偽生徒会長のテーマ名、レプリカだとか?
複製品……音楽用語では反復?
aoharuの模造品…偽会長の存在を残酷に表しているのかも知れない……。
でも偽会長は今のところ憎めない感もあり。
ロボトーチャンな感じになるのか? とも予想される方もいる中……。
さてもFOX小隊の続き……の前に再び黒服。
なんで情報漏洩を意図的に起こして敵でしかないSRTをアビドスに呼ぼうとしてんだテメー(要略)となります。
それを理事、誤魔化します。相変わらずガバガバ理論を展開。
「敢えて情報を流し、敵といえるSRTの生徒を招く理由について説明を求めます、先生」
アポ無しで、部屋に忽然と現れたはゲマトリアのスーツマン……黒服。
久々の再会に喜びも何もなく、黒服はただ淡々とお尋ねする。
口調や声の揚々は一切変わらない。 不快に感じさせない対外的な対応は、一見すると私情を挟まない合理性を纏っている。
しかしその声色はどこか学べる喜びを享受しようとする姿勢が見て取れた。
現に彼は言った。 先生、と。 ともすれば今の黒服はビジネスマンではなく1人の生徒といえよう。
いつかのように高尚な考えの下、暁のホルスを確保し、己をも昇華させる術を行使しているのでは、と暗に探り、しかし分からず、直接教えを説いて欲しいとせがんでいるのである。
「分からぬか」
だが理事は慌てない。 当然の訪問に苦言を申すでもなく、落ち着いた態度で語り始めた。
「SRTは連邦生徒会長麾下の学園、彼女達は会長の目であり手である。 延いてはアビドスの状況を報告する事となるのだ」
「それに何の意味がおありで? キヴォトスの最高権力者に知られては、益々都合が悪くなるかに思えますが」
当然の疑問を投げかける。
何故、高校も市街地も安定した今、後は黙々と発掘作業やビナー対策をすれば良いのに、新たに問題事を持ち込もうとするのか?
何故、情報を漏らし、自ら崇高に至る道を閉ざす真似をするのか?
何故、ここまでして最高権力者の息が掛かった者共をアビドスに誘うのか?
何故、何故、何故……と。
黒服が理事の真意を探る為、疑問を投げ続ける。 理事は説明を続けた。 予めそう決まっていたかのように。
「確かに、アビドスは安定した。 市民が戻り高校が黒字化し、漸く自ら治安維持や内政を行えるまでに回復した。 だがこのままでも困るのだよ」
「と、いいますと?」
「効果があるか不明な砂漠化対策……その出資元は我がカイザー含む企業。 故にいつまでも利益の無い真似はしない、地方の高校の言う事を聞くなんて以ての外。 もし途中で撤退すればアビドスは忽ち衰退、神秘の器は霞んでいく事になるだろう。 だが連邦生徒会はそうではない、地方自治体の大元の行政が、アビドスの復興具合に可能性を見出したならば……?」
「なるほど。 生徒……神秘同士、より自己完結となるよう仕向け、やがて企業が撤退しても器が保たれるようにする保険でしたか」
黒服は学ぶ。 神秘の自己完結の重要性を。
神秘同士の結束力。 それは以前、理事より学んだ事柄であった。
故に知識の上に知識が積み重なって結びつき、理解を早める事が出来た黒服は、そうか成程と頷きを繰り返した。
今までは企業のテコ入れで、ホルスの器であるアビドスは辛うじて保たれた。
しかし、企業とは既得権益しか持たない側面や、それ以前に利益を追及するもの。
対価に見合うだけの成果が上がらなければ、人であれ土地であれ切り捨てる冷血な面もある。
もし切り捨てられたなら、忽ち経済基盤は崩壊、アビドスは再び砂に埋もれていき、輝かしい神秘も同様の運命を辿るであろう。
何より企業とは神秘とは無関係な不純物だ。
ワインに1滴の泥が入ったらソレは泥だと言う者がいるように、企業がアビドスを支える限り、崇高の素材であるホルスは純粋無垢、純然たる存在とは言えないとする解釈もできた。
だが今企業がいなくなっては、神秘は忽ちぐずぐずに崩れてしまう。
その代わりが、置換作業が必要不可欠だ。
それを理事は見事絵に描いてくださったのだ。
そう。 連邦生徒会だ。
キヴォトスを統括管理する連邦生徒会は企業ではない。 神秘を携えた生徒でのみ構成され運営される、純粋なキヴォトス由来の存在といえる。
この連邦生徒会は、基本的には各自地区に内政を任せているものの、要請があれば、その権力でもってして干渉、支援が可能だ。
その権限の有無は、SRTの捜査権を見てくれたら分かるだろう。
理事はそこまでお考えの上だったとは。
恐れ入るばかりだ。 そんな理事の話は続く。
「生徒同士で自己完結できるなら、それに越した事はない。 だが経済基盤は存続させねばならん。 これは完全に棲み分けができるようにする自立支援、その一環なのだよ……連邦生徒会も、常に人員や予算に苦しんでおるが、アビドスでそれらを確保できるとなれば、例え猫の手であれ求めてくる筈だ……連中、青臭い正義感だけの塊でもないしな」
「確かに。 インダストリー社の弾道サーモバリック弾の件は、連邦生徒会役員が絡んでいますからね」
SRTは、連邦生徒会の呼水として使う様だ。
リスキーではあるが、上手く行けばリターンはある。 それもまた企業らしい思考か。
「なんなら、他所の神秘同士が干渉し合う事で、今より昇華し、更なる輝きを出す可能性も否定はできん。 その実験も兼ねている」
「なるほど……更なる昇華の為でもありましたか。 お恥ずかしながら、またもリスクの面だけに目を向け、新たな学びを逃すところでした」
改めてカイザー理事には恐れ入るばかりだ。
だがまだ話は終わらない。 理事は畳み掛けるように、カイザーとしてではなく、己の立ち位置についても語り聞かせてくれた。
「ワシ個人としても、これらの流れには意味がある。 カイザーという組織での立場もさる事ながらな」
「是非お聞かせ願いたい」
「連邦生徒会はキヴォトスの統括管理をする組織。 そしてここの議員は各自地区より選出された生徒により構成されている……今回の件が上手くいき、アビドスの名をめでたくできれば、我がカイザーの息が掛かったアビドス生徒を中枢に送り込む事もできよう」
「……! ゆくゆくは理事自らが頂点に?」
「それはゲマトリアとしてもキヴォトスとしても許されぬ事だ。 というより面倒になりそうで御免だ。 不純物が中枢にまで入れば、発作でタワーが世界ごと倒れかねんだろう」
流石に身の丈は弁える、といったところか。
これで肯定していたら、黒服は他のゲマトリアと共に警戒心を露わにしたかも知れない。
「クックックッ……相変わらず恐ろしい方です」
「いい加減に縁を切るかね?」
「とんでもない……改めて、貴方が理解者であり探究者である事を嬉しく思います」
不敵に笑む理事。
黒服は恐れ畏まり、感嘆した。
これからも彼より学び、願わくば崇高へ導いてくれるパイオニアとなってくれる事を切に願う。
「ではまたお会いしましょう、先生」
そして今日もこの名を、貴方に送ろう。
───────────────────
「あっぶねええええええッッ!!?」
ワシ、絶叫! 悶絶! Re.理事危機一髪!
ビジネスマンのナリしてアポ無しとかよぉ!?
なんか部屋に戻ったら、クックックッと笑いながら出迎えてくるとかホラー過ぎるわバーカ!?
そしてワシ、またもホラ吹きまくって、よくもまぁよくも、また黒服が勝手に深読みして帰ってくれて助かったわ本当に。
できるなら、縁を切って欲しいんだけど。
そこまでは都合良くいかなかったが……てか先生ってなんだよ、ワシの役割じゃねぇからそれ。 シャーレの役割よソレ。
「フ、フハハハ! だが危機は去った!」
黒服の言い回し的に、アビドスが企業の力なしで自立出来るまで気長に待つ、という捉え方もできる。
そうなると、ホシノを騙して実験台にする真似もしなくなるかも知れん。
なんならワシやシャーレに協力的に!?
「よぉし! この調子でSRTを……」
……フゥ〜……。
やべぇ。 一難去ってまた一難。
出迎えの準備、考えてなかったわ。