呪術結社鷹の爪   作:わさびにんにく

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第二十四話 能ある鷹 少年呪詛師

 

 

「イエーーイ!一件落着!!」

 

 色黒の呪詛師を一瞬で行動不能にし、遠距離から特級呪霊を虚式茈で撃退した五条。茈の一撃を目撃した虎杖は大口を開けて言葉を失ってしまい、東堂は「相変わらず」と関心して笑うことしか出来ないでいた。

 

(って訳にはいかないか・・・)

 

 「一件落着」そう口では言って手を叩いた五条ではあったが内心はそんな風にはとらえていない。

 特級呪霊と呪詛師が手を組んで高専生殺害のためだめに呪術高専を襲撃。そんなことは考えづらい。別の存在がこの騒動の裏で動いていると考えるのが妥当である。

 

 五条は六眼を使い周囲の呪力の動きを確認する。未だに交流会会場には高専の関係者じゃない呪力が三人残っている。だがどれも活発的な動きは無く逃げ出す様子も見られない。このまま逃げる気が無いのであれば捕獲することは容易であろう。

 

 

プルルルッ プルルルッ

 

 

 そのとき五条の近くにいた楽巌寺学長の携帯電話が鳴る。画面を開くと表示されたのは高専が襲撃されたことを知って天元様の方へと向かった夜蛾であった。五条も夜蛾からの報告を聞くために聞き耳を立てる。

 

「夜蛾か?」

『楽巌寺学長こちらは天元様の忌庫に侵入していた呪詛師を二人確保しました。本人達は呪詛師集団の総統と戦闘主任だそうですが今回の事件には無理矢理協力させられただけの被害者だと言っています』

 

 予想通りこの騒動の裏で動いていた呪詛師がいた。その事実を証明する連絡が夜蛾から入った。

 そんな報告をする夜蛾の声は何処か疲れている様に聞こえる。しかしそれは肉体的な疲労では無く精神的な疲労。子供に振り回された子守疲れの母親の様なストレスを抱えた声であった。

 

「ふむ、ご苦労。して其奴らが率いておる組織とは?」

『彼らの組織の名は・・・』

 

 夜蛾は一呼吸置いてからその組織の名を口にする。

 

『・・・・・鷹の爪団です』

「何い?鷹の爪団?」

「へえ〜あの噂の呪詛師集団がね〜」

 

 楽巌寺が驚きの声を上げるとその言葉に五条も思わず食いつく。五条自身その存在ごく最近を明確に認知した呪詛師集団。一年生の三人が少年院に閉じ込められたときに伏黒が対面したと聞く世界征服を目論む悪の呪術結社である。

 

「間違いないのか・・・?」

『ああ本人達が泣きじゃくりながらそう白状しました』

 

 天元様の忌庫に侵入し、夜蛾学長が捕まえたのが例の底抜けの大馬鹿の指導者だとすると未だに会場に残る三人はもしかしたら有能だと言われる団員達なのだろうか。ふとそう考えた五条は何の気無しに目を覆う布を持ち上げる。そして再度六眼を行使し会場に残った三人の呪詛師達に目へと向けた。

 

 それなりの呪力と術式を持つ者、術式を持たないが呪具を多数所持している者、そして・・・

 

「ちょっ嘘でしょ?」

 

 その存在に目を向けたとき五条は自身の目を疑ってしまった。

 

 今まで好戦的な呪力の動きにばかり意識を向けていたせいで気付く事が出来なかった。大人しくしている呪詛師の中に一人とんでもない呪力を持つ者がいる。

 

 

 認識したと同時に五条はその場所へと急行する。とは言え無下限呪術を持つ五条に取って移動に要する時間など1秒もかからない。一瞬にして強大な呪力を持つその張本人がいる場所に到着。五条としては出会い頭で反抗する隙を与えずに気絶させる気だった。

 しかし強大な呪力を持つその呪詛師を目の前にした瞬間五条は動くことが出来なくなった。そして相手の呪詛師と五条の目が合う。

 

 

「マジか・・・。君ヤバいね」

 

 

 ギョロリとした瞳、額に浮かぶ青筋、そして何よりも目を惹くは人間離れした紫色の肌。どれも相手に衝撃を与える見た目をしている五条が動揺したのはそんな理由ではない。こちらを凝視しているその存在が呪詛師と言うにはあまりに若すぎる、と言うより幼すぎる子供であったからだ。

 

 

 そう五条の目の前にいるの呪力操作だけで北海道と九州を入れ替える位簡単にやってのける鷹の爪団のお友達感覚「菩薩峠」であった。五条家の相伝である六眼は目の前にいる菩薩峠の力量をありありと映し出していた。

 

 膨大と言う言葉では足りない程の呪力量。ハッキリ言って呪力量は自分の教え子である乙骨憂太や「呪いの王」である両面宿儺をも軽く凌いでいる。仮にこの子供が領域展開を会得していたとしたら地球全体を領域内にすることだって出来るかもしれない。

 そしてその呪力を殆ど体外に漏らさずに扱えている事からそこいらにいる一級呪術師よりも呪力操作が遙かに上手い事が分かる。六眼を持つ五条だから気付けたが一般的な呪術師にはその繊細すぎる呪力の扱いで少年の本来の実力を誤認すらするだろう。

 

 五条は今まで感じたことの無い緊張感が走る。正直今この子供と面と向かって戦っても経験値で勝る五条であれば負けることは無いだろう。しかしそれでも呪力切れを起こせば無傷で勝つことは難しい。その上周りへの被害はとんでもない事になるのは考えなくても分かる。

 

「ねぇ君?鷹の爪団で間違いないかな?」

 

 五条の問いに対し菩薩峠は何も言わずゆっくりと頷くだけであった。

 

「君らのボスと主任はもう捕まっちゃったよ。今ここで戦ったところで意味なんか無いわけだし、君もこちらに投降してくれるとありがたいんだよね?」

 

 五条はなるべく菩薩峠を刺激しないように優しい口調で話しかける。相手は落ち着いた雰囲気を身にまとっているとは言え子供。癇癪を起こし周囲を面白半分で蹂躙することだってあり得る。事実甘やかされて育った幼少期の五条自身がそうであった。

 

「パ・・パ・・・。・・お兄ちゃん・・・」

 

 菩薩峠はゆっくりと小さい声でそうつぶやく。

 

(パパ?この紫色の少年は鷹の爪団のボスの子供だって言うのか・・・?いや呪詛師集団なわけだし将来呪術師として有望な子供を誘拐。洗脳されて鷹の爪団を家族だと思い込まされているかもしれないな。もしくは呪物を使って人工的に力を与えられたとか・・・)

 

 五条の考えは半分当たっていた。実際菩薩峠は総統の子供では無い。しかし鷹の爪団が菩薩峠を誘拐したのではなく、とある呪詛師に誘拐されていたのを鷹の爪団が保護したのだ。菩薩峠は洗脳などされておらず心の底から総統を親の様に慕っている。

 

「そうそう。君のパパとお兄ちゃん。二人はもう高専にいる訳だからさ、君も僕に大人しく着いて来るならちゃんと合わせてあげるよ」

 

 五条は取りあえず話を合わせる形で菩薩峠に交渉する。菩薩峠の呪力の流れは落ち着いており反抗的な意思は見られない。菩薩峠は再び小さく頷き五条に大人しく着いて行くことに同意する。

 そして五条はこの才能の塊である幼すぎる呪詛師を見て一つの結論を導き出した。

 

「なるほどね・・・。上層部が鷹の爪団を壊滅させないのは君がいるからか」

 

 おそらく鷹の爪団の組織を壊滅させ、他のメンバーの呪詛師を死刑にすることは赤子の手をひねるほどたやすいことだろう。しかし鷹の爪団が無くなってしまう事はこの子供の居場所を奪う事になる。

 そうなれば恐ろしい未来を五条は想像することが出来た。身内を失った怒りをぶつける形で呪術界に喧嘩を売り果ては国家転覆に乗り出してくるかもしれない。もし食い止められたとしてもその被害は甚大な物になるだろう。

 

(鷹の爪団・・・。こんな人材がいるなんていったい何者なんだ・・・)

 

 

************

 

 

 一方その頃、捕らえられた総統はと言うと・・・・

 

「わし等は気の良い歌とお菓子の大好きな世界征服組織なだけなんです!!」

 

 

 

 




 個人的に菩薩峠は五条のことを嫌いそうだと思っています。特に理由はないですけどw。

 次回は鷹の爪団の科学チートのお話になります。
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