IS 鼬   作:クロノ9696

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決死

 

「箒、セシリア、鈴音、シャルル、ラウラ」

 

見渡すと、5人の友人がボロボロの姿で倒れている。

 

「お前がやったのか?」

「勿論、殺す気がないだけマシだと思ってもらいたい」

「そんなの関係ない。お前を倒す、その理由があるだけで十分だ」

「・・・ところで、お前のISには武装はないのか?」

 

今鼬が纏っているISは、鎧というよりは武道着のような物だ。

薄く、小さい。

 

アンリのISも既存のISとは全く違うデザインをしているが、それ以上に異色といっていいだろう。

 

「必要ないさ、私の武器は己の拳。この体になった時から、必死に鍛えてきた物だ」

「・・・ふーん」

「そして、彼が私に譲ってくれたもの。それがあれば、負ける気はしない」

「・・やろうぜ。同族」

「ああ、私もそろそろ我慢の限界だからな」

 

二人の姿が目の前から消える。

そして、金属音のような、何かと何かがぶつかる音だけがアリーナに響く。

 

「鼬・・・頑張って・・」

 

今起きていることに簪は着いていけていない。

ISのハイパーセンサーを使っても視認できない戦い。

 

簪は、祈ることしか出来ない。

彼の無事を、彼の勝利を。

 

 

 

 

「はぁッ!」

「・・・ッ!」

 

拳と拳がぶつかり合う。

その度に、相手の記憶が、流れ込む。

ISが動かせた事、家族に売られた事、研究所で受けた非道な行為の事、向かいの部屋にいた少女と話すことだけが唯一の楽しみだったこと。

 

そして、殺処分となった彼女を助けるために研究所を破壊したこと。

その結果、私という存在が出来た事。

 

「・・・・見てるんだろ、お前も」

「ああ、苦しかっただろうな」

「苦しかったさ、泣きたかったさ、死にたかったさ。何度懇願しても、願いは受け入れられなかったがな」

「・・・・」

「俺の行動が間接的にお前を巻き込んだのは知っていた。だがな、そんなことはどうでもいいんだよ」

「・・・そんな事だと?何人の人間が死んだと思ってるんだ!」

「そんなの知るかよ!俺からすればどうでもいいことだ!それよりな、俺はお前に用があるんだよ」

「私に、だと?」

「ああそうだ!さっきあの女には目的が無いと言ったが、お前が起きたのなら話は別だ!俺はな、お前と!織斑一夏を殺したくてたまらないんだよ!」

 

 

「何故だ!何故お前らはそうやってのうのうとしていられる!何故お前らは研究所に行かない!そんなの不公平だろうが!」

 

「俺はな、IS何て動かしたくなかった。普通の日常が遅れればそれで良かったんだ。それがな、たった一日で崩れたんだ」

 

「この腕が見えるか!触っても、何も感じない!その癖に思い通りに動きやがる、気持ち悪いったらありゃしねぇ!」

 

「この苦しみが分かるか?お前に、俺の苦しみが理解できるか?俺一人こんな目にあって、お前たちは五体満足なんだぞ」

 

「何だよそれ、ふざけんな!何故俺だけこんな目にあった!何故だ!何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!何故なんだ!」

 

「・・・・・・・だから、お前にもこの苦しみを共有してもらう。一夏はマドカが殺す。でもお前は、俺が四肢を切り落とす」

 

「一生、恥をかいて生きろ」

 

 

感情が溢れ出した。

今までアンリが押し込んでいた感情が、溢れ出していた。

この世の不平等を説き、苦しみの共有を、鼬に迫っていた。

 

 

「・・・・・・断る」

「・・・・・・・・何だと」

「そんな事して何になる。只の自己満足でしかないじゃないか。悪いが、私はこれからも五体満足で生きる」

「・・・貴様ァ!」

「アンタの考えは理解できる。だが、それを正しいとは思わないし、肯定もしない。はっきり言って馬鹿らしい」

「・・・・す」

「切り落とすなら、私を倒してからやれ。負けた結果がそれなら、受け入れるさ」

「・・・・・・・・・・ろす」

「だから殺す気でこい。全力で迎え撃ってやる」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」

「そんな捻くれた考え方!私が壊してやる!」

 

そして再び、拳と拳がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な・・・」

 

場所は変わって第一アリーナ。

地面は先ほどの戦いにより焼け焦げている。

 

「ISに守られていたんだ、消し飛ぶ筈はない。なら、死体はいったい何処にあるんだ!?」

 

ほぼ全壊した白式に近づき、死体を探していたマドカは焦っていた。

 

「まさか生きているのか!?あれを喰らって、生きているというのか!?」

 

「答えろ織斑一夏!お前は・・・生きているのか!?」

 

周りを叫びながら見渡す。

先ほどまでの余裕は何処へやら、今は焦りで気が散ってしまっている。

狩る側にいたはずの彼女が、まるで狩られる側へと。

静寂が、重い。

 

 

(・・・・・・・・・・・ザッ)

「ッ!?そこにいるのか!」

 

レーザーライフルを撃つが、反応はない。

 

「糞がっ・・・・」

 

(ザッ・・・・・ザザッ・・・ザッ・・・)

 

走るような音だけが聞こえてくる。

恐怖で足が竦む。

体が震える。

汗が止まらない。

相手は生きた人間の筈なのに、こうも怖いものなのか。

 

「・・・・・・ッ!?」

 

気配を感じ、後ろを向く。

そこには生身の体で雪片二型を振り下ろそうとしている織斑一夏がいた。

 

「くっ!」

 

直ぐに銃剣で雪片を防ぐ。しかし・・・

 

「何故だ・・何故押し負けている!?」

 

銃剣が弾き飛ばされた。

彼女の唯一の武器が、手元から無くなった。

 

「・・・・・・拾えよ」

「・・・えっ」

「ここから先は真の殺し合いだ。生身の体の人間が、そんなに怖いのか?」

「・・・・ッ」

 

銃剣を取り、構える。

雰囲気がさっきまでとは全く別物だ。

同一人物なのかすら、不安になってくる。

 

「やっぱりこれだよこれ。生死を懸けた戦いってやつ。やっぱこれじゃないと、本気でねぇや」

「いいのか貴様、一撃でも喰らえばお前は死ぬんだぞ」

「お前が殺すって言ったんだろ?本当は覚悟も決まってない甘ちゃんだったのか?」

「っ!」

「行くぞ劣化コピー。俺の本気を、見せてやるよ」

 

一夏が地面を蹴る。

次の瞬間には、目の前で雪片を振りかぶっていた。

 

(・・ッ!?速すぎる!本当に生身の人間なのか!?)

「オラァ‼‼」

「ッ!?」

 

今回は止めることが出来ず、後ろへ吹き飛ぶ。

 

「ぐっ・・・・」

「次行くぞオラァ!」

「くそっ・・」

 

また吹き飛ばされる。

 

(完全に人の域を超えている!なんなんだこいつは!IS戦闘は素人ではなかったのか!?)

 

「俺はな、中学時代の殆どを喧嘩に費やしてきたんだ。場数だけなら、お前より上だ」

 

「そのうち狂犬とか呼ばれて怖れられたけど、やっぱり喧嘩吹っかけてくる奴はいるんだよな」

「ま、全員病院送りにしたけどな」

 

マドカはフラフラと立ち上がる。

 

「こっちは生身の人間なんだぜ?もうちょい頑張ってくれよ」

「・・くっ、まさかこれほどとは」

「行くぜ、この狂犬を止めたくば、決死の覚悟で殺しに来い!」






織斑一夏、狂犬モード。
アドレナリンがドバドバで、結構ハイってる。
端から見たらやばい人。


四道鼬、IS搭乗。
一人称が私になる。

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