GW明け、所により暑くなる中……。
皆様、心身共に健康にはお気をつけて。
当作、これブルアカじゃなくても良くね? とならないよう、原作の展開や環境、登場人物に配慮したいです。
「金はスタンバった。 後は実働だが」
さても砂漠化阻止計画は始まった。
ネフティスを主軸とした資金援助を受けたカイザーPMCと、ハイランダー鉄道学園が共同で防砂堤を建設する。
普通に壁を建造しろというツッコミもあるだろうが、こじつける為に多少はね?
列車砲を装備するという軍事的な建前があるからPMCが関われるし、学園側は自治区拡大チャンスとなる線路敷設だからこそ参入できる。
あと他人の金で特注車と特殊路線の試験ができるという旨味も追加で。
が、物が物だけに下準備から大変だった。
先ず何もかも巨大で特注品なので、製造コストや資材運搬コストが半端なく、金だけでなく時間や運搬ルートに苦悩する羽目になった。
「コストも時間も馬鹿にならんよなぁ」
ワシ、展開に悩む。
特注レールや車両は大きな工場じゃないと製造できず、いざアビドスに運搬となっても、今度は特殊ダイヤで他の通勤車両が乱れ、本数が減り、収益が減少する事が予想された。
交通機関を利用する人達に、その原因を追及されたり、路線を頻繁に走る部品が人の目に晒される事で、シェマタの存在に勘づく者も出てしまうかも知れない。
公道をトレーラーで走るなんてのは、もっと難しい。 解体しても物がデカく量があり、大通りしか走れないとか、曲がり角を曲がれない、曲がれてもリスクがあったり。
できても長距離を何百往復以上する事になるかも分からず、燃料代や市民の迷惑、ドライバーの負担がデカ過ぎるし、関与しているハイランダーへの不満も出まくる。
他自治区を横断する場合は、その都度にそこを管理する高校に運搬物の提示、許可証、更には通行料を求められる可能性があり、そしてやはり多くの人の目にも晒され、訝しまれる。
そして全てのブツはアビドスに通ずとなれば、土地へのヘイトが高まる。
しかも悪徳企業カイザーPMCが牛耳る地ではないか、何か悪さをしている間違いないと短絡的に勘繰るのがヒトカスの情だ。
そしてアビドスについて調べる者が爆増、本社にクレームが殺到、発掘作業やシェマタの存在がバレていき、ワシの降格ルートが着々と着工からのバッドエンド竣工かたまげたなぁ……。
未来で起きる出来事にも影響が及ぶだろう。
ビジョン的に……来年辺りのミレニアムの会長となる調月リオや、特異現象捜査部長の明星ヒマリにバレたらアプローチしてくる可能性も無しにあらず。
オーパーツへの興味本位だけでなく、古代キヴォトス人の危険な遺産、世界を脅かす危険物を処理したいという意味で解体しようとしてくるはず。
シェマタに関しては、もろゲヘナ絡みであり、万魔殿のマコトと風紀委員会のヒナが雷帝憎しと徹底的に破壊しに来る筈だ。
どちらも消すという共通点があるが、ワシとしては困る。 モノにしたい云々よりも、ゲマトリア、特に地下生活者の思考誘導なるチートや、無名の司祭とかいう旧キヴォトス系と思われる謎の存在が暗躍しそうで怖い。
シャーレの先生が生徒を率いながら、シッテムの箱で解決に乗り出してくれるだろうという期待もあるが……先生にもバッドエンドルートがチラチラしておるからなぁ。
ビジョンで見えた通り生存ルート展開になってくれた方が良い、さもなくばワシもキヴォトスごとバッドエンドよ。
事象を変えずに結果を変える、という事になるとしても、キーアイテムとなる本船やシェマタはビジョンの時間軸で発見された方が都合が良いだろう。
閑話休題。
とにかく特殊環状線を敷設するに辺り、発生が予想されるコストや機密漏洩。
これらを解決する為に、早速金のチカラを使用してやった。
なんて事はない、アビドスに工場を作るのだ。
運ぶ手間があるなら、運ばなければ良いじゃない。 その為には現場に製作所や整備施設があれば良い。
よくある話に思えるが、その手は土地や金の問題で中々図れない。 だが有り余るアビドスの空き地と資金援助を受けた今、それらが可能だ!
そうすれば運び込むのは資材だけで済むし、完成したレールや列車の運搬距離を大幅に短縮、人様に晒す時間を減らせる。
世間から謗りを受ける事はなく、交通支障や情報を探られる割合も少なくなるだろう。
それに、製造した後にレストアやマイナーチェンジ、整備といった必要事項が発生するのは目に見えておる。
その時、それらが行える工場が地元にあった方が現場も事務所も大助かりよ。
モノがモノだけに馬鹿でかい施設が必要になるが、それでもアビドスなら問題ない。
必要な土地の利権の殆どは、ワシらカイザーが保有しておるし、敷地を用意するのは難しく無い。
そんな訳で。
「工場は製造だけでなく、操車場や整備、路線管制など必要な要素を盛りまくれ!」
ワシはハイランダーと協議を重ね、製造整備施設、従業員や管制室などを複合した巨大な操車場を建設した!
結局それらも必要になるなら、今のうちに建造してしまえというワケだぁ!
人口流入で、空き地が変動するからな。 早くしないと新規建設が困難になるのもある。
レールの時点から何もかも巨大建築となるので、ワシはPMCとは別に兼任しておる建設業……カイザーコンストラクションを呼び寄せ、突貫工事をさせてやる。
なぁに、普段からブラック精神論を装備した悪の企業戦士だ。
やればできる、無理は嘘付きの言葉だと戦い抜いてくれたぞ。
鉄道に必要な専門的な部分はハイランダーと共同だが、お陰で鉄道学園の中枢を集約した街の様相、副都心的な規模に仕上がった。
もう本校といえるのではないだろうか、これにはCCCもニッコリだろう。
砂漠化の波が押し寄せる、将来不安な立地だが、こんな立派な施設、いや、街を砂に沈めたくなければ一層奮起するというもの。
「さぁ諸君、本番はここからだぞ……」
まだまだスタートライン。
並行して植林作業や簡易的な防砂堤、太陽光発電所の建設がされてもいるが。
先が長い、長過ぎる。
ホシノが在学中に成果を出せるのかコレ?
何も成果を得られませんでしたーッ! ってオチは嫌だなぁ……発掘以外の余計な事をしたのが原因で降格ってのも面白くない、他の社員に笑われそう……。
そりゃあ、ワシの本来の仕事はオーパーツ、旧キヴォトスの巨大演算装置、本船の発掘であるが?
それさえ出来て、プレジデントからの命令が無ければさっさとアビドスから離れようと思っていたが?
ビジョンに浮かんだ、来年に起きるオーパーツ絡みの事件に巻き込まれる前に撤退するのが安牌かもだが?
ここまで来たらロマン、完成品を見たいのよ。
いやだって……ねぇ?
ウォールトレインのド迫力、見たい。
見たくない?
意図せずにワシ、金儲け以外の楽しみを見つけた気分ゾ。
「この緊張、高揚感。 愛、いや少し違うな」
青春か? これが。
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「うへぇ、アビドス砂漠と市街地の境界にハイランダーの街が出来てるよぉ」
「元々入学予定だった学園だけに、私としても……複雑です」
「んっ、金属部品が沢山。 換金出来そう」
「駄目だからねシロコちゃん!?」
一夜城、とまでは言わないが、突然できたハイランダーの巨大操車場、複合施設に戸惑いを隠せないホシノたち。
ノノミとしては、元々の入学先だっただけに後ろめたさがあるし、シロコから見れば銀行の次くらいには狩場に思えた。
規模からして基地、いや、街である。
巨大レールや車両を製造できる工業地帯があり、資材を運び込む為の貨物路線も敷設されている。
従業員の為の集合団地、彼等を相手に商売をする駅ビルもあり、ある程度自己完結、生活できる環境となっていた。
「ハイランダーはカイザーと組んで、何をしているんだろうね?」
「コンストラクションが関わったようですが、他にも砂漠側に植林したり防砂堤を造っています」
「でもこの辺を支配するカイザーPMC理事は悪者だって聞いた。 きっと裏があるはず」
「私たちや住民を油断させようとしているって? あり得るね、奴らは汚いから。 ユメ先輩だって、カイザーなんかに……」
ホシノは唇を怒りで振るわせ、拳を握る。
大切な人が悪徳企業に行ってしまった。 それがアビドスや自分を守る為の犠牲だと思っているからこそ、カイザーが隙を見せたら1発喰らわせて、鼻を明かしてやると考えてもいた。
「もしかしたら、ユメ先輩が手を回していて、アビドスの復興(復校)を手助けしているとか?」
「ユメ先輩って、実は凄い人?」
「無い無い、それは無いよ君たち〜? ユメ先輩は優しいけど、頼りないからね。 一緒に過ごしてきた私が言うんだから、間違いないよぉ?」
「そこは信頼してるですね……」
「んっ……ユメ先輩、強く生きて」
ユメの話になり静かな怒り顔から一点、うへへと笑いながら先輩をディスるホシノ。
それだけの信頼感と舐められ振りを察し、後輩2人は苦笑と閉目で返すのだった……。