他の作者様の書き方等を参考にしつつ。
企業撤退後、或いは経済基盤衰退に備えた策……それは連邦生徒会にアビドスの押し付け……じゃなかった、受け継ぎをして貰うというものだ。
いつまでも生徒の青春に汚い大人が居座り続けていたら、クッソ汚くなるだろう。
例えるなら、百合の間に野獣がいるようなものではないか。
とにかく、汚い泥水から純水に戻す為の濾過作業が必要だ。
その濾過器が悪意と金、思惑の闇鍋という層で構成されていようと、空の下は明るくあるべきである。
その為にSRTを呼水とし……というのは、咄嗟に思い付いた言い訳で、実際には「ホルスをぶつけたらどうなるかなぁワクワク!」というしょうもない理由だったが、まぁ、全くの的外れでもない。
そんなSRTにはアビドスに「良い世、来い世!」しているものの、確実性が無い。
サーモバリック弾の有無の調査で、諜報員は不良に混じって潜入してくるだろうが、罠と分かっていながら渦中に飛び込んでくる夏の虫はおらなんだ。
なのでワシは予定通り、連邦生徒会の防衛室周りに連絡を入れておいた。
事態が大ごとになれば、この件に関わった役員が処罰される。 折角のキャリアにケチが入るのを忌避する者は多い、ソイツらを脅して協力させる形である。
そうして連邦生徒会の動き、考えを逐一ワシに報告させ、先回り出来そうな情報に対応するという訳だ。
とはいえ、SRTに直接命令を下せるのは実質連邦生徒会長のみであり、同時に情報漏洩防止となり隠密性も高い。
一般役員が、いや、防衛室長であってもSRTの作戦行動を把握するのは困難だ。
それに超人と目されるキヴォトスの頂点が、果たしてホイホイと地方の砂漠に逝って来いと言うだろうか?
答えは"NO"である。
だがインダストリー第2工場での出来事は、確実に上に通達されたのは間違いない。
敢えて情報を漏洩させ、アビドスに誘い込もうとする意図を会長は勘繰り、今も模索しているであろう。
そこに下手人本人であるワシが手紙を寄越したら、果たしてどうなるのか。
それも「対ビナー用としてのサーモバリック弾の使用許可願い」という旨の。
使用日時も詳細に設定。 更に透明性を主張する為として、クロノス報道部にも情報をバラ撒き。 お互い逃げられん土俵を作っておいた。
こうすれば、大量の書類の山にワシの手紙が埋もれようと、クロノスがワイワイと液晶越しに騒ぎ立て、嫌でも連邦全体に伝播するからな。
ペンは剣よりも強し……!
……本当ならば、あまり思想だ政治だと黒い話を、連邦生徒会とはいえしたくはないし、拗れそうだからそもそもするべきではないが。
汚い大人の汚れ仕事とは、こういう浄化作業も含まれるのではなかろうか?
下水処理、整備、ゴミ捨てや焼却。
それら仕事は必ず発生するが、誰がやる?
誰かがやらなければならない。
誰かが汚れ役を買って出て、この世は……キヴォトスとて回るのだ。
もっと良い方法もあったかも知れん。
だがサーモバリック弾の件を公に正当化させ、特例として認めさせつつ、連邦生徒会をアビドスにアピールする即席の手として、今はコレが限界……。
「くっ、ワシも老いたな」
もし上手くいったとて、今度は来年の会長失踪に伴う連邦生徒会の形骸化の回避、或いは被害の波及を防ぐ手段を考えねばならん。
繋がる以上、大なり小なり喰らうからな。
その前にアビドス高校を仲介としたカイザーが介入し、自治区更生法の制定、明確化の土台、支援体制を作っておく。 エデン条約のようにな。
だが金や人員は表向きはアビドスからの出資という事にしておく。
すると限られた金や人員の取り合いで、各部署が活性化する。 それらに伴い、多校視点を纏める組織がより重要視されてくる。
連邦生徒会の権威復活だ。
そう上手くいかぬだろうが……。
この件は連邦生徒会長への手紙に混ぜておる。
そして将来的な投資として、アビドスを是非にとな。
「青空の下、青春を送る生徒の為。 大人が責任を果たし、あるべき世界を守る。 ただしあるがままではならん、結束力を高める為には、分かりやすい悪役が必要なのだ……」
カイザーPMC理事は、アビドスの復興に力を入れていた事で、一部生徒の間では有名人でした
分かりやすい悪として憎まれ役を演じ続け、生徒達の信頼と結束力、そこから繋がる自立性の確保に貢献してくれたのです
ただ理想を語るのではなく、その為に至る戦略的な計画を立てた上で、堅実な成果を出し続けた事が、企業と生徒の双方から信頼され、愛された理由でもあります
今に思えば、シャーレ創設の理念を体現した……非公認の、もう1人の「先生」といえるかも知れません
──【砂漠への誘い】カイザーPMC理事の軌跡【アビドス特集号/連邦生徒会長へのインタビュー記事より抜粋】──