時間ギリギリで教室に入って来た鼬は、脇目も振らず一夏の所へ向かう。
その顔はいつも浮かべている朗らかな笑顔では無く、戦闘時に見せる冷酷な表情を浮かべていた。
「一夏」
「…‥どうしたんだ鼬。深刻そうな顔して」
「………限界に達した時は連絡する。お前の手で、終わらせてくれ」
「鼬?お前、何を言ってるんだ」
「…考えが変わった。それだけだよ」
それだけ言い、鼬は自分の机に向かう。
「鼬………」
「何かあったのでしょうか?いつもより表情が固いですわね」
「表情が固いというより、【殺気立っている】という感じに見えるが」
「どうしたんだよ、鼬………」
「この前とは言ってることが全然違うぜ………」
教室の扉が開く。
入って来るのはこのクラスの担任であり、皆ご存知元世界最強の織斑千冬と副担任の山田先生だ。
だが何時もと違う。
扉の向こうに、知らない奴の気配がする。
転入生が来る事は耳にした。
ならその転入生なのだろう。
二人とも1組ということが気に掛かるが。
「離してくれ本音ちゃん‼︎俺は今直ぐ逃げなきゃいけない‼︎俺の勘がそう告げているんだ‼︎」
「駄目だよイッチー、落ちたら怪我するよ」
「俺は大丈夫だから‼︎俺が怖いのは水くらいだからこの程度余裕だし!怪我とかしないし!」
「………泳げないの?」
「………………………………………うん」
「私でも泳げるのに?」
「………だって水怖いじゃん。滝修行の時足滑らせて、滝壺から出られなくなった時とかマジで死を覚悟したよ」
「………(ポンポン)」
「全部狐が悪いんだよ。何が「私が出来るんだから貴方に出来ない訳が無い」だよ、人間辞めなきゃいけないじゃないか………」
「布仏、そのまま席まで連れ戻せ」
「分かりました〜」
窓から降ろされ、ズルズルと引きずられて鼬は席に戻される。
鼬は心ここに在らず、という感じだ。
「………既に知っているかも知れないが、このクラスに二人転入する事になった。入ってこい」
ガラッと扉が開けられる。
入って来たのは、銀髪女子と金髪の男子用制服を着た生徒。
(………明らかに女子じゃねぇか‼︎)
「軍人さん⁉︎それに………」
どうやら鼬は片方の生徒の事を知っているようだ。
そしてハッとした表情を浮かべ
「俺は逃げるぞ‼︎一夏ァ‼︎」
窓から飛び出して行った。
その後、教室内にソニックブームクラスの黄色い声が響いた事は言うまでもない。
あと叩かれかけた。
それを受け止めたら、投げられた。
理不尽だ。なんでさ。
更衣室
「はぁ…はぁ……何とか間に合った」
「凄いね、ずっとこうなの?」
「いや、何時もはもっと少ない。多分シャルルを見に来たんだと思う」
「え?なんで?」
「なんでって………男が珍しいからだろ」
「あっ…そ、そうだね」
(怪しい、やっぱり女じゃないのか?)
一夏は呼吸を整えながら着替え始める。
シャルルは既に着込んでいたみたいだ、もう着替えは終わっていた。
「一夏、俺は先に行くから」
「ああ、分かった。シャルルも行けよ、遅れたら千冬姉怖いぞ」
「う、うん。それじゃ先に行くよ」
先に着いていた鼬にシャルルが着いて行く。
「………俺も下に着込むべきだったかなぁ」
制服の鼬とISスーツに着替えたシャルルは集合場所目指して歩いていた。
「………先日は済まなかった」
「………え、なんの事?」
「足の怪我の件だ。俺の不注意とはいえ、怪我させた事に変わりはない」
「………まさかあの時ぶつかった女の子⁉︎」
「生憎、男の娘だけどね」
「………………それで僕の事、先生達に言うの?」
シャルルから送られる視線が、敵意を持ったものへと変わる。
シャルルは男装して潜入している身だ。
男装する前の、本当の姿を見ている鼬の存在は邪魔でしかない。
「……そんな事して何か俺は得するの?」
「えっ?」
鼬の返答にシャルルは唖然とする。
「なんで男装してるとかどーでもいーし、それに男性IS搭乗者として俺も世間一般に知らされてないしねー。
まぁ、ぶっちゃけ興味無いし。
それに………」
「それに………?」
「そういうのは一夏の仕ゴハァッ⁉︎」
シャルルの視界から鼬が吹っ飛ぶ。
「………………あ、あの〜ラウラさん?」
「シャルル・デュノアか、済まないが鼬は借りるぞ」
「え………あ、はい」
そう言い残し、ラウラは鼬の首根っこ掴んでズルズルと引きずって行く。
「………鼬は?」
「あそこ」
「………あぁ」
「………………知り合いなのかな?」
「物騒な知り合いがいるもんだな」
「ちょっ…軍人さん⁉︎首が締まってるから⁉︎」
「私の姿を見て逃げた罰だ。苦しめ」
「直球すぎる!」
「その前に、何故鼬だけISスーツを着ていないんだ。サボリか」
「IS搭乗禁止令出されたから、授業でも乗れないんだよ」
「………まぁいい。ならこの授業は私の側にいろ、その方が効率が良さそうだ」
「えっ………マジかよ」
「無論マジだ。私は遊び感覚でISに乗っているような奴らと仲良くするつもりは無いからな」
「………分かったよ軍人さん」
「ラウラだ。いつまでも軍人さんと呼ぶな」
「はいはい、分かったよラウラ」
「それで良い」
この後、キリッとした山田先生が見れたり、ラウラが殆どやる気無しだったりして結構キツかった。
「………なんの指示も無く「乗れ」はキツイでしょ」
駄文済まぬ
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