Re:ゼロから始める異世界生活6章オットー同行if   作:樫ハット

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【11】砂に......

 アウグリア砂丘の地下空洞の分かれ道に出くわしたスバルたちは右に進むこととなった。

 右の道からは明らかに嫌な感覚が漂ってきているということで三人からは最初反対されたが、最終的にはスバルのアピールで右を選んだ。その際色々と理由は並べ立てたが、一番の理由は『死に戻り』で得た情報だ。左の道の先には、あの化け物がいる。アレを避けるための手っ取り早い方法は、左の道に行かないことだった。

 

 そんなわけでスバルたち三人と一頭は、相変わらず砂を踏みしめながら、暗い空洞を進み続ける。分かれ道の先は元の道より狭くなっており、より閉塞感がある。

 だが一番スバルたちに圧力をかけているのは、右の道に入ってからずっと圧し掛かる嫌な感覚だ。恐怖とも違う、とにかく進みたくないという感じを本能的に抱かせるような、そんな重たい空気だ。

 

 額を伝う汗は、長時間歩いたことによるものなのか、それとも冷や汗なのか。この嫌に冷えた空洞の中だから、冷や汗なのだろう。スバルはそのことを考えないようにしばらくは空元気を振りまいていたものの、それでは体を誤魔化しきれなかった。

 

「体が、重い……」

 

 進み方は先ほどまでと同じく、スバルとオットーが先頭に二人で並び、後ろにラムとアナスタシアを乗せたパトラッシュが付いてくる形だ。カンテラの明かりで数メートル先を照らし、足下を確かめながらの探索が続く。

 それは同じなのに、明らかに進みが遅くなっている。分かれ道まで歩いてきた疲労を加味しても、『死に戻り』前に、左の道に進んだときよりもずっと遅いのだからこれは事実だ。

 その原因は、考えるまでもなくわかる。なんとなく、体が重いのだ。

 

 重量が増しているとか、見えない妖怪に背中に乗られているとかではない。それに肉体が普段以上の疲労を訴えているわけでもない。

 体が重く、足が進まないのは全て精神的な問題だ。

 

 一度右の道に入ってしまえば負の感覚は薄れてくれるのではないか、という淡い期待は、ここまでの道程で裏切られた。この道に入ってからずっと、スバルたちの足を竦ませた負の感覚が満ち満ちている。それどころか、歩みを進めるにつれ、それは強まる一方だ。

 

「――――」

 

 スバルは重たい足を一歩ごとに砂から抜き出すようにして踏み出す。

 先に進むのが怖くて動けないわけではない。先に進むべきだと頭でははっきりわかっているし、心だって怯えていない。

 だが、その意思に手足がうまく従おうとしてくれない。肉体だけはこの道に本能的な拒絶感を表明しているように、進むことを妨げてくる。そのために、倍の時間と、倍の体力と精神力、それを費やす必要があった。右の道に入ってそう長いわけでもないのに、既に疲労の色が濃かった。

 

 もしあの分かれ道が賢者の罠であり、正解の道を知っている者のみを通すのであれば、右の道は楽に進めるはずだ。そう思っていたが、当ては外れたようだった。あるいは、何かスバルたちがやり方を間違っているのか。

 

「これ、もしかするとこの嫌な空気をオフにして進むのが正規ルートだったパターンじゃね?」

 

「……この空間を賢者が設計したのであれば、そういうこともあり得るかもしれませんね」

 

 隣を歩くオットーの顔も険しい。発言したスバルの方に向き直ることもなく、カンテラで前方の足元を照らしてひたすら前に進む。口数も心なしか減っているようだ。

 そうなる気持ちはスバルにもわかる。体と合わせて口も重く、放っておけば黙って座り込みたくなってしまうような状態だ。だがそういうときこそいつもの調子でいるべきだとスバルは思っている。故にこのように時折話題を持ち出しているのだが、反応は徐々にまばらになってきている。

 

「RPGとかだと一旦左の道に行ってスイッチを押すことで右の道が進めるようになる、とかがお約束だが。いや、進めてはいるんだしこれで正解なのか? にしてはこの空気もいい加減に抜けて良い頃――」

 

「バルス」

 

「お、どうした?」

 

「うるさい」

 

「あ、おう……」

 

 空元気で一人口を回し続けていたスバルだったが、ラムの手短な毒に撃ち落とされた。

 だがその毒も、普段と比べて何というか覇気がない。おそらくラムの方も精神的な負荷があるのだろう。文章で答える気力もなく、いつもより短く鋭い毒だったのがその証拠だ。

 

 ラムに言われ、しばらく口を閉じていたスバルだったが、段々とこの重さに屈してしまいそうになり、たまらずまた口を開く。

 

「でもいざってときにこういうアイディアを共有しておいた方が何かと役に立つと思うんだが」

 

「建設的な考えならそうね。でもバルスのそれは希望的観測でしょう?」

 

「まあそういう部分があるのは否定しねぇけどさ……」

 

「だったら黙って歩きなさい。全員にとって体力の無駄よ」

 

 取りつく島もない頑なな態度だ。

 みんなのためを思って空元気を振りまいていたスバルだったが、それを体力の無駄と言われればさすがに面白くない。

 ラムだってスバルの空回りを身近で何度も見てきたのだから、そのぐらいわかっているはずだ。いつもならそれをわかって配慮してくれるはずだ。

 

 そう考えると、ラムも相当辛いのかもしれない。

 エミリアたちと引き離されてマナ不足の上、瘴気の影響もあり、体調はかなり悪いのだろう。そのことを思えば、スバルもむやみに言い返さないくらいの理性がはたらいた。

 

「体力と言えば、歩きっぱなしだしそろそろどこかで休憩でも取るか?」

 

「……僕もパトラッシュちゃんも体力的には大丈夫です」

 

「そうか。それにこんな場所に留まりたくもないしな。ラムの言う通り、黙って歩くのが得策かもな。なあラム?」

 

「――――」

 

「ラム?」

 

 それとなく全員の体調を伺う。もっとも体調が良い者などいないだろうが。

それでも配置換えはできる。ラムの体調が本格的に悪そうなら、横になった状態でパトラッシュに運ばせることもできる。その場合、アナスタシアには申し訳ないが、この砂地を歩いてもらうことになる。

 

「ラム? お前としても急いだ方が良いだろ?」

 

 先ほどから返事がないのを見かねてスバルは振り返り、カンテラでラムの方を照らし、顔色を見ようとする。だがフードを頭から被り、アナスタシアの後ろでわずかに俯くラムの顔は見えなかった。

 

「ナツキさん、ラムさんはそっとしておきましょう。口を開くのも疲れるんでしょう」

 

「……それも、そうか」

 

 体調を気遣う言葉でかえって体調を悪くさせてはいられない。

 どうも気遣いが空回りしがちなのはスバルの課題だ。

 

「アナスタシアさん、悪いけどラムの調子見といてくれ」

 

「任せといて……って言うてもうちには詳しいことわからへんけど」

 

 そう肩をすくめたアナスタシアに一旦満足し、スバルは再び前を向いて歩き続ける。

 

「ラムも、悪かったな」

 

「反省なさい」

 

「っ! そういう都合良いときだけ返事しやがって! こっちは本気で心配してるってのに――」

 

「その辺りにしておきましょう、ナツキさん」

 

 振り返り、ラムに面と向かって言い返そうとし始めたスバルを、オットーが止める。

 スバルの中には制止を振り切って言い返してやりたい気持ちがまだ残っていたが、オットーと目が合い、寸でのところでそれを飲み込む。

 

「せやね。このいやーぁな空気のせいで、二人とも気が立ってるんやない? ここでお互いに気持ちぶつけても良いことあらへんよ」

 

 アナスタシアも止めに入る。そうして二人に止められて言葉の勢いが損なわれると、徐々に冷静になってくる。

 だが胸の内には苛立ちが残る。スバルは一度小さく舌打ちをして、それを吐き出そうとする。だが、どうにも心がささくれ立った感覚が収まらなかった。アナスタシアの言う通り、スバルも気が立っているのだろう。

 

「行きましょう」

 

 スバルの隣でオットーがカンテラで前を照らし、道を示す。スバルが返事代わりに前へと足を進めると、オットーも並んで歩く。

 

 皆心身の不調はあるはずだ。そんな状況でスバルが不機嫌を振りまいているわけにはいかない。それもこれもこの嫌な雰囲気のせいだ。何かのせいにできる間は、余計なことで関係を悪くする必要はないのだ。

 ラムの今の態度の悪さは、無事にここから出たとき、話し合えばいい。

 

 相変わらず体は重い。会話で気分を持ち直すことにも失敗した以上、進行速度は据え置きだ。その試みもメンバーの仲をギクシャクさせたのみだったという徒労が、追加でスバルに圧し掛かった気がした。

 

 右の道を進み、そろそろまた小一時間が経過しただろうか。スバルは道が明らかに狭くなってきたことに気づいた。

 砂の通路はその上下左右、いずれの間隔も狭まってきており、その高さと道幅は巨体の魔獣が通ることは不可能な域に達しつつあった。例のケンタウロスがここを通ることは不可能だろうということを考えれば、これは良いことだ。

 問題は、このまま道が狭まればいずれパトラッシュが通るスペースすらなくなってしまうことだ。辛うじて今のところはアナスタシアとラムの二人を乗せて進めるだけの高さはあるようだが。

 

「お前らも気づいたかもしれないが、段々と道が狭くなってきてる。とっさに動きにくいだろうから、これまで以上に警戒しててくれ。地上で見たような大型の魔獣は通れないだろうが、さっき話に出た袋鼠なんかはいてもおかしくない」

 

「……っ」

 

「――おい」

 

 あり得る脅威に警戒を促したスバルは、ふいの音に眉尻をつり上げた。振り返り、カンテラに照らされる竜上の二人を見やる。オットーは困ったようにスバルに目線を向けるも、とっさにかける言葉が思いつかないようだった。

 竜上からスバルの呼びかけに応じる声はない。前に座っているアナスタシアが顔を掌で覆ったのはわかった。その様子の理由もわかる。音の原因はその後ろに居るはずのラムだからだ。

 今、ラムがしたのは、スバルの言葉に対する舌打ちだ。

 

「さっきから、お前、ホントに何のつもりだ?」

 

「別に」

 

「別にじゃねぇよ! 何のつもりなんだって聞いてんだよ!」

 

 たまらず声を荒らげ、スバルはすぐ脇の砂の壁を蹴りつける。砂が固まってできた脆い壁は、スバルの力でもボロボロと表面が剥がれ落ちていく。細かくなった砂の粒子が降りかかるが、スバルはそれに気づかない。

 今のスバルの目には、不遜なラムしか映っていない。

 

「人が気遣ってやってんのに、お前は何様のつもりだ? さっきから何回も舌打ちが聞こえてんだよ! なぁ、オイ、何のつもりなんだよ!」

 

「別に何のつもりもないわ。ラムからバルスに言うことは何もない」

 

「何にもなしでお前は年がら年中チッチッチッチ舌打ちしてんのか? してねぇだろ? してねぇのにしてるってことはする理由があるってことだろうが! 言いたいことがあるなら言えよ! 聞いてやるから言ってみろや!」

 

 あくまでこちらを拒絶する態度のラムに、スバルの方はどんどんヒートアップしていく。

 当然だろう。スバルはあくまでみんなを気遣って声がけをしてきただけだ。それをラムは無下にした上で、一方的に苛立ちをぶつけてくるばかりだ。

 いくら体調が悪いからといって、スバルにこんなふうに不機嫌をぶつけられるいわれはない。

 そこまで言ってようやく、アナスタシアの後ろに掴まっている彼女が、体を傾けてスバルに顔を見せる。その位置関係も気に入らない。他人の後ろに隠れて、上からスバルを見下す姿勢。

 何かの力を借りて、偉くなったつもりなのか。

 

「――なら言ってあげるわ。ずいぶんと、バルスは進むのに熱心な様子ね?」

 

「当たり前だろうが! 何のためにここにきたと思ってんだ? 賢者に会うためだろうが! そのためにこんな苦労して、進んで何がおかしいんだよ!」

 

「違うわ。――ここにきたのは、賢者に会うためじゃない」

 

「ああ?」

 

「ラムたちがここにきたのは、レムのことを元に戻すためよ」

 

 はっきりと、スバルを見つめてラムがそう断言する。その視線のあまりの鋭さに、スバルはわずかに先ほどまでの勢いを失う。

 だがラムの主張は理屈に合わないではないか。レムを助けるために、賢者に会う。賢者に会うために、先へ進む。スバルの行動は何も間違っていない。こいつは何を言っているのか。

 

「んなの屁理屈だろうが! 賢者に会って、レムを助ける! それのどこが気に食わねぇんだよ!」

 

「いいえ、違うわ。バルスはわかってない。レムを助けることが先にきて、賢者に会うのはその後ろ。優先順位が違う。……そう、優先順位が違うのよ」

 

 言葉を紡ぐたびに、ラムの声は自分の考えに確信をもつかのように強まっていった。これまでの無感情な反応から一転し、急激な怒りの熱を孕み始める。

 

「ラムはレムのために、妹を思い出すためにきた。それなのに、今は何をしてるの? レムもいないのに賢者を見つけて何になるっていうの?」

 

「賢者を見つけて、エミリアたちと合流して、エミリアたちと協力してレムを見つけ出す、それが一番効率的だって結論じゃなかったのかよ! そのために今できることをやってるだけだろうが!」

 

「ええ、そうかもしれないわね。でもできることを考える前に、バルスは一度でもレムのことを心配した?」

 

「……あ?」

 

「地下で目を覚まして、バルスはレムのことを心配した? エミリア様のことは? ベアトリス様のことは? 見当たらない誰かのことを、ちゃんと心配した?」

 

 言葉を畳みかけられて、スバルは何も言えずに押し黙る。

 確かに今回、『死に戻り』で事前に状況を把握していたスバルは、前回のように取り乱して皆の安否を確認しようとはしなかった。

 だが、それは決して心配していないからではなく、ラムたちもそのことを知らないとわかっていたからだ。責めても焦っても何もできないとわかっていたからだ。それはスバルなりの、配慮だ。気遣いだ。

 なのにこいつは何だ。スバルがみんなのことを心配していないなんて、よくもそんなことが言えたもんだ。

 

 だがこの点において、スバルはラムにうまく言い返せる自信がなかった。全てを伝えるためには、『死に戻り』のことを伝える必要があるからだ。スバルがいつもあんなに苦しんでみんなを救っているのに、そのことをこいつに理解させてやることができない。

 スバルはその事実に歯噛みし、射殺さんばかりの視線で睨みつけることしかできなかった。

 

「ラムさん、やめてください! そんなのあまりに理不尽じゃないですか!」

 

 二人の言葉の応酬に入る隙を見いだせなかったオットーが、言いよどむスバルの代わりに口を挟む。ラムは怒りの表情をそのままに、視線をオットーに向け、「ハッ」と鼻で笑いながら返答する。

 

「どうだか。本当に気にかけていたなら、一言でも心配の言葉が出てきたはず。でも、そうじゃなかった。バルスはそれすらもしなかった。それが指し示す事実は一つよ。バルスは、レムのことなんてどうでもいいのよ」

 

「……黙れ」

 

「だから、それが理不尽だって言ってんですよ! この状況じゃ自分たちが生き残ることで手いっぱいになって当然です。そしてそれが戦略的にも正しい。あの混乱した状況でナツキさんにそこまで求めるなんて理不尽じゃないですか!」

 

「っ! お前まで何を勘違いして!」

 

 オットーがあらぬ方向からフォローをかけてくる。あれだけスバルがレムを気にかけている様子を見てきたはずなのに、言うに事を欠いて自分のことで手いっぱいだった、だと? 勘違いも甚だしい。

 

「ハッ、つまりその程度ってことよ。レムが可哀想。レムはバルスのこと、信じてたはずなのに。第一目標が賢者と会うこと、その次がエミリア様たちとの合流? レムのことはどうしたの?」

 

 スバルが訂正する前に、ラムがさらに畳みかける。

 

「お前ら二人ともそろってバカみたいな勘違いしやがって。俺が最初からレムのことを心配してないなんて勘違いをよくできたもんだな」

 

「何を言っているのかしらね、この男は。いつレムを心配した素振りなんて見せたの? 私が見逃しただけかしら」

 

 ラムはオットーの方を向き、わかりやすく肩をすくめてスバルを小馬鹿にする

 

「黙れよ! っ……今のお前が知らないところで心配してたに決まってんだろ!」

 

「意味不明ね」

 

「黙れって言ってるんだよ!」

 

「いいえ、黙らない。何度でも繰り返すわ。――バルスは、レムのことなんて、どうでもいいと思ってる。このまま見つからなくても、せいせいするだけなのねって」

 

「――ふざ、けるなぁ!!」

 

 視界が真っ赤に染まり、ぶつけられる軽率な発言に脳神経が燃え上がった。

 高みからこちらを見下ろし、身勝手な言葉をぶつける高慢な女に怒りが爆発する。あいつに言葉を訂正させてやるまで、気が済まない。まずはあそこから引き摺り下ろし、その態度を後悔させてやる必要がある。

 

 そのためには、力がいる。

 スバルには、その力がある。

 

「インビジブル・プロヴィデンス――!!」

 

「――く、あ!?」

 

 頭の中を駆け巡るどす黒い気持ちを、スバルはそのまま胸へ下ろし、解放する。

 なぜ今まで忘れていたのか。スバルの激情に呼応し、生まれ出でた黒い掌は快哉を叫ぶ。黒い掌は、するりと伸び上がるようにして地竜の背中の上へと這い上がり、そこからこちらを糾弾する桃色の少女を投げ落とした。

 

 悲鳴を上げ、ラムが砂の上に乱暴に転がる。

 ようやく聞こえた苦鳴に、スバルの頭は暗い喜びで満たされる。ラムの、何が起きたかわかっていない困惑した顔も、いい気味だ。

 

「今のはナツキさんが何かしたんですか? な、何をしてるんですか? 僕が悪かったですから、やめてください!」

 

 同じく困惑するオットーが、ラムに駆け寄ろうとするスバルの服の裾を掴む。

 スバルは必死の形相をしたオットーを不思議と冷静な気持ちで見やり、首を振る。

 

「お前は悪意があったわけじゃないからもういい。俺はあの女のふざけた言葉を訂正させようとしてるだけだ」

 

「それがダメだって言ってんですよ! こんなことして何になるんですか!」

 

「あ? 悪いのはあいつの方だろうが!」

 

 なおも手を離さないオットーに業を煮やし、スバルは再び黒い掌を振るう。

 何とかスバルを行かせまいとしているオットーの胴体を手で包み込み、力任せに壁に叩きつける。

 

「――がっ!」

 

 短く苦痛の息が聞こえた方には目を向けず、スバルは走り出す。

 砂の上に寝転がり、立ち上がろうとしているラムの髪の毛を乱暴に掴み、地面に叩きつける。くぐもった苦し気な声が上がるが、それではスバルは満たされない。

 

「ふざけるな」

 

 自分がレムを、なんとも思っていないなどと、冗談じゃない。

 怒りのあまり、全てがどうにかなったような、そんな過熱した思考のままに、

 

「――ぅ」

 

 ――スバルは仰向けのラムに圧し掛かり、その細い首を絞めていた。

 

「……ぁ、ぅ」

 

 馬乗りになられて、渾身の力で首を絞められるラムの唇から呻き声が漏れる。

 端正な顔が苦痛に歪み、目は呪うようにこちらを睨みつけている。口を必死にパクパクさせ、舌は空気を求めてむやみやたらに動いている。唇の端から、涎が伝うのが見えた。

 手足をばたつかせて必死に抵抗するが、それは無意味だ。

 

「――インビジブル・プロヴィデンス」

 

「……っ」

 

 ギリギリと首を締め上げながら、スバルは胸中の黒い情動を解放している。

 スバル以外には見えない暗黒の淀みは実体を得て、今はラムの手足をしっかりと押さえ込むのに貢献していた。この魔手の膂力は、スバルの素の力をはるかにしのぐ。調子の悪いラムには、抵抗すら許されない。

 

 このまま息を止めてやれば、ラムも先の自分の暴言を後悔するはずだ。

 スバルがレムのことを蔑ろにしたと、どうでもいいと思っているなどと、身勝手で何の根拠もない妄言を、その見当違いの暴言でスバルの心を無神経に傷付けたことを、命を対価に支払わせてやることができる。

 

「お前が、悪い。お前が、お前が、お前が!」

 

 ラムが憎い。ラムが憎い。ラムが憎い。

 憎しみが全身から力をかき集め、首を絞める指先へ力を貸す。ラムの白い肌に爪が食い込み、血がにじむ。

 

 息を荒げるスバルに、ラムは一貫して憎悪の目を向ける。その目はまるで、間違っているのはスバルだと言っているようで、そのことが余計に怒りをかき立てる。何としてもこの目を苦痛と恐怖に染め上げ、悪いのはお前なのだとわからせてやらなければならない。

 

「ふぅ……っ」

 

「ああ? なんだよ、聞こえねぇよ。言いたいことがあるならはっきり――」

 

「……ら」

 

 スバルの啖呵の語尾、そこに被さるようにラムが小さく何事か呟いた。

 その意図をとりかねたスバルは、果たして、問いただす言葉を吐き出すことはできなかった。

 ――次の瞬間、砂の大地が炸裂し、二人の体が吹き飛ばされたから。

 

「な、ぁ!?」

 

「くぅっ……!」

 

 スバルは突然の爆風に吹き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられる。息が止まる衝撃と、目と口に入った砂にしばらく地面に転がっているほかなかった。

 口から砂を吐き出し、ようやく起き上がると、ラムも爆発に巻き込まれて吹き飛ばされたのが見えた。おそらく爆心地に近かったのだろう。ラムは裂傷を負ったようで、砂の上に点々と彼女のこぼした血が滴っていた。

 

 ダメージはあったようだが、それでもラムはスバルの拘束から逃れた。

 

「ラム! てめぇ、魔法で……!」

 

 ラムは喉を抑えて咳き込みつつも、無言でスバルを憎々しげに睨みつける。

 今のはラムの風魔法である『フーラ』だ。掠れた息でなんとか詠唱し、自分の真下で爆風を起こした。その勢いでスバルを跳ね除け、拘束から逃げおおせたのだ。

 

「ちぃ――!」

 

「――――」

 

 どうにか立ち上がったスバルは、反射的に腰の裏に手を回して鞭を取る。同時にラムも自分の懐から小振りな杖を抜き、戦闘に備えて戦意を迸らせた。

 拘束からは逃げられたものの、まだスバルには勝ち目がある。ラムの魔法の威力は強力だ。そのことはかつて魔獣を両断してみせたことからもわかっている。だが攻撃の出の速さなら、スバルも負けてはいない。鞭の先端の速度は音速も超える。これであのすまし顔にでも鞭を叩きつけてやればひとたまりもないはずだ。

 

「泣いて謝っても、もう遅いからな!」

 

「それはこっちの台詞だわ。バルスのような薄情者、レムに会わせてあげる価値もない。輪切りになって、砂の上で枯れなさい」

 

「言ってろ!」

 

 静かに殺意を燃え上がらせるラムに、スバルの方も応じる覚悟は固まった。

 互いの間に落ちたカンテラの明かりを頼りに、二人はじりじりと間合いを取ろうとしながら、円を描くようにして睨み合いを続ける。

 そのまま、ほんの数秒で殺し合いの火蓋が切られる――その直前だ。

 

「――はい、そこまでや!」

 

「――!?」

 

 大きく手を叩く音が響いて、乾いた拍手にスバルとラムの顔が跳ね上がる。と、それをやってのけた邪魔者、アナスタシアは竜上から二人を見下ろしていた。

 今まで意識の外にいた彼女は、ラムの後ろ側を透かすように見やると、

 

「オットー君も、そんなに気ぃ張らんでええよ」

 

 と続けた。その視線の奥の暗闇から、ロープを携えたオットーがゆっくりと姿を現す。視線は油断なくスバルとラムの方を見ながらも、手に持っていたロープを下げる。

 

「ハッ、ラムが気づいてないとでも思ったの。オットーの考えることなんて手に取るようにわかるわ。」

 

「どうだか。考えがわかってるならさっさとその口を閉じているはずなんですけどね」

 

「はいはい、もうおしまいって言うとるやないの。ナツキくんとラムさんは口論がエスカレートした。オットーくんはそれを止めようとした。そしてうちも止めようとしとるだけやのん」

 

 アナスタシアとオットーの二人は完全にスバルの意識の外にあったが、どうやら揃ってスバルたちを止めようとタイミングを見計らっていたらしい。オットーの方は、ロープで拘束でもして止めようとしたのだろうか。

 だがスバルの方は既に、止められてはいそうですかとなるような段階にはない。この怒りをぶつけてやらなければ気が済まない。

 

「始めたのはこいつの方だろうが! 言っちゃいけないことを言ったから、それを償わせてやる! そのことの何が間違ってる?」

 

「嫌やわぁ、話が通じひんのやから。ラムさんの方は?」

 

 ラムに指を突きつけ、唾を飛ばすスバルにアナスタシアは呆れた顔だ。そのまま彼女は話の水をラムに向けたが、桃色の髪の少女の応答もスバルと大差ない。

 彼女は油断なく杖の先端をスバルへ向け、戦闘態勢を維持したまま、

 

「ラムは何も間違ったことを言ったつもりはありません。図星だったバルスが逆上して怒り任せにラムを殺そうとした。止めるべきがどちらかは明白です」

 

「あんな妄言が図星だ? 呆れて物も言えねぇよ。くたばれ」

 

「こっちもあかん、か。なんやの、もう。うちには荷が勝ちすぎるやろ……。オットーくん、何とか言ってくれへん?」

 

 相変わらず自分の非を認めようとしないラムの態度に、スバルの憤懣も消える気配がない。

 そんな様子を見たアナスタシアがお手上げといった仕草で肩をすくめ、オットーに助けを求める。

 

「二人とも冷静じゃありません。平等に口を塞いで、この道を引き返しましょう。無理にでも拘束するつもりでしたが、アナスタシア様にそれも止められてしまいましたから」

 

 そう言って再びロープを掲げる。まるで喧嘩両成敗だとでも言いたげな態度に、スバルは苛立ちを覚え始めた。

 

「だから、始めたのはあいつの方だって言ってんだろうが! あいつの口を塞げばそれで済む。ついでにここに置き去りにしておけば不和の原因もなくなってせいせいする」

 

「先に手を出したのはどっちだったかしら? さっきの見えない攻撃は何? そんな危険なものを怒り任せに振るうような人をこそ拘束すべきだわ」

 

「っ! だからそれはお前が原因だって何度言えば!」

 

「はいはいはい、そこまでやて言うてるのに」

 

 スバルはそう言ったアナスタシアをぎろりと睨む。さっきからこいつは、何故自分だけは部外者みたいな顔をして、聞き分けのない子供を諭すような口ぶりをしているのか。

 どう見ても間違っているのはあいつの方だろうが。スバルのレムへの愛がどれだけ侮辱されたのかわからないから、こんなことが言えるのだ。レムがいなくなってもアナスタシアには関係ないから、そんな涼しい顔をしていられるのだ。

 まずは同じ土俵に降ろしてやらなければ話にならない。

 

「おい、お前。なに、上から目線で説教くれてんだ。降りろ」

 

「……あちゃー、そうきたん?」

 

「お前はレムのことについて部外者だからそんなことが言えるんだろうが。お前も少しは当事者意識を持てるように、降りてこいって言ってんだよ。それができなきゃ、俺に偉そうな口利くんじゃねぇ!」

 

 手にした鞭を振り下ろし、風を切る音と一撃を浴びる砂が舞い上がる。

 当たれば皮が爆ぜ、見るも無残な傷口を生じさせる得物だ。脅しには十分以上の効果を発揮するはずだ。事実、スバルの要求に従い、アナスタシアはゆっくりとパトラッシュの上から降りる。砂の上におっかなびっくり着地すると、彼女は「それで?」と首を傾げた。

 

「うちもこうして降りたわけやけど……ナツキくんはどうしたいん?」

 

「決まってるだろ。あの馬鹿に、さっきの発言を撤回させてやる。撤回する気がないなら、あとはやることは一つだけだろうが」

 

 ラムが本気で本心から謝罪し、これまでの発言の全てを撤回して心を入れ替えるというのなら、スバルの方も情状酌量を考えなくもない。だがそれに異論を唱えたのはオットーだった。

 

「さっきまでのやり取りがあって、そんな要求を呑むとは思えません。ナツキさん、怒りはもっともですが、ここは一旦引き下がってくれませんか?」

 

「……引き下がったらどうするって言うんだよ」

 

「不本意かもしれませんが、ナツキさんとラムさんの二人が会話できない状態にします。そのまま道を引き返して、そのあとでも文句があれば、それから言い合えばいいんです」

 

「あ? なんで俺まで」

 

「ですから、この場で二人のうち一方だけ縛るなんてこと、その人が認めるわけないんですよ。だからここは一先ず両方をですね――」

 

「ハッ、そんなこともわからないの。そんなだから自分のことを差し置いてラムに逆上したのね」

 

「ああ? 自分が何言ったかも覚えられないからそんな結論になってんだろうが。馬鹿はどっちだって話だ」

 

 言いながら、お互いにじりじりと距離を詰め、再び一触即発の状態へと戻る。

 

「――――」

 

「ああ、オイ? 何も言えねぇのか?」

 

「これは独り言だけど、馬鹿と話すと馬鹿が伝染するわ。だから話さない」

 

 額に青筋が浮かび、スバルの堪忍袋はいよいよ限界に達する。

 そのまま真っ直ぐにラムへと突っ込もうとしたスバルを、オットーが止める。

 

「なっ! 離せ、この馬鹿!」

 

 スバルを羽交い絞めにして止めるオットーを、肘を食らわせて引きはがそうとしたところで、ラムの方もアナスタシアに止められているのが見えた。もっともスバルの方と違って力づくではなく、肩に手を置き、引き留めているだけのようだが。

 

「まぁまぁまぁ! ほら、落ち着いて! 一先ずオットーくんの言う通りにしよ?」

 

「アナスタシア様、これはレムとラムの問題です。行かせてください」

 

「色々あって気持ちがささくれ立つんもわかるんやけど、それを今ぶつけても何にもならんて」

 

「後顧の憂いをここで断つだけです。離してください」

 

「っ! 上等だ、ここで殺してやるよ!」

 

「……せやね」

 

 オットーを振り切ろうともがいていたスバルの動きが、次の瞬間止まった。

 切っ掛けは目の前の光景だ。ラムの体、その左胸から、赤黒く染まった何かが飛び出している。――それは、アナスタシアの手に握られた身幅の厚いナイフだった。

 

「はい、これでおしまいや」

 

 そう言い終わると、アナスタシアはゆっくりとナイフを抜き取る。ラムは一度小さく苦しそうに吐血し、膝から崩れ落ちた。

 

「は、ぁ? お前、何やって……」

 

 直前までラムを殺そうとしていた自分を差し置いて、スバルは目の前で起きたことに衝撃を隠せない。

 アナスタシアは訳もないことのように、

 

「言葉では止まらへんかったやろ? もしあのまま殺し合いにでもなって、両方が死んだりしたら損しかないやん? せやから力づくで片方を止めるしかなかったってだけやのん」

 

 と冷たい瞳で言ってのけた。

 

「ナツキくんの方を残したのも、今後のことを考えてのことや。オットーくんもどっちかいうとそっち側みたいやしね。それとも何? 獲物を横取りされて怒ってしもた? せやったら謝っとくわ」

 

「いや……それはもういい」

 

 結果としてラムを殺すことには成功したようだが、行き場を失ったスバルのこの激情はどうしてくれる。ラムにぶつけるはずだった衝動は持て余されたまま、怒りは発散できていない。

 だが重要なのはあの役立たずが排除できたことだ。苛立ちはあるが、冷静になれば結果こそが大事だ。

 

 いや、冷静になって気づいた。こいつは利益で殺す方を選んでいた。もしかしたら、状況次第では殺されていたのはスバルの方だったかもしれない。そう思った途端、アナスタシアがまだその手で握っているナイフが、別の意味を持つように見えた。

 

「ナツキくんが冷静で助かったわ」

 

 そう言ってわざとらしく胸を撫で下ろし、アナスタシアは満面の笑みを浮かべる。それから一歩ずつ砂を踏みしめ、スバルの方へやってくると、左手を差し出した。

 

「仲直りと、こっからもよろしくの握手やね」

 

 下ろしてはいるが、右手には依然としてナイフが握られている。それを見て、スバルに今更の疑問が過る。

 

 エキドナなんて名前の奴を、本当に信頼して良いのか?

 

 最初から怪しんではいた。あの演技が得意で人を騙すことを何とも思わない怪物なら、友好的なふりをして相手を刺し殺すなんて造作もないはずだ。その手をとってはいけないと、スバルは『聖域』で嫌というほど理解していたはずだ。

 エキドナ本人ではないなんて主張も、どこまで信じられるものか怪しい。スバルたちを騙してアウグリア砂丘に送り込んで、何かに利用しようとしているだけかもしれない。

 そんな無数の疑惑が駆け巡り、スバルは棒立ちのまましばらく固まっていた。

 

「ん? どしたん? まさか握手の仕方を忘れてしもたわけやないよね?」

 

 そう冗談で場を和ませようとするが、スバルはそれに笑ってやることができない。

 この場でどうすればいいのか。襟ドナ、いや、エキドナをここで殺すべきなのか。殺すとしたらどうすればいいのか。またあの権能を使ってナイフを奪い取れば簡単に殺せるか? いや、隠し玉が何かあるかもしれない。

 

 直後、スバルの思考を遮ったのは、アナスタシアに体当たりをしたオットーだった。

 

「――っく!」

 

 地面にうつ伏せにねじ伏せられたアナスタシアの首を、オットーがロープで締め上げる。体はオットーの体重で地面に押し付けられ、首は反対にロープで持ち上げられ、エビ反り状態だ。

 襟ドナは左手で苦しそうに首をひっかくが、抵抗になっていない。それを諦めて右手のナイフで背中に乗るオットーを刺そうとするが、肩の可動域の問題で、ほとんど届かない。辛うじて切っ先が刺さった部分から、服に血がにじみ出ていく。

 

「……ぐ……かっ」

 

 襟ドナは見開いた目をぐるぐると回し、空気を求めて喉から唸るような音を出すが、オットーがそれを許さない。必死で暴れるが、逃れようとするほどに、首が絞められていく。

 オットーは必死の形相で力をこめ、決して逃すまいとギリギリと締め上げる。

 と、オットーが不意に一言嘶くような声を上げた。それに呼応し、パトラッシュが勢いよく突っ込んでくる。

 わけがわからずにいるスバルは、それをまともに見てしまった。

 

 パトラッシュがその大きな口を開き、アナスタシアの頭を挟み込む。直後、パキリという小気味よい音が空洞にこだまする。同時に、糸が切れた人形のように、アナスタシアの抵抗の動きがぴたりと止まる。パトラッシュはアナスタシアの頭を何度か噛みしめるようにパキリ、パキリと鳴らし、やがて口の中のものをその場に吐き出した。

 血と、何だかよくわからない透明な液体と、ぐちゃぐちゃになった薄ピンク色の脳髄がパトラッシュの口の中から溢れ出し――

 

「あああああ――!?」

 

 スバルは目の前の凄惨な光景に腰を抜かし、這いずるようにその場を離れようとする。目の前でまともに見てしまった襟ドナの苦しみの表情と、頭蓋骨をかみ砕いたときのパキリという高い音が頭から離れない。

 スバルは暗闇に逃げ込み、身を隠そうとする。

 

「あ――」

 

 アナスタシアの絶命を確認すると、オットーはゆらゆらと立ち上がる。そしてすぐそばに落ちていたカンテラを拾い、ゆっくりとスバルのいる方へ歩みを進める。彼はパトラッシュの手綱を握り、肩で息をして、スバルのいる方に顔を向けていた。

 スバルは何とかして壁を支えにして立ち上がろうとする。脆い壁がぽろぽろと崩れ、掴むのが難しかったが、なんとか二本の足で立つことができた。

 目の前の衝撃的な出来事の連続に混乱しているスバルの脳は痺れ、次に何をすべきかも定かではない。果たして今から来る血に濡れたオットーとパトラッシュが何をしようとしているのかわからず、スバルは恐怖に立ち尽くすほかなかった。

 

 ついに、オットーが持つカンテラに、恐怖で目を見開くスバルが照らし出される。口が赤く染まったパトラッシュを連れ、オットーはスバルの目の前に来て立ち止まる。

 襟ドナの抵抗を押さえつけるために体力を使ったからか呼吸は乱れていたが、据わった目でスバルをじっと見る。スバルは我知らず息を殺し、オットーと視線を合わせる。

 

「念のため言っておくんですが、アナスタシアさんはあのままだと全員殺していましたよ。だから先手を打ってこちらから殺したんです。残念なことですが、僕たちの安全のためです」

 

 その目から恐怖の感情を読み取ったのだろうか。スバルが何かを言う前に、オットーは口早に行動の理由を述べる。その言葉は数瞬遅れてスバルの脳に届いた。

 

「ナツキさん、あなたは僕のことを殺そうなんて思っていませんよね?」

 

 その男の瞳は、殺人の興奮と疑心の恐怖で揺れているように見えた。




【第11話での相違点】アナスタシアの死因。襟ドナの生存。

今回の話はなろう版原作第六章14後半、15前半辺りに相当しています。
長くなったので分割しました。

今回特に描写がキツイです、ということをあとがきに書く原作リスペクト仕草。
でも原作よりはマシなはず......。
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