神工義肢持ちの魔法少女の幼馴染   作:紡縁永遠

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魔狩りの黒薔薇

 「君の家は下宿場所か何かかい?」

 「あくまで可能性の話ですよ、それに織莉子は自分の家を持っているわけで、マミみたいにマンションというわけでもない、流石に入りませんよ」

 

 笑いながら、学年主任に報告をする。織莉子がこの学校に来る可能性は低いだろう。魔法少女に成ってまで何を願ったのかはしらないが、それは織莉子の意思であり、知らないことを伝えて、魔女になるよりはマシだ。それに、何かあれば戦うことになるだけだ。

 伝えるべきことは伝えたので、そのまま帰路につく。

 

 「……なんのようだ、インキュベータ」

 「いや、魔法少女狩りをするものが現れた」

 「……犯人は?」

 「分かっていないね、斬撃、切傷があったからか君かと思ったけど、違うみたいだね」

 「そういうことね、こっちも調べてやるから進展があったら報告しろ」

 

 久しぶりに顔を出したインキュベータからの報告。魔法少女に有用な情報なのでそれには応えておく。でもそれ以外にもともと聞きたいことがあった。

 

 「なぁ、見滝原中には、現在五人の魔法少女がいるわけだが、白羽女学院には何人の魔法少女がいるんだ?」

 「なんでそこが出てきたのかは知らないけど三人だよ、名前は明かせないけどね」

 「そうか、八人ねぇ……なぎさは抜いたが……次狙われるとしたら、なぎさか?見た目で判断するならそうだし、魔法少女狩りが白羽女学院の方に向けば……憶測で物を語るわけにはいかんか」

 「君は行動で何かするタイプだと思っていたけど、考えるんだね」

 「殴る方が早いからな、でも相手が獣ではなく人の思考をして動くならそうも言ってられない、自分より圧倒的に強い獣と、自分より弱い人と戦えと言われたら、俺は獣を選ぶ」

 「変わってるね、それじゃぁよろしく頼むよ」

 

 血界の眷属が厄介な理由は、その力に人の知能が加わっていることだ。力を誇示して暴れるやつもいるが、強いやつほど息を潜め、目的のために不意に出てくる。お仲間の敵討ちに来た奴もいた。

 人の思考は、実力を大きく変える。弱くなることもあるが、強くなることもある。何をしてはいけないのか、逆に何ができるのか、天才はこれを身体で示したが、あれは自業自得であるのが、やはり屑ではあるがカグツチ正統後継者であることも納得できる。

 

 「……魔女となぎさか、マミがいないな、急がねぇと」

 

 珍しく、なぎさは一人で魔女と戦っていた。一度魔女になったことがあるからなのか、魔法少女としての力だけでなく、擬似的な使い魔と第二形態ともとれる蛇型の方の魔女を召喚できる力を持っている。それでも、なぎさは子供だ、本人に自覚はないがなぎさも背伸びをして生きている。現在俺の家にいる人間は全員背伸びをしながら生きている。まぁ最近のマミは甘えることもしてくるが、全員本当の意味でその背伸びをやめることはないんだと思う。

 杏子を連れて帰ってきたその日、マミはすべてを俺に預けようというほどに狂気的な行動を取ったが、数日してそれもなくなった。大人がいないだけで、人は知らず知らずに壊れていく。俺もライブラの皆がいなかったら、早々に壊れていただろう。

 急がないとな…

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 「…早く倒れるのです!」

 

 私は使い魔を呼び出しながら魔女と戦っている。今日はマミもシキ兄にぃもいない、やることがあって、なぎさも一人で帰れるから、そう言って今日は一人なのだ。でも、

 

 「一人で戦い始めるんじゃなかったのです」

 

 魔女は魔法少女にしか倒せない。これを現状無視できるのはシキ兄にぃだけなのです。魔法少女ですら苦戦する魔女を真っ二つに切り裂く姿はカッコよかったのです。でも、なぎさができることは少ないのです。

 

 「よかった、まだ残ってる、魔法少女がいるけど、ま、いっか」

 

 誰なのです?知らない魔力、それに皆と違う、何か黒く嫌な感じなのです。反射的に使い魔をたくさん呼んだのですが、もともとの魔女も倒され、呼び出した使い魔も倒されてしまったのです。

 

 「じゃあね」

 「あっ…」

 「―――   斗流血法(ひきつぼしりゅうけっぽう) 模倣(もほう) 血殖装甲(エグゾクリムゾン)   ―――ギリギリだな……」

 

 驚いて動けないなぎさに切りかかってきた魔法少女の攻撃を止めたのは、血でできた赤い腕で相手の爪を受け止めたシキ兄にぃだった。

 

 「シキ兄にぃ!」

 「悪い、もっと気をつけておくべきだった」

 「君、なんなのさ、魔力を感じない、それどころか女ですらない」

 「何も、魔法少女だけが魔女と渡り合えるわけじゃない、世界は広いんだ。俺のような例外がいることも視野に入れておいたほうがいい」

 「ふ〜んでも魔法が使えないのに戦うなんてバカだね。―――   バウンスファング   ―――」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 義眼で戦況を覗きながら向かっていると、呉キリカが横入り、魔女を倒してしまった。別にそこはいい、世のため人のため、それが本当かは知らないけど魔女を倒したことでなぎさが死ぬ確率は減ったわけだ。でも、そこからが問題だった。

 なぎさに敵意を持って攻撃をしたのだ。その時には俺も結界の最深部にいたから、間一髪、骨に届く前に血殖装甲を展開したことで、なぎさは無傷。俺は肉を少し切った程度に収まった。

 

 「悪い、もっと気をつけておくべきだった」

 「君、なんなのさ、魔力を感じない、それどころか女ですらない」

 「何も、魔法少女だけが魔女と渡り合えるわけじゃない、世界は広いんだ。俺のような例外がいることも視野に入れておいたほうがいい」

 「ふ〜んでも魔法が使えないのに戦うなんてバカだね。―――   バウンスファング   ―――」

 

 手に付けられた巨大な爪、H・Lでは銃も往来していたが、1番オーソドックスだったのは人体改造による超近接戦闘。

 いつもの針ではなく、斬撃による出血ならば、血殖装甲は解かないほうがいいだろう。つまり、俺が取るべき選択肢は一つだげ。

 

 「―――   斗流血法(ひきつぼしりゅうけっぽう) 模倣(もほう) 血殖装甲(エグゼクリムゾン ) 血槌(ブラッドハンマー)のハマー   ―――」

 

 早い話ただのパンチだ。でも本家大本の血殖装甲ほどの威力はないが、斗流の血を使った殴り。もちろん相手はもちろん反動で俺の方も吹っ飛ぶ。

 

 「やっぱり使い勝手悪いな」

 「どうなってるんだよ!願いはかなったはずだろ?!なんでそんなに強いんだよ」

 「悪いな、一時の願いでこの力を持ってるわけじゃないんでね、修練の賜物だ。願いで得た力に重みはないよ」

 「―――   ヴァンパイアファング   ―――」

 「吸血鬼ねぇ、悪手だな―――   斗流血法(ひきつぼしりゅうけっぽう)シナトベ 刃身ノ弐拾八(じんしんのにじゅうはち) 不倶戴天(ふぐたいてん) 幻隼突(げんしゅんとつ)甚雨(ひさめ)   ―――」

 

 三叉の矢を風を交えて放ち、伸ばして来た爪を縫って突き進む。形状変化に慣れすぎたせいか、逆に仕込みがない方が怪しくてしょうがない。爪が伸びるのは普通だし、なんなら身体に銃を仕込んでいたほうが納得できる。

 インキュベータが言っていたな、身体は器であり、本体は魔法少女だと、なら、頑張れば腕を銃に改造したりすることも可能だろう。やらないけど。

 それにしてもヴァンパイアか、吸血鬼、つまりは不死者、血食の眷属。ただの名前ではあるが、ライブラとして、牙狩りとして何度か戦っていた俺からすれば、確実に死ぬ相手は恐るに足らない。

 

 「逃げたか」

 「…ごめんなさいなのです」

 「?なんでだ?」

 「なぎさがちゃんとしてなかったから、怪我をしたのです。それに、逃がすことも……」

 「気にするな、呉キリカが魔法少女が敵対することを想定していなかったのは俺だ。インキュベータがくれた情報が遅かったというのもあるが、なぎさは悪くない」

 「でも!なぎさは何もできなかったのです」

 「気負いすぎるな、まだ成長途中、ゆっくりと進めばいい」

 

 なんとなく、理解した。なぎさが背伸びをする理由。

 捨てられるのが怖いのだ。おそらく、小児がんでチーズを食べれないことに対して、我儘を言ったのだろう。現になぎさは一日一回はチーズを食べている。医療の観点から食べられない好物、親の反対を押し切って願い、それを食べてしまった。崩れたのはこの時、親の医者の断りを、無視してしまった。

 なぎさ自体は、物分かりのいい子供だったのだろう。借金をしてまで治療をしようとしたのだ。親として向ける愛情はしっかりあった。

 でも、行動に対してはまた別だ。

 役に立たない、勉強も問題なくこなしてはいるが、どうしても焦っているように感じる日々。失敗が怖くて、我儘に対して、甘えに対して、拒絶でもあったのかもしれない。

 チーズを食べられないという決まりも、長くなれば苦痛になる。たった一言の疑問でも声に出せば抑えられなくなることもある。理解してたからこその反動の可能性がある。

 小児がんでの食べられないチーズはカビ系チーズ、熱殺菌されればいいのだろうが、なぎさがよく食べるのはカマンベールで、カビ系チーズに分類される。

 

 「なぎさ、」

 「なんなのです」

 「お前は子供だ。背伸びする必要はない」

 「でも……」

 「でもじゃない、子供が背伸びしなきゃいけないことのほうがおかしいんだ、自分に正直になれ、子どもが甘えないでどうするんだ、受け止めてやるから、しっかり甘えろ」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 「子供が背伸びしなきゃいけないことのほうがおかしいんだ、自分に正直になれ、子どもが甘えないでどうするんだ、受け止めてやるから、しっかり甘えろ」

 

 助けられた、帰り道。魔法少女の攻撃を受け止めた左腕は、血糸で出血を止めているだけで、治ってはいない、それでもシキ兄にぃは怒るわけでもない、文句を言うわけでもない。甘えていいと言ってくれるのです。

 あの日、魔法少女になった日、なぎさは見捨てられました。やってはいけないことでした。チーズを食べてはいけないかった。でも、私は食べてしまった。なぎさは悪い子です。ためだと言われたのに、食べてしまった。それからお母さん達はお見舞いに来なくなって、そして……

 次に目を覚ましたのは今住んでいるシキ兄にぃのお家だったのです。マミも、杏子も、まどかも、さやかも、優しくて、たまに遊んでくれるほむらも優しくて、でもまた離れていくのは嫌で、いい子でいようとして。迷惑をかけないようにって、一人で帰っているときに、魔女を見つけて、一人で倒そうとして、助けられて。シキ兄にぃは怪我をしてしまったのです。私のせいです。

 でも、大丈夫だって笑う。離れていかない、安心感があるのです。もう離れたくない、お母さん達のようになりたくない。甘えていいというのなら、なぎさはそうするのです。だから、家に帰って、腕が治ったら、なぎさはずっとシキ兄にぃの近くにいるのです。

 マミが怪我をした腕を見て、驚きと心配でシキ兄にぃに抱きついていたけど、それでも今早めてほしいのです。皆優しいのは分かっているのです。でも、一番安心するのはシキ兄にぃの隣、今は膝に乗って宿題をしているのです。分からないところは優しく教えてくれるので嬉しいのです。マミが威圧してくるけど気にしないのです。気にしていたら離れていっちゃうのです。そんなことないと思いたいのです。でも、魔法少女と同じように、魔女と戦うなら、いつかはお別れが来るかもしれないのです。早いか遅いかなら、遅いほうがいいのです。ずっと一緒にいたいのです。

 

 「シキ兄にぃ、」

 「なんだ?」

 「一緒にいてください」

 「いいよ、居てやるから、マミも混ぜてやれ。お互い、というかこの家に居るのは家族を亡くした人間なんだから」

 「…………わかったのです」

 

 シキ兄にぃはわかってないのです。マミがいると離れていく気がするのです。他の魔法少女無も同じ事が言えるのです。だから、仲良くはするけど、シキ兄にぃを超えることはないのです。

 絶対に役に立ってみせるのです。だから、離れないでお兄ちゃん。




なんとか、かけた。
なぎさの喋り方は難しいですね。
度し難い人間の屑である兄弟子を見ているので、秩序のもつれは対応できそうな四季だけど、方向性が少しずつ違ってくるからなぁ。
特になぎさは設定が少ないから、ほぼオリジナル要素だけど、
後は小巻とキリカの戦いに割ってはいるのかどうかだよな。

ヤンデレ織莉子の方向性

  • 甘えさせてくる
  • 甘えてくる
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