君に見つけて貰うまでの物語 作:新世界
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「ふぅー……やっと修理が終わったヨォ……船体はボロボロだし、中も滅茶苦茶で、メインコンピューターは真っ二つだったし……本当に、ホンットーッに大変だったヨォ……!」
「やっと……伝説の『船』の復活だヨォ!」
「いやぁ、やっと見つけたのにボロボロだった時はどうしようかと悩んだケド……修理してみて良かったヨォ。確かに凄く……モノスッゴーック大変だったケド……完成した姿みたらその苦労も吹きとんじゃったネェ!」
「さてと、これで後はメインコンピューターを起動するダケ……さあ目覚めるんダヨォ! 『天かける船ローア』!」
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……ううん……?
ここは……今は、どうなって……。
……私が思考を整理しているうちにメインモニターが起動したのか、青い衣の子はその黄色い瞳でモニターを見上げているようだった。
「おはようローア! なんて、船に話し掛けても何にもならないんだケドね。さあてト、まずはマスター認証して……各システムの確認しないとネ」
その子は体を揺らして瞳を細めて、コントロールパネルに手を伸ばした。
……そっか、私、起きられたんだ。
あの女に明確に逆らったから、解体されるくらいは覚悟してたんだけど……どうやら無事だったらしい。
とはいえ、感覚的に私の稼働状況はあまり良くない。
「ウーン……稼働率30%ってところ……カナ。搭載されてるシステムの殆どが使えないや」
……主に搭乗者の保護関係のシステムが殆ど機能していない。
当然、私の中に乗っていたみんなの反応もない。
……あの時からどれだけの時が流れたのかわからないけれど、何の痕跡も残っていない事から、私は結局みんなをあのイカレ女から守れなかったんだろう。
予想はしてたけれど……その逃れようもない事実が辛く、体なんかないのに肩に重くのし掛かってくるような感覚がした。
「マァでも、航行には問題なさそうダネ。異次元ゲートも生成出来るみたいダシ……修理の時ウイングも追加で着けたから更に安定した航行が出来る筈ダヨォ!」
……言われてみればなんだか妙なパーツが取り付けてあるね。
船体の後方の左右に……白い、翼のパーツ……?
船に翼とかいうトンチキなセンスに反して、姿勢制御と加速度が上昇してる……あのイカレ女の発明品である私を改良するなんて、この子やるじゃん。
相当年月経っている筈なのに、老朽化してる部分も取り替えられているみたいだし……相当に優秀なエンジニアなんだろうと、届かないと知りつつも感謝の思いを向けた。
「これでやっと、あの忌々しい『ランディア』から、『マスタークラウン』を奪える……!」
そう告げた青い衣の子の瞳が、ドロリと濁った。
……感じる、既に
あのイカレ女が作り出したいくつもの発明品……『杖』や『鏡』、私こと『船』の後に作り出された『筆』、そして……ちらと聞いたみんなを原料にしただろう……『冠』 。
元が同じ、だからだろうか……繋がりを感じてしまう。
「クフフフ……ヒヒヒヒッ……!」
……データがある。
『冠』……『マスタークラウン』は完成した後様々な国、世界、星を回り、持ち主に圧倒的な力をもたらして……そして破滅させてきた。
そんな『冠』を現在所持しているのは、四つ首の竜、『ランディア』。
『ランディア』はその力に振り回される事なく制御し、ここ……『ハルカンドラ』で『マスタークラウン』を守り続けているようだ。
「これでボクも……支配者にナレル……!」
あのイカレ女の発明品はどれも最悪だけど、『マスタークラウン』は群を抜いて最悪みたいだ……完全に見入られてしまったこの子はもう止まらないだろう。
私の、『船』の言語化機能は完全に停止しているし、AIも壊れている……その割にこうやって思考出来てるのは不思議だけど。
とはいえ結局のところいくら思考を重ねたところで表に出せなきゃないのと同じ……結局私が何も出来ない事に変わりはない。
……むず痒い……どう足掻いても破滅するのが目に見えてるのに……私はこの子を救う事が出来ない。
「だから頼むヨォ『ローア』! このボク、『マホロア』の為に『ランディア』をとっちめてヨネェ!」
力を渇望し、『冠』に見入られ、その純粋だった瞳を濁らせたこの子を……『マホロア』を……歪んだ理由だろうと私を目覚めさせてくれた恩人を……助ける事が出来ない。
私に向けて、そうネガウ彼が、新たなマスターである『マホロア』が……哀れで仕方なかった。
……私に、思考する事しか出来ない私に出来る事は少ないけれど……ずっと、失敗ばかりの私だけど。
どうかこの子は助けてあげたい……そう思った。
「じゃあ早速行くヨォ! いざ、『ランディア』退治!」
……まぁまずは、その『ランディア』とやらと戦うのかな。
成程ね、新たなマスターであるマホロアはその為に『船』を蘇らせたと……成程成程……。
…………え、武装もろくにない、この『船』で……?
突然すっごい不安になってきた……これ、私また墜ちるんじゃない……?
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「ワワワワワワワワワ!」
いやぁ……うん、ランディアは強かった。
というか武装もろくにない図体だけの『船』で勝てる筈もなく、無数の火球をお見舞いされた私は、黒煙をあげながら墜落し始めていた。
逃げる為に無理矢理異次元ゲートを開いて抜けたからか、負傷した箇所からエナジーが漏れだしていったし、エンジンもほぼ停止状態……こりゃ墜ちるね。
命からがら、『ハルカンドラ』とは別次元の星にたどり着いたけど……ここは……どこだろう?
「あ、えっ、ココハ……あっ!」
そんな慌てるマホロアの目の前、メインモニターに映像が映る。
それはこの星の地表を映した映像……今まさに眼下にいる原住民の姿だった。
映像は、私も認識出来て……そして……驚愕に思考が停止した。
大きなケーキを掲げて走る、ピンク色の球体が、そこにいたから。
「…………クフッ! ついてる、ついてる! マサカ命からがら逃げ出した先デ、ここにたどり着くナンテネ!」
辺りの光景はのどかな草原が広がっていて、酷くのんびりとした牧歌的な光景で……広い宇宙の中でも、無数にある星の中でもトップクラスに平和な景色だった。
その景色に……その光景に……私は覚えがあった。
そのピンク色の彼に……私は覚えがあった。
マホロアは、揺れる船内でそれらを映した映像を見て、嬉しそうに目を細めた。
「運が向いてきたヨォ! じゃあ早速、ボクは気絶したフリでもして……うげ、船体のパーツがバラバラになってル……マァ、それもやって貰おうカナ!」
何か悪巧みをするマスターと、散らばっていくパーツ、揺れながら墜ちていく船体……。
そんな状況でも、私の意識はずっと、彼に向いていた。
此方を潤んだ瞳で……どうやら掲げていたケーキを落としたようで……見つめるピンク色の彼に……ずっと。
ずっと、ずっと夢見ていた……ずっと、ずっと会いたかった彼に……。
「頼んだよ、『星のカービィ』!」
丸いピンク色の一頭身。
私の夢見た不屈の勇者。
全てを救う最高のヒーロー……。
もうない筈の胸が、心臓が、高鳴ったような気がした。