《このゲームが始まって1e+100秒が経過しました。》   作:てりのとりやき

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『超健康優良優勝愚者』/レベル1002/全ステータス平均値9009:トーギ

 

 トーギが製作を続けていたロケットがついに完成した。

 その報せはすぐに『村』中を駆け抜けた。

 今日は、そのロケットがついに飛び立つ日だ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

《生活フィールド》

《ユーザー数:200》

 

 快晴の最中、地平線の先まで見える無人の荒野。

『村』から10kmは離れた場所に、その発射台はあった。

 高さ100m近くある、あちこちに足場とパイプが組み上げられた鉄骨の塔。そこに懸架される形で屹立するロケット。三本の固体燃料式ロケットブースターとメインエンジンノズルが組み合わさった姿は雄大で、圧倒的で、遠目に見てもその威容には目が点になった。

 

「でっか!」

 

 場所は管制室……という名のプレハブ小屋。

 見栄えもへったくれもない小ぢんまりした室内には大量のケーブルが足の踏み場もないほど乱立し、無数の計器類とモニターが混然一体となっていた。

 壁に立てかけられたモニターに目が釘付けになっている私に、浅黒い肌をした青年ユーザー……トーギはさっぱりと歯を見せて笑う。

 

「ハハ、でけぇだろ」

「すげー……あそこにあるもの全部トーギが作ったの?」

「おう。俺が一人でな。発射台、固体燃料ロケット、フレーム、耐熱外殻、メインエンジン、燃料タンク、燃料の精製も、制御プログラムに航法システムも全部俺のお手製だ」

 

 このゲームにおいて、ユーザーが使用する道具の中で、ゲーム的な謎原理で駆動するものは存在しない。再現された電気があり石油があり現実世界の物理法則と同じ理屈で動く。

 今トーギが忙しなく目を走らせているコンソールは、大元をたどれば彼の持つ自前のUIに繋がっているのだろうけれど、その先で発射台を制御しているのは現実と遜色ない電装系だ。

 

「大変だったんじゃない?」

「そりゃそうだ! なんせ何もかも0から始めたんだからよ。ガキの頃、夏休みの図画工作で作ったペットボトルと水のロケットをもう一度作る所から初めたんだぜ? どういう形状が一番理想的に飛ぶのか検証しまくってよー」

 

 果てしなく遠くにあるはずの過去だろうにトーギの瞳には懐かしむ色がなかった。ほんの数分前の出来事を思い返すように、トーギは鮮やかな声をしていた。 

 ……ナツヤスミが何なのか分からないから聞いてみたいけど、今はやめておこう! 

 

「やっぱり一番苦労したのはエンジン?」

「だな。固体燃料の方はそうでもねえけど、液体燃料ロケットエンジンはマジで苦労した。冗談抜きに10世紀は時間をかけた」

「せ、千年近くも……そういえば一時期ノズルしか作ってなかった頃あったね……」

「試作と失敗を何度重ねたかわかんねぇ。けど、今回ばかりは大丈夫だ」

 

 このゲームで未だに稼働中のユーザーというのは、基本的に時間感覚が崩壊している。今発射台で点火の時を待つロケットが出来上がるまでには、無数の試作機があるのだ。それはエンジンや外装、フレーム、制御システムから何もかもの試作と試行が積み上げられている。

 それは並大抵の努力ではなかった。想像を絶するほどの意思がなければ成しえないのだ。

 

「絶対にうまくいくよ! なんせトーギは村一番のもの作りの天才だし!」

「褒めんな褒めんな、鼻が伸びるだろ」

 

 そうは言うけど今日のトーギはずいぶん冷静だ。いつもならこの辺で馬鹿みたいに笑っていてもおかしくない。

 やっぱり少し緊張しているんだろうか。

 不意に以前トーギが見せた異常な程の集中した様子を思い出す。瞬きも忘れてハンマーを振るう姿を、目を瞠りながらロケットエンジンに立ち向かう青年の背中を。

 

「ねえトーギ、あのロケットってどんな構造なの?」

 

 トーギのプレッシャーを和らげるつもりで、そんなことを訊いた。

 

「あれは一部が再使用可能な宇宙往還機でよ、先端に積んであるブツを指定軌道に投下したら、本体は帰還するように出来てンだ」

「えっ! ロケットって使い捨てじゃないの……!?」

「何でもかんでも使い捨ててたら作るのが大変だろ? 使いまわせるように設計したんだ。そしたら次に飛ぶのが格段に早くなる」

 

 どうやったらトーギの緊張がほぐれるのか──なんて思考が吹き飛ぶくらい凄いことをトーギは言っている。

 再使用可能な宇宙往還機。

 もう一度飛ぶことを見据えた設計。

 次。次かあ。

 そうか、トーギはもう『この次』のことを考えているんだ。

 

「じゃあ、また飛ぶんだねこのロケット」

「上手くいったら次はレイラと行くぜ!」

「ヒュー! アチアチのアツアツな夫婦だもんねぇ!」

 

 ここぞとばかりに囃し立てると、トーギは嬉しそうに笑ってくれた。

 

「ゲーム内初の宇宙旅行だぜ? スゲーだろ? ……ってもまあ、高度450㎞前後が《テクスチャー領域》の限界っぽいけど」

「すっげー! 私も行きたいなー!」

「ヘヘ。……おう勿論だ! お前との飛行は3回目だ! 俺らで風になンぞ!」

「やったああああああ宇宙の風だああああ」

「よく分かってンじゃねえかハッハッハ!」

 

 二人して笑い合う。ワハハガハハとひとしきり馬鹿騒ぎをすると、トーギの雰囲気がずいぶん軽いものになった。

 うん。……大丈夫そうだ。この先の事、これからの事を考えられるユーザーは安定状態にあると評せる。

 

「フェフォもカナミヤの奴も連れていこうぜ」

「なんなら皆で行きたいよね」

「そうだなあ。201人乗れる宇宙船も夢があるな」

 

 言ってから、トーギはモニターを見つめる。その先に鎮座する、自分自身の力で作り上げたロケットをただただ眺める。  

 

「……いつかは全員で行こうぜ、この星の外に」

 

 まるで眩しい夕焼けを見ているかのような、どこかぼんやりとした呟きだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 さて、場所は変わって『村』の中央広場。

 噴水がぽつんとあるだけの寂しい広場も、今日ばかりは事情が違う。

 誰かが用意した大型のモニターがライブ映像を配信している。映っているのは勿論、発射台で準備を待つロケットだ。

 そして──なんと言ったってユーザーがたくさんいた! 

 がやがやと騒々しい人だかりがあちこちにあった。あちこちの家から持ち込まれたのだろうテーブルと椅子が乱立し、料理自慢たちが和洋中幾多様々な料理を持ち寄って騒ぎ合っている。

 シンプルな鞄を提げた私は、待ち人を探して辺りをキョロキョロ見回した。

 

「どこにいるのかなー……っと」

 

 ──広場の端の方。品の良いテーブルと椅子のセットを見つける。テーブルの上には三段のケーキスタンドに陶磁器で出来たティーポットにカップ。お茶会真っ最中の女性ユーザー二人は仲睦まじく談笑している。

 

「む。フェフォ、このスコーン美味しいですね」

「あらそう? 久々に焼いてみたけど意外とレシピって忘れないものね」

「パティシエとかやってみても面白いんじゃないですか?」

「イヤよ。似合わない」

「──レイラさん! フェフォー!」

「あ。来ました来ました」

 

 赤髪に紅の瞳、ばっちり化粧をしたフェフォ。栗毛に右目尻と右口端のほくろが印象的な赤縁眼鏡のレイラさん。

 手を振る私に気付いたフェフォが腰裏から生える赤い蛇尻尾を巧みに操り、空の椅子を引いてくれる。

 

「すごいユーザー数だね! めっちゃ騒がしい!」

「暇人の集まりなのよ」

「こんな一大イベント見逃すわけにはいきませんからね」

「もしかしてもしかしてなんだけど、ひょっとして皆集まってたりするのかな」

 

 広場の中にいるユーザー数は、ざっと数えても100人以上は居た。本当に稼働中ユーザーの全員がいるのかもしれない。ということは、もしかして、たぶんだけど……。

 

「カナミヤは居ないわよ」

 

 と、ニヤニヤ笑うフェフォ。

 

「なっなんで分かるの!?」

「顔に書いてあるもの」

 

 嘘だあ。ペタペタ顔を触ってみても、もちろん書いてあるはずがない。何が可笑しいのかフェフォは上機嫌に笑うと、カップを上品に持って口をつける。今日の唇を彩るものは、珍しく桜色のリップグロスだった。

 白のハイウエストワイドパンツに、裾を入れてベルトでウエストを絞った黒のドレープ袖カットソー。普段の派手で華やかな恰好とは打って変わって見ない色使いと雰囲気をしてるのは、フェフォもフェフォなりに浮かれているのかもしれない。

 

「なんか……なんかお祭りみたいだね? ねっ! フェフォ!」

「騒々しいだけよ。お子ちゃまとレイラが居れば他の奴らは要らないと思うけど」

「またそんなこと言ってー! ほんとはこういうイベント大好きなくせに!」

「一言も言ってないことを捏造しないでくれる?」

 

 ニッコリ満面の笑みが私を睨みつけてきた。

 私もエッヘン満面の笑みを返した。

 

「レイラさん、フェフォがめったにしない香水してるの分かる?」

「確かになんだかいい香りがするなー、さすがお洒落にも気を遣ってるフェフォだなーとは思っていました」

 

 ちなみにレイラさんはフェフォほどファッションに興味がないようだ。どちらかというと軍手にツナギでトーギといっしょに機械いじりをしている時のほうが多い。

 

「普段は『使うほどの相手が居ない』とかせせら笑ってるけど、フェフォって私の誕生日とかお祝い事の時は香水使うんだよ。知ってた? これフェフォがイベント好きな証拠ね!」

「こ──この子はワタシのプライバシーを何だと思ってるワケ……!?」 

 

 「なるほどー」と納得した様子のレイラさんを尻目に、フェフォの眦が吊り上がる。瞬きよりも速く私の頬へと黒いマニキュアの塗られた指が伸びてきて──ぎにぃぃぃいいと思いっきりつねられた。痛い! 

 

「そもそもお子ちゃまの誕生日に使うのは、ワタシが自分で原料から育てて集めて何年も掛かって精製・調香したオリジナルよ! アナタにも同じものあげてるでしょ!? こんなピーチクパーチクうるさい騒ぎの時に使うオーデコロンと一緒にしないで!」

「あっ否定するのはそこなんですね」

「むぎゅぎゅぎゅぐむむむ……! 香水の違いなんて私わかんないよー! いつもフェフォいい匂いするでしょ!」

「なッおバカっこれだからお子ちゃまは……!」

「わぁーフェフォが照れてます」

「照れてない!」

「相変わらず仲良いですねえ」

 

 顔を薔薇のように赤く染めたフェフォに頬をつねられること数分。私達の様子をほんわか微笑むレイラさんを前に、ようやく冷静さを取り戻したフェフォから解放されてからしばらくの後。

 未だに頬が薄っすら紅潮ぎみのフェフォが、やや恨みのこもった鋭い目つきで私を見た。

 

「で? アナタその鞄は何なのよ? やけに大きいけど」

「ヘヘヘ私も準備してきたんだよねぇ!」

 

 よくぞ聞いてくれましたと私は鞄を開き、取り出したものを二人に手渡す。

 

「はいこれ! フェフォもレイラさんも!」

「なにこれ」

「クラッカー!」

 

 カラフルなラッピングがされた小さな円錐。錐の頂点からぴろんと糸が伸びたそれは紛うことなきクラッカーである。

 

「トーギが帰ってきたときにびっくりさせてやろうかなって」

「広場に戻ってきた途端にぱんっ! ってことですね?」

「へぇ。いいんじゃない?」

「腰を抜かしたトーギ君を見るのが今から楽しみになってきました……!」

 

 周りに居たユーザー達が、なんだなんだと私達に目を向ける。私は鞄の中からたくさんのクラッカーを取り出してから立ち上がった。

 

「みんなの分もあるよー!」

 

 そしてテキパキと広場のユーザー達に一個一個手渡ししていく。皆私の知人友人なので快く受け取ってくれた。

 近くにいた数人の男女は、宝石でも触れるみたいに掌の上のクラッカーを眺めている。

 

「おーすげー」

「これ間違いなく出来がいいだろ……」

「なんだかホームパーティー感あるね」

「あの子のお手製なのかなー?」

「なんか禄でもないバグでも起きそうじゃねワハハ!」

 

 なんと失礼な。確かに私のお手製クラッカーではあるけれど、ちゃんと動作するのは確認済みだというのに。

 などと思っていると、

 

「──そこのザコ達。お子ちゃまに限ってそんな悪戯じみたことするわけないでしょ」

 

 いきなりフェフォが剣呑な声を上げた。

 品の良いおでこに皺を作ったフェフォは、騒ぎの中にあってもはっきりと響くキーの高さで確かに告げる。

 

「不愉快よ、死になさい」

「──ヤベエッ保護者がキレた!」

「感情の導火線が短すぎる……!」

「わーお」

「『火薬庫』が爆ぜるぞ!」

「散れッ散れーッ!」

 

 先のユーザー達が慌てて逃げ出そうとするも時すでに遅し。座ったまま微動だにしないフェフォの代わりに、彼女の腰裏から生えた蛇尻尾が一気に伸縮──瞬きよりも速く全員串刺しにした。瞬殺……。

 レイラさんが呆れた様子で何かを言おうとしたその時。

 

「お、おい! 動き出したぞ!」

 

 誰かが声を上げる。その場にいた全員、我を忘れて一斉にモニターの方を向いた。

 ロケット本体を懸架する巨大なトラスフレームが、ロケットから離れる方向にゆっくりと移動を始めていた。その地響きでか、ライブ絵映像は定期的にブレている。

 まだブースターが火を噴いた訳でもないのに、口々に感嘆の声が上がりだす。

 

「す、すげぇ……あれ本当に動くのかよ」

「トーギって天才?」

「もしかしなくても天才」

「ずっと作ってたもんねえ」

「僕ちょっと泣きそう……」

「もう泣いてて草」

 

 そうして、嵐の前の静けさのような静寂。

 小さな雑談が緊張気味に広がる最中に。

 ここ最近、管制室にこもりきりのトーギが広場の集まりを知るはずもない。だから、カウントダウンなんかはなかった。

 ──ロケット最下部。発射台の陰に隠れた箇所から、木漏れ日のような煌めきが溢れだす。

 

「わあ……!」

 

 瞬いて僅かに萎み、

 膨れて微かに縮み、

 白煙は巻き起こり。

 三度目の輝き。今度は弱まることなく炎は一気に膨張し、そして。

 

 

 

 

 爆炎。爆煙。

 熱と光と共に。

 とある青年の夢が、宇宙を目指して爆光を蹴る。

 

 

 

 

 

 ロケットは……上昇していく。真っ直ぐに星の外へ飛んでいく。《テクスチャー領域》の外縁、高度450km先の周回軌道まで! 

 成功だった。

 大成功だった!! 

 椅子から転げ落ちそうになるほど、鼓膜が破れそうになるほどの衝撃が全身を打つ。だけど、誰もが空に釘付けだった。

 

「……………………」

 

 誰も何一つ言えなかった。

 

「……────!」

 

 だけど誰かが何かを叫び始めた。

 

「──ッ!!!!」

 

 踊り始めた。笑っていた。大声を上げていた。狂ったように手を振っていた。

 

「!? ──!」

「……っ、……っ」

 

 抱き合う者もいた。泣いているユーザーだって。ロケットのけたたましい咆哮で何一つ聞こえないのに! 

 青いばかりの空をロケットは突き抜けていく。あっという間にロケットがその姿形を小さくしてようやく、すぐ傍にいるフェフォとレイラさんの声が聞こえるようになった。

 

「すごい。トーギ君……本当に……」

 

 レイラさんは口元に手を当てて泣いていた。誰に憚ることもない純粋な涙だった。

 

「ふーん。やるじゃない」

 

 フェフォでさえ笑っていた。少し皮肉っぽく、だけど紛れもない賞賛の態度で。

 私はというと、何一つ言葉を発することができないでいた。

 凄い。

 トーギは本当に凄い。

 だけど、どうしてなんだろう。あのロケットを見ていると胸の内がざわつくのは。

 

「ねえフェフォ……」

「? お子ちゃま?」

 

 なんだろう。うまく言えない。

 言い表しようのない『何か』を、言語化できない胸の内のざわめきを、どうやっても簡単な言葉にできない。

 

「二進数で記述された0と1の塊の中に、十進数の記述が、例えば9という数字があったらどうなるのかな? マシン領域がコンパイルできない人間特有の言語情報が混ざっていたら、表現(・・)され(・・)るべ(・・)き存(・・)在は(・・)どう(・・)いう(・・)変化(・・)を生(・・)むの(・・)かな(・・)……」

「──」

 

 フェフォが絶句した。

 私は彼女の態度の意味も、私自身が何を言っているのかさえ理解できなかった。

 

「アナタ、まさか──」

 

 フェフォが顔を振り上げる。空の遥か先、既に小指ほどに小さくなったロケットを見つめる。私も同じようにロケットへと目を向けて。

 その時。

 一瞬だった。

 極めて僅かな輝きだった。

 ノズル以外の箇所から光が漏れて、──直後。

 

 

 

 

 ロケットがへし折れた。

 

 

 

 

 砕けた所から猛烈に炎が膨らんだ。

 遥か遠く。手の届かない位置。

 爆ぜていく。燃えていく。空間が、空の青が、震えを来たす。精緻で精密な物理演算が燃料を燃やしていく。

 

「──」

 

 遠くで爆音が鳴り響く中、広場は死んだように凪いでいた。

 誰も、何も言えなかった。

 

 

 ……断言したっていい。

 皆、トーギのロケットが完成したと聞いてからこの日を楽しみにしていたんだ。

 待ち望んで、だから誰が言いださなくても広場へ勝手に集まったんだ。

 

 

『アホなことばっかする不良のガキだけど、たまにはやるじゃない』ってフェフォも褒めていた。

『トーギ君はやる時はやる人なんです!』ってレイラさんは自分事みたいに嬉しそうだった。

 私だってそう。

 

 

 誰が悪いわけでも、なかった。

 誰かの悪意も、誰かの作為も、何一つなかった。

 

 

 稼働中ユーザー全員が心から期待していたんだ。

 皆が、ただただトーギの行いを誇らしく思っていたんだ。

 

 

 何が悪かったのかなんて私達に分かるはずがない。

 ただ事実は一つだけ。

 

 

 トーギが。

 私達の中で一番もの作りを愛していた青年が。

 彼がサービス開始時からの全てを注ぎ込んで作り上げたロケットは、粉々になるまで爆散した。

 

 

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