「よしっ、ちゃんと午前2時ね」
真っ黒の艶のある綺麗な黒髪をツインテールに結いた少女は地下の工房の時計を確認する。
その床には複雑な術式が書いてある。
少女は手を術式に掲げ、深呼吸する。
そして、発し始める。
召喚の呪文を。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ」
静まり返った地下の工房に少女の声が反響する。
「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、
王国に至る三叉路は循環せよ。
繰り返すつどに五度……」
この日のために、あの日からずっと、ずっと望んでいたもの。
「―――――
あたりに魔力が満ち溢れていく。
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るベに従い、この意、この理に従うならば応
えよ」
膨大な魔力が風のように唸り始める。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
完璧だ。これでセイバーがーー、
ドォォォン!と屋敷中に響き渡る轟音。
「…………」
嫌な汗が背中に流れる。
ーーまさか……やらかしちゃった?
嫌な予感がしたがそれを振り払い、音の発生源である二階の部屋へとダッシュで向かう。
「ーーこのォッッ!」
先ほどの衝撃で開かなくなっている扉を蹴破り、中に入る。
「イタタタ……。ーーん? 」
すると、瓦礫の上に座っている高校の制服のようなモノを着た少年と目が合う。
「………アンタが私のサーヴァント?」
「その質問をしてくるって言うことは君が僕の召喚者かな?」
「えぇ、そうよ」
「随分と荒い召喚だったね」
「うっ…」
痛い所をつかれたという表情をする少女に少年は苦笑しながら言う。
「ゴメンゴメン。ちょっと意地悪な言い方だったね」
「…フン。それで、貴方はセイバーなの?」
その問いに少年は困ったように笑う。
「えーっと、期待してるとこ悪いんだけど僕はセイバーじゃないんだ」
「………やっぱり、か」
この少年を見た時からその期待はほとんどしていなかった。
その服装からしてセイバーではないと思っていたからだ。
何処に高校の制服を来たセイバーがいるのか。
「………というか、貴方、本当に英霊?」
「一応、ね。…不本意ではあるんだけど」
少年が悲しげな顔をしたのを見て、少女は何かがあると思ったが、流石に聞きはしなかった。
「….そう。それで、なら貴方のクラス名は何なの?」
少女の問いに少年は瓦礫の上から降りて、一瞬窓から覗く月を見ると此方に向いた。
「ーーーー僕は
皆さんはもうお分かりですよね?