降格回避√カイザーの野望   作:ハヤモ

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前書き
あまり評判が良くない?スオウを出そうかと。
キャラ崩壊注意(今更感

討論は実際にあったとされるもの等を参考にしていますが、当作に合わせるに当たり、支離滅裂になっていないか不安もあり
指摘はやんわりお願いします(甘え


討論会/『安全』の盾

 

 

「───ではパブリックコメントを開始します。 アビドスの代表者、壇上へ」

 

「はい……えー……『前触れもなく、突然に防砂堤が禁止されました。 このままでは町は砂漠に呑まれ、市民と生徒の生活が失われます。 撤回を求めます』」

 

 

───ホシノ生徒会長は今すぐショットガンをブッパしたい激情を抑えながら、アビドス代表として壇上に起立する。

カンニングペーパーを見ながら言うシンプルな訴えは、知恵が無いなりに後輩達と共に一生懸命に考えたものだった。

 

稚拙で感情的で切実な、中身の無いコメント。

それが今のアビドスのレベルを表していた。

それを聞いた安全顧問は「これなら楽勝だろw」と冷笑を浮かべる。

 

この様子では素人目に見ても、アビドスが勝つのは難しいと思うだろう。

賭けならば、誰もアビドス側にベットしないような、負け戦の状態だ。

 

最も、相手がアビドス高校だけなら、という前提付きであるが。

 

 

 

今回の件を巡り、アビドス高校とハイランダー鉄道学園は、出資企業の後押しを受けて防砂堤車の禁止を不当だと反発。

大人達老人会……安全協会を共同で訴えた。

 

対して協会、地域説明会では安全政策顧問を招き抗戦の構えをとった。

自分達の方針の正当性を専門家に語らせ、現地市民や生徒を黙らせる為だ。

 

この流れに連邦生徒会は反応。

調停室を出張らせ公聴会場を用意、今に至る。

 

調停室は本来、自治区間の紛争を解決するのが仕事であり、こうした揉め事は内政干渉になるからとか言い訳して無視していたであろう。

しかし今回、親身になろうとしているアビドス、特にカイザーPMC社を目先の小遣い程度で敵に回しやがった馬鹿な身内……交通室が絡む以上、無関係ではいられなかった。

 

最悪、除名や降格処分をして室長と賛同者を追放、尻尾切り、瀉血をして、連邦生徒会は無関係だと主張する気ではある。

しかし、代わりの室長に次長のアユムを任命するとしても、他の議員を用意する手間があるし、それら母校への説明や追及、信用を下げる通知をする面倒があるので、ここは何とか「まぁまぁ」と穏便に収め、外野に責任を投げて不祥事を隠そうと調整を試みていた。

 

が、どういう訳か情報をお漏らし。

既に一部メディアが事件や汚職の腐敗臭を嗅ぎつけているので、それも難しくなってきてしまう。

今や昼夜問わず、専門家でもなしに我が物顔で自論を語る者が溢れ返り、ネットニュースのコメントでは不毛な論争を繰り広げている「コメントの中の戦争」状態だ。

 

……そう世間が注目するように仕向けた下手人がいるのですが、誰でしょうか?

 

 

 

そうだね。 ワシ(カイザーPMC理事)だね!

 

 

 

身内で処理、隠蔽しようだなんて。

汚い生徒や大人はゆ"る"さ"ん"!!

(特大ブーメラン定期)

 

サーモバリックの時同様、世間に情報をバラマキリーク、怪我した時の傷口が広がるように仕向けてやったわ。

連邦生徒会内には、ワシらへの協力者もおるからな、余程の機密情報じゃなきゃ、内情を大凡知れる。

 

防砂堤自体は対岸の火事、あまり世間の注目は浴びれないだろうが、ある事無い事出鱈目の屁理屈を捏ね回し、町や生徒を潰そうとする悪い大人の図は正義厨の恰好の的よ。

 

その上で、連邦生徒会というキヴォトスの最高権力の動きも監視に晒される。

身内に甘い対応なんてしたら、即叩かれよう。

レッドウィンター連邦学園の革命家御一行様もニッコリの闘争運動勃発案件だ。

 

そして今、ワシは形式ばかりの三文芝居である、公聴会の傾聴席にいる。

ホシノたちアビドスに社会勉強させるべく、敢えて企業は後ろ盾。

まぁ決定的な証拠を掴んでいるので、それを出せば1発KO勝ちであるから問題は無い。

必要なのは、ホシノたちが感情論や銃弾だけでは解決出来ない事に気付き、向き合い方を知る事だ。

 

結果が見えた勝負なんて詰まらんが、見方によっては愉快な寸劇よ。

ポップコーンを持ち込めたら、食いながら視聴しとったわ。 そしてクライマックス、絶望に歪んだ老犬共の感情をフィナーレにワシはニチャァと笑い、ご飯3杯は頂く。

 

ホシノがんばれー(棒読み)。

ワシの隣近所の席にはアビドス市民もいれば、ユメもいて、なんならノノミの親……ネフティスもいるからなぁ?

気分は娘の学芸会、その応援かな?

 

 

「では方針の説明を。 安全政策顧問、お願いします」

 

「先ず前提を確認させて下さい。 対象車両は安全基準を満たしていません。

類似する車両による衝突実験でも、運転手や乗客は重度の損傷を負う結果です。

しかし我々が強調したいのは車両の話ではありません。 市街地に隣接する以上、企業や学校だけの場所ではありません。

そこに暮らす善良な歩行者、子供、その親達、これこそ町全体に関わり、最も優先されるべき事項でしょう。

故に社会全体の安全基準が必要なのです。 我々はその義務を果たしただけです。

当協会のプラクティスはキヴォトス全体で採用されています」

 

「───どうしよう理事さん。 あの人の言っていること、間違ってないように聞こえるよぉ」

 

 

ワシの隣で、涙目のままに狼狽えるユメ。

まぁコレはユメでなくてもそうだろう。 現にホシノや随伴者のノノミは何とか反撃の言葉を模索する表情になっとる。

シロコと舎弟の不良なんて論外で、頭にハテナが無数に飛び交って首を傾げとる始末。

 

 

「案ずるな。 奴ら老人会のボケに過ぎんよ」

 

「ツッコミがいるの?」

 

「まぁ見とれ。 お前もこの際に学ぶが良い」

 

 

ワシが顎で指す方向。

ホシノの後方で、冷静沈着な表情のまま佇む、軍服のようなコートを羽織る生徒達がいる。

手には答弁用の書類。 戦場慣れした雰囲気だ。

その内の1人に眼帯をかけた生徒、スオウもいて、どこか近寄り難い雰囲気さえあった。

 

 

「あの生徒さんたちは?」

 

「ハイランダー鉄道学園、理事会直属の管理室、その管理監督官。 数多の自治区を突っ切る線路を管理する以上、行政問題に慣れた連中が出張ってきたんだろう。 あの眼帯をしている奴はスオウって奴だ。 我が社にも属していた経歴があるが、奴に関してはネフティスの方が詳しい……そうですな?」

 

 

振り返った席にいる、和服の老犬に話を振る。

ノノミの親的な存在の彼は、皺に比例するように安定感のある声で返す。

 

 

「左様。 彼女にはノノミの護衛を任せる予定であったが、都合で急遽予定を変更してな。 今は管理室に入って貰い、アビドスを中心に仕事をしている。 それが結果的にノノミを守る事にもなり、彼女自身、アビドスへの執着を大なり小なり満たせるのもある」

 

「そういう事だ。 ハイランダーはネフティスと懇意の仲、彼女の実力も高い。 推薦もあれば、幹部になるのは可能だろう」

 

 

そう解釈しても謎だらけだがな。

PMCや護衛の仕事を出来るくらいには強いのだろうし、推薦前提の幹部待遇だとしても、それ相応の事務能力も備えているのが考えられる。

だが、アビドスに執着する理由や、ノノミとの関係は不明点が多いのよな、考えるだけ無駄だろうけど。

 

 

「───ではハイランダー鉄道学園側、お願いします」

 

「あっ、スオウちゃんが出るよ」

 

 

議長に呼ばれ、眼帯をつけたスオウが躍り出る。

手元の書面を一瞥、スラスラと言葉を繋げた。

 

 

「私は管理監督官をしているスオウだ。 車両は定期的な安全検査に受かっている。 それが突然、外野から禁止の野次を飛ばされた。 鵜呑みにすれば、この事業で家族を養っている人達の生活が潰れる事になる。 納得のいく説明を求める」

 

 

おや?

いきなり安全基準の矛盾を指摘して、電撃戦を仕掛けると思ったが。

どうやら相手を燻り失言数を増やす事で、その分の反動を溜める方向のようだ。

例えると、スリングショットのゴムを出来るだけ伸ばし、威力を上げ、手を離した時に与えるダメージを溜めている。

 

 

「お気持ちは理解します。 しかし『安全』は感情の問題ではありません。

あなた方の検査が受かったのは、アビドス自治区とハイランダー内における検査項目に限定される為です。

ハイランダーの合格とは、レールという『マイルール』に限定したものであり、その近隣住民の生命及び財産を保証するものではありません。

小さなお子さんが車に轢かれたとき『でも検査には受かっていた』と言えますか?」

 

「あわわ……あんな事言われちゃうと……」

 

 

言い返されてるのはスオウなのに、ユメは自分の事のように俯いてしまう。

馬鹿な癖に感受性が高いのも厄介よな。 だが何度もいう、案ずるな。 奴はわざとだよ。 茶番ともいうか。

 

 

「では、突然施行されたあなた方の『マイルール』だが」

 

 

ほらな、揚げ足取りをして遊ぶ余裕がある。

場慣れもあるか、アビドスとは違うのだよ。

 

 

「このルールにより止められたのは、何もアビドスのような特殊車両に限らない。 各自治区で長年走行し、安全実績のある列車の一部も「登録拒否」を受けた。 それらの多くは旅客車ではなく、除雪やレール敷設などの工事用のものだ。

これは限定的な話ではない、役所が理解出来ないものを、この隙に纏めて危険物にするという、随分と私的で短絡的な決め事だ」

 

「個別の登録判断については我々の管轄外です。 『感情論』や『個別事例』ではなく、安全基準とデータの話をしませんか?

我々は『推奨』を出しただけです。 採用するかは各窓口の判断です」

 

「管轄外? あなた方のPDFが引金を引いたんだが」

 

「責任の所在を混同されていませんか?w」

 

 

しかし相手も相手、論点をズラすプロ。

素人や生徒の疑問は全て「感情論」で片付けられる。

 

流石は汚い大人だと褒めてやりたいところだ。

 

 

「───今日の討論はここまでにします」

 

 

そしてその勢いでのらりくらりと時間を潰され、会議は終わってしまった。

撤回や再調査の約束もされずにな。 ただ「検討します」という言葉だけ残されて。

しかしその言葉は「何もしない」の丁寧語。 戦いは次に持ち越しとなった。

 

スオウの表情は何も変わらない。

余裕とも取れるし、興味が無いとも取れる。

しかしハイランダーも知らん所でコケにされていた様子なので、反論材料や仕返しの1つや2つは練っていると思われる。

 

が、アビドス連中は心底悔しいのう?

ホシノなんかは汚い罵声を繰り返し地団駄を踏んでいるし、それをノノミが諌めている。

シロコは舎弟を率いて、今にも相手に飛び掛かりそうに唸っているし。

感情を常に剥き出し。 まだまだお子ちゃま、だが授業の一環として成長して貰いたい。

 

 

「このまま負けちゃうのかな……」

 

 

嘆くユメ、貴様もだぞ。

卒業したからと、学びが終わる訳ではない。

 

 

「いや、これは『溜め』だ。 今回をバネにして次回に放出する。 決定的な証拠も握っているのだ、問題なかろう」

 

 

そうだ問題はない。

それでも……焦燥感が僅かに燻る。

 

ワシの未来も間接的に関わっているからな。

……決してガキ共が心配なのではないぞ。




後書き
アビドス=カイザーPMCの娘感
ハイランダー=ネフティスの娘感(妄想)
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