地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい   作:抹茶好きの紅茶

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 若干のゴア描写注意


キュウジツ

 

 

 やっちまった……ま、まあ仕方がない。どのみち、あの場は断ることが出来なかったのだ。むしろ相手に私が飯に釣られるぐらいチョロい奴だと思わせる事が出来たと考えればプラス。そう、プラスなのだ。言い訳染みた思考だが──決して!己の幼稚な判断を思い返して、夜中顔から火が出るほど悶えた気持ちを誤魔化す為、なんて事は無い。無いったらないのだ。

 

 ともあれ。そうして私はダーブラ王の部下になり、おおよそ2年の月日が経った。振られる仕事は様々だが、主に管理や計算を任されている。

 

 領収書や請求書の整理に現金出納帳への記帳。日々の入出金管理や給与計算、経費などのまとめ。勤怠管理・調整などのちょっとした人事とか人手の足りない部署の手伝いや資源管理に備品管理etc…………

 

 ────大魔界ってもうちょっと原始的じゃありませんでした!?ダーブラ王直属の部下って扱いの所為で大事な仕事頼まれるし、ストレスで禿げそう。

 最初の頃はデゲスやゴマー達から仕事を教えてもらっていたから良かったものの、今では1人で任されることも多くなった。

 

 やることが……やることが多い……!!

 

 あ と さ ぁ !

 

 憲兵も研究員も色々と適当すぎね!?備品管理を有耶無耶で済ますんじゃない!財政状態とかキチンと記録しろマジで……!

 

 はぁ、はぁ、はぁ……!このままじゃ肉体よりも先に精神が死にそう……!何故私はドラゴンボールの世界に転生してまで真面目に仕事をしているんだ。修行させろ修行!

 

 

 

「──栽培マンの種、30粒、頂戴」

 

 栽培マン。それは魔界発祥の植物……生物?である。その種は、埋めれば地面から戦闘力1000程度の戦士が育ち生まれるもの。大半はコルド大王との取引で大魔界から姿を消すのだが、そんな出来事は未来の話。今であれば栽培マンの種を買い放題だ。

 以前までは治安向上を兼ねてトロルの集団を相手にしていたが、狩り続けた所為か激減してしまったようだ。これでは鍛練相手が居らずに腕が鈍ってしまう。そういう訳で、私はその栽培マンを修行相手に適していると考え、売場へと足を運んだのだ。目の前の店主は、何故かは分からないが少し狼狽えながら対応してくれた。

 

「へ、へい。それにしても、今時栽培マンの種をお望みとは珍しいですね。何処か攻め込みたい星でも見つけたんですかい?」

 

「……修行相手」

 

「シュギョウ? よく分かりませんが、取り扱いには気ぃつけてくださいね」

 

 勿論だ。栽培マンを相手にして油断すれば即死するとか、警戒しない方がおかしい。溶解液とかもあるので、何だかんだ使い捨て戦士としては侮れない強さではある。

 

 

 

 いつもの休日。そこは第2魔界の、誰も寄り付かない森の中。ここの土ならば良い栽培マンが育つらしい──私は此方に敵対する命令を込めながら栽培マンの種を10粒埋める。今の私の戦闘力は3万ほど……50年鍛え続けてこの程度と嘆くべきか、はたまたナメック星編の序盤ベジータ以上と喜ぶべきか。だがまあ、戦闘力1000程度でも力を抑えた状態で10体の栽培マンを相手に戦えば修行にはなるだろう。

 

「ゲッギャッギャ」「ギャッギャ!」「ケケケケケ」「ギギャギャギャギャ!」

 

 付属の液体を垂らし待っていると、種を埋めた土が膨れ上がり、地中から()()()()()()栽培マンが10体出てきた──あれ?

 まっ、待て待て待て待て待て!色々と言いたいが栽培マンって緑色じゃ……しかも灰色の奴、緑の4倍ぐらい強い!?

 

 灰色の4体、黒色3体、ピンク1体に緑2体──あんの店主、栽培マン以外の種も混ぜたな!?ええい適当な仕事しおってからに……!

 し、しかしだ。私の戦闘力は3万、栽培マン相手に遅れを取るなど────

 

「ゲッギャッ!」「ギャギャッ!」「キーー!」

 

「っ、あぶ、な、い!?」

 

 栽培マン達は私を知覚するなり直ぐ様戦闘態勢へと変わる。抱き付こうとしてきた2体の緑色栽培マンを気弾で吹き飛ばし、飛来する溶解液の塊3つを避け、接近戦を仕掛けてきた灰色2体を相手取る。3体の黒色栽培マンは此方をジッと見つめるだけで動こうとしないな……隙を伺っているのか?

 

 なんにせよ、一体一体着実に潰していかねば。

 

「──ゲッ」「ギャァ!?」

 

「まず、2体──プラス1」

 

「キッ!?」

 

 一先ず邪魔な2体の緑色栽培マンを気功波で跡形もなく蒸発させる。すまない、元はお前を相手にするつもりだったがそういう訳にもいかなくなった。隙つかれて自爆されると困るのだ、服が消し飛ぶから。

 その後、近くで仲間がアッサリとやられた事で動揺していたピンクへ距離を詰め、ゼロ距離で気弾を当て放つ。残すは灰色4体に黒色3体。

 

「ギッ、ギャギャギャア!」「ギャギャギャギャ!」

 

 灰色は分が悪いと思ったのか、後退しながら気弾を此方へ乱射する。へぇ、栽培マンってグミ撃ち出来るんだ。なんて呑気に思いながら飛んできた気弾を避け、弾き、相殺し、気で全身を守りながら真正面で受けつつ栽培マンの元へ歩みを進める。そうして拳を灰色の栽培マンへ繰り出せば────栽培マンが分裂した。

 

「は?」

 

「ギッギッギ!」「ゲギャギャギャ!」「ギャギャー!」

 

 うっそぉ!?増えたぁ!?

 

 灰色の栽培マン4体其々が分裂し、計8体で此方へ攻撃を仕掛けてきたのだ。拳、蹴り、組み付きを往なし、溶解液を避け、四方八方から飛来する気功波を相殺する。少し慌てたものの、この程度ならばと避けることに集中する。

 気を体内で練り上げ、一点に集中させる。それを、全身から解放すればどうなるか──

 

「ギャッ──」「ギ──」「ゲ──」

 

「レイジング・ブラスト」

 

 やっていることはシンプルだ。自身を中心に気を全方位へと放出し、爆発させる。気のバリヤーを張り忘れると自分まで巻き込まれるから、そこだけは注意だなこの技。

 

「よし。あと、3た──ぇ?」

 

 気を辿って残る3体へ目を向け……驚愕する。確かに、先程までは緑色の栽培マンと大して変わらぬ気の大きさだったのに、今では私の75%ほどの強さへと変化している。

 

 何より驚いたのは、その姿だ。

 

 尖った耳、水色がかった肌、整った容姿に変わらぬ表情、少し濁った半目。そこに居たのは中性的な風貌の若者だ。もはや栽培マンの面影すらないソレらは死んだ眼を此方へと向けている。

 

「……誰」

 

「サァ、アナタのテキ。っテ、トこロ」

 

「変な喋り方」

 

 ──あ、分かった!コピーマンだコイツ!

 確かサイヤ人伝説ってゲームに出てきた変身する敵キャラ……だった筈。ゼノバースとかでも栽培マンの色違いで出てたっけな。

 つまりコイツら私に化けたのか……えぇー、そんな死んだ目してないって。ちょっと変身下手じゃない?私は笑顔を絶やさぬというのに──なんにせよ、敵だなてめー。

 

「フッ!」

 

「ッ!? カハッ──」

 

 瞬時に距離を詰めて反撃を許さぬ速さで重たい一撃を腹へ喰らわせる。身体は宙へ浮き、相手の口から液体が漏れるが気にせず攻撃を続ける。もっとも、相手も素直に受けてくれるわけじゃない。気功波や殴打、蹴りや貫手。急所も平然と狙ってくるな……本当に、私の戦い方を真似しているようだ。なればこそ、対処は容易。

 

「「タぁ──なァッ!?」」

「──ガッ」

 

「周り、見よ。知能低いね」

 

 後ろから襲い掛かる2人の攻撃を誘導し、避けることでソレをもう1人へと当てる。肉体的なダメージも期待できるが、本質は精神的な揺さぶりだ。

 

 ある程度の知能を持った敵ならば有効な手であるため、使えるのに使わない選択肢はない。この行為で一瞬の隙がつくれた。その隙をつき、2人の攻撃を受けた奴の心臓へ貫手を繰り出す。

 

「ァ、ぇあ"……」

 

 なんだ、私の身体ってわりとアッサリ貫通するんだな。生暖かい感触に嫌悪感を覚えつつ、即座に抜いて気功波で跡形もなく消し去る。まずは1体。仲間がやられて呆然としていた2人の方へ振り向き、嘲笑気味に鼻を鳴らして声を掛ける。

 

「どーも。手助け、ありがと」

 

「キさマァ!」「ッ外道ガ!」

 

 うん。我ながら流石にドン引きの所業ではある。でも戦闘力2万超えの奴を3体一気に相手取るとか厄介この上ないので……あと、逃した時を考えるとヤバい。私の姿で好き勝手やられたら流石に困る。

 

 激情した2人はそのまま此方へ攻撃を仕掛けてくるものの、随分と単調だ。これならば、避けも反撃も容易い。

 

「ギッ!?」

 

 瞬間上昇で見失わせたところをスレッジハンマーで頭を叩き割る。再び姿が残らぬよう、そのまま気弾で消し飛ばす。これで残すは1体。これならば逃げられる心配もないし、修行相手として真正面から戦ってくれると有りがたいが。

 

「さいごは──」

 

「ぁ……ァァア……」

 

 駄目だな、怯えきっている。流石に良心が痛むが──あ、逃げた。

 

「ストレートレイ」

 

「ァ──」

 

 うん。集団戦闘での動き方は学べた……が、それはそれとしてコレジャナイ感が拭えない。今度からはコピーマンと一対一で勝負しよう。自分の弱点も見つけられるし、現時点でこれほど良い修行相手はそう居ないだろうから。

 

「ん、んーー……ふぅ」

 

 軽く全身を伸ばし、一息つく。少しお腹が減ってきたし、運動後の食事をしておこう。大魔界の飯って美味しいんだけど見た目がなぁ──

 

 

 

 

 

 

 

「おいデゲス! アッサリとやられたぞ!?」

 

「まさか、コピーマンがあんなに……少しホオズキを甘く見ていましたね」

 

 円形に映像が映し出される部屋の中で、2人の魔族が話し合う。正面に映し出された栽培マンとの戦闘風景を流しながら、彼らは暗躍を続けていた。

 

 事の発端はダーブラ王が外の世界からホオズキと名乗る魔族を連れてきたからだ。高々50の幼子がダーブラ王の部下となった。ここまでは百歩譲って良しとしよう──だが、アイツは思いの外優秀だったのだ。面倒な仕事を的確にこなし、ミスも少ない。忠誠心も高くダーブラ王が気に入るのも早かった。そのうえ向上心もあるときた。このまま成長してゆけば、自分の地位を脅かしかねない……しかも!此方がダーブラ王に反逆しかねないという情報を奴は握っている!まずい、本当にまずい……

 

「ホオズキにコピーマンをあてがえば勝手に自滅してくれるんじゃ無かったのか!」

 

「す、すみません。事前にホオズキへ複数戦闘に対しての関心を高め、栽培マンを勧めたまでは良かったのですが……まさか苦戦すらしないとは」

 

 売場を紹介し、店主にジンコウマンやコピーマンなどを混ぜるよう指示したのはデゲスだ。

 しかし、デゲスの知るよしもないが、命令を受けた店主は負い目を感じていた。ホオズキは此処2年で治安向上に努めていた。どのような理由があったかは住民達の知るところではないが、実際に助けられた者も多い。そんな彼/彼女を陥れるような事はしたくなかったのだ。しかし、命令は命令。逆らえば殺されてしまう。

 よって、30粒の中に混ぜたコピーマンは4粒だけだった──まあ、運悪く10粒中3粒がコピーマンだったわけだが。そんなことはデゲスもゴマーも店主の知るところではない。

 

「ぐぬぬ……どうにかしないと手のつけようが無くなるぞ」

 

「そうですね。このままでは時期大魔王にホオズキが選ばれてしまいますよ」

 

「そう思うのなら早く次の手を考えろー!」

 

「は、はい!」

 

 

 暗躍は続く────そんなことは露知らず、ホオズキは "ハンバーガー美味しい" なんて思いのまま呑気に食事を続けていた。

 

 

 

 





 もう食事に毒混ぜろよ。
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