駄文よろしく。
精神統一。
舞台は宙から地へ、二人の剣士は飛ぶことをやめた。
対峙する白銀の剣士と逆手二刀の剣士。
会場はいつも以上に静まり返っている。
既に試合開始から数分、二人は一歩も動くことなく、構えを崩すことなく、目の前の相手を凝視している。
クラス代表決定戦も最終戦に突入、一勝一分のセシリア、一分の鼬、そして一敗の一夏。
どちらが勝っても、さほど意味はない。
一夏はなれないし、鼬が勝っても再戦をするだけだ。
最も慢心を捨てたセシリアに勝てる気はしないが。
時間が過ぎる。
合図も何もなかったが、二人はほぼ同時に動き出す。
刀を振り上げ、振り下ろす。
刀を、全力で振り上げる。
金属音が響き、また二人は距離を開ける。
二人の額には大量の汗が滲んでいる。
たった一回の攻撃、それにかけた集中力と時間。
二太刀目は鼬から、一夏目掛けて二刀での連続攻撃。
一夏はそれを、ある時はいなし、ある時は躱し、たまに受けながら対応する。
「………っ‼︎」
「………っ」
一瞬の隙を見て一夏は雪片二型を振り上げ、袈裟懸けに振り下ろす。
ガキィン‼︎
振り下ろされた雪片二型は、交差した二刀に阻まれる。
「………なら‼︎」
刀身が煌めく。
単一能力【零落白夜】を発動、力技で押しきるつもりだ。
刀を交えるだけでSEはどんどん減っていく。
鼬は二刀を巧みに使い、雪片二型を弾き飛ばす。
「………っ⁉︎」
一瞬驚いた表情を浮かべたのは鼬。
(………何故?)
脳裏に浮かぶ疑問。
何故、弾き飛ばした筈の雪片二型が目の前にあり、己を両断しようと振り下ろされているのか。
急いで飛び退くが、少し掠ってしまう。
4割持っていかれた。
驚愕する。
文字通り一撃必殺の力。
当たるわけにはいかない。
鼬は、次の行動を実行する。
それは、一夏にとっても一つの賭であった。
一夏は雪片二型が弾き飛ばされた瞬間に展開を解除し、上へ弾かれた腕に再度展開した。
結果は成功。
倒すことは出来なくとも、重大なダメージを与える事が出来た。
ホッとしたのも束の間、次の瞬間には腹に一太刀くらっていた。
瞬時加速。
一夏は吹っ飛び、鼬もバランスを崩して倒れこむ。
だが一秒も止まらない。
次の瞬間には、互いの得物が相手の首を捉えんと振るわれている。
試合を見に来た上級生、教師陣は驚いていた。
本当に素人なのか?と、全員が脳裏に浮かべた。
それは織斑千冬も例外ではない。
こうなる事を予想出来ていなかったわけでは無い。
二人とも、あの人の弟子なのだ。
寧ろ、当然ともいえる。
しかし、だ。
現役の弟子である鼬はともかく、一夏が何故あれほどまで動けるのか?一夏が師事していたのは一月だけだ。その時も身を守る為の剣術しか教わらなかった筈だ。
機体性能に差があるとはいえ、何故一夏は鼬についていける。
何故互角に渡り合える。
千冬が知らないところで、一夏は何をしていたのか。
ただ、それだけが気掛かりだった。
戦況が変わろうとしていた。
三度鼬が一夏を吹っ飛ばし、追撃しようと足を上げたその時、
鼬が手に持っていた二刀が弾かれた。
目の前には零落白夜を発動し、振り上げる一夏。
一夏は見様見真似で瞬時加速を成功させ、鼬の二刀を吹き飛ばした。
笑みを浮かべる。
勝った。
勝利の確信。
生まれた余裕。
だがそんな余裕も、ズシンッという音で吹き飛んだ。
鼬が震脚をしたのだ。
凹む地面。鳴る轟音。
生まれた一瞬の隙。
見逃すこと無く、鼬は一夏の鳩尾目掛けて、肘撃を決める。
IS装甲に覆われていない肘で繰り出された一撃は絶対防御を発動させ、
一夏から意識を、白式からSEを刈り取った。
「悪いな、徒手のが得意なんだ」
ブザーが鳴る。
【勝者 四道鼬】
殆ど喋ってねぇ。