呪術結社鷹の爪 作:わさびにんにく
ここはとある和風の建物の一室。暗い部屋の明かりは蝋燭のみで顔を隠した者達が集まっている。彼らは呪術界の上層部の面々、別名総監部である。そして彼等の囲われる形で中央にはデラックスファイターが立っていた。
「ええ。奴らはこれでしばらく問題ありません。報酬はしっかり口座に振り込んでおいてくださいね」
今日、デラックスファイターは総監部に仕事の報告に来ていた。一通りの報告をしたデラックスファイターは平身低頭で部屋を出た。デラックスファイターにとって呪術総監部は最も金払いが良い存在の為常に低姿勢で接している。部屋を出た後はご機嫌で鼻歌交じり廊下を闊歩する。するとデラックスファイターは前から背の高い白髪の男がやって来るのに気付いた。男もデラックスファイターに気付き能天気に声をかけて来た。
「あれ、デラックスさんじゃん。どうしたのこんな所に?」
「何だ。五条のとこの坊ちゃんか。俺は上層部に報告に来ただけよ」
この男は五条悟。現在の呪術界の最高戦力にして上層部にとっては目の上のたんこぶの存在である。
「いやー僕も上層部にお呼ばれしちゃってね。ねえ何の報告?」
テヘペロっと画像検索をしたら一番上に出てくる様な顔をする五条。デラックスファイターはそんな顔をされても特に気にした様子はない。
「はっお前みたいな呪術界の異端児に金も貰わず教えることはねーよ」
「そうだったね。じゃさいならー」
去って行くデラックスファイターの背中に向かって五条は手を振る。正直言って五条はデラックスファイターが嫌いである。呪術上層部や御三家には良い顔をするがそれは自分に得があるときだけ。任務の時一般人を巻き込んでも必要な犠牲と切り捨てる。大金を差し出してきた呪詛師を見逃す。勝てないと判断した相手には逃げる、泣いて許しを請う。等の問題行動を挙げればキリが無い。そして一番嫌悪する理由は五条家にお邪魔した際トイレを借りて流さなかったからである。
とは言えデラックスファイターは呪詛師に対する洞察力や行動パターンの把握は異常に鋭い。又、有利な人間の懐にその場で入り込む媚び力には目を見張るものがある。その点を買っている五条はデラックスファイターとはたまに金を支払うことで利用する関係を築いている。
「・・・・まったく相変わらず食えない奴だよ」
デラックスファイターの背中が見えなくなって五条はそうつぶやいた。
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「また随分と派手にやられたなー」
一方、鷹の爪団のアジトはデラックスファイターによってグチャグチャになっていた。総統が部屋を見回すと仰向けに倒れている吉田がいた。
「んー・・・あなたの為に歌うことがこんなにも辛いことだなんて・・・」
「またその夢を見てるのか吉田くん。おい起きるんじゃ吉田くん!」
「んん、総統・・・・・。夜中過ぎて子供達に甘い物をあげないって約束したじゃないですか!!」
「しっかりするんじゃ吉田くん!この惨状を見たまえ。デラックスファイターのせいでこんなにも部屋が散らかってしまったのだぞ」
「うわっ本当だ」
鷹の爪団の5人は散らかった部屋を綺麗にするため仕方なく掃除を始めた。しかし掃除をしながらも世界征服のことばかり考えてしまう。
「せっかく作った兵器が駄目になってしまって、わしらはいつになったら世界征服が出来るんじゃ?」
「しかもアイツ10万円もどさくさに紛れて持って行きましたよ。今日の夕飯もまた古新聞鍋ですかね」
「うう・・・わしらの半年間の努力がー。わし等の悲願を達成するためには多くのことが立ちふさがっているというのにこんなことで躓いていては・・・。わしなんてもうすぐ55歳になると言うのに」
総統はこれからの生活に悲観して上を向いて嘆く。
「総統はもう55歳になるんですか。このままその日暮らしをしていては壮絶な最期を迎えることは火を見るよりも明らかですね」
「明らかにしなくていいよ」
吉田の真面目なのかふざけているのか分からない発言に総統はツッコミを入れる。
「そう言えば総統が世界征服を志したきっかけって何かあるんですか?」
「なんじゃね。改まって?」
「いえ、ふと思ったのですが20年以上吹き飛ばされてもへこたれないなんて普通、達磨か精神異常者か、もしくはその両方ですよ。よっぽどのきっかけが無いと割に合いません」
吉田のこの言葉に総統は少し考えこんだ後に悲しそうな表情を浮かべる。
「そうじゃなあ・・・・。うむせっかくだからちょっとわしの昔話をするか・・・」
そして総統は自らの過去を語りだした。
次回ネームドキャラは恐らく総統と吉田くんしか出ません。