 

「──もし、そこの坊っちゃん。わたしに塩水を恵んではくれませんか?」

 

「……いや、持ってないですけど」

 

「そうですか……」

 

 恐竜を引きずり歩いていれば、足元から声が聞こえた。掴んでいた恐竜の尻尾を離して見下ろせば、そこには甲羅が──うん? はて、ここは荒野。海からは十数キロは離れている。ゆえにウミガメなどいる筈がない、の、だが……さて、どうしたものか。流石に、このまま "それじゃあサヨウナラ" とはいかんだろう。

 

「……仕方ないなぁ、海まで運びますよ」

 

「いいのですか! というか何故わたしが海に行きたいと──いえ、なんにせよ助かりました。かれこれ半年は彷徨ってまして」

 

「よく干からびずに生きてましたね!?」

 

 お前リクガメなんかと違って水棲生物だろ。

 なんにせよ、流石に見捨てるのも忍びないと思い助けることにした。というか、なーんかこの亀、既視感が……えーっと、なんだったか。転生して5年、思い出せないことも増えてきたものだ。そんなことを考えながら彼、ないしは彼女を背負って猛スピードで運ぶ。

 途中、背後から悲鳴のような野太く情けない声が聞こえてきたような気がしたが、まあ気のせいだろう。私が全力で数分程走れば、あっという間に海岸に到着した。

 

「着きましたよ」

 

「あだっ、せ、世界が回って……ハッ! おお、本当に海ですよ! どうもありがとうございます!」

 

「いいですよ気にしなくて。もう大丈夫ですか?」

 

「はい、おかげさまで。その、何かお礼をしたいところなのですが……すみません。実はわたし──亀なんです」

 

「でしょうね」

 

 見返りを要求するとかはしない。こういう善行も、巡り巡って自分に返ってくることを祈るだけだ。

 

 

 

 私が転生してから十数年。誰かと喋ったのは、この出来事が最初で最後だ。時々喋り方すら忘れそうになることもあった。

 寂しさを紛らわす意味でも、相も変わらず修行に励む。身体を動かし、戦い方や気の操作だったりを試行錯誤し、飯を調達し、休む時は休む。

 毎日それの繰り返し。斯くして私は20歳の誕生日を迎えた。祝う人は居ないし、これといって特別感もない。

 

「うん、旅に出よ」

 

 精神は限界を迎えていた。人間って孤独に耐えられない生き物なのだと私は理解した。

 

 包み隠さず言うのなら──

 

 すっげー暇。あと単純に寂しい。私TUEEEEしたい!すくぶるハートに火をつけるような相手と闘いたい!

 

 そうして私は荷物を持って武者修行の旅に出た。

 ──しかし数年ほど地球を歩いたものの、対等に戦える人間には出会えなかった。

 

 やったことと言えば、モンスター型地球人に襲われていた村を救ったり、塞き止められていた川の水を流したり、腕自慢の荒くれ者を倒したり。

 こうして行動を列挙すれば、よくある "なろう転生者" そのものだが、生憎と実態は違う。私は小心者なうえに、十年以上もの間、人と話していなかったが為にコミュ障を極めていたのだ。

 

 考えてみて欲しい。ちょっと小突いた程度で悪人を倒したら、村人全員から"このご恩は一生忘れません" と言われながら数十人に頭下げられた時の気持ちを。

 

 貧困した村の川が上流で塞き止められていたから原因を取り除いただけなのに、村人総出で感謝され、無理してご馳走振る舞われた時の気持ちを。

 

 心痛むわ!

 

 行く先行く先で私が敬われるべき存在みたいになってるし、なんか勝手に尊称つけられたし……若武尊? 誰なんだ、それは。私は皇族じゃないんだが!?

 

 確かに転生当時の孤児で蔑まれてた時よりかはウン百倍も良い待遇ではあるのだが、人里に立ち寄る度に拝まれるのも嫌だ。0か100の扱いしか出来ないのかこの世界の人間は……!

 

 

 

 そんな扱いに耐えかねて、私は森の奥地に存在する雲を突き破る程の搭を登っている。そう、カリン搭だ。武術の神と称された彼の噂はエイジ440の現在でも轟いていたのだ。

 途中寝そうになりながらも、2日間かけて搭を登りきることに成功した──が、問題はここからだった。

 

「ふっ、はぁっ、たぁ!」

 

「あ、それ。ほれ。そんなんじゃいつまで経っても超聖水は飲めんぞよ」

 

「くっ、はぁっ!」

 

 純白の毛並み、愛くるしい見た目。目の前の仙猫を追いかけて、私は攻撃を繰り返す。

 

 カリン様は強い。戦闘力が、という話ではない。それは類いまれなる武の技術だ。闇雲に逃げているわけではない。私の動きが、より実戦的に、より洗練されるように動いている。もう少し、あと少し、此方にそう思わせる動き。おちょくるような態度や言動で此方を刺激し、モチベーションの向上に努めている。イタズラ好きだが尊敬に値する人物……仙猫だ。

 

 いやまあ、それはそれとして、いちいちムカつくような言動なのでフラストレーションは溜まってゆく。ええいこんのクソ猫!一旦捕まりやがれってんだ!

 

 

 

 

「何のために、力を追い求めるのじゃ? 今のままでも十分強かろう」

 

「カリン様、心読めるでしょ」

 

「お前のは曇ってよく読めん」

 

 夜中に休息を取っているとカリン様がそう語りかけてきた。ふむ、何のために、か。

 

「この世には、私より強い奴がウヨウヨ居る」

 

「うむ、そうじゃな」

 

「負けたくない。死にたくない。それと──」

 

 前世からの憧れ。今世の目標。天井の無い世界。それらに想いを馳せて、夜空を眺めて手を伸ばす。見えやしないだろうが、あの星星の中には色んな種族が存在していて、より強い奴もいる。限界を超えても勝てない奴、上には上がいる、この世界。もし、満腹以上に満足できる闘いが出来るのなら。

 

「──すっごくワクワクする」

 

「……変わった奴じゃの。あ、ほいっと」

 

「チィッ!」

 

「手癖の悪い奴じゃの」

 

 チッ……真面目な話で油断させたが、そう簡単に超聖水は取れなかった。心が上手く読めないんじゃねぇのかよ。

 

 

 

*1
コルド大王からの突然変異だが

*2
ドクター・ゲロの血筋やブリーフ一家がイカれてるだけ





 公式からの供給過多で妄想を書きなぐりました。
 お暇があれば感想、批評を投げてくださると助かります。
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