サイバーエデン・オフライン〜サ終したゲームが現実に侵食してきたのでヒロイン達と共に平和のために戦います〜 × 聖王の冠  自己憐憫と清貧信仰の狭間で   作:光面線会

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pixivにも同様の内容で投稿しています。
版権図鑑・次回予告の形式・各話タイトルは「SEO」をベースに作っています。



WAVE00「主人公に与えられる『不遇』設定は主人公=作者に『道義的/政治的正しさバリア』を与え、相容れない他者を『被害者いじめをする加害者』というサンドバッグ認定する為のもの」

※注意

この作品には独特の表現が多数存在します。

それらは全て「SEO」「聖王の冠」原作を踏襲したリスペクト表現である事をご理解ください。

出来ればSEO、聖王の冠の2作をご覧になってください。

 

 

 

 

 元世界的ゲーム「SEO(サイバーエデン・オンライン、"CEO"じゃないのは原作を読んで下さい)」より生まれたセオベイター/セオベイドと呼ばれる厄災が存在した。

 「電子データがウインドウを通じて現実世界に投影される」という荒唐無稽、原理不明、「電子生命体の進化の果て」などという全てが不足した説明で納得など出来るはずの無い物理法則によって現実にゲームキャラが侵食してきた「虹の日」――それは地獄の釜の蓋が開いた日だった。

 

 ゲーム中で偶発的に出現した電子生命体は「セオベイド」そして元ゲームプレイヤーは異能の者「セオベイター」として現実に存在する事となる。どちらも同様に人にとって分不相応なゲーム内の特殊能力を現実で行使する脅威的存在であった。

 

 後者のセオベイターは言うまでもなく危険であり、どんな愚者であっても犯罪への利用が容易に思い付く。そして前者……セオベイド。

 

 この電子生命体のベースは主人であるセオベイターによって「俺の嫁」として無条件の好意を持たされデザインされたNPCたちであり、主の為なら主の意思すら考慮せず社会規範も他者の命も無視して暴走する存在と容易に成り得る。

 

 そしてそのセオベイド、セオベイターの持つ力には個体差こそあるものの、形として表すならば巨大ロボであったり獰猛なモンスターであったり……共通して言えるのは、社会を維持するにあたって危険すぎる存在であるという事だ。

 

 それらの跳梁跋扈の結果、起こった事は想像に難くない。

 

 破壊の先にあったのは、各地で勢力争いが続く果てなき混沌。

 「世界中で蜂起した底辺層が自分たちをこき使う上級国民を打倒しハッピーエンド」というSEO内に描かれているようなお花畑の妄想など見る影もなかった。

 

 強い政情不安を抱える国から順に社会が崩壊していったのもあって、日本(を含む幾つかの先進国)においては最初の数日間は大きな動きが少なく「奴隷根性の日本だけは事も無し」とインテリ皮肉屋を気取って雑な揶揄をする者もインターネット上に存在した。

 

 が、当然そんな都合の良い事がまかり通る筈もない。セオベイターとなった人間が最初に力を振るう相手は誰だろうか?国家よりも先に、身の回りにいる「相容れない人間」だろう。

 

 そして一度振るわれた力は必ず社会全体に不信と恐怖、他者への警戒を波及させる。目の前の隣人が突如としてセオベイターの力を振るい、自分をバラバラ死体に変えてしまうかもしれないのだ。もう一つ言うなら、恐らくセオベイターやセオベイドに対しては警察や軍隊による治安維持は期待できない。

 

 ――故に各地で発生した「他のセオベイターから身を守る自主的自己防衛運動」により社会秩序の崩壊は差し迫り、各地でセオベイターやセオベイドの集団が興した自称「成り上がり弱者」の「民間自警団」――じきにヤクザやマフィアと呼ばれるようになるであろう勢力が台頭し始めていた。

 

 日本も諸外国も、何故か「国民が団結して国家に反旗を翻す」事ばかりを気にかけていたようだが、まともな頭で最初に考えるのはそちらの危惧だろう。

 

 確かに――勉強もせず社会の仕組みも知らず"腐敗した政権の打倒"という正義感とSNSの受け売り政治知識に溢れた一部の底辺層セオベイターらによる政権奪取、からの新政権スピード崩壊。

 

 最終的にずる賢く人心掌握に長けた利己的な人間がどさくさに紛れ、火事場泥棒的に最も上手くセオベイター・セオベイドの力を集め、権力者の座を手に入れたという例も決して無い訳ではないのだが。

 

 兎も角として、世界に蔓延する疑心暗鬼と混乱、氾濫する私刑――。もはや社会維持は不可能な所まで陥っていた。

 

 セオベイターという「国家にすら匹敵する武力を所有し得る個人」が世界的大ヒットゲームのプレイヤーと同じ数だけ、更にそれと同等の力を持ち主たるセオベイターを全肯定し追従するセオベイドがそれ以上の数存在する世界に、平和と安全を保障する国家は成立し得るだろうか?

 

 否、当然先にある未来は万人の万人に対する闘争時代。

 

 だが「サイバーエデン・オフライン〜サ終したゲームが現実に侵食してきたのでヒロイン達と共に平和のために戦います〜」の主人公にあたる九郎太にそんな事は関係ない。

 

 一時でも自称"弱者"が立ち上がる術を得た時点でSEOは正しかった。全て国家や社会的強者が悪意を持って弱者を虐げてきた(主観)事の責任である事を否定してはならないのだ。

 

 「セオベイドこそが人間のよき隣人として、共に時代を切り開くパートナーとなる」らしいのだ。実際に廃墟と死体の山が広がる新時代は切り開かれている。

 

 少なくともこれが無ければ九郎太は不幸から脱する事が出来なかったのだから。お陰で彼は底辺ワーカーから国家公務員のポストを得られたのだから。他者――お前らの命や社会の安定など一切問題ではない。

 

 兎も角として、どういうわけかセオベイター/セオベイドの発生以前から発足し、その割にどういうわけか事件発生まで行動方針が一切示されていなかった日本の防衛機関「脳特対」に所属する彼は、今日も日々戦い続ける。

 

 

 ――国境も曖昧になったとある地区にて。

 

「人類をセオベイドから解放せよ!上位存在など許してはいけない!人の自由は人の手で勝ち取るのだ!」

 

 とセオベイド排斥を掲げ声を荒げる武装組織――セオベイド騒ぎによって亡び、故郷も財産も失った小国の一般市民だったらしい難民集団――を前に九郎太が「こわいよ~~!」と彼を守る3人の少女の陰に隠れる。そして次の瞬間、その少女のうち一人が声を上げ躍り出た。

 

「どんな主張をしても結構!けど……弟くんを怖がらせたあなた方を絶対に許さない!それに!」

 

 白く輝く刃が舞い、次々と武装組織の構成員たちだった肉塊を血だまりに沈めていく。

 

「人が何を与えてくれたの?奪うばかりで、何もしてくれなかった癖に!私は弟くんの為なら何でもしてあげられる。同じ事が人間にできるの?」

 

 血だまりの中生き残ったリーダー格らしき男は、刀の切っ先を突きつけられ全身をガタガタと震わせ粗相をした後、これは夢だこれは夢だと半狂乱のまま自らの口に拳銃の銃口を押し込み――。

 

 ――銃声とともに事件は収束した。

 

「乙葉お姉ちゃん♡お姉ちゃん♡ミーニャお姉ちゃん♡セシリアママ♡うっ……ふう」

 

 ヘコヘコと3人の少女に己を擦り付けて息を荒げる九郎太。神楽乙葉、ミーニャ・ドロッセル、サン・マルコ"セシリア"――以下3人はその一方的な欲望を都合よく受け止めていく。

 

 彼女らもセオベイドであるが、その意思決定を司る器官は九郎太を大好きになって全肯定で甘やかす存在――オンラインゲーム「サイバーエデン・オンライン」によって作られた「版権キャラを俺の嫁化したNPC」……平たく言えば原作崩壊洗脳ヒロインを始まりとするものである。

 

 そして、その人格はそのNPCを起点として発生したユーザー全肯定型電子生命体のユーザー全肯定洗脳思考回路に支配されており、要は主たる九郎太に最も都合の良い言葉だけを発し彼に気に入られる為の傀儡であった。

 

 元となった存在としてアニメやゲームのキャラクターも一応は存在するのだが……九郎太によって各所に九郎太好みの改造、具体的に言えばバストサイズを上げられ、牛娘に変えられ……と様々な改変を施されており、その元キャラクターとしての尊厳は彼女らには既に存在しない。

 

 人を甘やかし堕落させると言われた対話型AIの再来とも言えるが、彼女らセオベイドについては「自意識」が存在する電子生命体……「ユーザーいち個人の奴隷としてのみ存在意義を持つ命」である分だけ更に厄介な存在。

 

 人道の壁を蹴り飛ばし倫理道徳に真っ向から喧嘩を売る劇薬であった。

 

 この傀儡たちを相手に、九郎太は自慰に近しい行為を繰り返し、彼は満足していた。欲望を受け止めさせ、国家の後ろ盾を得て暴力を振るわせる、爛れた生活――そんな最中、事件は起こった。

 

「やはり――この世界もゼードイルに滅ぼされてしまう運命なのでしょうか」

 

 欲望のまま暴れ回る人間やセオベイターの前に”邪触手”と呼ばれる忌まわしき暗黒神の端末が現れ、それを取り込んでいく。

 

 更に、囚われた被害者たちに向かって上から「説教」を行いながら被害者もろとも邪触手を蹂躙し「ああ、救えなかった」「彼らが私たちの話を聞いてくれれば」と他責思考のままに嘆くポーズを取る一団の影。

 

「これも全て競争社会のせい……全ての人類を闘争の道具にしてしまう、資本主義経済という最悪の兵器がセオベイド――人間の醜い欲望に根差した悪魔を生み出してしまったんだわ……」

 

 聖王の冠に選ばれた救世主たちが、九郎太たちに襲い来る。これはまだ、序章に過ぎなかった。

 

 

 

×

 

 

自己憐憫と我欲で他者を排斥する者の為の世界

 

清貧を強要し他者を排斥する者の為の世界

 

出会ってはいけないふたつの世界が

 

いま邂逅<クロスオーバー>する――!




【次回予告】

 オタクは皆、好きを追い求めてるんだそうだ。

 銀行で、銀行で、あるいは銀行で。

 その為ならなんでもするってX(旧twitter)でイキって言ってる人とかいたけどじゃあ……それが本当なら普通に危険人物なんじゃないか?

 次回「『好き』や『愛』は言い訳に使うにも振りかざすにも丁度いい」
 

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