IS 鼬   作:クロノ9696

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あと数話で終わりですね。


狂犬

 

誤算は二つ。

 

一つは、曇り始めて視界が不鮮明な事。

もう一つは、一夏がISから降りた事。

 

この二つにより、真っ暗なアリーナの中でISのセンサーに映らない只の人間を相手にしなければならなくなった。

 

しかも、やたらめったら強い。

 

既に10回ほど吹き飛ばされている。

 

誰が、ISから降りた方が強いなどと予想できただろうか。

しかし、ダメージ自体は微々たるものだ。

だが、塵も積もれば山となる。

 

それなりの数受ければ、それは目も当てられないほどのダメージとなる。

 

 

 

 

相手は限りなく無音で攻撃してくる。

しかも超高速でだ。

 

人の体で、ISの域にまで達している。

 

何こいつキモイ。

てか、この姉弟人間辞めすぎ。

 

一夏が可能ならそのクローンでもあるマドカでも出来るのでは?と思うかもしれないがこれは更識鞘が一夏のポテンシャルをほぼ100%引き出しているから可能なのであり、つまりマドカには無理なのだ。

それを考えると、ひと月程度でポテンシャルを引き出せるのは色々とヤバい。

薬でも使ってるんじゃないのか。

 

 

 

 

 

 

 

まあ色々説明したが、簡単に言えば追いつめたと思っていたら追いつめられていたわけで。

 

 

狂犬一夏にマドカが追いつめられているのが現状である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・・負けたな)

 

マドカはほぼ確信していた。

自分では勝てない、と自覚した。

ハッキリ言って、マドカには理解が出来なかった。

 

ISを降りても戦おうとする一夏のその意思が、理解不可能だった。

 

 

今まで何人もの人間を始末してきた。

その大半はISを使って脅すだけで、心を折る事が出来た。

 

心が折れれば後は簡単。

引き金を弾くだけだ。

脳髄をぶちまけて、それで終わり。

 

反抗する者もたまにはいるが、そんな奴も撃てば終わりだ。

話さない骸に変わるだけ。

 

だがこいつは違う。

確実に追い詰めたはずなのに、確実に勝てたはずなのに、何故、ここまで追いつめられているのか。

 

 

既に心は折れた。

 

窮鼠猫を噛むとでも言おうか。

 

いや、元からネズミなんかじゃなかった。

 

もっと恐ろしい何かだったのだ。

 

どうせ闇雲に撃っても当たらない。

エネルギーも、もう直ぐ切れる。

 

たった一発。

たった一発当てるだけで勝てるのに、その一発がとても遠い。

 

しかし、ただではやられない。

 

相手の武器は刀一本のみ。

攻撃するためには、必ず近寄らねばならない。

 

チャンスは、まだある。

勝つことは出来なくとも、相打ちになら持っていけるはずだ。

 

 

精神を集中させる。

物音ひとつ聞き逃さない為に。

 

 

(・・・・・・・・・・・・)

 

地面を駆ける音は聞こえる。

だが、居場所を特定するにはまだ足りない。

 

止めを刺すために、こちらへ向かって跳んでくるには、必ず地面を踏みしめなければならない。

 

いつもより力強い踏み込みを、聞き分ける。

 

(・・・・・・・・・・・)

 

 

一秒が、何分にも、何十分にも感じる。

 

 

そしてその時は来る。

 

・・ッタッ

 

(・・・!一瞬溜めた!)

「そこだぁ‼」

振り向き様に音のした方へとレーザーを撃つ。

 

「やったか!?」

 

発射と共に巻き上がった土煙が晴れる。

 

そこには、地面に突き刺さった雪片二型があるだけだった。

 

「・・・なら何処へ!?」

 

確かにこちらへ向かって跳んだはずだ、居なければおかしい。

 

辺りを見回しても誰もいない。

気配すら感じない。

 

焦る。

一夏は何処へ行った!?

 

「こっちだ」

「ッ!?」

 

声の方へ、上の方へと顔をあげる。

 

ゴスッ

 

乾いた音が響く。

 

一夏は地面に刺した雪片二型を足場として、上空へと跳んだのだ。

そして、声に反応したマドカの顎先1㎝をパンチで的確にとらえた。

 

確かにISには絶対防御がある。

だがそれは、兵器にのみ反応して発動する。

 

一夏の拳に対しては、勿論発動しない。

 

 

「・・・・俺の、勝ちだな」

 

気を失って地面へと倒れるマドカを、冷たい目で眺めていた。




相変わらずひでぇや。
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