呪術結社鷹の爪 作:わさびにんにく
ここは東京の麹町にあるアパートの一室。そこに5人の男達が集まっていた。
『前略、母さんお元気ですか。島根はすっかり秋めいて松江城山公園の紅葉も色づいてきた頃でしょうか。僕は相も変わらず悪の呪術結社鷹の爪団で世界征服に忙しい日々です。世界征服が実現した暁には島根県にジブリパークの2号店を作ろうと思いますので楽しみにしていてください』
赤いマスクをした小柄な男は真剣な顔をして机に向かっていた。そこにコートを羽織った中年男性が話しかける。
「吉田くん!」
「総統。いきなり大きい声を出さないでくださいよ。今ねるねる混ぜてるんですから」
「知育菓子なんか作ってる場合じゃ無いぞ、吉田くん。ついにわしらが主役の小説が始まったのじゃよ」
「ああ始まったんですか。でもこんな安易なクロスオーバー小説を読んでる奴らなんて、どうせ碌な人間じゃないですから適当でいいんじゃないですか?」
ここは悪の呪術結社である鷹の爪団のアジト。鷹の爪団の目的は世界征服。世界を一つに結び、格差を無くし、誰の子供も自分の子供のように愛する世界を実現することをモットーとしている。中年男性は鷹の爪団の総統の小泉。そして小柄の男は戦闘主任の吉田である。
「そんな心構えをしていてはいかんぞ、吉田くん。それに忘れたのかね、前々から入念に開発を進めてきた秘密兵器が日の目を浴びる日が来たのじゃぞ」
「本当ですか。総統ついに完成したのですね」
「うむ我々が半年間、温泉旅館の住み込みバイトで貯めた資金を全て注ぎ込んで作った特級呪骸“地獄装甲悪魔”じゃーー」
そこには鎧甲を着た骸骨の様な見た目の存在がいた。
「呪いなのに悪魔なんですね」
「そういう細かいことは言うのはやめたまえ。これは起動すれば核兵器でも止めることは出来ず、敵の呪力を吸収することで攻撃力が上がっていくのだ。これほどまで完璧な兵器があると思うかね!?」
「日本のnisaシステムより完璧っす」
総統は鷹の爪団の構成員の4人をそれぞれ呼びかける。
「吉田くん。フィリップ。博士。菩薩峠くん。本日が我々の悲願達成の歴史的一歩となるのじゃー!!」
鷹の爪団は両手を鉤爪のような形にして体の前に出す。そして手首を上下に振りながら同時に同じことを言う。
「「「「た~か~の~つ~め~」」」」
そんなときどこからともなく声が聞こえてきた。
「ハーハッハッハ。今日もお前達の作戦は失敗だ」
「そ、その声は!」
「そうだ呪術師デラックスファイターだ」
「デラックスファイター!!」
そこに立つのは水色のヘルメットをかぶったスーパーヒーローの様な格好をした男、デラックスファイターだった。
「いったいどうやってここに入って来たんじゃ!?」
「玄関からだ」
「吉田くんまた玄関の鍵を閉め忘れたのかね!」
「うっかりしてました」
デラックスファイターは右手を鷹の爪団に向ける。
「と言うわけでデラックスボ・・・・」
「待て待ってくれ。そういきなりデラックスボンバーじゃわしらのメンツが立たん。少し時間をくれ秘密兵器が起動する迄の5分。5分で良いんだ」
「・・・嫌だ」
「そ、そ、そんなこと言わないで頼むよ。せっかく始まった小説なんじゃよ。本筋の住民が一人も出てこないで一話目が終わるなんて寂しいじゃ無いか、ここはもうちょっと余裕を持とうよ」
「・・・・・・デラッ・・!!」
「分かったこうしよう。10万円やろう。10万円とさらに一級呪具をやろう。そしてわしらは今週いっぱい休む」
「うん・・10万・・・10万・・・呪具・・・10万」
「ちゃんと日本円じゃ」
10万円という言葉にデラックスファイターは深く悩む。そこに吉田が一声かける。
「完成したラムネ味の知育菓子やるからさ」
「デラックスボンバーーーー!!」
デラックスファイターは掌から高出力の呪力を放出した。
ドーーーン
小泉鈍一郎
役職:総統
鷹の爪団の総統の4級呪詛師。術式ナシ。借金莫大で年金未納のバツイチ中年。お人好しで涙もろいが誰もが幸せに生きられる世界を作るために世界征服を目指す。実は呪術高専の卒業生であるが学生時代から今の今まで一度も一人で呪霊を祓えたことが無い。よく地下鉄職員に間違われる。
「優しく殺して~優しく殺して~」
吉田‘ジャスティス’カツヲ
役職:戦闘主任兼呪霊製造主任
島根県出身の4級呪詛師。術式は鳩と会話することが出来る『鳩一歩(ポッポルポー)』。成人であるが背が低く言動や思考力も小学校低学年レベルの無責任男。しかし世界征服への情熱は本物で総統に負けない優しい心を持つ。島根県の伝承や文化、歴史に詳しく、島根を馬鹿にして良いのは鳥取だけとのこと。
「どうも皆さんこんにちは。島根の吉田です」
フィリップ(岡本和夫)
役職:アルバイト戦闘員
強面で気弱な準一級呪詛師にして準一級呪霊。一度死んでおり呪霊化してしまったが、博士の作った特級呪具によりスイッチ一つで人間になったり呪霊になったりすることが出来る。術式はマイクを使って呪力を放出する『死声(デスゴエ)』。呪霊時の術式はお互いに接触することが出来ない『幽霊』。大企業の会長を勤める若きリーダーでもある。
「YEAH!!!」
レオナルド・デカ・ヴィンチ
役職:呪具開発者
スーパーの見切り品や期限切れクーポン券からも特級呪具を作り出すことが出来る天才一級呪詛師。術式は持っていない。見た目は白衣を着ている熊であるが、本人は熊と言われると脊髄反射的に襲いかかる習性を持つ。おそらく熊に呪肉したことで生まれた存在であると予想されている。
「俺はクマじゃねえぇぇぇ!!!」
菩薩峠
役職:お友達感覚
膨大の呪力量を有する少年一級呪詛師。術式は不明。元々は別の呪詛師集団に捕まっていたが鷹の爪団に助けられて今に至る。総統のことをパパと呼ぶ。一級と言われているが内気であまり積極性が無いだけで本気を出せば特急並の実力を出せる。
「パ・・パ・・・」