「ソウルジェムも傷ついてるな、」
「ソウルジェムさえ無事なら、生きてたかしら」
「無理だろうな、ソウルジェムが無事でもこれを見て死なない、死んでいないと感じるほうが自然だ」
「私もだけど、死体に慣れてるわね」
「慣れちゃいけないけどな」
目の前に転がる少女の死体。頭を巨大な爪で割かれたかのような傷だから、呉キリカであることに違いはないだろう。吹っ切れたのか、それとも、壊れた心に付け入るやつがいたのか……
「僅かに残る魔女のオーラ、死体処理をさせればいいのに、そうしなかったのは見せしめか、他の理由か、」
魔女に死体を食わせれば、何も残らない行方不明にはなるが死亡より騒ぎになりづらい。ならば残す理由があるはずだ。神々の義眼じゃ人の思考は読み取れないからな。読むと見るじゃまた別だし、形として刻んであるならまだしも、人の思考は波形に近いからな。しかも人それぞれ違うし。
「他のところでやってほしい」
「まぁ、調べづらくはなるからな、でも、所詮は他人だ。お願いすることはできても、義務に変えるのは無理だよ」
「失礼、少しよろしいでしょうか」
「………何?」
「そちらの少女を殺したのは貴方方ですか?」
振り向いた先にいたのは3人の少女。普通の格好ではない。軍服、侍……赤ずきん……魔法少女だ。魂が宝石の一にあり、魔力を所持している。
「私じゃないわ。来た時には、もう………」
「そうでしたか、それは失礼しました、では、そちらの方は、魔力がないようですが」
「詳しくはキュゥべぇに聞け、丁度いるしな」
「全く、相変わらず目がいいね。それで、君はこの子を見てどう思う」
先程から覗いていたインキュベータに声をかけると、倒れている少女について、聞いてくる。まぁ眼は残ってるから何とかなるが、少しノイズがかかった視点に切替わり、所々穴開きの少女が死ぬ瞬間の視界を己の目に映す。
「呉キリカで間違いはなし、目が結構綺麗に残ってるから見えたが、魔女と交戦中に呉キリカと遭遇、全開と違い目的を持って行動していたように見える。まぁ俺の主観だけどな」
「そこまで見えるのか」
「ああ、そういうことね、視ることに関しては何でもできるよ」
「ふ〜ん、なるほどね、思った以上にその眼は危険だ」
「それ相応に代償もあるからなこれ、」
契約に必要な人数は神工品一つにつき二人、それも一人は対応する部位を奪われ、もう一人は神工品の力に沿ったステージに運ばれる。今魔法少女と関わっているのも義眼の見届けるためのものであり、心臓は信念、貫く意志を表す。義眼のように神々にどんな利点があるかわからないが、それでも、契約に至るまでに、数多の命を利用した生贄召喚と、気まぐれに関わりに来る巻き込まれ型の二つ。どちらにせよ、それで多くの人間が傷つくのだ。魔法少女の契約と同等くらいにはたちが悪い。
「彼の名前は神廻四季、現存する唯一の無契約の戦闘者だ。つまり、魔法少女の契約関係なしに彼は戦える」
「無契約……?」
「?彼?」
「男だからな……なぁ、この娘の名前と願いはわかるか?」
「彼女は煤名美緒私達のチームの一人でした」
「そうか……」
「我々は風見野市で活動している魔法少女です。優木沙々を追ってきました。その子は、優木に強い憎しみを持っていました。先走る可能性を考慮しなかった私の不徳で先行させてしまい」
優木沙々、白羽女学院に所属している可能性のある魔法少女、なるほど、他と対立がひどいのか。
「……大体は予想がつくが、俺達は魔女の気配を追ってここに来たんだが、」
「やっぱり優木の仕業か!」
「いや、ソイツじゃない、あと認識阻害能力もあるから気をつけろ、たぶん変身していない状態だと気づかない可能性がある。この娘を殺したのは呉キリカ、魔法少女狩りを行うものだ」
憤る銀髪の魔法少女に訂正を入れる。なんだ、コイツラチームを組んでるんだよな、随分とまとまりが無いな。いやライブラが…あれはあれでまとまりは無かったな。主にクソ兄貴のせいで、
「とりあえず、キュゥべぇは他の魔法少女のことを話さないんでね、優木沙々という魔法少女について教えてくれ」
「なるほど、速度低下ですか」
「四季が言うにはね。私からすればただ速いだけだったけど」
「周りのモノの動きと、呉キリカの動きに違いはなかったからな、なら自分が遅くなっていると考えるのが普通だ。動きだけ遅くなるとかじゃないだけマシだ。しかし魔女の使役か、結構キツイな、一対多を敷いられ、さらにグリーフシードの浄化もほぼ考えなしにできるのか」
キリカとの相性はいいな、たぶんどちらの家に行っても意味はないだろう。となると、野宿か、織莉子が匿っているのか。どちらにせよ、警戒するに越したことはない。
「ねっ、ねえリナちゃん。作戦、考え直そうよ。敵が沙々ちゃんだけじゃないなら危ないよ!」
「はい、なので今考えているところです」
「そ……そうじゃなくてさ……風見野に戻ろうよ! 風見野でゆっくり話したほうがいいよ」
「……俺は問題ないが、小巻は病院を抜け出している立場だ。連絡は、あ、今携帯持ってないんだった」
「なんで持ってないのよ」
「キリカに壊されたんだよ。内ポケットに入れてたら、丁度壊れてな」
「災難ね」
風見野の魔法少女達は今後の立ち回りに作戦を考えるようなので、先に引かせてもらう。燃やすだけなら何とかなるが、それはそれで問題が起きるからな。死体処理は任せよう。
それに、さやかの方も気になるしな。でもその前に、美国について知っているやつに声をかけるべきか。
◆◇◆◇◆◇
「こんにちは、そして始めましてでいいのかな、美国公秀さん」
「驚いた、今日は平日だろう?」
「そうだな、でも相談事があったから来たまでだ」
「神廻組のことでかい?確かに父の時も久臣の時も交流があったそうだが、私に持ちかけるのかい?」
「いや、相談事は織莉子についてだ。現状織莉子について、親の目線から見れる奴はアンタしかいないからな」
「親の目線か、難しいねあの子は私のことを信用していないみたいだから、」
「葬儀に参加しなかったのはそれが理由か?」
「そうだね、そもそも招待すらされなかったよ。でもね、君がどうかは知らないけどあの子は子供だ。由良子が亡くなって、あの子は人として成長しようとしていた。子供であることをやめ、大人として生活していた。それも父である久臣のことを思ってだろうね」
「そんな理由が……」
大人か、俺からしてみれば甘いと言わざるを得ないな。
「君は、背伸びをしていないね。子供ではあるがその精神は取り繕ったものではなく、自然に成長したものだ」
「そうですかね、でも、この三年に親のかわりと言える人や、反面教師として満点でありながら頼れる兄、いろんな人に恵まれましたから、その時は背伸びをしなかったと思います。こっちに戻ってきてからは、そういった意識はしてませんでしたね、ささえるという考えはしましたが、無理をしながらというものではない」
「だろうね、君は、こう言ってはならないが父に似ている。君の父君、
「……」
H・Lで、いろいろ見てきた。最初は意固地になった物事もあるけど、それでも天秤にかけ、どちらが世界の均衡を守れるか、そういった考えで動くようになって、それが正しいとは言わないけど、それでもいろいろな判断をしてきた。
神廻組もカタギに迷惑をかけたら破門するという絶対的な決まりから、切り捨てられた人間も何人か見てきた。榎兄さんが女性にキャッチをしていた男をぶん投げていたのも記憶にのこっている。
ただ、やっぱりオトナになりきれていないのか。なら、壊れたときが心配だ。
「一応、何で気にかけるかを聞いてもいいかな、」
「突拍子もないことですよ?」
「既に神隠しにあっている君を前にこれ以上何かあるのかな?」
「魔法少女」
「は?!」
「正確には、神隠しにあった中でもいろいろあったが織莉子が関係しているのはそっちだな」
「何ともまぁファンタジーな……」
「恐らく既に接触が終わっているから、無視して話すが、インキュベータという感情エネルギーを求めて地球に来た宇宙人がいるんだが」
「……事実なのかな?」
「事実だ。でまぁ、感情エネルギーを得るためのシステムとして、魔法少女というものがあるんだが。問題はそこでありそこじゃない。魔法少女になる過程で、感情エネルギーを回収する為に、その人間の起源、オリジンを作る為に、一つだけどんな願いも叶えるという甘い言葉を使うんだが、それにそった結果や、絶望すると魔女に成る。ここまでいいか?」
「まだ、理解できるね」
「で、この魔女なんだが、放置すると人を襲うんで、魔法少女に間引きをさせてる、その時に得られるアイテムが魔女化を抑えるものなんだけどな、織莉子は恐らくそのアイテムを集める奴等のうちルール違反をした奴と関係がある可能性がある」
「ルール?」
「魔法少女には狩場があって、それを犯したり、魔法少女同士で殺し合うことは基本的にNGだ。それが現在この見滝原と隣の風見野で系二人現れた。現状匿える場所が魔法少女の家しかないいじょう、織莉子が協力しているという考えに至った」
「何か考えがあると思うが」
「それは俺も考えた。だから、聞きに来たんだ。身内であった美国公秀から見て、美国織莉子は美国修一郎にどこまで似ているのか、ということをな」
「なるほど、つまり君は、その二人が織莉子のもとについていると考えたわけだ」
「ああ、」
「どんな願いをしたかわからない以上、それは私にも答えるのはできない。だが、これだけは言える、あの子は子供だ。父に似ているが故に、久臣が出来なかったことを出来てしまうが故に、二人は親子はすれ違ってばかりだった。あの子が思うほど久臣も私も出来た人間じゃない。政治家として出来た人間は、父とあの子だろう」
「……そうか、美国織莉子の存在意義とはなんだ?」
「私の知る限りでは、久臣の支えと成ることだろうね」
「分かった」
「もし、私達のあずかり知らぬことで、裁けないもんだをしているのなら、君が何とかしてくれ、私じゃ彼女の助けにはなれない」
「この世に裁けるものなんてあるかよ、この世にあるのは正しさじゃない、都合だ。でも、俺の都合と、貴方の都合は同じのようだ、ちゃんとし話してきますよ」
美国公秀との話を終えて、俺はさやかを探すことにする。小巻から、優木沙々が風見野チームと接触、呉キリカをそこで確認したと報告してきたが、逃がしたとなるとさやかの方が心配だ。マミとなぎさを風見野に、杏子とほむらをさやかの方に回せば戦力配分はマシだろう。
風見野チームは子供の集まりだから、簡単に崩れる。一番安定しているマミと小巻なら対処できるはずだ。たぶん……急がないとな。
ヤンデレ織莉子の報告性ですが、本格的に織莉子との対立などがあるため、ここで締め切りとさせていただきます。アンケートは残しておきます。義眼を通して
甘えてくる
になりました。アンケートをしてくださった皆様ありがとうございました。
ヤンデレ織莉子の方向性
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甘えさせてくる
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甘えてくる