神工義肢持ちの魔法少女の幼馴染   作:紡縁永遠

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死臭薔薇園

 「それじゃぁ始めるわよ、魔法少女体験コースを」

 

 ノリノリなマミの後ろで苦笑いをしながら俺達は見滝原の街を歩いていく。遡ること二時間前。

 

 「お昼ご一緒してもいいですか?」

 「いいわよ」

 

 マミのその一言で昼休みの昼食が男女比率1:4というものになってしまった。マミの幼馴染というだけで嫉妬の視線があったのに、マミが後輩の少女と仲良くし始めたと言う情報が出回れば俺の居場所は無くなる可能性がある。

 

 「なぁ俺がいる理由もないんだが」

 「何言ってるの?必要だから呼んだのよ?」

 「何がだ?」

 「今日の魔法少女体験コースの打ち合わせよ」

 「結局やるのね」

 

 暁美は嫌そうな顔をしたが、マミはそれをスルーしながら話を進める。たまに自分の都合のいい部分しか見ないということになるが、戦う意味を考え直したマミは暁美の言葉に耳を貸さないということは無い。何か意図があってそれをするはずだ。

 

 「私みたいに、願いとその行動が矛盾する可能性もあるのが魔法少女、友達も多い二人には殺し合いの世界には来てほしくない。でもそれが想像できないことくらいはわかってる。だから見せるのよ」

 「ただ殺す使命を課せられてそれの意味を理解せずに戦うこともできるだろうがそれじゃただの兵器だ。科学の行き着く先は破滅だと、すべては戦争の道具だと、そういったやつがいたが、それは使い方だ。

 「いいか、魔女を殺せるということは人を殺せるということだ。本人にその気持ちがなくとも、それを見られれば、化け物とも言われる可能性もある。だから、今回はそういうふうに戦う」

 「それじゃソウルジェムが、」

 「そのための俺だ。危険になったら助けるし、でもそれがあるということは、マミのように三年戦い続けても死ぬ可能性があるということを指す。百聞は一見にしかず、見ることを大事にしろ」

 

 百聞は一見にしかず、まぁうちの師匠の場合は百見は一行しかず(ひゃっこんはいっこうにしかず)とか言ってきそうだけど。あの特殊な発音で、「見るだけで理解できると思うな愚図が、神の眼だろうが実行せねば意味はない。百見る暇があるなら千行動しろ、愚鈍が」そう言う、絶対に言う。そして簀巻きにされてジャングルの最奥にぶん投げられるだろう。不味い、思い出したら震えが止まらなくなってきた。あれ?なんで体動かないんだ?え?昨日の訓練の成果として縄抜けと、猛獣処理をしろって?いや血糸で縛ってあるのに隙間も糞もないだろ……すいませんすいませんすいません、勘弁してください、口まで塞がないでください、黙ってやりますんで、なので草食でも、繊細な動物に変更しようとしないでください。それに群長なんて基本的に残酷でリンチにしてくる奴らばかりでしょうがぁぁぁぁぁぁぁ…………

 

 「ま、マミさん!!四季さんが痙攣してます」

 「え?四季ぃぃぃ!!お願い!目を覚まして!私を一人にしないでぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 「はっ?!やべぇ座ってただけなのに三途の川に行ってた。てかなんであっちの二人と同じなんだよ、おかげで少しお茶しちゃったよ」

 「ねぇ!本当に何言ってるの?戻ってきて!」

 「え?ああ、悪い、修行時代が過酷でな…………やっぱりまだトラウマだ」

 

 恐怖で痙攣して気絶して、三途の川にまでいって、牛頭馬頭の老人夫婦と会ってきた。綺麗なヨモツヘグイにならない様なお茶を淹れてくれて、久しぶりにゆっくり話して戻ってきた。

 

 「そんなに酷いんですか?その修行」

 「安心しろ、魔法少女になるよりキツイけど代償はそこに集中してるから、まぁ気が向いたら言って、三途の川に三百回は行くくらいの修行だから」

 「いや、安心できないよ!」

 「流石に聞いただけで胸焼けしそう」

 「そうか、なら向いてはないな、」

 

 そうして、午後の授業も受けたあと、地道に地道に足で探す。俺はもちろん、マミや暁美は慣れているが、やはり普通の少女のまどかとさやかにはキツイようでもうすでにバテ始めている。

 

 「もっとこう、見つけやすい道具でもあるのかと思ってた」

 「私も」

 「ソウルジェムは直感的に近いからね、これでも簡単な方よ、四季の目は特殊だから、本当は四季には戦ってほしくないんだけどね」

 「目じゃなくて眼な、それに戦わないというのは無理な話だ。昨日言っただろうが、大義名分でも戦うんだよ、」

 「そう……ただ一つやめてほしいことがあるわね。小説だからできるツッコミをしないで頂戴、暁美さんがついてこれないわ」

 「なんで私も巻き込むのよ、メタ発言はやめなさい」

 「え?ツッコミ担当じゃないの?」

 「はぁ……精神が安定しているマミも厄介ね」

 

 流石に悪かったかな、小説ならではのメタボケをしてみたのだが、まぁこの文字の違いに気づくのは俺の神々の時間だからか。この眼は歴史の重要なことをデバガメするための機能を持っている。多分これを見ている神*1は何人いるのだろうか。いや神だから柱か……いや人か?

 

 「あっ…魔女の口づけ発見」

 「行くわよ!」

 「いきなりぃ?!」

 「戦いはそんなもんだ―――   斗流血法(ひきつぼしりゅうけっぽう) 刃身ノ二(じんしんのに) 空斬糸(くうざんし) 紅絡新婦(くれないじょろうぐも)   ―――」

 

 血糸の網でしっかりと受け止めて、首筋を確認する。やっぱりあった、この周りにいることは確実、手分けしてもいいがここは、この痣に刻まれた魔力を辿れば…

 

 「見つけた、魔女だ、」

 「なら、いきましょう」

 

 昨日見た使い魔、場所が高くだから予想はできていたが、なんというか魔女と呼ばれる理由を抜きにすると魔獣や魔物と言ったほうがいいかもしれない。カイゼル髭の付いた綿のような頭から、細長い体と腕が生えている。下半身は蝶になって、蝶に寄生した綿を彷彿させる。ええ、修行時代に綿ではなかったけど寄生植物を見ましたよ。ヤバかったです。

 

 「Das sind mir unbekannte Blumen.(見たことのない花だ)

 

Ja, sie sind mir auch unbekannt.(見たことのない花だねぇ)

 

Schneiden wir sie ab?(チョン切ってしまおうか)

 

Ja, schneiden wir sie ab.(チョン切ってしまおうね)

 

Die Rosen schenken wir unserer Königin.(薔薇は僕らの女王様へ)

 

Und die schlechten Blumen steigen auf die Guillotine.(悪いお花はギロチン送り)

 

Ja, schneide sie ab!(ヤァ!チョンと切れ)

 

Ja, schneide sie heraus!(ヤァ!切り落とせ)

 

 随分と物騒な歌だ、早く最深部に行くぞ」

 

 歩を速め、突いた魔女のプライベート空間、やはりこの魔女め正確にはその空間の先も空間がある。中には花のアクセサリー、特に薔薇が多い。バラが好きなのか、それと美しくなりたかったのか、いや今はいいな、名前はGertrudか、よし、覚えた。

 

 「それじゃぁ二人をよろしくね」

 

 そう言って走り出すマミ、一応まどかとさやかには俺が作った焔丸と突流槍を渡してある。守るけどね。

 マミは魔女の攻撃を避けることなく突き進む。かすり傷は魔法で回復し、銃を複数展開して連射を繰り返す。その姿は魔法少女とは呼ばない、殺しをする姿だ。

 魔法少女として戦わなくともマミは強い、ただ倒すだけなら魔法少女として戦わないほうがつよい可能性がある。例えば怒りでメータが振り切れたりしたときとかな。何言っても効果はないし、問い詰められる。それは俺がH・Lに行く前からあったことではあった。

 何でも俺がマミと遊ぶのに遅れた理由が女の子を助けていたからというものだったのに、「他の子に興味があるの?私はどうでもいいの?」という遅刻と他の子にかまって、尋常じゃない覇気を見せたことがあるのだ。

 美しさを優先しなければ、誰よりもつよい。

 

 「ねぇ…なんでマミさんはあんな戦い方を?全開はもっと」

 「魔法少女らしかった?」

 「え?」

 「確かに明らかに人としても、魔法少女としてもおかしな戦い方ね」

 「当たり前だろう、魔法少女としてではなく魔女を殺すものとして今は戦っている。魔女を化け物を倒すのに、人のままで倒せるか?否だ。そこには何らかの代償が存在する。願いというものにもな」

 

 そうこうしているうちに、マミがわざと作った隙を魔女がこれ見よがしに攻めて、薔薇の蔓で宙吊りにする。どうなってんだあのスカート完全に逆さ吊りなのにスカートが重力に逆らっている。っとおふざけはここまでにして、しっかりと周囲の警戒をしないとな。宙吊りにされたマミは銃をいくつかしまい、大砲を取り出す。

 

 「こういう戦い方を選んだのは私だけど、あまりかっこ悪いところは見せたくないのよ―――   ティロ・フィナーレ   ―――」

 

 最終砲撃で幕引きとなった今宵の戦闘は普通の少女に大きな印象を与えた。その戦い方に恐怖し、マミから一歩離れてしまう。それでも、優しさからか、かっこいいと褒めるさやかに、そんなことはないと否定するまどか。

 

 「無理をしなくていい、それが普通だ、それに死臭が漂う場所にいられただけすごいことだよ」

 

 これにて今日は幕引きである、次は俺が見せる番になるが、暁美はあまり賛同してくれなかった。やはり見せることすらも否定的だ。

*1
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