沢山のお気に入り登録、評価ありがとうございます。突然の事に大変驚いたと共に、とても嬉しい気持ちです。
生徒が運営するメディアの1つであるクロノスは、アビドスの歴史や、カイザーPMC理事による復興、砂漠に現れる謎の大蛇ロボットなビナーの存在、それらを現地市民がどう思っているのか等のインタビューをし、時間を潰していた。
ここまでは想定通りだ。
アビドスの栄枯必衰、そして今の復興事業による息の吹き返しがキヴォトス中に知らされ、知名度を上げてくれる。
復興に手を貸している我がカイザーPMCの覚えも良くなるだろう。
同様にハイランダー鉄道学園や、他の大手企業が参入している為に不必要に不審がられず、スポンサーの枠にネフティスの名前がチラチラしているのも信頼の担保として機能してくれている。
アビドス高校の生徒となった元不良達も、居場所を作ってくれたPMCには好意的な反応を示してくれているのもデカかった。
そして本題。
ズバリ、サーモバリック使用はアリかナシか?
市街地に出現したら途方も無い被害が出るから、その前にドカンと駆除する───これに関し、ワシの予想通り市民や生徒の大半が賛成!
計画通り……!(ニチャァ……)
SRT、会長聞こえたぁ? これからサーモバリック弾使っちゃいまーす!
とは問屋が卸さず。
一部では懐疑的な意見が出てしまった。
それは想定していた条例違反の件ではなく、ビナーとPMCの関係についてだ。
今のところ市街地にビナーが現れたという報告は無く、寧ろ奴の縄張りである砂漠に進出しているPMC側に問題があるのではないか───と、実に痛い所を突かれてしまったのだ。
そもそもPMCは砂漠でナニを発掘しているのか、その不透明性への疑惑も議題の俎上にあげている。
ワシの考えがガバ穴ダディだったわ……。
いつから全市民やメディアが味方だと勘違いしていた?
いや、反対する者の出現は想定していたが、意見の多様性を見落としておったわ。
諸君の中には、ワシのガバ理論に手放しで喜ばず、こうなる事を予期した者もいるだろう。
賛成が多数派であれば、少数派の反対意見は握り潰せる。 よくある話だ。 取り立てて騒ぐ話ではない。
民主主義に少数派の意見の尊重というのがあるようだが……紛糾した議会にて、最終的に取られる手段に多数決が採用されているのが良い例ではないか?
そして戦いは数だよ兄貴というように、同じ意見が多い側こそ勝者。 それも実際の戦闘と異なり、武器装備や頭の良さに関係なく、文字通り頭数で勘定されるのも良い。
その数の暴力で気に入らん反対派を捩じ伏せるのが、今回ワシが思う「正義」だ……!
その点、連邦生徒会もだな。 議員数を多く排出できれば、その分地元が有利になる。 同じ意見となる味方がいる訳だからな。
多数決はキヴォトスでも有効。 合理的な手段として、認められているというワケだぁ!
だからこそ、ワシは勝ったなガハハと余裕をかましてしまった。
ところがコレ、極稀ながら大逆転劇が起きる可能性を孕んでいるのだ。
その1つが、正義/正論パンチである。
SRTの道徳/倫理観に訴えた青臭い演説をされて……という話ではないぞ。
ごもっともな一石を投じられるという話だ。
見落とされている矛盾の指摘や、科学的根拠に基づいた理論武装をされると、一転して皆が手の平クルクルする場合がある。
今回の場合は前者だな。
ふぅ〜。
勘の良いガキは嫌いだよ。
(ドス効かせボイス)
本当面倒臭ェマジで。
このままでは愚民共が「た、確かに……」と気づき始め、伝染病のように次々と伝播し、悪いのはビナーじゃなくカイザーじゃねと恩を仇で返す行為を始めてしまう。
そうなればワシの計画はパァ!
SRTもニッコリの堂々攻略が始まり、降格ルート再構築どころか、解雇ルート一直線……!
そうなってくると黒服が契約違反だと黒い笑みで責めてきて、ゲマトリアの実験台にされるという、ビジョンより酷いバッドエンドルートも有り得る!
一方、くっさい正義の所為で企業はアビドスから撤退、同地は再び荒廃、砂の下へサヨナラだ。
そうなっても連邦生徒会は兎も角、SRTは正義を執行出来た事に満足して、無責任に離脱するだけ。
全く、どっちが本当の正義かな?(白目)
その延長線で、ナニ掘ってるかバレるのもプレジデント的にアウト。
勿論馬鹿正直に言うつもりはないが、発覚リスクを高めた事に変わりない。
いやぁ自ら墓穴を掘るとはたまげたなぁ。
黒服相手にはどうにかなっても、今度は愚民をどうにかせにゃならんとは。
勿論、やべぇよやべぇよと対応させて頂いた。
「アカン、このままじゃ
この手は直ぐに手を打たねば厄介だからな。
声明、お気持ち表明を出しておいた。
先ずビナーだが、詳細不明な事を良い事に、それってあなたの感想ですよね? 縄張りから絶対出ないなんて、なんかそういうデータあるんですか? と誤魔化し、奴の不必要にデカいボディと火力の危険性は変わらないのと、市街地へ来る可能性が微レ存でもある限り、駆除は妥当するんじゃないかなと思いますと述べておいた。
で、穴掘りの方は、砂嵐で埋もれた旧市街地や遺跡の調査、対ビナー用の震度計の設置だと誤魔化した。
資源採掘と言わなかったのは、他の企業や生徒が首を突っ込んできたり、そこからアビドス砂漠にその手は無いのが即バレしそうだからだ。 既にバイト戦士も多く関わっているしな。
幸いなのは、雷帝絡みのシェマタの存在がバレなかった事だろう。
キヴォトスを震撼させた雷帝の遺産となれば、ビナーそっちのけで大騒ぎとなり、生徒も大人も関係なく欲しがってくるのが予想された。
プレジデントがキヴォトスで圧倒的優位性を確保するべく、本船を欲しがっているように、他の連中も似たり寄ったりな思考で求めてくるのだ……おお剣呑乱世。
これに関してはハイランダー鉄道学園、理事会直属の管理室の管理監督官……我がPMCに所属していた事もある、逸れ者な朝霧スオウ辺りが情報漏洩を意図的に起こす雰囲気があったが、杞憂に終わったか。
といっても、スオウはよく分からん生徒だからな……ネフティスとも繋がりがあるらしく、ノノミの護衛を予定していたらしいが。
その当人がハイランダーではなくアビドスに行ってしまった為に、仕事がおじゃんになったようだ。
その怨み嫉みで、アビドスを滅茶苦茶にしてやろうという思考からか、ビジョンで見えた気がしただけに警戒したのだがな。
そもそも、アビドスを「滅茶苦茶にしてやる!」という支離滅裂な破滅思考も、元ゲマトリアの地下生活者による思考誘導によるものであり、彼女本来の姿ではなかった。
……本当、よく分からん奴だ。 故に今後も警戒対象だな。
まぁ彼女個人の意志はさておき、ハイランダーとしてはシェマタの情報は隠したい筈だ。
わざわざアビドスで事業を展開しているのも、その為にやっている節がある。
お互い、陰ながら尽力した事だろう……有難い話よな。 向こうからすればPMC理事が情報漏洩のリスクを高めて「ナニヤッてんだお前ェ!」であろうけど。
「終わり良ければ全てヨシ!」
現場猫案件で片付ければ、なんくるないさ。
最も、サーモバリック弾を実際に使用するまで油断大敵であるがね。
そうとも諸君。 本当の戦いはこれからだぞ……!