極東現想録ーcycle of crashー   作:(業)

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ーPatriot's tailー

 尾行部隊を仕切っている長身の男性の真鍋はその尾行部隊を別のバンに乗っていた。この世界に入って6年経つが野望に満ちあふれたその心とは裏腹に出世できなかったこともあり組織を自分のことを優遇してくれる愛国者に鞍替えしたところ、今ではわずかながらも構成員を引き連れるまでに至り優秀な部下を教育している。

 彼は基本的に礼節を起点としてバイヤー、集金屋、用心棒、ハッカーとして必要最低限の知識を教え込み、後々に行きたいところへ送り、あとは専門家の元で特化した教育を受けることになる。教育のための人員設備に苦労したが、その結果が実を結んだときの快感はもの凄い。

 その教育を済ませた真鍋の部下の斉藤は呟いた。

「何故急に彼の尾行を?」

「支部長が言ってた。ポリ公が分捕りを狙っているそうだ。」

「分捕り?どこからの情報ですか?」

「んなもの知るか。俺たちはそれを未然に防ぐため派遣された。」

 久しぶりだろうか、不透明な振る舞いを見るのは。

 半年前に押し掛けてきた変わった少女を匿ったところどういうわけか評価され、ボーナスをいくらか貰ったのは儲けものだった。アレを契機に愛国者も一気に力を付けられた。何故かは真鍋でさえ把握していなかったが得になる話ならどうでもいい。

 そうして姑獲殺しのトラックを部下を介して見守るのであった。

 

 東京の倉庫群から出て3時間。浦部は中央自動車道を北へ走っていた。もうそろそろ一息入れておきたい。ほぼノンストップで来てしまったのだからたまには休みが欲しくなる。普段の契約の仕事でも余裕にとばせるが10メートルほど後ろにはあの男の部下の車であろう二台の高級車がずっとついてきていて、それに注意を払っていたからである。

 そんなことを思いながら眠気覚ましのコーヒーとマフィンを求めて湖の近くにあるサービスエリア(SA)へとトラックを入れていった。やはり後続も付いてくる。監視は契約の時点で聞いてないから恐らく予定が変わったか、第三者が積み荷を欲しているか。憶測を巡らせた。

 トラックをパーキングに止め、辺りを見る。やはり一般車用の枠に二台のセダンタイプの高級車が止まっていてその中から積み荷を見ている。他にある車両がまばらなおかげで尚更に強調された。外見はプロのようにも見えるがあからさますぎる。

 どれ、休憩と行くか。

 浦部はトラックのエンジンを止めてキーを抜いて降りる。すると高級車の中からも男達が降りてくる。もっとも、尾行するだけでありその程度なら我慢すればいいが、どうも良い心地がしない。

 耳の弱った老人の経営するコンビニエンスストアでコーヒーとマフィン、最近健康志向で飲み始めたトマトジュースを買うとトラックに歩み寄る。

 するとやはりあの貴婦人の言ったことが頭を過ぎる。積み荷に興味を抱くことはなかった。しかし今回のは不可解なことが多すぎる。

 やはり開けるべきなのだろうか。

 

 姑獲殺しがふとコンビニに立ち寄った頃、サービスエリアの駐車場のバンの中では真鍋が連絡を取り合ってた。その連絡を聞いても顔色を変えない真鍋はスマートフォンをポケットに滑り込ませるとそのまま眉間を摘まんだ。

「何かあったのですか?」

「姑獲殺しと公安に繋がりがあるらしい。」

 先ほどの荷台を付け狙っている警察機関に神経をとがらせていたため殺気立っていた。もし捜査員なら荷物を警察機関に届けられる。

 そんなことをふと思った斎藤はチタンインカムを外して問いかけた。

「今回の件を漏らしたのでしょうか?」

「いや、そういう訳じゃない。以前からつながりはあったそうだ。噂だけの話だけだが。」

 支部長曰く運び屋でありながら陰ながら闇社会の秩序を守る番人でもあったらしい。以前に闇社会で急に現れて不振な動きをする組合が彼にあろうことか核を運ばせようとしたらしい。何でも核を都心まで運んで欲しかったらしいのだがこの一件は却下された。その次の日には公安が押し掛けるという事態が発生した。

 それだけでなく、闇社会の秩序を乱すものと認定されたものは依頼を断られて追放されるといったことが何度もあったようだ。やはり関連を疑うほか無かった。

「安井、濱田、姑獲殺しが荷物の中身を確認したら始末しろ。いいな?」

 バンの中の部下二人は静かに肯定しスーツの中にマシンピストルの一種、マイクロウジを差し込み夜空の元にひっそりと出た。

 

 




テコ入れ済み(2015・5・23)
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