「1年1組のクラス代表は織斑一夏君に決定しました!」
「え」
「あっ、一繋がりで良いですね!」
「ちょっと待って」
「それでは、一時限も頑張って下さいね」
「待って」
残念、一夏の言葉は届かない。
「どうした織斑?何か文句でもあるのか」
「いや、文句というか。納得しないだけで…一応全敗だったし」
「………セシリアは四道との決着が着いていないから辞退した」
「じゃあ鼬は?」
「織斑、今日四道が来ていない事に気付いているか?」
「えっ?」
そう言われて、一夏は教室を見渡す。
確かに鼬は居ない。
「今日の朝に四道本人から、激しい頭痛に襲われているから病院に行ってから登校すると連絡があった」
「頭痛………」
「原因は分かっていないが、もしISが原因だとしたらそれを黙って見過ごす訳にはいかない。だから私の独断で辞退させた」
「でも………俺は何ともないぜ」
「男性IS搭乗者のデータは少ない。お前が大丈夫でも、四道はダメかも知れないだろう」
「………」
間違ってはいない。
今朝四道から連絡があって、病院に行っているのは事実だ。
そして、男性IS搭乗者でもISに乗って身体に受けるダメージの差があるのも事実。
一夏が受けたダメージが少なく、鼬が受けたダメージが多かったというだけ。
まぁ、あれだけ派手に動けばダメージが多くても無理はない。
「昼迄には帰って来ると行っていた。あまり心配しなくても大丈夫だ」
一夏は安堵した様な表情を浮かべる。
しかし、千冬は険しい表情のままだ。
(一夏には心配するなと言ってはみたが、奴の発言の中に気になる点があったからな)
『一週間程前から、徐々に痛くなっていった』
(あれが本当であれば、あまりISには乗せられない。しかし、乗らなければIS委員会に殺される。
どの選択が正しいのか判断しなければいけないな)
「原因不明………ですか」
「結果的に言うとそうだね。原因がさっぱりわからん。だって何処にも異常がないんだもの」
鼬は病院の診察室で初老の医師から診察結果を聞いていた。
「もしISが関わっているとしたら、私にはどうしようもないからね。専門外だし」
「そりゃそうですけどね」
「一応痛み止めは出しとくよ。効かないと思うけどね」
「はぁ………」
痛みだしたのは一週間前、簪の為にデータ取りを始めた時からだ。
でも昨日までは、痛みは微々たるもので、今朝だけが異常なくらい痛かったのだ。
「………………」
「どうしたんですか?先生」
「いや、本当の事を言うとね。出来ればちゃんとした結果が出るまで入院して貰いたいんだよね。
勿論無理なのは分かってる。でもね、もし手遅れにでもなったら怖いからね」
この医者はIS学園のかかりつけ医だ。
よく分からないがソコソコのお偉いさんらしい。
「………それにね、君の頭に異常はないけど、別の所には異常が見られるんだよ」
「えっ?そうなんですか?」
「はっきり言うとね、レントゲンでも、x線でも、見れなかったんだ」
「………何がですか?」
「………………身体だよ。ジャミングされてるみたいだった。撮っても映らないんだ」
驚愕。
それは知らなかった。
この身体が色々異常な事には薄々勘付いてはいたが、まさかそれ程だなんて。
手と足が潰れていて、それを新しい物に取り換える時に無茶な方法を使ったとは聞いているが、それが原因なのだろうか。
「………私にはどうする事も出来ない。申し訳ないね」
「いえ、そんな事はありません。薬が貰えるだけで結構です」
「………………今日一日は様子を見た方がいい。連絡はしておくから、寮に戻って寝なさい」
「………貴方がそう判断するのなら、それが一番良い選択なんだと思います。分かりました」
「うん。安静にするんだよ」
「はい、ありがとうございました」
診察室から出て行く。
不本意だが、今日は学校を休むべきだろう。
「身体が映らない………………か」
「いたっ」
ズキンと頭が痛む。
「今までこんな事なかったのに」
ISに関わり出してから、色々と変わり始めている。
「………でもまあ」
しかし環境が変わろうが、心は変わらない。
「………………………死ぬつもりはさらさら無いけど」
全ては師の願いの為に、だ。