「「「「「かんぱ~い!!!!!」」」」」
みんなの言葉と共にパーティーが始まりを告げた。
【月見ヤチヨとコラボ決定記念パーティー】
舞琴の事をお祝いしたいと仲間達がツクヨミ内で急遽開催されたものである。
会場では真琴に一言でもお祝いをとたくさんのインフルエンサーやストリーマーが集まっていた。
ツクヨミ内での別の彼女の姿に遠目から呆気にとられる始末。
この日の為に用意していた瓶ジュースの【やっちょサイダー】を冷蔵庫から取り出すと隅っこにあるソファにもたれながらパーティーを眺めていた。
陰キャである自分には眩しい世界だなぁ~としみじみと実感する。
なんやかんやでツクヨミ内ではフレンドは千聖と舞琴と最近知り合った兎丸と雪月華のメンバーのみ。
ゲームに関しては強くても人間関係に対しては弱々なのがアタシって訳である。
「はぁ~・・・ちーちゃんいないからいつもより孤独感増し増しだな」
いつもなら相方が居るので孤独感を感じないのだが、今回はバイトで不参加となった千聖。
高校生になって念願のゲーセンでバイトを始めた様子。
行きつけのゲーセンだからUFOキャッチャー取れやすくしてもらおっと。
「それにしても・・・あんなに人気者だったんだな・・・・・アイツ」
視線の先には色んな人に祝われている舞琴の姿があった。
男装歌い手・・・【MAKOTO】。
ファン数は今年の3月に100万人を突破した。
中1の頃からツクヨミ内で歌い手としてデビュー。
女性であるのに男装して男性の曲をカバーして歌うスタイルが人気を博した。
デビューした当時からファン数は右肩上がりを記録して今では歌い手としては知る人ぞ知る人物となっている。
アタシがゲームにお熱の間に舞琴は歌に全力を注いだ結果である。
ちなみにアタシも最近の活動のおかげか10万人突破していた。
やっぱKASSENはやべぇ~よ。
それと今回のコラボは元々約束されていたモノらしい。
本当は早めにコラボの約束が決まっていたが、受験やらの忙しい時期を避けた結果このタイミングでの開催が決定した模様。
思い返せば必死になって3人で受験勉強していた過去が懐かしい。
「龍宮さん!!!!」
「ぶぇっっ!?!?ど、どちら様です???」
苗字を呼ばれた事にビクッとしてしまう。
それもそのはずで・・・ツクヨミ内では【紅莉】でしか登録していないから苗字を知っているのはごくわずかの人間しかいないのだが、目の前の人物とは初対面・・・のはず。
「あぁ~驚かせちゃってごめんね~この子が絶対龍宮さんだって聞かなくってさ」
「え、ええ、えっと・・・何処かで会ってたりします?」
「うん!毎日会ってるよ!!学校で!!!!」
「ヒントはねぇ~・・・後ろの席と窓際の一番後ろだよ」
目を閉じていつもの教室の配置を思い出す。
いつも元気に挨拶してくれる子と窓際でクールに佇んでいる子。
頑張って記憶を遡ると自然と2人の名前が浮かび上がる。
「綾紬さんと・・・諌山さん・・・???」
「正解♪すっっごい!!龍宮さん記憶力すごいね!」
「い、いや・・・諌山さんはいつも挨拶してくれるし・・・・・綾紬さんはモデルみたいに綺麗だなぁ~って思ってたりしちゃってたから」
「そう思っていてくれたんだ・・・ちょっと嬉しいかも。それともう友達なんだから名前で良いよ?私も紅莉って呼ぶから」
「えっ?と、友達になってくれるの!?!?」
「そんなに驚く事かなぁ~?私も真実でいいから」
陰キャな存在はこういうのには慣れていない。
中学時代に仲の良かったメンバーも散り散りになって一人ぼっちだった・・・。
クラスでもいつも1人で弁当を食べていたし、友達と呼べる人間もあまり出来なかった。
しかし、この大事な一歩を無駄にはしたくない。
「わかった・・・真実・・・芦花」
「えへへ~♪今度一緒に美味しいもの食べに行こう!美味しいお店いっぱい知ってるんだぁ~♪」
「それならその時に一緒にショッピングモール回らない?私が紅莉をコーデしちゃうから」
「・・・・・ここに居るって事は2人も配信活動してるの?」
「そだよ!私は『まみまみ』の名前でグルメインフルエンサーとして活動してて・・・」
「私は『ROKA』って名前で美容系インフルエンサーしてるんだ。紅莉はどうなの?」
「アタシは・・・なんだろうなぁ~・・・・・KASSENメインで活動してる配信プレイヤーかも」
「私達もたまにKASSENするけど、この前の試合?あんなの凄すぎて驚いちゃった!!」
「身体が勝手に動いちゃうだけだからそんなに凄くないよ・・・・・」
「本人に自覚無し・・・本当に凄かったよ?かっこよかったし」
「そ、そそ、そうかなぁ~///」
和気あいあいとしたやり取りが行われていると歓声が不意に起きている事に気付く。
するといつの間にかヤチヨがお祝いに来ていたみたいである。
手には何故か一枚の紙を持っている様子。
「ヤオヨロ~♪MAKOTO!この前言われていたアンケート結果を引っさげてお祝いにやって参りました~♪」
「あはは・・・それはかなり早いね・・・それで?結果はどうだったの?」
「『Crow Song』が圧倒的に投票を集めてたよ~♪」
ヤチヨが言った曲名にとある2人の動きが止まる。
デビューしたての夏休みに仲間を集めて作り上げた作品。
この曲のおかげでMAKOTOの名が世に広まったとも言える代物である。
しかし・・・・・舞琴は考えた末に紅莉の方に視線を向ける。
その視線にその場に居た全員も釣られて紅莉に視線が集まる。
「え、えっと・・・紅莉さ~ん・・・どうにかなりそうですか?」
「あぁ~・・・お前の晴れ舞台なんだからなんとかなるっしょ」
「むむむっ・・・この状況やっちょ達にも分かるように説明してもらえるかなぁ~?」
「えっと・・・・・あの曲のもう一人のボーカルが彼女なんです」
「「「えええええっ!?!?」」」
「それで?どうしてボク達が今回呼ばれたのかな?」
あのパーティーから数日後・・・ツクヨミ内にあるMAKOTOの家。
そこに舞琴と紅莉・・・そして、『雪月華』のメンバーが呼び出されていた。
呼び出された理由を聞かされていないのである・・・そう、舞琴も雪月華のメンバーも・・・!?
「単刀直入に言うとMAKOTOのライブにコラボ出演してくれない?」
「あ、あの・・・い、いきなり過ぎて状況が読み込めないんだが・・・君は歌のプリンスとはどういう関係なんだい?」
「んっ?普通に幼馴染だよ」
「あっ・・・ふぅぅぅん・・・・・全く君にはいつも驚かされてばかりのような気がするな」
「あぁ~・・・それで・・・引き受けてくれるの?くれないの?」
「そんなのこんな光栄なお誘いを受けさせてもらえるなんて大歓迎だよ!!ボク達で良ければ協力させてもらおうじゃないか!!」
「感謝します、丁度誰かに声を掛けようとしていた所でしたので助かります」
舞琴は3人と握手を交わす。
その間にも突如として用意された黒板に今回の依頼内容が発表されていた。
そこには今回の曲が3曲提示されていた。
「雪月華のメンバーにはバックコーラスと演奏を頼もうと思う」
「ちょっと待ってよ~!私達は楽器とか出来ないよぉ~!?」
「音ゲーがわかるなら大丈夫!!光って誘導してくれるからその通りに演奏してくれたら大丈夫」
「・・・・・簡単に言うな」
「これぐらいなら短期間で習得出来るはずだから安心して!!」
「猪突猛進のような彼女は昔からあのような感じなのかい?」
「・・・そうですね、いつもは陰キャで人見知りなんですが・・・やる気スイッチが入るとこんな感じです」
手取り足取り基礎をまずは説明。
その後は曲を聴いてから練習・・・練習・・・練習あるのみ。
初日からぶっ通しで3時間もしていた。
しかし、やっぱりプロゲーマーのチーム・・・飲み込みが早く習得にも時間はあまりかからなかった。
などと練習に夢中になっているとヤチヨが突如として全員の前に現れた。
「ヤオヨロ~♪みんなどんな感じかな~?」
「・・・・・っ!?!?」
「ええっ!?ヤ、ヤチヨ!?どうしてこんな場所に!?」
「んっ?アタシが呼んだ」
平然とヤチヨにライブの流れを説明する紅莉。
物怖じしないでやり取りをこなす姿にはもう陰キャなのかすら噓のように見えてしまう。
「・・・・・ってな感じ!どう?」
「実に面白い!!ライブ当日が楽しみだよ~♪・・・って、私もちゃんと練習しなきゃだよね!こりゃまた失敬、失敬♪」
「まだ時間はあるから何かやりたい事があったらなんでも言ってよ」
「おっ・・・それはいとをかし♪」
「・・・ってか、ちょっと練習して行かない?ちょっとは形になってるから」
「それならやっちょも頑張っちゃうぞ~♪えいえいお~♪」
2人はノリノリで盛り上がりを見せていた。
「この子・・・動かなくなっちゃったけど、大丈夫なの?」
「あぁ~・・・彼女はヤチヨの大ファンだから刺激が強すぎたのかもしれないね」
ヤチヨが登場してから固まって動かなくなってしまった月。
心配そうに様子を見る舞琴に対して雪は申し訳なさそうに頭を搔く。
初日から顔合わせもなんとか済ませられて順調なスタートを切った。
それから毎晩には集まっての練習が毎日執り行われた。
意見を出し合って改善をしたり、より良いライブを届ける為に努力を重ねて・・・・・。
たまにはKASSENで息抜きをしたりして取り組んでいた。
そして、ライブ当日を迎えた・・・・・。
「いっち、にっ!さん、しっ!!」
「いつもやってるな・・・ルーティーンかなにかなのか?」
「気合入れる時にはいつもやってるからアタシのルーティーンになってるかもね」
「紅莉くんは本当に緊張とは無縁のようだね」
「逆に雪さんは足の震えが止まってないようですけど・・・」
「こ、これは・・・む、武者震いだよっ!!」
本番前。
控室にて始まるのを待つ4人。
しかし、4人の出番は2曲目からなので奥ではメインの舞琴とヤチヨが拳をこつん合わせていた。
「じゃあ・・・みんな、よろしくお願いします!!」
「円陣!!いくぞぉぉぉ!!!!」
紅莉の気合の入った言葉に全員が手を前に出す。
緊張・・・不安・・・そんな気持ちが表に出てくるかもしれない・・・。
けど、この日までにやって来た練習は絶対に裏切らないっ!!
「「「「「「えいえいおー!!!!!」」」」」」
最初の曲は・・・『magnet』
ミントグリーンのドレスに包まれたMAKOTOとピンクのドレスに包まれたヤチヨが舞台の端と端にて登場。
ミクのパートをMAKOTOがルカのパートをヤチヨが歌う。
会場もミドリとピンクのペンライトで盛り上がりを現せていた。
曲の終盤にてようやく2人は真ん中で手を取り合いゆっくりと座り込むとお互いに見つめ合いキスをしてしまうのではと歓声が沸き上がった瞬間にブラックアウトして会場が真っ暗になってしまう。
2曲目は・・・『GetWild』
静寂の中で聞こえて来た音色は・・・琴。
続いて・・・三味線、尺八。
そして・・・ギター、ベース。
いつもとは違った和楽器ロック風にアレンジした演奏に観客は立ち上がり湧き上がる。
メインであるMAKOTOとヤチヨ以外は般若の面を付けていた。
琴担当・・・華。
尺八担当・・・月。
ベース担当・・・雪。
ギター担当・・・紅莉。
三味線&ボーカル担当・・・ヤチヨ。
ボーカル担当・・・MAKOTO。
となっている。
琴の横で正座をして尺八が演奏をし、ギターとベースは互いに共鳴し、ボーカル達は熱い想いを声に乗せていた。
サビでは観客側からも声がハモるように一体感が出来上がっていた。
曲が終わり観客の歓声が鳴り響く中で紅莉は右手を挙げる。
そうすると面を付けていたメンバーも同じ行動をする。
次の瞬間・・・全員は面を宙に投げると顔を晒していつの間にか紅莉の右手にはマイクが握られていた。
「もっとぉぉぉテンション上げてけぇぇぇぇ!!!!!」
3曲目は・・・『Crow Song』
それを合図に全員の姿は制服姿に変化する。
ドラム担当・・・華。
ギター担当・・・月。
ベース担当・・・雪。
キーボード担当・・・ヤチヨ。
ボーカル担当・・・MAKOTO&紅莉。
ドラムの音が鳴った途端に観客からは歓声が起こり、リズムに乗って各々に楽しんでいた。
交互に歌い、サビでは背中合わせで熱唱する。
他のメンバーもハモリパートでは楽しそうに合わせていた。
久し振りなのもあってかボーカルの2人はファンサービスを多めに披露した。
演奏が終われば、物凄い勢いで拍手喝采で迎えられる。
やり切った全員の表情は生き生きとしており、汗がまばゆい光を見せている。
月見チャージを冷蔵庫から取り出して一気飲みしていると今回のコラボイベントは無事に終える事が出来そうだ。
MAKOTOがファンのみんなに感謝の言葉を伝えている横で紅莉は現実世界で夜空を見上げて一休みしていた。
「つ~か~れ~た~」
「お疲れ様~♪」
「その声は・・・ヤチヨ!お疲れさま!!」
リアルで大の字になってくつろいでいたらまさかの声に反応してツクヨミに帰還する。
「紅莉はなんでも出来ちゃうんだからやっちょは驚きを隠せないよ」
「やりたい事はとことんやるのがアタシの決めた事だから努力の賜物って訳さ」
「うんうん♪その心意気は良きかな良きかな~♪紅莉はツクヨミ楽しんでる?」
「もっちろんっ!!念願だったツクヨミにこうやって毎日通って充実した日々を送れてるんだぁ~♪ヤチヨには感謝しても足りないくらいだよ」
「それは嬉しいなぁ~♪じゃあ・・・このイベントを紅莉にお教えするよ」
「・・・・・イベント???」
ヤチヨから1枚のチラシを渡された。
そこにあったのは・・・初心者限定のKASSEN大会の紹介であった。
ここで仮ではありますが、想像してほしいので声優さんを妄想公開!!
龍宮 紅莉・・・『日笠 陽子さん』
鳴滝 舞琴・・・『春川 芽生さん』
本庄 千聖・・・『松田 颯水さん』
雪・・・『徳井 青空さん』
月・・・『飯田 友子さん』
華・・・『松嵜 麗さん』
私の妄想での配役なので異論は認めません!!