プロローグ
臨海学校帰りのバスにて
「それにしても、今回は織斑君のお手柄ですね!」
「そうだな、今回ばかりは一夏がいなければ危なかった」
「おや?織斑君を素直に褒めるなんて、明日は雨でも降るんじゃないですか?」
「・・・・・私は血の雨だと思うぞ。それも、今すぐだ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
目の前には織斑千冬のアイアンクロー。
それが山田教諭の頭を握り潰さんと迫る。
次の瞬間、山田教諭の意識は刈り取られた。
「確かに今回は一夏のお手柄だがな。
更識簪が手伝ってくれて、篠ノ之箒がでしゃばらなければもっと早く終わっていた」
そう、織斑千冬は簪のISのスペックを知っている。
知っているからこそ、今回の事件で生徒数名が死の危機に瀕した事が残念でならないのだ。
今回は確かに一夏の手柄だ。
だが、もし一夏が目覚めなかったら?
目覚めたとしても、二次移行していなかったら?
最悪の事態をそう毎回免れる事は出来ない。
今回は良かったが、次も上手くいくかは分からない。
上手くいくことを祈るしかない。
「更識だけでなく、あいつがいればな・・・・・」
簪が手伝うのを断った理由、それは「鼬に最初に見せたいから」という物だった。
そんな身勝手な、一人の少女の我儘。
その我儘を、千冬は肯定し、任務の不参加を認めたのだ。
「・・・・・・ん?」
窓ガラスの向こう、千冬の視界に一瞬映った人影。
「なぜこんなところに人が?ここは高速道路だぞ・・・・」
そう、おかしいのだ。
ここは高速道路でしかもバスは80km近いスピードで走っているのだ。
何故その人影は、バスと並走しているんだ。
「・・・敵襲か⁉」
バス内を見渡すが、起きているのは千冬と運転手ぐらいだ。
「ドーモ=オリムラチフユサン。亡霊企業です」
「何・・・っ!」
外にいた人影はいつの間にかバス内へと侵入していた。
そして何より驚いたのは、男が口にした亡霊企業という単語だ。
「と言っても、元ですけどね。今となっては亡霊企業に命を狙われる一般市民ですよ」
「一般市民がバスと並走出来るとでも?」
「ごもっともで」
千冬は目の前にいる男の観察を開始する。
中肉中背、中世的な顔、白い短髪、そして包帯のまかれた右腕。
右腕以外はまるで鼬の生き写しだ。
「あ?この顔?似てるでしょ、彼と。特注のマスクですから」
どうやら本当の顔は違うらしい。
「で、何の用だ」
「いや、俺の連れに復讐したい奴がいてね。でも亡霊企業はまだそいつを利用したくて、仲違いしたから辞めてきたの」
「まさかその復讐相手は・・・」
「アンタの弟さ」
「っ‼」
「まあこっちにもいろいろ準備がいるんだ。だからこのバス4台には」
バス後方から爆音が聞こえる。
「エンジンぶっ壊して谷底に落ちてもらおうかなって」
「貴様・・・っ」
「大丈夫大丈夫。浅いから死にやしないさ。じゃね」
男はバスの窓ガラスを突き破って外へ飛び出し・・
「・・・・・・・馬鹿な」
ISを展開して飛び去って行った。
激しい衝撃が4台のバスを襲い、谷底へと落ちていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
理由は分からないが体中が痛い。
それにここは何処だ?俺はバスで寝ていたはず・・・・
「目が覚めたか、織斑一夏」
声がした方を向くと、一台のISが一夏の眉間に照準を合わせていた。
「は?」
「ここはIS学園から数百キロ離れた場所だ。ISのエネルギー残量も少なく、移動手段を持たないお前がIS学園に付くには数日掛かる」
「誰だよお前」
「その質問に答える義理はない。宣言しよう、私はこれからIS学園を占領する」
「なっ⁉」
「言いたいことはそれだけだ。今ここでお前を殺しても良いが、それでは面白くない」
「・・・・・・」
「急ぐんだな、お前が遅れれば不必要な血が流れる事になる」
「おいっ‼待ちやがれ!」
ISが飛び去る。
一夏はそれを眺める事しか出来なかった。
「何ですかこれは・・・こんな事件は原作では起きないはず」
「この世界オリジナルの事件⁉・・・・だとしたら結果が分かるまで待つべきか?」
「いや、一度報告すべきだ。まずはIS学園に行き、彼の状態を探らねば・・・・」
赤髪が黒く染まり、その場から音が消え、財前喰奈の姿が消えた。
第2部『願いと悲願と男の恋』
簡単に言うならマドカ+オリキャラ対IS学園。
さて今後ともよろしくです