総額1.1B ISKの売り注文が、実際に売れていく通知音は私を昂揚させました。
そうなると、人間、欲が出てくるものです。
今後、クレーンで巡洋艦を運ぶとするなら、それ以外はフリゲートを1隻積めばぎゅうぎゅうで、小物類はほとんど運べません。
それは、惜しい。
そんな風に悩んでいる私を見て、セリーナが言いました。
「貴女、クレーンに乗れるんだからバスタードにも乗れるでしょう?」
バスタード。クレーンと同じ、T2輸送艦です。
クレーンの強みがクロークワープできる事だとしたら、バスタードの強みは重装甲。
……反撃能力のない輸送艦の強みが、重装甲?
正直、その時の私はそう思いました。
だから、あまり真面目に調べたことはなかったのです。
ですが、せっかくセリーナが勧めてくれたのです。
これを機に、ちゃんと調べてみることにしました。
バスタード。ノガン(野雁)。旧地球時代の鳥類で、飛べる鳥の中ではかなり重い鳥だったようです。
鈍重で、重装甲。なかなか納得感がある名前です。
そして何より、積載量。
私の現在のスキルでも、クレーンの4倍以上。
巡洋艦をまとめて運んでも、まだ余裕があります。
これは……。
クロークワープができないことを承知で、乗り換える価値があるかもしれません。
…。
……。
さらに調べると、どうやら完全ではないにせよ、クロークワープに近い動きをする操船技術があるようでした 。
クロークMWDトリック。
ワープインに必要な加速時間をクロークでやり過ごし、最後の一瞬だけ姿を現してそのままワープへ持ち込めるらしいのです 。
……つまり。
…これが使えれば、バスタードの欠点はかなり薄くなるのでは?
早速、練習しました。
結果から言うと。
なかなか難しいです。
クロークを入れるタイミング。
解除するタイミング。
少しでも遅れると、きれいに失敗します。
…。
……。
ですが、体感成功率は9割くらいにはなったでしょうか。
ローセクといっても常にゲートキャンプがあるわけではありません。
これ以上は実地で覚えるしかありません。
ふふふ。
クレーンで1.1 Billion運べた。
その4倍以上を運べるバスタードなら、4 Billionくらい――
……。
わ、私は何を考えていたのでしょう!?
私のウォレット残高の95%以上はタスキ先輩からの預かったものです。
カプセラの箴言は、
『沈めて致命傷になる船は飛ばすな』
たとえバスタードを飛ばすとしても、いきなり4Bを積んで処女航海など、あってはいけません。
まずは、クレーンと同じく1.1 Billion程度から。
欲に呑まれて、破滅してはいけません。
読んでくださりありがとうございます。
カプセラの方も、そうでない方も、感想をいただけるととても嬉しいです。
特に、実際にEVE Onlineを遊んでいるカプセラの方からの感想は、「あるある」でも「そこ違うよ」でも大歓迎です。
先着5名のカプセラの方には、ささやかですが 200M ISK(ベテランなら金策2〜3時間分、初心者にはかなり大きい額です)をお送りします。
この小説をきっかけにEVE Onlineに興味を持った方がいれば、ぜひニューエデンへ。
感想の際に、ゲーム内のキャラクター名を作者へのメッセージで教えてください。