「でだ、呉キリカ、美国織莉子、優木沙々の三人が協力体制を敷いている、これであっているか?」
「ええ、優木沙々の戦闘に割り込むように、風見野のチームを攻撃してたわ。何とか防げたけどね」
「そうか…せめて願いが分かればやりようがあるんだが」
「なぜ、そんなにも冷静になれるのですか?」
「命かけた戦なら、そういうこともある。それとも理解せずに戦ってたのか?人が死んでも戦は消えないぞ、」
優木沙々だけじゃない。というか、魔女と戦うのなら死ぬ可能性だってある。魔法少女同士で戦ってそれがないなんて、既に見てきたのなら分かるはずだろう。理解しているのは、一人。殺されそうになって、現実を見れて居ないのが一人。激情して同じ、何も見えていないのが一人。
「優木沙々だけじゃない、というか、ソイツだけなら簡単に殺せる」
「え?」
「なんだ?殺さずに改心させようとでもしたか?辞めとけ、自分が下だと理解しながら、上であろうとする人間の感性がそう簡単に変わるわけないだろ、掌返しで命乞いをして、隙ができたら攻撃してくるタイプだ。下剋上を得意とする人間だろうな」
それなら問答無用で殺しに行くか、事実を説明して自殺させる、このどちらかだろう。問題は織莉子だ、戦闘スタイルは水晶を利用した物理攻撃、手数で戦うタイプらしいが、それが固有魔法というわけじゃないだろう。なんなら、美国修一郎の血を色濃く受け継いだのなら、指揮官として動くはずだ。それに沿った能力か、それとも……
「仕方ない、インキュベータ織莉子は何を願ったんだ?」
「自分が生きる意味を知りたい。だよ、本来願い事も喋ることはできないんだけど」
「分かってる、魔法少女部分は神廻組のほうじゃ調べられないからな、存在意義か、答えを得るという能力か?それならかなり厄介だな……」
「周りに影響を及ぼす魔法は制限とかあるのか?」
「因果律が願った本人より多かったら効果は薄いね」
「なるほど……現状織莉子の因果律を超える奴は?」
「鹿目まどかはもちろんとして、君もだね、暁美ほむらほ少々特殊だから、分からない。他はまちまちと言ったところだね、小巻は織莉子と同じくらい、杏子やマミもね。他は影響を受けやすいよ」
「まがりなりにも政治家の家系だからか……」
なら織莉子との戦闘は俺とマミと小巻、杏子はさやかとなぎさとともに呉キリカに回して、ほむらはまどか、それ以外は……優木沙々を相手してもらうほうがいいか。
いや、既に惨敗している風見野に重し付きのほむらじゃ押し負けるか、マミを優木沙々に回せば、ある程度余裕ができるな。後は織莉子の采配だ。そろそろ日没、杏子たちが戻ってくるのは後は数十分。今くるのか、それとも全員揃ってからの奇襲か、どっちだ?
懐かしい、スティーブンさんが裏切るかもと言うおふざけで、作戦を立てたこともあったけ。惨敗したけど……その後に二時間ぶっ続けでプロスフェアーをやったこともあったな。今回の件はそれに近い、思い出せ、美国織莉子を、いや美国家をそれも、美国修一郎のやり方を。
「急に黙ってしまったね」
「作戦を考えているのよ、少し静かにしなさい。さっきの戦いで美国織莉子が戦わなかったから予測できることが多いのよ」
今すぐに奇襲された場合、杏子達と合流して奇襲する場合。織莉子が参戦した場合、参戦しなかった場合。優木沙々の手持ちは、呉キリカが落とせる速度は、一度に何人できる、そもそも織莉子の固有魔法は答えを出すことなのか、考えることが多すぎるな。なら、一番俺達が嫌なことは……?!感が当たったな…
「―――
「なんで気づくんだよ……」
「全員戦闘態勢!小巻は俺と織莉子を、マミとなぎさは呉キリカ、風見野チームは優木沙々を相手しろ!」
「やっぱり襲撃して正解ね」
「一応聞こう……お前が、命を奪ってまで成し遂げようとすることはなんだ」
「世界を守る為、多少の犠牲は付き物よ」
「そうか……アンタが今何処まで知っているのか知らないが、世界の均衡を守るのに、それを守れる可能性のあるものを減らすのは頂けないな……それに、俺はお前等に人殺しは捺せたくないよ―――
ククリ刀を、二振りの刀に変えて織莉子と対峙する。どうやら答えを出すだけじゃないようだ。恐らく、織莉子の固有魔法は俺に勝つ算段までは導き出せない。なら、あのときと同じだ、クラウスさんのプロスフェアーを真似させてもらおう。首の皮一枚でも、繋がっていれば魔法少女は穢れが溜まって戦えなくなる。
「―――
「っ!――― グローリーコメット ―――」
「なるほど……」
大蛇薙をさばくのに水晶の展開が一歩早い、俺の攻撃は予測できているみたいだ。なら、さらに情報を増やそうか。
「―――
「織莉子!――― バァンパイアファング ―――」
「マジか、あの二人を抜いて……思ったより風見野が弱いな。チームを組んでたのは自力の弱さか……」
風見野チームが押されてマミとなぎさはそちらの援護に回っていた。小巻の攻撃は俺のものほど警戒はされていないが、いかんせん紅天突が範囲攻撃のせいで小巻の得意に持ち込めていない……なら、取るべき選択は一つだな。
「小巻、呉キリカを頼む、二対二はあっちに部がある」
「分かった、こっちだよ黒カマキリ」
「それやめてくれない」
「やりづらい……」
「それはお互いそうだろう」
クラウスさんとやった一局ど同じレベルの疲労感がする。あのときは盤面場だけだったが、今回は命との取り合いも含まれる。疲労感は比じゃないな。杏子達の援軍を待とうにも、風見野チームが頼りなさすぎて持久戦がしづらい。
「お互い、決め手が見つからないといったところね」
「確かにな、でも、速度が落ちた俺を殺しきれていないなら、呉キリカを倒した時点で勝ちが決まる」
「そうね、でも小巻じゃキリカを倒せないわ」
「だろうな……」
駒として使っているには、情があるな。俺≧織莉子>キリカ≧小巻といったところか?なら、一本で決めたほうがいいかもな。
「―――
「一振り?!キリカ!沙々!引くわよ!このままじゃ負ける!」
「「?!」」
「思ったより速かったな、最後に聞こう、世界を滅ぼしうる存在とは何だ!」
「貴方の近くにいる少女よ、でも、今は青い髪の少女をどうにかしたほうがいいかもしれないわね」
「カタギ手を出すな」
「一般人には手を出さないわよ」
結果は痛み分けといったところだろうか。随分ときつい戦いになったな。
「織莉子の奴、カタギに手を出す可能性がないと断言してくれよ。魔法少女ならまだしも、成っていない者にまで手を出すのなら「織莉子さんを悪く言わないで……」
「京……? 京。何を言っているのですか。美国織莉子は美緒の仇なのですよ」
「…リナちゃんは何時もそう。風見野の時だって……全部リナちゃんが言い出したから……沙々ちゃんまで追っかけて見滝原まで来て。何なの?もう関係ないじゃん、私達は風見野の魔法少女なのに!もううんざり!」
「違うだろ、」
随分と身勝手なガキだな、その片鱗は初対面の時に垣間見えていたが、それを言うのならば、俺は否定しよう。
「?!」
「佐木京だっけ?確かに魔法少女としてのルールはないに等しい現状だが、俺は織莉子を悪く言っているわけじゃないし、アレでも評価はしている、ただ、線引はしっかりやらないとなぁ。
「風見野の魔法少女確かにそうだ。でも手を出したのは頂けない、アチラが魔法少女同士の殺し合いを見滝原に持ち込み、こちらを巻き込んだ。そもそも、やりたくないのならば勝手に帰ればいいだろう。それをせず、判断を任せて、嫌になったから辞めてくれ、お前の都合で世界は回っていない、人見リナの考えについて行ったのはお前でありここまで来た。織莉子がお前に何を言ったのか知らないが、責任を押し付けるな。
「そもそも、魔法少女とはそういう物だ。戦いの渦中に居なければならない定めにある」
「あいも変わらず、そこははっきりしているのね」
「ヤクザなんでね、それをしなけりゃ大衆の悪になる。それがなければ、神廻組は裁けない。お前の正義は、戦は、大衆に響くのか?事情を説明して何人がついていくんだ?一人増えたらみたいだが、あと200メートルか、」
義眼でこちらに向かってくる杏子達を確認したあと数秒で到着することだろう。
「織莉子さんを!「だったら織莉子につけ、それがお前の選択肢なら俺は何も言わん、ただ、全力で逃げでもらうけどな」
「その必要はないわ、また明日」
「ああ、また明日」
佐木京は織莉子について行って、とうとう風見野チームは二人だけになってしまった。ガキの集まりならこういうこともあるだろうが、願いそのものがトラウマになっているやつの救い方を俺は知らない。
次、明日はさやかの護衛、そしてまどかの方は四方季に監視を頼もう。依代が家にあればお守り代わりになるはずだ。まったく政治ができるやつはなんでこうも厄介なんだろうな。
ヤンデレ織莉子の方向性
-
甘えさせてくる
-
甘えてくる