地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい 作:抹茶好きの紅茶
ガツガツバリバリムシャムシャゴクゴクズズズ。
店内にいる全員の視線が此方に向くが、そんなことは気に留めず目の前の料理を口に運ぶ。うまい。食感、匂い、舌触り、味、どれも一級品。高級とはまた違った庶民の味だが、その全てが洗練されていた。
ゆっくり咀嚼し味わえば、奥の方に隠された香辛料や味、旨味が脳内へ電気信号として送られる。そのうえ、どれだけ食べ進めようとも、程よい塩味が更なる食欲を刺激する。
「……ふぅ、おいしかった。ごちそうさま。店員さん、お勘定」
「へ、へい! それで、料金なのですが……」
「ん、32万ゼニー。ちょうどで」
「は、はい! またのお越しを!」
ふぃー、食った食った。やはり食事は最高だ、この店の名と場所は覚えておこう。
さて、私は武泰斗様の教えの下、世界中を旅しながら食の探求をしていた。牛乳配達や新聞配りで生計を立てており、たまに農家の手伝いなども行って野菜を貰っている。取れ立て新鮮なキュウリやトマトを丸齧り……こんな楽しい生活は無いぜ。
とはいえ、流石に心行くまで堪能となると金が足りない。ゆえに腕自慢の大会や悪党退治の依頼を受けて稼ぐのが主な資金源であるのだが……ま、まあちゃんと働いてるしー?無職じゃないですしー?
正直こんなんで良いのか。と思わなくもないが……何故か今までよりも強くなってるんだよなぁコレが。行き詰まっていた気の操作も出来るようになったし、それに伴って身体がより力強く、より速く動けるようになり、より洗練された身体使いが出来るようにもなった──いや、本当に何故……?
まあ、気の操作云々に関しては多分精神的な余裕が生まれたからだと思う。改めて不思議なモノだな、気というものは。
それと単純にこの生活が本当に楽しい。絶景の秘境、美しいエメラルドグリーンの海、効能の優れた温泉。世界を旅していて、意外とこの世界ってファンタジー系なんだよなぁと思う。
その後も心身を鍛え続け、世界中を旅し……なんか襲いかかってきた化物っぽいティンパニーだのチェロだのを返り討ちにしたものの、それ以外にこれといった出来事は無かった。まあ、原作開始前だし仕方がないだろう。
そうして転生してから……おおよそ50年の月日が経った。ドラゴンボールは未だ見つからず、もうなんか第2の生はエンジョイしたなぁ。なんて思って身体を見る。武の道を極めんと鍛えたものの、もう49だ。身体機能は衰えて──
──いないんだなぁコレが!
というか、成長が滅茶遅い。実年齢50歳近くなのに身体は未だ幼少期って怖いのなんの……マジで謎だ。私は地球人の筈、特徴からしても普通の人間であることは間違いようの無い事実な筈だ。
自分の身体について改めて考えながら、次の人里を目指して歩き続ける。考えても仕方がないことってあるからね、是非もないね。とはいえ流石に気になる。私はいったい──
「──ん?」
そんなことを考えている最中、少し離れた場所に邪悪な気を感知した。それも、結構強い……近くには町もあるし、もしソイツらが暴れたら危険だ。様子を見にいってみるか。
万が一のために気を消し、舞空術を使わずに近づき様子を伺えば、そこには耳の尖った顔色の悪そうな奴が2人いた。手には雫型の白い何かを持っており、面倒臭そうにしながら会話をしていた。
うーん、ここからだとよく聞こえないな。もうちょっと近づいて──
「そこに居るのは誰だ!」
──はいバレました!仕方がないので姿を現し、相手の出方を伺う。2人組はどうやら此方に敵意を向けてきており、話し合いで解決……は、出来なさそう。
「ちっ、ただの雑魚だ」
「やはりこの星には録な者が居ないな。とはいえ、我らの姿を見てしまった以上、殺すしかあるまい」
「ああ、そうす──げぶぅっ!?」
「なっ!?」
「話してる暇、ある?」
話の内容から察し、呑気にお喋りしている奴へ飛び蹴りをかます。私の戦闘力を見誤ったのだろう、相手は受け身すらとれずに遠くの岩壁へ叩きつけられた。ぎょっとした表情のもう一人に対しても、間髪入れず顔面に拳を打ち込み、同じ岩壁へと殴り飛ばす。
土煙が舞う中で気を探知すれば、どうやら2人はモタモタして中々動こうとしない。そんな奴らに対し、私は構えを取る。私は両手に気を集中させ、淡黄色の気弾を作り出すと、両手を合わして圧縮。そのエネルギーを光波として奴らへ撃ち込んだ。
「ストレートレイ!」
淡黄色のエネルギー波は悪人面の2人を襲い、爆発音をたてながら岩壁ごと消し飛ばした。
ガラガラと岩の崩れる音を聞きながら改めて気を探知する。そこに邪悪な気はなく、どうやら消し飛ばせたらしい。結構な戦闘力ではあったが、油断してくれていて助かった。
地球には色々な奴がいる。そして治安は最悪だ。かれこれ50年。こういう手合いの対処は慣れていた。不思議なことも言っていたが、まあ気にすることもないだろう。
今のは、いつもと大して変わらない悪人退治。私はそう認識して再び人里へ向けて足を運んだ。
この出来事が、私の運命を変えたことも知らずに。
エイジ475。生憎の曇り空だが、雲の上ならば関係ないと舞空術で自由気ままに空を駆けていた。
今日は何を食べよう。なんて呑気に考えていれば──
──腹部を何かが突き破り、そこから血を流した。
「ぁえ?」
痛み、困惑、危険。腹を貫通したその槍に目を丸くして、脳内がパニックを起こす。
ただ、そんな思考も、背後から感じ取った圧──この地球を破壊しかねない程の強大な、類を見ない邪悪な気によって、一瞬にして恐怖へと塗り変わる。
「っ! ブラストレイ!」
咄嗟に光線を放ち、その恐ろしい対象を爆破する。
ただ、まあ、ですよね。という感想しか出てこなかった。
モクモクと煙が舞う中、ソイツは私を虫を見るかのような態度で、金色の眼を此方へ向けていた。
汗が止まらない。今すぐ此処から逃げろという危険信号を全身で感じ取る。
青い服に白いマント、尖った耳に額には2本の角。Mのマークは無いけれど、ソイツの名前を私は知っている。
「──ダーブラ」
「ほう、私の名を知っているか。いかにも、私は暗黒魔界の王、ダーブラである」
ハハッ、私死んだわ。
ダーブラ。暗黒魔界の王であり、魔人ブウ編で登場したキャラクター。優れた剣術や魔法、石化唾……そのうえ強さは完全体セル以上ときた。間違っても今の私が勝てる相手ではなく、逃げきれる相手でもない。
何故私を襲ったのか……つーか何で今地球に居るんだよ!?ふざけんな!
そう心の中で憤慨するが、事実は変わらない。今、私の目の前には逆立ちしても勝てないような存在が居る。私が行った攻撃を歯牙にもかけず、ダーブラは再び口を開く。
「以前、この星に2名の部下を偵察に行かせ連絡が途絶えた。貴様だな?」
「……スゥーーー……」
アイツらかよ!?ええい、ふざけやがって……地球で活動するなら気を抑えて行動しろ……!心の中で八つ当たり気味にそう悪態つくが、やってしまったものはどうしようもないのだ。どうにかして、この場を切り抜けねば……!
最低限抗えるよう戦闘姿勢へ──
「ずぁ!」
「い"っ!? つぅ……! こんっの──ぉお!?」
そんな私の様子からか、口角を上げたダーブラが突如として目の前へ瞬間移動……ではないな。恐らくは猛スピードなだけなのだろうが、それでも私がどうしようもないのに変わりはない。ゼロ距離で繰り出された気功波を咄嗟に避け後退。その直後に気弾で目眩ましをしようと企むが、開いた距離を瞬時に詰められ、ダーブラは此方が捉えられぬ速度で剣を振るう。待て待て待てどっから取り出したソレ!?
正直いつ消し飛ばされてもおかしくない状況だが、なんとかして時間を稼ぐ……というか精一杯出来て数秒避けるのが精々なのだ。気弾で煙を上げても、どうにか隠れようにも、ダーブラは正確に此方を捉え攻撃を仕掛けてくる。
避ける、避ける。剣が、槍が、気弾が、炎が、直撃すれば確実に死ぬ攻撃が身体を掠め、私は確実に死に近づいている。
それでも尚、避け続けられるのは………私が生きているのは、ダーブラが手を抜いているからに他ならない。何故?何故だ。部下を殺した私を殺したいのではなかったのか。
朦朧とする意識の中、生き延びることだけに集中し動く。避けて、避けて、避けて、避けて……まだ、まだ私は────
「フン、所詮この程度か」
雲の上、大柄な魔族はつまらなそうに言葉を溢す。そうして、もう用済みだとばかりに血を流し続けるソレへ剣を振りかざし──
「──なっ……!?」
振り下ろした剣は弾かれ、逆にダーブラはダメージを受ける結果となった。ソレの意識は疾うになく、最早飛んでいることすら奇跡と言える。そんな奴が暗黒魔界の王の攻撃を弾き、あまつさえ、ほんのちょっぴりのダメージを与えたのだ。その顔は驚愕へ変わり、その後ニヤリと再び口角が上がった。
ソレは欠片ほどの意識すら失い、そのまま地面へと墜落を始め──ダーブラは落下するソイツの腕を掴んだ。その後、ベルトの収納から腹の膨らんだ蟻のような物を取り出し、意識を失ったソイツの口へ虫を放り込む。
その後、懐から何かの端末を取り出せば、その端末に向かって一言声をかける。
「──私だ。宇宙船を手配しろ」
以降オリ設定含みます。ご留意をば……魔界とか魔族についての設定……詳しいとこまで分からんのじゃ……!