IS 鼬   作:クロノ9696

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大切な人

「・・・・嘘だろ、誰だか知らねぇが乗り込んできやがった」

 

まだ誰も来ないと思い、結構ゆっくり鼬を探していた男は驚愕していた。

 

「幾らなんでも早過ぎるだろ!あの場所から車でも3時間は掛かるんだぞ!ISでも数十分は掛かる!」

「それを何で、バスを落としてから二時間足らずで来るんだよ!?化け物かよ!」

 

 

頭を掻き毟る。

思考を開始する。

どの方法が最適なのか、どうやるのが一番手っ取り早いのか。

だが、何者かがやって来た事しか分からないため、思考回路は鈍る。

 

「何をしているアンリ」

 

後ろから凛とした声が聞こえてきて、アンリと呼ばれた男は振り返る。

 

「・・・・・マドカ」

「・・マスクはどうした、高かった筈だが」

「もういらないと思ってね、捨ててきた。それより、マドカは準備が済んだのか?」

「ああ、これで織斑一夏とタイマンで勝負ができる」

「で、それ以外を俺が相手するんでしょ」

「ああ、だが殺すなよ。いくらでも利用価値が有るのだからな」

「・・・・・・・・売るのか」

「そんな事をしたらアンリに殺される。あくまで交渉材料だ、その先は知らないがな」

 

マドカと呼ばれた少女は、織斑千冬と酷似していた。

彼女の頭の中には、既に勝った先のことが見えているらしい。

 

 

「それより侵入者だが、これはアンリ一人でも十分だ」

「実力も何もかもが未知数な相手と戦うのか・・・・めんどくさいなぁ」

「お前なら勝てるさ、お前のその力ならな」

「そうだけどさ・・・・」

「あと、四道鼬の居場所を見つけておいた。場所は病院ではなく保健室だ」

「げ、反対方向じゃん」

「急ぐんだな、侵入者の目的も四道鼬のはずだからな」

「りょーかい」

 

アンリが何故鼬に会おうとするのか、その真相を知るマドカは表情を曇らせる。

 

「これも神の気まぐれか・・・・」

 

いるか分からない神への、精いっぱいの皮肉を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表に出しはしないが、狐は鼬を溺愛している。

家族として、姉弟として、鼬を愛している。

ライクではなくラブで。

 

 

更識鞘は優秀なアサシンだった。

狐という家族を手にした後も、ほぼ一年中家にはいなかった。

たまに帰ってきても、書斎にこもって何かを書き、その合間に狐に武術を教えていた。

 

大きな屋敷にほぼ一人、麓に友達はいたが誰も屋敷には来ようとしなかった。

 

耐え難い孤独。

屋敷を包む静寂が、孤独という恐怖を掻き立てていた。

寂しさを紛らわせるために、鞘に言われたことを何度も何度も繰り返し。

疲れ果ててこと切れる様に眠る。

 

そうやって孤独を誤魔化し続けてきた。

 

狐に人としての自我は無いといったが、残っていることもある。

 

記憶だ。

 

今にも夢で見る。

名も顔も知らない相手に叩かれ、刺され、切り付けられる。

その度に飛び起きる。

 

本能に刻み付けられた誰かへの恐怖心。

未だに刃物を持つのだけは震えが止まらない。

 

外側は平静を保ちながらも、内側が壊れそうになっていた時だった。

 

鞘が鼬を連れてきた。

 

単純に嬉しかった。

心が安らいだ。

 

孤独から、解放された。

 

 

狐は、鼬に救われた。

 

 

 

 

「この前は守れなかった、でも今度は・・・」

 

体に埋め込まれたプロトISコアをフル稼働させる。

 

プロトISコアは、操縦者を治癒する機能を持ったが、そのかわりにISを動かすほどの出力を出せなかった欠陥品。

だが、人の体でなら十分過ぎるほどの力を出せる。

 

 

保健室へと辿り着く。

鼬がこの場所にいるのは知っていた。

家族だから、知らされていた。

 

ドアを開ける。

 

何も知らない鼬は、穏やかな表情で眠っていた。

 

「帰りますよ、鼬。皆のところへ」

 

歩み寄る。

大切な人の元へ、狐は向かう。

 

そんな時、肩をポンッと叩かれる。

 

「そういうわけにはいかないんだよ」

「貴様ッ!」

 

狐が振り返ると同時に、体に衝撃が走る。

 

「・・・・ッ!?」

 

言葉が出ない。

力が入らない。

立っていられない。

何も出来ずに崩れ落ちる。

倒れた拍子にメガネが落ちた。

 

「・・・・・油断してたな、あんた。こいつはもらってくぜ、もしもの時の為の保険にな」

 

連れていかれる。

何も出来ない。

手を伸ばす。

 

届くことなく空を切り、やがて地に伏した。

 

「生きてやがるのか、すげえな。この技を喰らったら、まず生きていない筈なんだけどな」

 

部屋から出ていった。

 

 

保健室に残る一人の女は、黒い泥の中へと消えていった。




死んでないからね。

さて結構終盤に入ってきました。
ヒロインも主人公も、何もやってねぇ。
ほぼ空気。
どうしてこうなった。


さて一応載せておきますが、次回作のことです。
もうすぐで終わりますしね、10話あるかないかってとこでしょう。
ポケモンの方は、プロットが無くなったので何とも言えません。

次回作は一次創作も考えていますが、なんだかんだでISになりそうです。

だって書きやすいんだもん。


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