地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい   作:抹茶好きの紅茶

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ネライ

 

 ……し……しらなかった……この私が魔族の血を引いていたとは………確かに、そう言われてみれば、耳は尖っていたし、肌も若干水色がかっていた。どおりで皆とちょっと違うかなーーって……い、いやいや。これじゃあ、まるで私が鈍感みたいじゃないか!ほ、ほら!人間の他にも獣人とかモンスター型地球人とか三つ目とか色々といるから、これぐらい普通かなーって……あ、そういえば──

 

「…………魔族って、無性じゃないの」

 

「種族によるな。無性も魔法を使えば孕ませることも、産むことも可能だ。余程の物好きしかやらんがな。確か、あの星は地球と言ったな? 貴様は魔族にルーツを持った地球人との雑種というわけだ」

 

 な、るほど……ハッ、まさか私を殺さなかったのは、私の祖先にいた魔族とダーブラ王に関係があったとかだろうか。それならば私が攻撃したというのに殺されていない現状にある程度の納得が出来る。

 

「……私の親、知ってる?」

 

「知らんな。私は貴様の特異的な技術に興味が湧いただけだ」

 

 違ったわ。うーん、特異的な技術か……何だろう。私は別に頭を光らせて目眩まししたり、4人に分裂したり、催眠術をかけたりなんて芸当は出来ないが……ダーブラほどの奴が興味を持つ技術なんて──

 

「たしか、貴様に分かる言葉では "気" だったか。それを操作する卓越した技術。その技術の応用で、敵を探すことも、己が力を隠すことも可能だと聞く。そのうえ、この私を相手に耐え続けた戦闘技術、幼き身でこれ程の強さ。野放しにしておくには惜しいと思ってな。あの星の近くで用事を済ませたついでに立ち寄ったまでだ」

 

 あ、はい。そういえば気の操作って宇宙スケールでみても珍しいんだったか。なる程なぁ……というか、私が幼いか……50歳が幼い判定か。いやまあ確かに、数千年単位を生きる彼らにとっては、それこそ赤ん坊ほどではあるのだろうが。

 にしても、ダーブラってもっと悪い奴じゃなかったか?あれかなあ、バビディに洗脳されて悪心を増幅させられてたとかだろうか?はたまた私が魔族だから──いや、目の前の奴は、そんなお優しいタマではないな。

 ダーブラの狙いはなんだ?部下にしたいからといって、ダーブラが直接出向くほど私が優れているとは思えない。わざわざ私を生かした理由は……一先ず、そこら辺聞き出しながら、この場を切り抜けることの出来る良い案が思い付くまで適当な話題で時間を稼ごう。

 

「……意外。魔族は、力はひけらかすものだとばかり」

 

「フン、確かに他の追随を許さぬほどの圧倒的な力は存分に見せつけてやれば良い。だが、時に油断は強者を鈍らせる。それこそ、このような行為一つで下克上も可能だ」

 

 そう語ったダーブラはペッと唾をベッドへ飛ばす。すると、ベッドはみるみる内に石へと変わった。

 うん、クッソ怖い。戦闘中に然り気無く吐かれた唾液に当たったら、そのまま石になってしまうのだ。戦闘力が開きすぎていると、こういった能力は効かないジンクスがあるとはいえ、それは上位レベルの話。

 それこそ気を抑えた状態で油断を誘い、当たれば必殺のソレをやれば、ある程度の強者であっても一溜りもないだろう。

 

「貴様は幼き身でありながら憲兵以上の強さにして、その特異的な能力を持ち得ている。順当に成長すれば大魔界でも有数の実力者になれるだろう」

 

 あー、はいはい。成る程ね。大方、あと数百年も鍛え続ければ、自分にとって従順な強者の完成……とでも思っているんだろう。圧倒的な強さを見せつけ、恩と恐怖で縛り、絶対に裏切らない強き部下をつくりあげる。多分こういうことなんだろうな。

 

「どうだ、その力を磨きながら私の下で働かないか?」

 

 さて、どうやら時間稼ぎは終了だそうだ。どうしたものか……これからの選択によっては、ワンチャンZ戦士達と敵対するルートになりかねない。考えろ。相手は大魔界の王、地獄へ送られれば喜ぶような悪い奴。まず断ったら間違いなく殺されるのを念頭に、どうにかして──

 

「無論、仕事に応じて褒美も用意しよう。娯楽も、食事も、好きなものを求めると良い」

 

「──食事?」

 

 ピクッと無意識に耳が動く。まっ、待て待て、そんなモノに釣られてどうする。子供じゃあるまいし……いや、それにしても飯か……当たり前だが、魔界の飯というのは食べたことが無かったな……

 

「私の命令に素直に従うというのならばな。魔界には外の世界とは比べ物にならん程の美食がある。無論、相応の働きは求めるが……貴様が食を求めるというのならば、用意させよう」

 

 再び無意識のまま耳が揺れ動く。美食……美食か。べ、別にダーブラの部下になったからといって、私が悟空達に敵対するとは限らないよな。うんうん、それにダーブラはバビディに洗脳されてしまうんだ。それまでの辛抱だと思えば……いっ、いやいや、考え直せ私!そんな食につられるほどお前はマヌケじゃなかったろう。落ち着け、前世を思い出せ。こういう上手い話には決まって裏がある。もしかしたら超ドブラック勤務になるかもしれな──

 

「どうだ、3食寝床つき週休完全2日というのは」

 

「ダーブラ王に忠誠を誓います!」

 

 

 

 


 

 

 

 大魔王ダーブラは苦悩していた。

 

 己は魔界の王である。魔法に優れ、誰も並び立つことの無い圧倒的なパワーを持った者であると自負している。

 

 クラーケン?ギガス?別に石化さえ出来れば簡単に勝てる。出来ずとも遠距離から魔法で攻撃し続けいればいずれ殺せるだろう、多分。

 タマガミ?……知らん、あんな奴らは管轄外だ。実際、勝つこと自体は可能だろうが、拮抗した勝利など己のメンツに関わる。

 

 ともあれ、己は偉大な王である。魔界には自身の立派な像が建ち、全ての魔族は己に従う。完璧にして究極の王である。

 

 だがそんな偉大なる王にも、悩みはある。

 

 まず、ゴマーとデゲス。優秀ではあるのだが、変なところで抜けている。

 己は優れた聴力を持っている。だからこそ、自分を陥れようとする暗躍計画はよく聞こえてくる。あーでもない、こーでもないと話し合う声がしっかりと聞こえるのだ。アリンス共々、まさかその野心がバレていないとでも思っているのだろうか。

 

 あと冗談でも破壊神はよせ、本当によしてくれ。

 

 アレは駄目だ、理内の生命体ではない。そういう舞台装置と考えた方が精神衛生上良いだろう。

 

 ただ、そんなんでも、一応の実力はある。仕事も安心して任せられる程度には出来る人材だ──でなければ疾うに殺している。だからこそ副大魔王という地位を与えたのだから。

 

 魔のサードアイや破壊神といった不穏な単語に胃を痛めつつも、許容範囲と寛大すぎる心で許……許し──なんとか、許していた。

 

 

 次に、我が最愛の妹であるトワ。

 

 トワは優秀すぎる科学者であり、最近は人造人間の製造に力を入れているようだ。満足のいく結果になるまで少なく見積もって500年以上は掛かるらしいが……まあ、好きなようにすればいいだろう。

 しかし、製造と平行で時間移動の術についても研究をしているという情報が入ってきた。時間の移動や歴史の改編。それは神々の世界における重罪であり、最悪の場合には破壊神が直々に手を下しに来るそうだ。

 己は強い。破壊神を相手に戦える──などと自惚れるほど馬鹿ではない。

 暗黒魔界復活のため動いてくれているのは嬉しく思う一方、もしバレれば存在そのものを破壊されてしまうだろう。それは何としてでも避けたい。

 

 

 

 とまあ他にも色々悩みはあるが……目下の問題は全くもって使えぬゴミ共──部下達についてだ。

 

 最近、もしトワの研究がバレた際に身を隠せる場所を探すべく様々な星々へ部下を偵察に行かせている……のだが。

 

 収穫はなく、むしろ私の仕事が増えただけだった。

 

 "測定した結果、録な奴らが居なかったので全員殺してきました!" ではない!勝手に殺すな、原住民。何のための偵察だと思っている!

 はぁ、これでも他と比べればマシな部類……いや、これも普通に粛清対象だが、他は使えぬクズばかり。

 あまつさえ、このダーブラの名を出した挙げ句アッサリと返り討ちにあうなど……!憤怒など既に通りすぎた。それはダーブラの名に唾を吐く行為に他ならず、もし生き延びたのなら死すら生ぬるい永劫の生き地獄を味あわせている。

 

 全く、無駄な仕事を増やしおって、最近の魔界を出る大半の理由はそうしたクズ共の粛清と後始末になっているほどだ。

 

 そもそも全くもって部下共が使えん。

 栽培マン以下の戦闘能力しか持ちえんゴミ共が……仕事の一つすら満足にこなせんのか。徴税についてもそうだ、此方が定めたことを現場の判断で勝手に変えおって……!

 私は豪傑にして極悪な大魔王ダーブラである──が、民に対して悪印象を与えるのは求めていない。圧政を敷いたとて長期的にみればデメリットしかないだろうことは明らかだ。

 

 部下で有用と言えるのは──それこそゴマーやデゲス。トワにアリンス、憲兵特戦隊……それでも全員なにかしら問題を抱えておる。

 特戦隊は──仕事の意識さえ変われば文句がないのだがな……

 

 こめかみを押さえながら椅子に座り考える。このままでは暗黒魔界の復活はおろか、その前に心労で倒れかねん。そこで考え付いたのは、信頼できる優秀な部下の育成であった。幼きながらに優秀な者を見つけ出し、圧倒的な力の差を理解させ、育成し、恩を売る。

 これだ!育て上げた者に部下の統制を行わせれば、この現状も幾分かマシになるだろう。そうとなれば、早速大魔界に住む魔族の幼子のデータを収集──したのだが、結論からいうと、そう優秀な者は居なかった。育成計画は序盤も序盤でアッサリと水泡に帰したのだ。

 

「む、コイツは──」

 

 裏でそのような事を行っている最中、連絡の途絶えた部下の記録を確認していれば、目を引く者が居た。

 そこは地球という惑星だ。確か魔道士ビビディとやらが封じた魔人ブウが存在すると聞いたが、原住民は雑魚ばかり。取るに足らぬ星だと気に留めてすらいなかったのだが……測定に向かわせた部下はアッサリと返り討ちに遭いおった。

 使えぬ部下ではあるものの、一応は戦闘能力のある魔族である。原住民に負けるとは情けない……が、問題は打ち負かした相手だ。

 尖った耳──間違いない。純粋なソレとは違うようだが、確かにソイツは魔族であった。それも幼子の……フハハハ、これは運が良い。力の使い方も完璧に近い……今は雑魚だが、育て上げれば優秀な戦士になるだろう。

 

 それはただの偶然か、はたまた()()()によって誘導された運命か。

 

 斯くして、ダーブラは他の部下がやらかした後始末の序でに、地球へと足を運んだわけである。

 

 






 肉体に精神が引っ張られるってよくある話。
 それはそれとしてチョロいなコイツ……
 次回はガッツリ戦闘になる筈です──多分!
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