呪術結社鷹の爪   作:わさびにんにく

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 最初に申し上げておきます。今回鷹の爪団は出てきません。
 誰が出るかは知ってる方はサブタイトルで直ぐ察すると思います。知らない方はサブスクで見てください。




第九話 夏油くんの家族意志

 

 

 東京都内のとある建物。石造りの建造物ではあるがどこか和の装いを感じさせる。一見すると国が所有する有形文化財と勘違いする人もいるかもしればい。

 

 その建物の前で五人の男女が話し合いをしていた。見た目は若くても20代後半一番年上は80代と平均年齢は高い。そして一番の特徴は彼ら五人が全員黒人なことであった。

 

 

「兄ちゃん本当にこんな場所に苦しい立場の人を助けてくれるNPO法人があるのか?」

「マカセてよ。何でも優しいキョウソ様がミチビイてくれる上に気に入られると家族として一緒に暮らしてもイイって言うらしいゼ」

「おいこらっ教祖様ってそれ完全に宗教じゃないか。どこがNPO法人なんだよ!」

「ダイジョウブ俺を信じろよ」

「兄ちゃんを信じて大丈夫だったことが無いから不安なんだよね」

「しかし腹が減ったな・・・。もう三日も何も食べてないぞ」

「爺ちゃん仕方ないだろ。島根と違って東京には野生動物が少ないんだから」

 

 

 五人の黒人は少々の言い合いをしながらも結局は建物内に入って行った。建物内には老若男女問わず多くの人が一列に並んでいた。

 ため息をついていたり、顔を伏せていたりと重苦しい表情をしている者もいればワクワクとした明るい表情を浮かべる者もいる。五人は他の人達にそれほど気にとめることは無くそそくさと列の最後尾に並んだ。

 

 

************

 

 

 

 建物内の一室。そこでは袈裟を着た奇抜な前髪をした男が畳の上に座っている。その男の目の前にいるのは体重が200kgはありそうな女性。

 

「ありがとうございます。今日は重力が凄かったんですけど教祖様のおかげで幾分か楽になりました。こちらがお布施になります」

「ええまたいつでも来てください。妖怪田さん」

 

 妖怪田と呼ばれた女性は分厚い封筒を渡して部屋を出て行った。

 

「はあ・・・。まったくやはり猿と話すのはストレスが溜まる。まああの女は猿と言うより豚だがな」

 

 袈裟の男は余程精神的に疲労が溜まっているのか深いため息をついた。そして少しでも疲労を解消させる為に眉間を親指と人さし指で揉み解す。

 

「それで今日の最後の猿はどんなのだい」

「はい夏油様。最後の方々は黒人の5人家族ですね。ここに来たのは初めてになります」

 

 助手の女性の説明を聞いた夏油と呼ばれた袈裟の男は少し思案する。

 

(黒人の家族?ミゲルの知り合いと言うことも無いだろうし出稼ぎの労働者か?となると金を集めることは期待出来そうにないな)

 

 利用方法について考えているとドアが開き一家が入ってきた。

 

「ドウモ優しくミチビイテくれると聞いて島根県から来た菅井です」

「ようこそ。本日はどの様なお悩みで?」

 

 夏油は渾身の作り笑顔で菅井家に話を聞く。

 

「実はわし等菅井家は一人も働いていなくてお金が無いんですよ。そこでここは困ってる人を助けてくれると聞いて来たんですけど」

 

 図々しい一家の発言に夏油のこめかみに力が入る。教祖を勤めてきてこれほど態度の大きい非術師に出会ったのは初めてだった。

 金を集めることが出来ないとなると呪いを集めさせようと考えるがこんな楽天的な奴らは負の感情とは縁遠くそちらも期待することは出来ない。ハッキリ言って夏油にとってこの5人は煮ても焼いても食えない奴ら。

 

「なるほど分かりました。では一旦出て隣の部屋で少しお待ち願えますか?」

 

 

 そう言って夏油は菅井家が入ってきたドアを指差した。菅井家は特に不安がること無く言われるがまま部屋を出て行く。

 

「夏油様あの5人をどうするつもりですか?」

「ああいうむかつく金も呪いも集めることが期待できない猿は私の呪霊の栄養になってもらうのが一番だと思ってね。いなくなったところで誰も気に留める人間も居ないだろうし」

「では隣の部屋にいるのは・・・」

「ああ、成長の期待度が高い呪霊を多数放っている。まあ手持ちの三割ってとこかな」

 

 夏油は罪悪感を一切持つことなく薄ら笑いを浮かべる。彼にとって非術師を殺すことに一切の罪悪感はない。ただ使える物と使えない物を分別しているのと同じ感覚だった。いやどちらかと言うと伝染病がを持つ家畜を殺処分しているのに近いかもしれない。そして一言だけだけつぶやいた。

 

 

「猿共が」

 

 

 

「「「「「うわぁぁあぁあ!!!!!」」」」」

 

 

 次の瞬間劈く様な菅井家の叫び声が轟いた。しかし数分後には何も無かったかの様な静けさを部屋は取り戻す。

 

 

 

 

 

 夏油はその声を聞こえなくなると満足したのかその場から立ち上がる。そして教団の屋上へと向かうのだった。

 

 屋上には夏油が家族だと認める者達、つまりは夏油の考えに賛同する呪詛師達が集まっていた。

 

「よし。皆集まっているね。本日、我々は予定通り呪術高専に宣戦布告に行く」

 

 夏油の語りかける声に皆一様にうなずき、期待の籠もった顔を夏油に向ける。

 

 そして夏油は現在所持している巨大なペリカンの様な呪霊を呼び出した。呪霊が口を開くと夏油以外の者達は口の中に入り、夏油自身は背中に乗る。そして呪霊は翼を広げ空へと飛び立った。

 

(高専・・・10年ぶりになるのかな)

 

 夏油は風を感じながらこれから起きることを想像し期待で胸を膨らますのだった。

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

 

 一方で呪霊部屋にいる菅井家は・・・

 

「イヤッホーーウ!!巨大イモムシ何て久しぶりダゼ」

「おら穀潰し共、昆虫のかき揚げが出来たよ」

「母ちゃんエイヒレはもう残ってないのかい?」

「いやあまさか東京でこんな豪華な飯にありつけるとは思わなかったな」

 

 菅井家の前にあるのは土鍋や包丁、フライパンと言った調理器具。そして醤油や味噌、生姜、ニンニクと言った調味料や薬味。

 

「でもこいつ等、勝手に食べて良かったの?教祖様のペットかもよ」

「こんなたくさんの虫や魚を一つの部屋で放し飼いする何て聞いた事無いけど・・・」

 

 

 凶悪な呪詛師集団夏油一派が所持する呪霊の約三割を失ったことに気付くのは今から3時間後。

 

 

 

 

 

 




 新宿、京都に放った呪霊は各千。つまり600失ったことになりますが流石に全部食べてません。菅井家はちゃんとタッパーに入れて持って帰りました。
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