IS 鼬   作:クロノ9696

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空狐

放課後夜

 

鼬は食堂へと向かっていた。

はっきり言うとまだ頭痛は収まっていないが、パーティに呼ばれたからには参加しない訳にはいかない。

しかし、今は足が止まっている。

 

「………………で、そこを開けてもらえませんか?」

「………」

 

目の前には年上らしき女生徒。

知り合いに良く似た青い髪で、口元を扇子で隠している。

 

扇子には【行かせない♪】と、やたらと達筆で書かれている。

ムカつく。

 

「………退かないなら、退いて貰うだけですけどね」

「………………」

「………暴力で」

 

2人の姿が見えなくなる。

その場から消えたわけでは無い。

2人の動きが速すぎて見えないだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂(パーティ会場)

 

「鼬遅いな。もうすぐで料理無くなるぞ」

「確かに遅いですわね」

「連絡を入れたのはパーティが始まる前だったと思うのだが………」

 

来ない事を考えていなかったわけでは無いが、来なければ来ないで心配だ。

 

「何処かで倒れて無ければ良いのですが………」

「その心配はありません。鼬はちゃんと此方に向かっていますよ」

「「「えっ?」」」

 

後ろからいきなり発せられた言葉に驚き、振り返る。

 

「初めまして、私は三枝空狐。4組の生徒です」

「初めまして、私は「知ってます。セシリア嬢ですね」………まぁ、良いですわ」

「………三枝?………空…狐?」

「どうかしたのか?一夏」

「いや、ちょっとな」

 

名前に違和感を感じ、考えこむ一夏。

(………数字と動物の名前、いやまさかな)

「そのまさかです。私は鼬の家族みたいなものですから」

「「「え?」」」

「貴方とも兄弟子みたいなものですよ」

「「「は?」」」

 

いきなりのカミングアウトに三人は驚愕している。

 

「………理解の難しい点は存在しない筈ですが」

「つまり空狐さんと鼬さんは一緒に暮らしていて、同じ人を師事している、という事ですか?」

「はい。そして一夏君も同じ人を師事していました。

弟子勢ぞろいってやつですね」

 

そう言って空狐は微笑む。

 

「………という事はなんだ?空狐さんは鼬みたいに強いのか?」

「………ちょっと意味が分からないのですが?」

「いやだから、空狐さんは鼬ぐらい強いのか?」

 

箒の問いに、空狐はキョトンとしている。

 

「鼬が強い?何の冗談ですか、それ」

「え?」

 

空狐は笑いを抑えながら言う。

 

「私相手に、両脚と利き手無しじゃないと戦えない鼬が強い?冗談にも程がありますよ」

「「「え?」」」

 

空気が凍り付く。

盛り上がっていた会場が、一気に冷える。

 

「………………何か間違っていますか?私は真実を言っただけですが」

「………………」

 

言い返したい。

でも、言い返せる様な言葉を誰も持ってはいない。

 

それもその筈、一夏達が知る鼬と目の前の少女が知る鼬は全く別物なのだから。

 

ISを使わない、本当の実力を知っているのはこの場で一人だけ。

 

「………狗」

「………何だよ」

 

「確かに一般的にみたら鼬は強者の部類に入るでしょう。

ですが、私からすれば鼬は雑魚です」

「………っ⁉︎」

 

 

雑魚。

 

「文句があるのなら、言ってもらって構いませんよ」

 

言いたい。

発言を撤回しろと、声高々に言い返したい。

 

だが

 

「………いや、文句は無い。俺は何も知らないんだからな」

 

言い返せない。

 

「賢明な判断です。ええ、言い返されていれば、その首、落とす所でしたよ」

 

少女との実力差は圧倒的だ。

 

この言葉も、嘘では無いのだろう。

 

「ああ、そうだ。師匠から伝言がありますが、聞きますか?」

「師匠から⁉︎………聞かせてくれ」

「狗又は鼬の何方かが力に呑まれ、暴走し、誰かの生活を脅かそうなら、何方かが狐と協力し、海の藻屑とせよ」

「っ⁉︎」

 

つまり、一夏か鼬の片方がISで暴走したのなら、もう片方が殺せ。

そういう事だ。

 

「………………以上です。私は帰らせていただきます」

 

「「「………………」」」

 

「ああ、鼬ですがもうすぐで来ますよ」

 

少女が消える。

目で追えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………思った以上に強かったな」

 

目の前には、邪魔をした女生徒が倒れており、肩で息をしている。

 

「………でも、俺もボロボロだから引き分けかな」

 

鼬は倒れてはいないものの、身体中負傷している。

 

倒れていないのが不思議なくらいだ。

 

「………行くか」

 

女生徒に背を向け、歩き始め「強いのね。お姉さんビックリしちゃった」「っ⁉︎」

 

振り返る。

そこには先程まで戦っていた女生徒が立っていた。

 

「驚いた。まだ立てるんだ」

「鍛えてるもの」

 

 

「………………簪ちゃんに変な虫がついたと思ったけど、強いじゃない(ボソッ)」

 

「え?」

「なんでもないわ。実力が知りたかっただけだし」

「………」

「早く行かないと終わっちゃうわよ」

「止めたのはそっちですけどね」

 

駆け始める鼬を、更識楯無は見送る。

 

「………どっかで会った様な気がするけど、何処かしら?」

 

 

頭の中は疑問だらけ。






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