地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい 作:抹茶好きの紅茶
荒れ果てた大地、異臭を放つスラム。夢か、はたまた走馬灯か。私は、この景色を知っている。
私は転生者だ。転生前は、何処にでもいる普通の……まあ、よくいるオタク気質のヤツだった。特段コレといった夢もなく、流されるように就職し、毎日毎日同じことの繰り返し。
そんな私の楽しみは様々だったが……私にとって、原点にして頂点というべき作品はドラゴンボールだった。児童館にあった漫画で文字を覚え、その絵を、物語を目に焼き付けていたのだ。
ゲーム、漫画、アニメ。様々なパラレル、多種多様な物語。私はドラゴンボールが大好きだった。
ともあれ、そんな人生もドラゴンボール超銀河パトロールのアニメ化を楽しみにしていたところで、ポックリと逝ったワケだが。
そんで、気がつけば赤ん坊になっていた。
当然困惑した。出せぬ声で助けを求めた。しかし、無情にも助けてくれる人は現れなかった。
比較的冷静になって周囲を見渡せば、人間の他にも獣人やトカゲ人間などが居ることに気がついた。初めの内は "わぁ、ファンタジー世界だあ……" なんて思ったが、その勘違いは直ぐに正された。地面に落ちていたエイジ415年と書かれた新聞紙、見覚えのあるフォルムの獣人。私は──私は、この世界を知っていた。そこはドラゴンボールの世界だったのだ。
最初こそ戸惑ったものの、そういうものだと自分を納得させた。その直後、えもいえぬ高揚感が全身を駆け巡った。気功波、岩山を砕く肉体、自由自在に空を駆ける技。それを私が扱えるかもしれない。
一言で表すならば──私はワクワクした。
しかし、何もかもが上手くいく訳ではなかった。私が生まれ育った場所は、お世辞にも良い環境とは言えないところだったから。犯罪が当たり前のように横行し、悲鳴が絶えないその場所で、私はずっと独りだった。
生誕直後は記憶になく、私の面倒を見る親は存在しなかった。赤ん坊の身体をなんとか動かし、出来ないながらも体内の気を練り動かす。常に腹を空かしながらも、私はなんとか生き延びていた。生きるためにゴミを漁ったし、町外れの森で獰猛な生物を相手に戦いもした。
なんで私がこんな目に。そう思わない日は無かったが……それでも、私は精一杯生き延びた。
やがて人里から離れ、フラフラと放浪を繰り返す日々。幼少のあれこれで人間に対して恐怖心を覚えるようになったし、人と喋らなさすぎて無口キャラみたく口調も変化した。考え方も、時が経つにつれて変わっていった……筈、多分。精神が肉体に引っ張られて若干幼くなった気もしなくもないが────
ともあれ、それでも、それでも尚、私はこの世界に魅了され続けていたし、意思は変わらなかった。
強くなりたい。誰にも負けないほど──そして、そんな存在になって尚、この世界は上がある。そんな奴らと、思う存分ぶつかりあって、心行くまで戦いたい。
人によっては私を狂人扱いするだろう。なんでわざわざ痛い目にあうのだと嘲笑するだろう。私は戦闘民族ではない、特異的な力もない。転生体は、インフレに取り残される種族の代名詞、地球人だ。ただ──それでも、私は、憧憬に突き動かされるがまま愚直に強くなろうとしている。
第2の生は、己が欲求に正直に生きていたい。
それが、私のこの世界での目的だった。
暗闇に沈む意識の中、近くで話し声のような音が聞こえてきた。聞こえ──あれ、私まだ生きてる?それとも、あの世だろうか?
「──全く、ダーブラ王は何を考えているのやら。この副大魔王である
「そういうご命令ですし、仕方ないでしょう。ともあれ、大魔王ともあろう者が軽々と外の世界へ行き、魔界へ人間を連れてくるとは」
「フンッ、ダーブラ王も変わられたな」
待て。待て待て待て。その声スッゴい聞き覚えがある。つーか結構最近に見たぞ……は? え、なんで?
困惑のまま、狸寝入りを続ける。多分、というか十中八九。ここは────
「やはり、どうにかして大魔王の座から退いて貰う必要がありますね。どうでしょう、次期大魔王
「それはいい! しかし、事故といってもどうする。ダーブラ王を殺すのは至難の技だぞ」
──大魔界だ。そして会話しているのはデゲスとゴマー……DAIMAじゃねーか!
というか、いいのだろうか……ダーブラ存命中なのにそんな会話して。
「それならば、破壊神を利用するのはどうでしょうか」
「は、破壊神をだとぉ!? だっ、駄目だ駄目だ!」
あ、いるの破壊神!?えぇ、うーん……原作、GT、映画、スーパー、未来、ドラゴンボールはパラレルが多い。この世界はどういう──
喧しい会話に耳を傾けながら、周囲を気で探る。どうやら私は大きな建造物にいるらしい。建物内には兵士と思われる人が散見され、全員結構強い。けど、まあ、うん。私よりは弱いな兵士達。しかし、すぐ近くのゴマーや少し離れた場所にいるダーブラは超強い。デゲスは……強いけど、うん。まあ、なんだろ、さっきダーブラと戦ったからか微妙に感じる。
「しかし、それ以外ですと方法が……」
「うーむ……そうだ、ダーブラ王には仲の良い妹が居ただろう」
「え? ああ、トワ様ですね」
ゼノバァーースッ!?いや、オンライン……って、そこは重要じゃない。ヒーローズかもしれないからね。いやそういうことでもない!
脳内でパニックを起こして人格が分裂してしまったが、どうにかして平静さを保つ。
「どうだ、人質にするというのは」
「……上手くいきますかね。それに、彼女は優秀な科学者です。なんでも、製作したボディーガードが常に彼女の身を守っているとか。そのうえ彼女自身にも優れた魔法技術もあるようですし、人質にするのは至難かと」
「むぅ。となると、やはり魔のサードアイを見つける他無いのか……!」
あ、やっぱあるんだね、サードアイ──しかし、どうしたものか。完全に起きるタイミングを失ってしまった……どうやらダーブラが此方に近づいてきてるし、そろそろ起きないと不味いよな。
「そうですね。しかしいずれにせよ、この調子ではダーブラ王の時代は終わります。そして、ゆくゆくは大魔王──キング・ゴマーが、この大魔界の王に!」
「ふふふ、ふははははは!」
「──あの」
「「い"っ!?」」
瞼を開き、身体を起こす。目の前に居たモヒカンヘアーの青年と、プライド・トルーパーズの隊服みたいな格好をしたちんちくりんの奴がギョッとした表情で此方を見ていた。
「きっ、貴様! いつから起きて……!」
「くっ、不味いですよゴマー様、どうにかして始末しないと」
「分かっている! だがダーブラ王からはコイツの世話をしろとのご命令だ! もし殺しでもしたらその時は……」
なんかコミカルに焦っているようだが、どうやら2人とも勘違いをしているようだ。だって私は2人を助けるべく話し掛けたのだから。だって──
「後ろ」
「なに? 後ろだ──と……ッだ、だだだ、ダーブラ王ー!?」
──近づいてきてんだもん、ダーブラ王。
私が後ろに視線を送れば、2人ともそれを追うように振り向き……ダーブラの姿を見て慌てながらも即座に片膝をついて頭を下げる。面白ぇなコイツら。
もし私が声をかけずに暗躍計画の話がヒートアップしていれば、ダーブラに気づかずポロッと暗殺計画とか話して彼らは粛清されていただろう。
ここで彼らが死んでしまうのは不味い。いや不味くはないかもだが、私が原因の一端になるのは避けたい。それに弱みが握れたしな。もし今ダーブラに殺されそうになった時はせめて道連れにしてやる。
「フッ、よい。用があるのは貴様だ」
「……はい」
寝かされていたベッドから地面へと降り立ち、即座に正座をする。片膝だろうが正座だろうが、ダーブラなら何時でも私を殺せるだろう。だからこそ、せめて印象だけは良くしておきたい。
「……不躾ながら、質問、いいですか」
「なんだ、言ってみろ」
「なんで、私を、生かしたの。……でしょうか」
うん。これが一番の疑問だ。それが分かれば、どういう行動をすれば良いのかも分かる。此方が頭を下げて問えば、ダーブラはわりとフランクに答えてくれた。
「なに、使えん部下が消えたのでな。穴埋めに部下を増やそうと思っただけのこと」
「私を、部下に?」
ダーブラは私の言葉に頷く。えぇ、大魔王自ら動く理由だろうか、ソレ。今回の件、例えるなら2人の尖兵がやられたからって、軍のトップが出てくるようなものだぞ。刻むだろ、普通もっと、段階を。というか部下って、そもそも私は人間なのだが。
「あの。私、人間……」
「──なんだ、気付いていないのか。貴様には、魔族の血が流れているのだぞ」
な、なんだってー!?
ジャンジャカ☆ジャ~ン♪
今明かされる衝撃の真実ゥ!
尚タイトル