「落ち着いたか?」
「うん、」
「皆も交えて話をしよう」
「うん、」
マミを抱え上げて部屋を出る。落ち着けるために部屋を出ずに構っていたためか、すでに沈んだ日にどうしたものかと思いながら、お姫様抱っこで皆がいる部屋に行く。
「えっと…どちら様?」
「うん、さっきのマミさんのこと話したら、お母さんが来てくれて、」
「ああ〜なるほど……杏子の戸籍改正もしなきゃいけないのに……」
「とりあえず、聞かなかったことにしよう、それでまどかが言っていた子ってのはその子かい?」
「ええ、まぁ」
いつもの腕ではなくて、今回は腰に抱きついているマミの頭を撫でながら、まどかの母親、鹿目詢子の話を聞く。
「まずは、悪い、多分そのこの恋愛相談は私ができる範疇を超えている」
「まぁそれなりに特殊な人生を歩んでますんで、そこはいいんですが、問題は佐倉の学校か……マミ、少し話してくれパソコンが取れない」
「ん…」
腕ならまだしも、血法が使えない今腰に抱きつかれたままではパソコンが取れないのでマミに話してくれと促したら、抱き着きはほどかれたものの左手は服の裾をしっかりと握っており、パソコンを渡してくる。
パソコンを開き、警察に連絡をすると、予想をしていたのか、二つ返事で許可がでた。あと、美国という政治家が不祥事の疑いがあるため、何かあったら頼むと言う文があった。仮を作るために戸籍変更手伝ってんな……まぁそこは無視して、教材の発注をする。もちろん神廻組のコネを使って明日には届くようにだ。書店にあってよかったよ。
「依存系だね」
「やっぱりですか」
「カウンセリングをおすすめするよ、あと何かあったら相談するといい、」
「了解です。あと、服ありがとうございました」
「いや、残していても腐らせるから使ってくれるのはありがたい」
「それはどうも」
「ありがとうなのです」
なぎさが淳子さんに感謝をする。これで当面の問題は魔法少女で居続けるためのグリーフシードの補充となった。四人でどこまでできるのか、何が足りないのか、そして、知らないことからどんな脅威が来るのか。
「マミ」
「嫌」
「マミ、飯作るから離れてくれ、」
「嫌」
今だに話してくれないマミに出前を取ろうかと考える。チーズピザでも頼もうかな……
「佐倉、料理できるか?」
「無理だな」
「そうか……出前とるか」
「チーズ!チーズが食べたいのです!」
「食えるのなら何でもいい」
「他は?」
「さすがに帰らせてもらうよ」
「私も」
「そこまでしてもらう必要はないわ」
「了解」
帰っていくまどか達の見送りをなぎさと佐倉に任せて、俺はスマホを取り出す。ピザでいいか…いやハンバーガーという手もあるのか……よし、
マミは明日も不安定だろう、月曜日までに戻ってくれるといいんだけどな。
「……」
「……」
そこからは、マミに構いながら仕事をした。経理なんかは過去のものと照らし合わせながら、勉強しながらやっている。そこに加えて通常授業だ。やることが多すぎる。
それでも、学校は義務だし、魔女狩りもここにいるための大義名分を求めてのもの。マミがこんな状態になってからは余計に動きづらい、ライブラの福利厚生が良かったのが身にしみる。
そのまま日曜日を空けて、月曜日。なんとか回復したマミに、佐倉を任せて、なぎさを小学校に送る。神廻組の回復で児童養護施設も復興を始めている。人手が足りないため俺がなぎさを送ってきたという設定だ。実際にそこにも金は回しているが、俺一人だとどうしても細部までは生き渡らせることができない。
「じゃあ頑張れよ」
「はいなのです!後でチーズが欲しいのです!」
「帰りにな」
そこからは普通の時間だ。俺が来たから狂ったのか、魔法少女とその候補が揃ったから狂ったのか、学校を襲撃した男達はあれから普通に捕まって、学校も元通り、俺が壊した窓以外は損傷もなく、それも昨日一昨日の土日に直される。ならば変わることのないことだと思っていたが、まさかまさか、魔法少女が増えているとは。
真実は気づいていないようだが、俺の眼にはごまかせない。本来あるべき魂が指の上にあり、まとう雰囲気も変わっている。名前を呉キリカ、マミの隣の席であり、俺の右斜め前の席の少女だ。事実を知った俺達き期待をしていないのか新たな契約先を見つけたのかもしれない。でもそんな事が分かっても、今できることは何もない。
「どうかしたの?」
「今後についてどうしようかなと」
あれから、些細な変化にも気づくようになったマミの質問がされるが、今言えることではないので嘘ではない言葉で誤魔化す。事実これからやることは多い。暁美の最終的な目的は聞いたがその過程を聞いていない。なぜまどかはほかの世界線において幾度となく魔法少女になろうとしたのか、優しすぎるだけじゃないのか、それともまだ隠していることがあるのか、どちらなのだろうか。
「それじゃ、なぎさを迎えに行くか」
「ええ、」
マミと並んでなぎさを迎えに行く。佐倉と暁美に今日の魔女狩りを任せて、なぎさの為にチーズケーキを買う。神廻組の幹部には甘党がいたから、洋菓子店も管轄の中にあった。その店で一押しのチーズケーキを買って、見滝原小に行く。
「どうだった?」
「退屈だったのです…なぎさもシキ兄にぃ達と一緒に中学校に通いたかったのです!」
「それは難しいわね」
「神廻、帰ってきたのはいいんだが手続きとかの関係があるから次からは間をあげてだな…」
「まぁさすがにこれ以上増えるとは思わないけど」
「……ここじゃないが、中学も一人お前の伝で入っただろ?最近政治家で嫌な噂を聞くし、この街にも一人いただろ、ニュースで取り上げられていた」
「その辺は任せてもらえれば大丈夫ですよ、彼処は何度かですけど交流があったんで、ただ、代替わりをしてからは関わりは減りましたけどね」
彼処にも挨拶に行かなければならない……苦手なんだよなあの爺さん、人を見る目を持っているのは確かだろうが、あの天才性は政治家等の人の上に立つ者が持つにふさわしいものであり、時代が変われば絶対王政でもやっていけるタイプの人間だ。
代替わりしてからは、ヤクザ間抗争で避難先に使われたっけな。その時に同い年の子がいたはずだ。そう、隔世遺伝と言う奴かあの爺さんに似ていた。現当主は劣性遺伝なのか不器用な感じがした。まだガキの頃の記憶ながら鮮明だ。この時から俺も人の上に立つ才があったのかもしれない。
どちらにせよ、ニュースで報道されたことが事実なら、これは由々しき事態だ。
「とりあえず、今日はそのまま帰るぞ、明日はうん二人が魔女狩りの日なんだ。早くに休んだほうがいい」
「ハイなのです」
「分かったわ」
そうして、呉キリカが魔法少女になったこと以外は普通に終わっていった。帰りに使い魔がいたのでそれは不倶戴天で貫いておいた。
その翌日は、魔女狩りの前に、さやかの幼馴染のお見舞いに着いていった。魔女だったなぎさがいた場所でそこにまだ魔女がいるとは思わないが、病院でも孵化しやすいことを考えると、無いとも言い切れないから、集まった次第だ。
「恭介、今日も持ってきたよ、あと紹介したい人」
「CD以外も持ってくるなんて珍しいね、誰なんだい?」
「最近できた先輩の御二人です」
「あ〜よろしくでいいのかな?」
「はい、よろしくお願いします。上条恭介です」
「三年、神廻四季だ」
「同じく、巴マミよ」
挨拶を終えて、軽い雑談を始める。音楽、と言うよりバイオリンが好きだとは聞いていたが、まさか雑談の九割がバイオリンの話になるとはね。好きこそものの上手なれというが、まさにそのとおりだな。
「怪我をしているのが悔やまれるな、一度聞いてみたいものだ」
「……」
「どうかした?恭介」
「他の人がいる手前、言い出せないけどさ、さやか、今やっていることって、嫌がらせになってるんだよ」
「え?」
「…………」
「僕はもう、バイオリンを弾けないんだ!」
手元にあったCDをプレイヤーごと叩き壊す上条恭介、包帯があるとはいえ、出血しているのか手が赤く染まっていく。だが血を流しているのにもかかわらず、痛いとも、顔をしかめることもしない。
「今の医学ではどうしようも無いって……ヴァイオリンは諦めろってさ……動かないんだ……もう……」
「そんな……」
「痛みも感じないのか……」
確かにこっちでは、不可能な治療だ。H・Lで感覚が麻痺しているが、治せないものだってたくさんある。それこそ…
「奇跡か、魔法でも無い限り」
「……あるよ!奇跡も、魔法も、あるんだよ!」
おいおい、お前は先週何を見て聞いたんだ、今それを出すバカがどこにいる。それに上条恭介に願う必要もないだろ。
「奇跡も魔法もあるがそれに頼るんじゃねぇよ」
「うぐっ!?」
反射的に上条恭介を殴ってしまう。二発目はマミに止められてでなかった。それでも拳は握ったままだ。
「天才バイオリニストだっけ?腕が使えないから終わりか……なるほど……だから?」
「え?」
「腕が使えないからなんだ、お前の価値はそれだけか?それだけしかないと言い張るのなら、お前に価値はないな。俺は少し違うが、マミも、事故で大切なものを亡くしている。お前はどうだ、腕一本使えなくなった程度で喚くな、」
「貴方に何が分かるんですか……、ヴァイオリンは僕にとって全て何です!それなのに諦めろって言われてリバビリしても意味が無いじゃないですか!」
「じゃぁしなきゃいいだろ、」
「なっ?!」
「その程度のことで、不幸だと思ってんな。
「もしかしてお前、不幸や不遇に甘んじていることを頑張ってると思っちゃってるんじゃないのか?
「そういうの世間では、何もしていないって言うんだよ。
「不幸なくらいで許されると思うな。ハッピーエンドを目指すべきだ
「不幸で居続けることは怠慢だし、幸せから目を背けるのは卑怯者のすることだ。泣き言を言うのなら死を間近で感じてからだ」
まだ言いたいことがあるが、まずはこれだ。五体満足ではないが、親もいる、想ってくれている人間もいる。それで、それなのに、バイオリンか弾けない程度で不幸を語るな。失明したことあんのかよ、家族なくしたことあんのかよ。歩けなくなったことあるのかよ。
「……」
「後は自分で考えな、ああ、そうだ。アドバイス。奇跡は諦めない奴の頭上にしか降りて来ない。奇跡ナメんじゃねぇよ」
それだけ残して俺は病室を去った。久しぶりにキレたな。全開は、クソ兄貴が俺の財布をキャバクラとギャンブルに消し飛ばして、挙句チンピラに絡まれたのが二日酔いでベロンベロンで動けなくなって俺を頼った時だ。その時は兄貴を簀巻きにして、ぶん回したな。いい思い出だ。もう十回くらい振り回しておけばよかったかな。
さやかには何も言っていないが、声が大きく一週間出禁を食らったのでしょうがない。ともあれ、さらに翌日の水曜日。今日も今日とねマミとなぎさと一緒に帰っていると、二人のソウルジェムが反応をする。細かい位置は義眼の方が役に立つが魔女が周辺にいるかどうかはソウルジェムの方が反応がいい。
「四季」
「なんだ?」
「魔女の気配です」
「了解……見つけ!はぁ?!」
「どうかしたの?」
「最悪だ。まさかあれで選ぶ馬鹿だとはな……いや昨日の件があったからか」
マミとなぎさが察知した魔女の気配の報告を受け、周辺の裏道を重点的に視てみると、工場の中にまどかと、暁美と、佐倉とそして魔法少女の姿をしたさやかが見えた。
「そんな……」
「とりあえず、行くぞ」
拳を固めて、走り出す。工場へと駆け込むと、そこには幾人か倒れて中には見滝原中の生徒もいた。
「あっ…みんな!がはっ!」
「……はぁ…後悔は?」
「してない」
「わかった、もう一発だ。さっきのは昨日の件、この拳は止めていたみんなの分だ」
踏み込んで思いっきりぶん殴る、顔に跡が残るがそんなものは魔法で治せる。
「彼奴は諦めなかったのか?」
「うん」
「分かった、俺から言うことは何もない、ただ、他の奴らの言葉はしっかりと聞いておけ」
このあと、杏子の自殺防止でマミに縛ってもらってから魔法少女の真実、魔女化について話した。最初は困惑をしていたが、もともとの性格か立ち直り早かった。ただ、縮まった距離をマミが遠ざけようとしていた。何をしている、別に誰か一人に肩入れはしないから安心してくれ。そう言ってマミは落ち着いた。
一応簡単な時系列
四季が帰ってくるのを0日とした時
一日目、四季が目覚める。日曜日
二日目、一時帰宅、マミに斗流を知られる。月曜日
五日目、ほむらが巻き戻しで戻ってくる。木曜日
六日目、委員長の魔女討伐。金曜日
八日目、転校、原作スタート。月曜日
九日目、薔薇園の魔女討伐。火曜日
十日目、書かれていないが、使い魔討伐。水曜日
十一日目、上記と同じ。木曜日
十二日目、お菓子の魔女と遭遇、なぎさの救出。金曜日
十三日目、杏子の引き入れ、マミ一時ヤンデレ化。土曜日
十四日目、キリカの魔法少女化の発覚。月曜日
十五日目、恭介に説教。火曜日
十六日目、さやか、魔法少女に成る。水曜日
こんな感じです。作っている本人もあまり分かっていません。