「さーて、今日もシャンフロやっていくかー。」
大事な防衛戦を終えた翌日、葉月はまたしてもツクヨミとなってシャンフロの世界へと降り立った。
次のエリアに行く前に要らない素材たちを道具屋で売り払い必要な物を揃えるべく、ツクヨミは防具屋で隔て刃シリーズを購入、装備変更後に鍛冶屋へと訪れていた。
「おう、兄ちゃん、何をお探しだい!」
比較的若い筋肉ムキムキのお兄さんがこちらから声をかける前に要件を聞いてきた。
今後のことを考えるとヴォーパルガントレットとは別のガントレットと短剣と片手剣の中間サイズの武器が欲しいな。
その中間サイズってなると……小太刀か…?
「今使ってる武器とは別で小太刀と篭手を買いたくってな。売ってたりするかい?」
「どっちの武器も売っちゃいねぇが、俺ら素材さえ持ってきてくれりゃ作ることはできるぜ?」
素材…素材か、いま持ってるまともな素材といえば貪食の大蛇のものくらいだが...これで作れるのかという疑問ばかりが浮かんでくる
確認もせずに後から作れるのが判明しても嫌なので出すだけ出してみた。
「この素材でなにか作れたりするか?」
「うーん、そうだなぁ。篭手くらいなら作れるかもしれねぇ。半日経ったらまたここに戻ってきな。」
「あぁ、わかった。」
「それと、小太刀の方は四駆八駆の沼荒野で取れる灰色鉄鉱と銀色鉄鉱を6個ずつ取ってきてくれたら作ってやる。」
「おう、今日中に持ってくるよ。」
鉱石採掘か、そういうのはやったことないけどきっと楽しいんだろうな。
まあ、乱数の女神様が味方してくれるかは別だけど。
『ゲゴゴッ…ゲゴゴッ…』
「なんだこいつ、蛙?」
早速四駆八駆の沼荒野に来たはいいのだが、早速遭遇したモンスターはなんと蛙だった。
そういえば隔て刃シリーズのフレーバーテクストにマッドフロッグの皮をとか書いてあったな。こいつのことか?
『ゲゴッ、ゲゴッ』
どうやら敵対モンスターではないようだが、念の為倒してみるか。
『グギョッ!!』
たった1発殴っただけだったのだが、思ってたより弱いモンスターだったようですぐにポリゴンとかし、爆散して言った。
それと同時に皮がドロップした。
「やっぱこいつがマッドフロッグか、つうか沼地は動きにくいなおい。」
マッドフロッグを狩るために1度沼地へ足を突っ込んだはいいが、沼の中ではどうやら走ることができないようだ。エリアボスもこの状態で戦うと考えたら確かに軽戦士ビルドにはキツそうだ。
「おっと、こんなことしてる場合じゃねえ。さっさと鉱石採掘しねえと。」
本来の目的を達成すべく、ツクヨミは沼から出て鉱石採掘へと向かった。
カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!
鉱石採掘を初めてかれこれ1時間と30分が経過し、ようやくラスト1つの泥柱?が崩壊した。
1度ツルハシをインベントリの中へしまったあと、鉱石採掘で取れた鉱石を確認していった。
・石ころ
何の変哲もないその辺に落ちてる石ころ
・灰色鉄鉱
灰色をした鉄鉱石
特殊な効果はないものの、加工次第でどんな物にでもなる。
ただし磨いても光沢を放たないため装飾品としては下の下
・銀色鉄鉱
銀色をしているが鉄鉱石。
この鉱石用いて作られた装備品は『魔力強靭』の効果を持つ。
銀色をしているが鉄鉱石である。
・沼棺の化石
おそらく何かのモンスターの一部であろう化石。
四駆八駆の沼荒野に乱立する沼棺は遥かな太古に在った生物の記憶を内包していることがある。
掘り当てたそれがただ過去の残滓なのか、過去からの遺産なのかは運次第……
「このツルハシは今のSTRとSTMじゃ振る効率だいぶ悪いな、初期の方だから仕方がねえんだろうけども。」
乱数の女神にそれなりに嫌われていたがために銀色鉄鉱を取るのに思っていたより時間がかかってしまっていた。
さっさとセカンディルに帰って武器を作って貰うとしよう。
『ギャァッ!ギャァッ!!』
「なんだ?ハゲタカ...?」
突如目の前にそこそこのサイズ感のハゲタカと思わしきモンスターが降りてきた。
「先制攻撃と行こうか!」
ハゲタカが空を飛んで逃げないように左手で脚を掴み、そのまま殴りつけた。
『グギャッ!』
それなりのダメージは入ったっぽいけど、この程度じゃ倒れないか。つうかこいつ以外と硬ぇな。殴った方の手が少し痺れてやがる。
『ギャッ!ギャッ!』
「おっと、あぶねえな。そう簡単に喰らうかよ。」
ハゲタカはこちらのことを敵として認識したようで、脚を掴んでいた方の腕へ目掛け嘴でつつこうとしてきた。
それを確認したとほぼ同時に反射的にハゲタカを地面に叩きつけ、ナックルブーストを点火し、頭を首、胴体の順番で計3発殴りつけた。
「硬すぎんだろっ!」
もう1発頭を殴りつけると、その一撃でHPが全損したようで、素材をドロップし爆散した。
「なになに...?」
・
バンディットバルチャーの羽毛の一枚。
文字通りただの羽であり盗賊組合の証として用いられる以外に価値はない。
だが故にこそ、かつてはただ罪人としてしか扱われなかった者達の証なのだ
「うーん、別に要らねえな。これだったらマッドフロッグの方が金になりそうだ」
道中でマッドフロッグを5匹、バンディットバルチャーを3匹狩り、セカンディルへと帰って行った。
「親方、さっき言われた鉱石類持ってきたぜ」
「おー、さっきの兄ちゃんか。随分早かったじゃねえか。」
鍛冶屋の親方に声をかけつつ、頼まれていた鉱石とマーニが入っている袋を取り出しカウンターの上に置いた。
「湖沼の小太刀って奴を作ってくれ、マーニもこんだけありゃ充分だろ?」
「おう、さっき頼まれてた篭手と一緒に渡すから、また後で来てくれ」
「あぁ、わかった。頼んだぜ親方」
さーて、空いた暇な時間でレベリングと金稼ぎといくか。武器を作るのも思ってた倍以上マーニが必要みたいだし、何よりバンディットバルチャーに手こずってるようじゃエリアボスも倒せなさそうだ。
そうしてレベリングを行うためにまた四駆八駆の沼荒野へと戻って行った。