地球人と魔族の混血はサイヤ人を超えたい 作:抹茶好きの紅茶
お待たせしました。
お待たせしすぎたのかもしれません()
「──はっ」
軽く力を貯め、エネルギー波を放つ。
ただ、それだけの行為。
なのにも関わらず、私の掌からは濃紫の極大な光線が放たれ、魔術で生み出したカッチン鋼を包み込んだ。その光芒が霧散すれば、直線上に抉れた地面のみが目に映る。
その様子を後ろから眺めていたピバラという名のヤードラット星人は、どこか満足げに頷きながら私に声を掛けた。
「──うん。君のスピリットのコントロール能力は素晴らしいものとなった。まだ教えられることはあるのだけれど……コルド軍の台頭で色々と物騒になってきた。徐々に活動範囲を広げているようだし、我々も脅威に備えなければならない」
「ん。大丈夫、充分。いままで、ありがとう……ございました。くれぐれも、気をつけて」
「こちらこそ。実に退屈しない日々だった。また宇宙が平和になった頃、暇になったらいつでも遊びに来なさい」
「うん。お世話に、なりました」
わざわざ見送りにきてくれたヤードラット星人達に対して深くお辞儀をし、額に2本指を当てて微かな気を探る。記憶している方角と大体の位置を便りに、なんとか小さな気が集まっている場所を見つけ、体得した瞬間移動で懐かしき星へと帰還するのだった。
現在はエイジ700。
大魔界で日々労働し、長期休暇を取得しては宇宙でのグルメツアーを楽しみながらヤードラット星で修行をする。
繰り返して、繰り返して。もうそろそろ、私も300歳である。流石に生前の記憶は断片的なモノになり、細かい記憶は消えかかっているが……まあ、さもありなんだ。
ヤードラット星では主にスピリットのコントロール──すなわち、気の操作をより洗練したものにする修行をした。精神力を鍛え、気の操作の応用で多種多様な特殊能力を会得。瞬間移動、増殖、巨大化、スピリットの強制分離、治癒etc……ふふふ、我ながら凄く頑張った。もう誰にも負ける気がしない!私は究極のパワーを手に入れたのだー!
……なんてことはなく。
事実として、確かに強くはなった。それこそダーブラ王と戦闘が成立するぐらいには。
しかし、強大な力を持てば油断が生まれ、その全能感から慢心する*1。私も一時期は調子に乗りまくってたので、人のことを強くは言えないのが痛いところだ。
そんな天狗になっていた鼻をへし折って正気に戻れたのは、現在から約50年ほど前。ある星が "破壊" される場面を目撃してからだ。必死に気配を消して隠れていたが……恐らくは気づかれていただろう。取るに足らぬ存在とみなされ放置されたのだ。
それは理外の存在、機嫌を損ねれば次の瞬間には破壊される恐怖。遠目に一目見ただけで身体が硬直し、汗が止まらない。勝つ勝てないの話ではない、そもそも勝負の土俵にすら上がれない。
その時点で私は悟った──慢心、よくない!
精神的余裕があるのは良いことだが、有りすぎるのも困ったものである。そんなわけで、己と向き合うことを心掛けることとなった。
それはそれとして……目標は出来た。あんな存在に、追い付きたい。追い越したい。アレといつか闘えるかもしれないと思うと──怖い以上にワクワクするのだ。
そんなことを思い返しながら、懐かしき故郷である地球へ瞬間移動を使ってワープする。無論、魔術で姿を消した状態でだ。流石に人口密集地で瞬間移動をしては騒ぎになる。突如現れ消えるなんてのは、もはや怪異の類いであるのだから──いや、地球人にとって魔族って一応物の怪の類いではあるのか?
閑話休題。
ともあれ、飯である。ふっふっふ……大魔界、そして宇宙中のグルメを味わっている私だが、やはり地球の飯は別格だ。この星以上に美味しい料理に溢れている場所を私は未だ知らない。
もう家畜や作物を持ち帰って育てようかとも考えたが、どうやら大魔界の土地には適さないとのこと。第2魔界でワンチャンいけるかどうか、だそうだ。コストを考えて渋々断念した。
「ん、おいしい」
焼き鮭入りのお握りを頬張りながら、思わずそう呟く。うーむ、やはりコスト面を度外視してでも育てるべきかもしれない。口いっぱいに飯を詰め込みながら、綺麗な満月が浮かぶ星空を見上げて考える。いやはや、夜空を眺めながらのピクニックも実に乙なものだ……ん?
「──流れ星?」
漠然と眺めていた夜空に、美しく輝く一筋の光が走る。
いやぁ、運良く美しい光景を見れた。花より団子派の私だが、こういうのを見て食べる飯もまた格別…………うん、流れ星にしては随分と持続が長いな。それに、なんか徐々に大きく──流れ星は流れ星でも隕石じゃねーか!
「あっぶな……!」
魔術で食事を早急に仕舞い、少し離れた場所まで退避する。丁度行動を終えた瞬間、辺りに轟音が鳴り響き、爆心地には大きなクレーターが出来る。
危ないな全く、ここが郊外でなければ大惨事に────
「……え?」
私はクレーターの中心地を食い入るように見る。
それは丸窓のついた白い球体だった。
私はソレを知っている。
粗失われた知識の中でも鮮明に。
「マジか」
アタックボール、小型宇宙船。言い方は様々だが、一番有名であろう名称が脳内で音声再生される。
それは、一人用のポッドであった。
気を探れば、微弱なものの、少し邪悪な気を知覚する。強さ的に言えば一般的な地球人のおおよそ6倍程だろうか。
訝しげに一人用のポッドを眺めていると……扉?が開き、機体から飛び出た茶色の尻尾がゆらりと揺れる。
あまりの衝撃に呆然として硬直する。
感動からではない。驚きからではない。
上記も4割程はあるだろうが、それ以上に私は焦っていた。
これ、カカロット襲来したのでは? と。
まあ待て待て待て、落ち着こう。まず原作開始はエイジ何年だったか──覚えてるわけないだろそんなこと! こちとら300歳だぞ!
尻尾が見えてからコンマ数秒ほど思考で焦りまくっていれば、中からヨタヨタと這い出てくる──服を着ていない黒髪の "赤ん坊の女の子"
…………は? え? ん? あ? えっと……うん?
瞬間的に記憶の奥底まで遡る。原作にも、銀河パトロール ジャコにも『孫悟空』以外に地球へ送り込まれたサイヤ人は存在しない。
そのうえ、女性のサイヤ人なんて稀な存在、そう忘れはしない……と、思う……のだが。
記憶にあるのはセリパとギネ。アニオリのモブ。第6宇宙のカリフラとケール……あー、超のブロリーにもモブが登場していたか? あとはアバターぐらいだろうか。
OVA、アニオリ、ゲームオリジナル、映画、小説、外伝漫画、CM。考えうる可能性を探るが、残念ながら思い付かない。忘れてしまったか、それとも私が死んだ後に新展開が起こったか。あまり考えたくはないが、AFとかマルチバース含めた2次創作とかもあり得るか……いや、そこまで考えたら切りがないな。
ともかく、事実として──たった今、戦闘民族サイヤ人が地球に降り立った。
「あ」
「……はじめまして?」
そして、私と彼女の目があった。
思わず挨拶をしてしまったが、赤ん坊に言葉が通じるのだろうか。うぅむ、せめてもう少し大きければ意志疎通を不十分なく行えるのだろうが……そんな風に困り果てていれば、赤ん坊の視線が私から外れ、直後に様子が変わった。
「……ぁ、ぁ、アアオオ……!」
「? ──あ」
つられて振り向けば、視線の先には真ん丸のお月様が……しまった。
私が視線をひとたび離しただけで、赤ん坊の体躯はあっという間に私を越す。
「グオオオーン!」
耳をつんざくような咆哮。
たった60cm程だった身長は、おおよそ8mほどに変化し、その全身は焦茶色の体毛に包まれる。感動すら覚えるその見た目、理性を失った大猿が、鋭い牙を剥き出しに、深紅の瞳を此方へ向けてきた。大猿は目の前の私を敵と認識したのか、直ぐに口から光線を放出する。
「グオオオー! ──ガッ!?」
書き消す必要はない。体内に気を巡らせ、気と魔術で大地や服などを守る。ただそれだけで、私を害することはおろか、目の前の大猿は石っころ一つ破壊することが出来なくなった。
「オオオオオーン!」
どうやら完全に理性を飛ばした訳ではないようで、エネルギー弾が効かないと理解した大猿はその巨躯を使って大振りの攻撃を仕掛けてきた。
これといった技術のない直線的な叩き。避けるまでもなく、指1本で対処する。
当然の結果だ。武器を持っていない地球人の6倍……いいとこ戦闘力20ぐらいだろう。大猿に変身して戦闘力を200にしようが、今の私にとっては誤差である。
「グオォオオオオオ!」
理性は失われ、ただ目の前の私に対して咆哮を上げながら必死に攻撃を繰り出し続ける。うーん、理性を取り戻してくれることを期待したが、どうやらソレは無さそうだ。
そうと分かれば魔術で大猿の身体を拘束して夜が明けるまで……いや、こうしてみるか。
「……よっと」
「────!?」
魔術でブルーツ波を遮断する。すると、みるみる内に大猿は縮小して元の赤ん坊へと戻った……即興でやってみたが、本当に出来るとは。
あれだけ暴れていたのに、今は寝息を立てている。全く呑気なものだ。
魔術で服を着せて……草の上に寝かせるというのもアレなので布団を用意。其処に寝かせて上布団を被せる。
ふぅ、とりあえずは一段落か。
目を閉じて腕を組み、空中で胡座をかく。さて──
「……どうしよ」
精一杯取り繕った澄まし顔をしながら、滝のような冷や汗を流し呟いた。
脳内で流れた実際の音声「一人用のポッドでかあ?」
この先の展開について
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サイヤ人周りをしっかりやる
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色々カットして早めに原作へ
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作者にお任せ