「はぁ……」
「なんでため息ついてるのよ」
「いや、三年の一学期途中だろ?すでにグルーブは作られてるだろ」
「そうね、でも私がいるわ」
「そうか……入りたくねぇ」
「ほら早くさいりなさい、」
「こんにちは?おはようございます?Hallo?」
「複数言う必要はないのよ、普通にしてればいいわ」
「そういうもんか?」
「夫婦漫才はしなくていいので、自己紹介を」
何故か、夫婦漫才と言われたがしっかりと否定しておく。しかし、この立場になると結構緊張するなぁ、自己紹介失敗しないといいけど。
「夫婦じゃないです」
「付き合ってもいません」
「そうですか、では巴さんは座ってください、それでは自己紹介を」
「神廻四季、五日前まで神隠しにあってた、得たものは圧倒的視力、以上」
「では巴さんの後ろです」
「はい、」
良かった……勝手知ってるマミの近くで、どうせ質問とかされるだろうし、神隠しのことはトラウマになったとでも言えばいいとして、視力いくつの設定にしよう。マサイ族の12.0にするか。
「一応あなたも自己紹介したら?呉さん」
「え、あ…呉キリカ」
「よろしく?でいいのか?」
「うん、」
この子も普通だな、じゃぁ魂の位置は魔法少女に成った事による変化か、仕方ないよな、どんな願いも叶うのだから代償がないわけはない、一生涯の戦闘でも釣り合わないくらいだ。そう考えると斗流は凄まじいな、どんな人間でも身につけることができるというのが売り文句なんだから。
それでも、ザップのクソ兄貴も斗流への信頼は凄かったな。「できるに決まってんだろがーい!!マジお前等何言ってんだ?魚類に至っては2度目だぞ?俺達は斗流だぞ?いいか?こんな檻壊せないで、纏めておっ死んだら
「どうかした?」
「いや、ちょっとな、懐かしい言葉が浮かんだだけだ」
「そう、」
「それじゃぁ、助けてくれ質問から逃げるにはどうしたら「動くな!」……マジか……」
マミにこれから来るであろう質問の波から逃げる方法を聞こうとすると手に拳銃を持った小太りの中年が入ってきた。おいおい、どうやって銃を手の入れたんだよ、うちの奴は全部金庫の中に入れたうえで血法で縛ってあんだぞ、つまりその中からじゃないというわけか……ああ、エアガンか色々いじってはあるが、発射されるのは普通のBB弾だ、なら…
「待って…何する気?」
「彼奴から俺は見えていない、侵入してきたのも十人程度全員持っているのは拳銃タイプ俺なら避けれるし机をぶん投げれば盾にもなる、この距離なら俺のほうが速い」
「おい!そこで何話してるこっちにぃ?!」
「――― ブレングリード流
やっぱ、技は叫んで殴るに限るな、ブレングリード流闘術実際にそんなものはないが、クラウスさんの右腕で必要最小限の攻撃を行い、左腕は防御に専念させるこのスタイルに名前をつけたのだ。実際にナイジェリアにはこういった格闘技があるらしい。もちろん俺の利き手は右だがクラウスさんレベルの腕力は持ち合わせていない。それでも見滝原というか普通世界の日本にいる人間相手には十分すぎる力だ。
「ふぅ……」
左手を胸に当て残心をする、これは剣道などの武道の心得だが、まぁいいだろう、襲撃者が持っていた銃を回収して少し見る。普通の銃だな、でもこれがあるだけで相手はひるむはずだ。
「何してやが「――― ブレングリード流
三重の衝撃が、異変を感じた三人襲撃者それぞれにぶつかる。BB弾なのでそこまでの衝撃ではないがエアガンを叩き落とすには十分な威力だ。
「二階に三人、一階五人か、行けるな」
「待って、これ以上は」
「いや、此奴は弱いから問題ねぇよ、どうせ金目的だろうしな、あとハサミ貸してくれ動きづらいか制服切る」
呆れながらも貸してくれたハサミでズボンの膝裏からスリットを入れる。これで引っかかる心配はないな、ちょうどこの下に一人いるな、幸いなことに一塊になっているから窓を割っても問題はないだろう。
「――― ハマー流闘術
「は?はぁぁぁぁ?!?!?!」
三階の窓を空けて縁を掴み飛び込むかたちで膝蹴りを放ち二階教室へと侵入する。割れた硝子自体が武器になり敵に動揺を引き起こしさらに大きな音で撹乱させて、
「――― ブレングリード流
教師にいた襲撃者へ三重の衝撃を叩き込む。
「あ、あなた、何やって……!」
「悪い、今ので二人来た…ナイフか、厄介だな――― ブレングリード流
エアガンも持っていたがすでに何人かやられていることからナイフで突っ込んできたが、冷静に左手で弾き右手で打ち抜く。一人目、怯んだ二人目にも同じように左手でナイフ、いや包丁か、を弾き最短距離を右手で撃ち抜く。左手が出血したがこれくらいはどうってことない。
「よし、あと五人か、ナイフはそのまま放置でいいとして、五人を倒すのに武器がないのはチトきついな。三叉槍くらいあれば良いんだが……」
「刺股なら職員室にありますが……」
「じゃあそれ使うか、教室の鍵を閉めて机でバリケードを作れ、そうすりゃこれ以上侵入されることはないから」
「えっ……あっ!」
職員室に向かうと刺股を持った教師が数人出て来た、判断が遅すぎるだろ、朝顔を見せたので覚えていてくれたのか心配の声をかけてくれたが無視して刺股を受け取る。
刺股、二から三メートルの柄の先にU字型の金具がついた、主に不審者や刃物を持った相手の動きを封じるための防犯・拘束用具だが、基本的に役には立たないなぜなら今の刺股は掴みやすく軽量だから、なので実戦で使うときは腕にのみ引っ掛けてから回し、腕を折るか。ぶん殴るのが一番いい。
「三叉槍のほうがいいんだが、」
ベキッ、ボキッ、ドカッ、バキッ
「終わり……」
「助かったのはそうなんだが次からはこんな無茶しないように」
「了解……」
今だにH・Lでの戦闘癖治らない早く戻さないといけないがそれも難しいだろう。ともかく刺股があればこっちでもいろいろ対応できることが分かったのはいい、魔女には血法、人には刺股、と闘術、人との戦闘は少なくするのを目標だな。
このあと警察の世話になったり質問攻めにあったりしながら、一日を終えた。ただ、一度俺に声をかけてきた暁美は話しかけてこなかった。でもとりあえずはマミの説教である手の甲を傷つけたことに対する怒りらしい。何故か監禁というワードが聞こえた気がしたが気の所為だと思いたい。
◆◇◆◇◆◇
私は何度目かわからない時間遡行を行い病室で目覚めた。いつもと違うことは隣にいた患者が声をかけてきたことだ。そしてかけられた次の言葉は「あんた、誰だ?」どういうことだろう、私が暁美ほむらであることはかわりないし、時間遡行で性格に違いはあれどそれに気づくと言うことはよく話していたのだろうか、今回のイレギュラーはよくわからない、この人がまどかを助けるのに邪魔になるとは思わないけど警戒するに越したことはないだろう。
見滝原中に、転入して数十分は何も変わらなかった。まどかに警告をするために保健室に案内してもらおうとすると、銃を持った大人が入ってきた。
お金目的の襲撃らしいけど今は魔法少女の力が使えない、まどかをかばうように立ち先生と一緒に教室の隅に固まっていると、急に窓ガラスが割れた。
「――― ハマー流闘術
「は?はぁぁぁぁ?!?!?!」
襲撃者の驚いた悲鳴にも近い絶叫とともに、あの隣のベットにいた人が飛び込んできたのだ。私は頭が真っ白になる。今までこんなことはなかったし何より、ここは二階だどう頑張っても飛びはいることはできないはずなのにどうやって入ってきたの?
「――― ブレングリード流
「あ、あなた、何やって……!」
「悪い、今ので二人来た…ナイフか、厄介だな――― ブレングリード流
おそらく襲撃者が持っていたであろう銃を乱射して吹き飛ばしたかと思うと、援軍に来た襲撃者には素手で対応し左手の甲を怪我しながらもまたたく間に鎮圧してみせた。何か知っているものかと声をかけたが、結局答えは返ってこず、三叉槍がないかというよくわからない質問をして先生が説明した刺股を取りに外に出ていってしまった。
今回の件に何もできなかった不甲斐なさなと今までと全く違う状況からしょうがないと割り切ろうとするも飲み込めない。襲撃者は捕まり、この日がまどかとインキュベータが接触する可能性の日の為、聞き出すこともできずに私は学校をあとにする。
多分三年生でいつでも会えるはずだ。私と同じ転校生ならすぐに見つかるだろうし、男ではあるが、少し伸ばし後ろで結んでいる髪はよく目立つ。
イレギュラーの対処ができないままやり直しが本格的に始まっていく。またできないのかもしれない、それでも私は繰り返す。後に愚かだと、その男に言われることになるがそれを知らずに私はこのまちにいるインキュベータを狩り始める。ここで失敗したらヤクザ事務所に行き武器の調達、その後は自衛隊とアメリカ基地は既に行ったのでそこだけだ。マミの家の近くなので分かりやすい、と言うより隣だ。
魔女の結界を潰している暇はない、急いでインキュベータを殺してまどかの前に姿を見せて幻聴と思い込ませなければならないのに、考えることが多すぎる。