「こ、こんなに・・・武器のレパートリーが多過ぎるなんて・・・・・侮れんな!KASSEN!!」
「・・・武器選びは重要」
「くっ・・・どれもこれも善し悪しがあって・・・・・くぅぅぅぅ!!!!」
「・・・・・わかる」
今回はKASSENのSENGOKUを体験する為に集まっている。
紅莉と千聖は武器選びで長考している様子。
もうかれこれ1時間は武器とのにらめっこ状態だ。
いつも一緒に居る真琴はとある打ち合わせがあるとの事でツクヨミ内には居るがこの場にはいない。
止めてくれる人間がいないとこうなるのはよくある事である。
「ちーちゃんの武器はどんなの?」
「・・・・・火縄銃とからくり兵士」
「・・・系統は?」
「隠密・索敵・狙撃」
「ちーちゃんらしくていいねぇ~♪」
この2人はゲームで仲良くなったメンバーであり、ゲーセンやらオンラインで良く一緒にする仲なのである。
なので頭の中身も一緒なのか通ずることが多い。
腕を組んで一瞬悩んだ素振りを見せるもカッと目を見開くととある武器に手を掛けた。
「コイツに決めた!!」
「・・・鎖鎌と手甲」
「文章だけだといまいちパッとわからないから性能を調べたくて1戦やりたいんだけど・・・真琴が来るまで待つ?」
「そこはツクヨミ・・・私のフレンド呼んだ」
そう言われると2人はKASSENのフィールドへとワープした。
2人が到着すると気付いたように1人の女性が桜吹雪と共に目の前に現れた。
「むふふっ・・・武器選びに苦戦していたようでござるな!」
「・・・待たせた」
「いやいや、拙者も初プレイ時には武器選びに時間をかけたのは良い思い出でござるよ!それでもやっぱりこのスタイルになってしまったから運命なのでござるなぁ~♪」
「忍者か・・・」
「あいあい・・・その通り、忍者でござるぅぅぅっ!?!?!?」
紅莉に気付いた女の子は驚いたような素振りを見せると千聖の手を引いて少し離れた場所に行った。
「あ、あの方ってこの前千聖殿がお話になっていたあっちゃん殿でござるか?」
「・・・・・うん」
「あぁ~このような形でお会い出来るなんて感謝感激雨嵐山でござる」
「今日はあっちゃんの・・・全力サポート」
「承知仕ったでござる!!」
「2人共なんかあったの?」
「いえいえ、お気になさらずにでござるよ」
「今日もNPC戦?」
「実戦でやろうよ」
「・・・・・っ!?」
「・・・・・了解」
いつもと違う紅莉に対して千聖は嬉しそうに笑みを浮かべると準備を始める。
「忍者さん・・・お名前は?」
「う、うう、兎丸(うさまる)でござる!!」
「はじめてだから足引っ張っちゃうかもだけどよろしく~♪」
「あっちゃん・・・相手チームのレベルは・・・・・どうする?」
「プロチームとかいないの~?」
「えぇぇっ!?プロチームとやるのでござるか!?」
「当ったり前じゃん♪強い人とやって自分のレベルを確かめる為だよ」
「さすが・・・千聖殿のご友人様でござるな」
「・・・・・1チームヒットしたよ」
千聖がウィンドウを開くと目の前には対戦相手のチームが情報が表示されていた。
「相手は『雪月華』・・・最近デビューしたばかりのプロチーム」
「おぉ~!!まだデビューされたばかりで注目されているチームの1つでござる」
「これって向こうからのお誘い?」
「向こうからお願いされた・・・・・是非、お願いしますって」
「ふふ~ん♪面白そうじゃん♪」
「作戦とか・・・どうするのでござるか?」
「ないよっ!!」
「・・・えっ?」
「・・・・・いつもの事だから」
そうこうしていると対戦相手がKASSENのフィールドに現れた。
「はじめまして!チーム『雪月華』のリーダー・・・雪(ゆき)です!!」
「・・・・・月(るな)」
「はいは~い!!華マル笑顔全開っ!!今日も元気いっぱいの華ちゃんです♪」
「あぁ~・・・龍宮紅莉です」
「・・・・・千聖」
「ぴょんぴょこぴょ~んっと参上!!兎丸でござる!!」
お互いの自己紹介が済むとリーダーの2人が握手を交わす。
「この前の配信拝見させてもらったよ!あんな偉業を成し遂げるなんて凄いじゃないかっ!?!?」
「いやぁ~・・・なんとなくやってたら身体が勝手に・・・みたいな?ですかねぇ~」
「ふふっ・・・今日は胸をお借りするよ!!」
「こちらこそよろしくお願いします」
「このバトル・・・合意と見てよろしいですね!?」
いつの間にか2人の間に現れた女性は目を輝かせながら2人の答えを待っていた。
「はい!」
「えっと・・・あぁ~はい」
「わかりました!それでは・・・私、忠犬オタ公が実況させて頂きまぁぁぁす!!」
するとオタ公は実況席にワープし、お互いのチームも開始場所へとワープした。
巨大スクリーンが出て来るとオタ公がマイクを持って前のめりに現れる。
《今宵!注目のカードがKASSENにて雌雄を決すっ!!デビューしたてのプロゲーマーグループ『雪月華』と凄腕プレイヤー2人を連れて初のSENGOKUに挑む!!最強!超新星!!龍宮紅莉だぁぁぁっ!!まもなく対戦が開始されるからみんなもこのKASSENを刮目せよっ!!!!!》
「1戦目は試運転調整するから・・・よろしくねぇ~♪」
「・・・・・いいよ」
「あい!初陣なのですからお気になさらずにでござる!!」
3人は微笑みながら拳で三角形を作るように合わせると配置についた。
《試合開始ですっ!!》
開始の合図と共に鳴り響いた法螺貝と同時に全員が動き出す。
開始早々だが、オタ公がまた身を乗り出して興奮を隠せずにいた。
《おぉぉっと!!超新星チームはトライデントだ!!!!》
複数の敵にも一人で応戦する必要があり、相当の自信がないと出来ないトライデントを意図的に挑んだのか会場は盛り上がりを見せていた。
トップには足裏に火輪を付けて滑走する紅莉。
ミドルには狼に跨り高い場所を目指す千聖。
ボトムには忍者走りのままボトムの櫓を目指す兎丸。
「トップ・・・2人」
「ご武運を・・・でござる!」
「派手にやるよっ!!」
マップを確認した3人は健闘を讃えてボイスチャットを飛ばす。
鎖分銅を振り回しながらミニオン処理をしていた紅莉。
だが、反対側から攻め寄る影に立ち止まる。
「初陣だと言うのに一騎駆けを選ぶとは流石です!!」
「・・・・・斬る」
対峙したのは、雪と月。
2人共に白馬に跨っており、雪は薙刀を右手に月は腰にある日本刀に手を掛ける。
鎌の方を振り回し出す紅莉に月は白馬から飛び上がると縦に斬りかかる。
身体を横にずらしただけで回避・・・忍び寄るは弧を描く鎌。
すかさずしゃがんで避けた月は、逆袈裟斬りを仕掛ける。
しかし、身軽にバク宙で難なく回避した紅莉は笑顔であった。
「良い動きするじゃん♪」
「・・・・・」
「月!足止めを頼んだよ!!」
「ちょっと待っ・・・・・ちぃぃっ!?!?」
後を追おうとした瞬間。
火花が飛び散る・・・居合斬りだ。
超反応で鎖の上下を持った事で致命傷を負わずに済んだ。
しかし、こうマークされてしまうと目の前の相手を無視する事は出来ない。
どうしようかと思い悩んでいると頼れる一言が聞こえる。
『あっちゃん・・・任せて』
「えっ?」
ドゴォンと地鳴りかと勘違いしたような音が聞こえたかと思うと目の前に居た月の表情が険しさを増した。
雪の撃破が表示された事でやっと理解が追いついた。
《ミドルの高台からの精密な超ロングレンジ射撃っ!!!!やはり彼女の射撃からは誰も逃れられないのかっ!?八咫烏・・・千聖ぉぉぉっ!!》
高台では物凄い一撃だったのかを象徴するかのように大きな煙が立ち込めていた。
即座に下山していた千聖は竹藪の中に身を潜めながら小さなからくり兵士達を展開していた。
先程の超ロングレンジ射撃は、弾数の消費数により威力と射程と効果が変化する。
さっきのは最大チャージでの一撃・・・消費弾数は6つ、最大チャージまでには30秒もかかる大技の一つである。
その分ガード不能で一撃で倒せるメリットがある。
しかし、デメリットは3分間火縄銃の武器行動が使用不能になる事であった。
なのでその間をサポートをしてくれるのがからくり兵士達なのである。
「1人・・・仕留めた」
『やるじゃん!!そんな大技あるとか聞いてないんだけど・・・!?!?』
「・・・・・3分間・・・動けない」
『わかった!!なんとかなるなる!!』
刹那・・・斬撃が迫り来る。
だが、紅莉は力が抜けたように立っていた・・・そう、何も持たずに・・・・・。
すると次の瞬間・・・月が撃破されたと表示がされる。
手甲・・・必殺技は【捌き】。
その名の通り相手の技を捌く・・・近距離の技ならカウンター、遠距離なら回避。
しかし、ドンピシャのタイミングで発動すると性能が変化する。
近距離なら即死カウンター、遠距離なら全能力アップ。
当て身判定の持続が非常に短く、狙って相手の攻撃を受け止めるのはかなりシビアであり、タイミングも含めた一点読みや鋭い反応が必要になるくらい玄人向けともいわれている。
鎖鎌から手甲に武器を変更していたのは誰が気付いていただろう・・・。
いや、誰も理解出来やしない・・・彼女しか・・・この感覚を味わえないだろう。
《瞬光一閃っ!!目にも止まらぬ早業で相手を撃破!彼女は本当に何者なんだぁぁぁっ!?!?!?》
そのままトップの牛鬼を倒して櫓を制圧した。
すると同タイミングでボトムの櫓制圧の報告が入る。
なんと孤軍奮闘していた兎丸が戦果を挙げていたのだ。
と言う訳で2つの櫓が制圧できたので1戦目はコールド勝利となった。
「月見チャージ・・・っと」
「・・・・・お見事」
「は、初めて見たでござる・・・あの技の本当の性能」
「アタシも説明文でしか性能知らなかったけど・・・やっぱりアタシ向けの武器って感じでいいね♪」
1試合目のダイジェストが流れている間は暫しの休憩。
会場にはたくさんの人が集まっており、やはり【捌き】が決まったシーンでは大盛り上がりを引き起こしていた。
2戦目も変わらずの作戦ではあったが、先程とは状況が変わっていた。
「いざ尋常にっ!!」
「へへっ・・・勝負ぅぅぅっ!!」
騎乗から薙刀を頭上で回転させてからの薙ぎ払いを鎖で受け流す。
狙撃の警戒なのか相手もトライデントなのか通信ボイスで理解した。
鎌を相手目掛けてスローイングするも普通に避けられる。
しかし、中央部分で人差し指で鎖を弾くと軌道は変化してターゲットを狙う。
上体を反らして回避するもそのまま白馬を解除すると姿勢を低くして身構えた。
「胸がドキドキと高鳴るよっ!!紅莉くん!!」
「そりゃあ~どうも♪」
横薙ぎ、縦斬り、突き・・・色んな組み合わせでコンボ攻撃を仕掛けてきているが、致命的な一撃を狙って来ない。
カウンター警戒と考えていたが、ボトム側で2対2の交戦が起きた事で理解出来た。
時間稼ぎだ・・・・・。
突きのタイミングだった・・・ふっと力を抜いたモーションの刹那・・・雪の身体は浮いていた。
懐に入られたのだ・・・突きの隙を一瞬にして・・・そして、鉄山靠。
宙に浮いた無防備な相手に鎖鎌の必殺技が炸裂する。
自分の周囲を鎖鎌で無茶苦茶に振り回すだけなのだが、かなりの多段の攻撃判定があるらしく防御されても威力は絶大だ。
「やはり・・・一騎打ちは愚策だったか」
ポツリと残して消えた相手をすり抜けてトップの牛鬼を撃破して櫓を占拠する。
聞こえてくるボイスチャットに耳を傾けていたが、ボトムは接戦だった。
ボトムの櫓を占拠したのは・・・【雪月華】であった。
『僅差で・・・取られた』
『紅莉殿!!天守閣を攻めるでござる!!』
「任された」
火輪を展開してミニオン処理をしながら天守閣へと向かう。
天守閣が見えてきた・・・しかし、一筋縄ではいかないようだ。
「・・・・・通さない」
天守閣への道中・・・眼前に現れし剣士は居合の構え。
鎖鎌から手甲に変えれば、剣士の間合いに踏み込む。
剣撃と拳撃が真っ向からぶつかり合い・・・ガキンッ!!という鉄と鉄がぶつかり合う音が何度も場に響く。
しかし、剣士は警戒を緩めない・・・1戦目での出来事がある。
すると後ろから元気な声が聞こえる。
「月ちゃん!2人でばびゅんとやっちゃおう!!」
華は復帰して合流を指示されたのか笑顔で手を振りながらやって来た。
自慢の武器である圏を投げて加勢しようとした。
しかし、その刹那・・・月は気付く。
手甲のもう一つの必殺技に・・・・・。
「・・・・・ダメっ!!!!」
・・・・・もう遅い。
遠距離攻撃をドンピシャのタイミングで捌いた彼女は金色と化していた。
手甲のもう一つの捌きの効果・・・全能力アップ。
一時的なモノらしいが・・・彼女には充分だろう。
咄嗟にガード・・・をしたが、それすらも物ともしないハイキック。
前回でも披露した一撃・・・威力は折り紙付きである。
仲間が倒される姿に慌てる華だが、目の前にはヤツが居た。
自分も同じ目に合うと思って目を瞑るが頭に強烈な痛みが走った。
それは誰がどう見ようと・・・・・チョップだ。
しかし、威力は申し分ない。
2人を瞬殺した紅莉の身体は元通りになっており、天守閣の前には彼女が立ちはだかる。
「再戦・・・求むっ!!」
薙刀を構えて仲間2人が復帰する為の時間稼ぎを・・・と思った矢先だろう・・・。
「・・・お命頂戴っ!!っで、ござる!!」
影から現れた忍は刹那の如く・・・ターゲットの撃破に成功する。
相手はもう誰もいなくなった・・・。
紅莉は優雅に階段を駆け上がっていくとその勢いのままに大将落としを打ち込んだ。
《決めたぁぁぁぁっ!!!!激闘を見事に制したの超新星チームだぁぁぁっ!!!!!》
「最後の技いいねぇ~♪」
「あっ!影走りでござるな!アレは味方の影の中を移動して味方の近くに移動出来るというスキルでござるよ」
「・・・・・初勝利」
「いやぁ~何とかなったなぁ~♪」
「彼女だけを意識していたせいだな」
「・・・・・ご、ごめんなさい」
「う~ん・・・ハッピーにはなれなかったにぇ~・・・」
チーム内で試合後の反省会みたいなのが始まりそうになったが、紅莉と雪は目が合うとゆっくりと近付いてがっちりと握手を交わすと満面の笑みでお互いを称賛し合っていた。
KASSENが終わり紅莉と千聖は兎丸と別れると行きつけの茶屋に来た。
それは真琴からの呼び出しであり、緊急性のある事件があったとの事。
案の定・・・真琴が先に待っていたが様子がおかしい。
「お~い!こっちはKASSENでお疲れさんなんだから短めにしてよねぇ~」
「・・・・・決まったんだよ」
「・・・なにが?」
「ライブが・・・・・」
「だぁぁぁっ!!腹から声出せっての!全然内容がわかんないじゃん!!!!」
「やっちょとのコラボライブが決まったんだよぉぉぉぉっ!!!!!」
全力で今回の内容を打ち明けた真琴。
しかし、何かしらの返しが来るかと思ったがなにもない。
目の前では口をポカーンと開けて両手をわなわなしている2人の姿・・・。
真琴も真似して3人が互いを見ると大爆笑が生まれた。
次の瞬間・・・3人は抱きしめ合いながら飛び跳ねていた。
そう・・・真琴の1つの夢が叶った瞬間であった。