降格回避√カイザーの野望   作:ハヤモ

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前書き
体調不良…更新頻度の低下、短め

一部書き直しました。
自動車ではなく列車同士の比較に変更
指摘通り、違う乗り物との比較は厳しいと考え直し。それでも学園と私鉄(この表現も正しくないかも)の比較は変に感じられるかもですが…
作者は鉄道に詳しくなく、生徒可愛いな程度という。新しく公開された寝巻姿など話題になったようで…
その癖、あまり生徒が出ていない感は否めず。ゲーム本編時間軸に行けたら、増やしたい気持ち(未定


『安全/正論』の正体

 

 

「私たちも安全は大切です。 でも安全という言葉で全て片付けて良いのでしょうか。 私たちは間違っているのでしょうか?」

 

「あの大人、ムカつく……今からでも襲いに行くべき」

 

「ノノミちゃんは間違ってない。 で、シロコちゃんは落ち着こうね───ただあの場で勝てる武器が無かった。 感情や銃で勝てないなら、連中の言うデータとやらを証拠に戻ってくれば良い」

 

 

現アビドス生徒会長のホシノはアビドス高校の生徒会室に戻ると、公聴会という不慣れな戦場で勝つにはどうするべきか、皆で頭を働かせて対策を練っていた。

その様子は皮肉にも、彼女が嫌う大人……カイザーPMC理事の思惑通りに『勉強会』になっていたが、生徒は知らず掌の上を踊るだけ。

 

 

「向こうは内部方針で動いている。 公聴会じゃ覆せない」

 

「それじゃ、このままどうする事も出来ない?」

 

「方針を上書きできるのは法律……法案を出してくれる、或いはこの件に疑問を持っている議員を見つけるのが1つ」

 

「誰か応じてくれるでしょうか?」

 

 

ノノミの不安顔は中々晴れない。

アビドスは復興してきたとはいえ、砂漠環境という住み難い田舎に変わりない。

生徒の質も良いとは言えない。 シロコみたいに隙あらば強盗を企てる者もいるし、そうでなくても倫理観や成績が悪い。

そんな自治区を擁護して、議員側に果たしてどんなメリットがあるだろうか。

 

しかし悪意に敏感なだけに裏側を勘繰って生きてきたホシノは、大丈夫だって安心しなよと励ました。

 

 

「連邦生徒会も1枚岩じゃない。 わざわざ面倒かけて議会の場を設けてきたからね。 それにアビドスの生徒、金回りや『票』に目をつけて、味方してくれる議員は結構いるよ」

 

 

確かに……一理あるかな、とノノミ。

政治と金の問題は常に付き纏い、何かを成すにも金がいる。 権力や後ろ盾も欲しい。

それらを手っ取り早くインスタントに手に入れる手段があるならば、それはカイザーや色々な企業が参入し、成長目覚ましいアビドスに違いない。

 

 

「とにかく、生徒会の方々に手紙を送ってみます。 みんなで片っ端から書きましょう」

 

「大変だけど、やるだけやってみよう……シロコちゃん、手紙の書き方は分かるかな?」

 

「んっ。 テレビや本で見た怪盗の予告状を参考にする」

 

「脅迫紛いはやめてねー?」

 

 

こうしてアビドス生の意志は動き、やがて連邦生徒会の一部議員を味方に入れる事が出来たのだった。

交通室など、敵側の奴や様子見に徹する奴はノーリアクションであったが、公平性を重んじる議員は、今回の件は腑に落ちないものであるとして味方する。

 

そして連邦生徒会の議員という、キヴォトスの中枢組織にいる事を利用して手に入れた資料をホシノらに送る。

それはハイランダーにも送られた、安全協会の主張する安全基準についてである。

 

 

「うへぇ、見てみてノノミちゃん。 アイツらが盾にしているの、随分と杜撰だよぉ?」

 

 

ホシノは唾棄するように、或いは嬉しそうにノノミ、シロコに資料を回す。

 

その1つは、安全協会がアビドスの「防砂堤車は危険だ」の根拠にしている衝突実験についてである。

鉄道業界の安全研究機関がやった実験との事だが、その時に用いられて破壊された車両が、全くアビドスの特殊車両の大きさや素材に準じていない。

そもそもハイランダーの車両ですらなく、私鉄……大人達が運用している地下鉄車両なのだ。

走行環境から違うし、ハイランダーの規格と互換性が皆無。 それでは何を言っても合致する条件は無いのでは、と素人目にもツッコめる代物となっている。

 

 

「それじゃ、公聴会の大人が偉そうに言ってた『データ』って、こんな荒唐無稽なものなんですか?」

 

「生徒相手だからって、適当にやってたんだろうね。 随分と舐めてくれるよねぇ」

 

「許さない。 即刻断罪しに行くべき」

 

「これは安全の問題ではありません。 分類の仕方がおかし過ぎます!」

 

 

憤慨する面々。

温厚なノノミも怒っているのは、元々の入学予定先故に、ある程度知識があったからかも知れない。

 

 

「ホシノ先輩。 あのときの会議で『安全』に反論できなかった答えが此処にありました。 正論に穴があったんです、あんな堂々としておいて、初めから中身がなかったんです!」

 

「直ぐにハイランダーに連絡、情報を共有して撤回案を提出するよ。 それと敵側にいた筈の交通室の議員さんが、室長に見切りをつけるって」

 

「リーダーには人望が無いみたいだね」

 

 

不良の番格をしている狼なシロコは、おお哀れ哀れと顔も名も知らぬトップを蔑んだ。

向こうとしては、上司の小遣い稼ぎに巻き込まれて、議席を失いたくない故の内部告発であるのだが。

 

 

「既に方針を提示している協会に内々でナシをつけに動いてる。 法制化に向けた法案も連邦生徒会長にチクってて、全会一致の見通しだって」

 

 

正義や感情だけで組織は動かないが、何事も損得勘定が絡み、裏切りや同担など嫌な現実が垣間見えるのである。

ホシノは、そうした派閥争いや利権争奪戦をくだらないなと嫌悪感を示しながらも、また1つ物事を皆と共に学ぶ事となった。

 

 

「今度は逃がさない。 正面から勝ちに行くよ」

 

 

意気込むアビドス面々。

しかし事態は意外な形で幕を閉じるのである。




後書き
気温の上下、湿気、リアル事情によるメンタルダメージなどもある中…
皆様も、体調にお気を付けください…
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