妄想紛いの独自も含まれます。ご注意下さい。
バイト戦士の流入により、予想外の経済基盤が構築されたアビドス。
これにより発掘作業の人手が増え、想定より早くブツが発掘される可能性がでてきた。
ハイランダー鉄道学園に関しても、ビジョンでは本来2年後にやってくる話だったが、人口流入に伴い、誘致したら来てくれた。
ホシノ、ユメ、地元民は嬉しいだろぉ〜? と感謝を求めたい気持ちがあるにはあるが、そう悠長な事ばかりでもないのも確かだ。
ハイランダーはまだ出張所程度であり、今は我々カイザーの担当者と協議中。
ユメ絡みの契約書、権利書の譲渡もだが、鉄道運営の管轄をどうするか定まっていない。
ワシとしては、鉄道運営費と純利益を折半の上、ハイランダー鉄道学園に路線を貸与という形で運転して貰おうとしたが、流石に虫が良すぎだと別案を出されてしまった、然もありなん。
───ああ、どうして鉄道学園と企業の間で交渉が発生するかというのを理解して頂く為にも、このハイランダーとやらの生態、あいや特徴について説明しておこう。
この学園の自治区は路線という形をとっている特殊な学園であり、レールの拡大は自治区の拡大を意味する。
レールや駅舎を建設する程度では、一見他の自治区のような自由度は無さそうに思えるが、インフラ面を担うのはデカスギィ! なのだ。
単純な話、ハイランダーの機嫌を損ねれば、鉄道が止まる。 そうでなくても輸送費用にケチがつく。
するとどうなる? 人や物資輸送が滞るな?
自動車よりも鉄道輸送の方が効率的に運べ、大量輸送ならコスト面でもチマチマ運ぶより良い、これに依存している自治区ほど経済が回らなくなり、土地の衰弱に繋がるという訳だ。
だからハイランダーに頭が上がらない自治区や企業は少なく無いだろう。
……かくいうカイザー、ワシもな。
その意味では多くの自治区と企業、その生殺与奪の権利を握るキヴォトス有数の学園だ。
……生徒に悪魔がいるのも、納得かも知れん(偏見)。
勿論、鉄道の維持費や新設は大金が必要で、利益確保の為に向こうもホイホイと無下にはできないだろうが……なにぶん広大なキヴォトス中に自治区を持ち、繋げ、余程の事が無い限り収益は大凡確保できるとなれば、1つや2つの自治区、それも将来性が怪しい弱小地区や収益が見込めない場所へは、例え線路を工事できる地盤があっても赤字になるから行かないとなる。
来てくれても素通りの、線路だけかも知れない。
とにかくだ。 ハイランダーは相手の首根っこを抑え、交渉事を有利に進められる。
如何なカイザーも暴力では解決出来ぬ。
そしてアビドスに話が戻り、例に漏れない。
列車はアビドス外からのバイト戦士や建材の輸送のみならず、今や生活用品を積んだ貨物も運搬する重要な交通網だ。
そんならね、カイザーグループがこのまま運転すりゃええやろと。 しかしね、ワシらのリソースも有限なのだから……という訳での交渉であった。
個人的な理由の方がデカいがな。 発掘が落ち着いたら衰退して赤字路線になる恐れがあるから捨てたいってのは企業の思考としても、ワシ自身こんな暑くてバカとホシノと白蛇ビナーが出て、雷帝の遺産があって、思考誘導能力がある地下生活者が絡んでくる呪いの土地から撤退したいのよ分かって?
はいランダーたすけて。
けんど、鉄道学園のガキ共はワシの気持ちなんて汲み取ってくれん!
ふざけんな資本主義者共め!(特大ブーメラン)
向こうはセイントネフティスと懇意にしているのもあり、そのライバル企業であるカイザーとの取引、それも元ネフティスの鉄道路線を扱うというのは裏切りか否か、いやしかし此処で学園のモノにすれば後々ネフティスに返還や、彼らの為に使えると悩み、それもじれったい。
しかしワシの不幸は続く!!
なんと、ユメが馬鹿正直にソッチの倉庫にある権利書云々を回収、雷帝の遺産シェマタを何とかしたいとか言いやがったからさぁ大変!
向こうは急にザワ……ザワ……と違いの顔を見比べ、刹那、モブ悪魔っ娘のメスガキ3人衆がニヤニヤと嘲笑、両手をニギニギしたり、人差し指を口元に当てながら三位一体、ケロベロスかナニか、ワシの顔を覗きにきやがる!
「雷帝の」「遺産?」「ほうほう?」
「あのデカパイ馬鹿めがあああああ!!?」
くそぅ! くそぅ!
後悔先に立たず。 いやワシか。 ワシの教育が悪いのか! しかし何故こうも不幸が続く!
ワシ、慟哭……!
前世でナニか悪い事したのか?
あ……ある意味でしてたか……。
「シェマタぁ? 列車砲の見た目らしく、これはこれは……鉄道学園の我々ハイランダーとして見過ごせないよぉ〜?」
「ねぇねぇ1枚噛みたいなぁ?」
「良いでしょ? お・じ・さ・ま?」
「大人を揶揄うな、悪魔が……!」
「ふ〜ん、失せたら取引も無くなるねぇ?」
「セイントネフティスにチクッちゃうかもぉ」
「チクリ魔めが……公平な取引を望む!」
「それ悪徳大企業様の理事長が言うんだ?」
「もしアレソレとアビドスで遊ばせてくれたらぁ、面白そうだし、色々サービスしてあげても良いのになぁ?」
畜生めが!
馬鹿1人を抱えただけで、ワシがここまで追い詰められるとは思わなんだ!
向こうだって将来的な赤字路線を押し付けられている感覚はあるだろう、今の活気は一過性として断る事も出来る。
しかし懇意にしているネフティスの路線をここで回収すれば、将来的には鶏肋程度に役立つかも知れないという望みがある。
ワシとしても、路線管理をコイツらに押し付ける事で、逃げ支度がしやすくなる。
だがここにきて、シェマタの存在というユメのデカスギィ爆弾発言により、アビドスに付加価値が生まれてしまった。
ここでワシが断れば、コイツらはネフティスや諸々に情報をバラマキするかも知れん。
そうなれば新たな敵性勢力が生まれてしまう、当然、それはワシの失態としてカイザー内での立場も危うくなる。
ハイランダーはカイザーの、いや、ワシの弱味をニギニギし、玩具にして弄びたいのだ……悪魔が!
……この場で取れる選択は1つだ。
「……わかった。 それで満足するのならば良い。 ただし他言無用だぞ。 ブツを弄る以外の時、貴様らはアビドス鉄道の運行、業務を引き継ぎ、役割を果たしてもらう」
「はい交渉成立〜!」
「英断だね! よっ! カイザー理事長!」
「サービスとして運賃割引券を発行しま〜す!」
「ハイランダー鉄道学園は、アビドス砂漠で穴掘って精を出す労働者の皆様を応援しま〜す!」
「血判しておくぅ? あ、ロボだからオイル?」
「喧しいぞ悪魔共がァッッ!!?」
ワシ、ハイランダー鉄道学園と交渉成立。
ただし、表裏一体取引となった。
……後で機密情報をホイホイ出しおった馬鹿には説教垂れねばなぁ!?
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「鉄道の管理運営がカイザーからハイランダー鉄道学園に変更になるってよ」
「穴掘りバイトの人は運賃が安くなるんだと。 あ〜、そのタイミングでアビドスに来れば良かったかなぁ?」
「鉄道を効率よく運行、路線を開拓する事で、運搬コストを下げるらしい。 それで生活用品も少しは値下がりするらしいぞ」
「駅周辺も整備して、綺麗になるってさ。 人がもっと来やすくなるんじゃね?」
アビドスの鉄道はハイランダーに委譲する事が決まった。 様々な地形環境での敷設や列車運行のノウハウがある学園なので、カイザーより効率的で安全確実に、そして強かに砂漠の地にも根を下ろしていった。
乗客からすれば、幾らか運賃が安くなるという点、物資輸送の効率化で僅かにアビドスの物価が下がる事くらいにしか興味が無かったが。
裏側では馬鹿ヤロウのせいで超兵器の存在が露呈し、それに興味津々となった悪魔娘たちの脅しで成立した取引だったという事は、全くといって良いほど知られる事はなかった。
「ユメぇ……苗字通りクチナシにしてやろうか」
「ひぃん!? 理事長さん御免なさいぃ!?」
流れで折檻されたデカパイがいた事もまた、知られる事はなかった……。
後書き
ハイランダー鉄道学園の生徒、悪魔というと双子姉妹が印象的ですが、この話に出てくる子は名も無きモブという扱い。